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第3章 絶海の孤島ダンジョン編

99 なめく~じ~毒を吐いた~ら~

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 どうもリビングアーマーの俺です。
 こっちはゴブリン娘のラファ。

 で、あっちが俺たちに迫る大蛇。
 で、あっちが俺たちに迫る巨大ナメクジ。

 うわああああああ!
 どうすりゃいいんだよ!

 ほぼ垂直に近い洞窟で挟みうちにされてしまった俺たち。

 下からは大蛇の群れが接近中。
 上からは巨大なナメクジが接近中。

 ――ずももももも!
 ――にゅにゅにゅにゅにゅ!

 不吉な音の多重奏が焦りを掻き立てる。

 蛇は群れで、ナメクジは単体で洞窟の穴を完全に塞いでいる。

 下に戻れば蛇たちに押しつぶされて圧死。
 上に向かえばナメクジの毒で溶解される。

 行っても戻っても地獄だ。

〈ど、ど、どうする?〉

「うーん……これはもうじっとしてるしかないかな」

 えーーー!
 なんで急にそんな諦めモードなの!?

 いや、たしかに俺も一回死んだ身だ。
 これまでに何度か「まあここで死んでもいいか」って思ったこともある。

 けど、これはなんかちょっと残念すぎる。
 なんとかならないの?

〈くそっ〉

 俺は大蛇の群れに向かってゴーレム腕を射出する。
 ロケットパンチだ!
 ロケットじゃないけど。

 ぼん。
 べん。
 ばん。

 大蛇にぶつかった拳はあっけなく跳ね返された。
 …………。

 仕方なく俺は腕を回収する。

 蛇さんって意外と筋肉質で身体かたいんすね……。

 ――シャーーー!

 うわ!
 ごめんて!
 殴ったのは悪かったって!

 蛇が怒って移動速度を増してきた。
 うー、逆効果だったようだ。

 ちくしょう。
 どうすりゃいいんだ。

 ――ベシャ!

 ん?
 ………のわー!

 上から迫ってくるナメクジが毒を吐きよった!

 俺のすぐ近くの岩がじゅうううう……と煙を噴いている。
 うわー、これけっこうすごい毒なんじゃない?

 ヤバいヤバいヤバい。
 これマジで詰むのでは……。

 ……………………ん?

 なんか、不吉な音の多重奏の片方が小さくなってってない?

 見ると、蛇さんたちが後退していく。
 どういうこと?

「よかった……うまくいったみたいだね」

〈え? なにが起こったの?〉

「蛇はナメクジの毒が嫌いなんだよ。だから引き返したの」

 それ早く言ってくれよー!

 なんかあったな、そういうの。
 三すくみってやつ。

 蛇はナメクジの粘液が嫌い。
 ナメクジはカエルに喰われる。
 カエルは蛇に喰われる。
 ……だっけか。

 けど、蛇がナメクジの粘液を嫌いってのは迷信だったはず。

 この世界では、ナメクジが毒を持ってるから、本当に蛇はナメクジを嫌ってるのか。

 なんにせよ助かった……

 ――にゅにゅにゅにゅにゅ!

 ……助かってない!

 毒を吐いたナメクジは、そのまま迫ってくる。

 蛇を追っているのか。
 俺たちを襲うつもりなのか。
 それはわからないけど。

 とにかくこっちに近づいてくる。

 引き返せー!
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