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第3章 絶海の孤島ダンジョン編

98 その腕を伸ばしていけ

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 どうもリビングアーマーの俺です。
 こっちはゴブリン娘のラファ。

 そして穴を這い上ってくる大蛇の群れ。

 ぎゃーーーーー!

 ――ずももももも!

 大蛇が穴をびっしり埋め尽くしながらこっちに迫ってくる。
 俺たちは慌てて穴を登っていく。

 が、滑るし、急だし。
 どうしたって蛇の方が有利な場所だ。

 幸い蛇たちはもつれあっているのでペースが遅い。

 とはいえ、全力で移動しても引き離せないくらいの速度だ。

 マズいぞ……。

「ねえ」

 ラファが言ってくる。

「リビタンのさっきの腕、使えないかな」

 そうか。
 その手があった。
 手だけに。

 俺は先ほどゴーレムのパーツに付け替えた右腕を穴の上方に向ける。

 発射!

 ばしゅううう……と空気音を発生させながら、俺の腕の先が飛んでいく。

 やがて、腕の先が岩肌の上に落ちる。
 俺はその様子を眺めながらしっかりと岩の出っ張りを掴んだ。

 え?
 どうしてそんなはっきりわかるのかって?

 ふっふっふ。
 忘れたか?
 俺には必殺「手の目」があるのだよ!

 まあ手に限らないけど。
 鎧パーツの好きなところに視覚を移動させられる。

 大洞窟ダンジョンでトロッコの行き先を調べるときに使った技だ。

 それを使って右手のひらに視覚をコピーしておいたのだ。

 おかげで、掴んだ岩が比較的崩れなさそうってこともわかる。

〈よし、ラファ、掴まれ〉

 俺はラファを抱えると、腕のワイヤーを回収しながら穴を登っていく。

 最初は坂を駆け上る感じ。
 けど、穴はだんだん垂直に近くなっていく。
 最終的にはヘリコプターに回収されるスパイの人みたいな感じになってた。

 結構早いペースで、腕の先まで到着。
 そこに、反対の手で杭をうって、ふたたび上方にゴーレム腕を飛ばす。

 腕は空気を取り込んで、それを圧縮させて噴射して飛んでいるらしい。
 その動力は魔力。
 魔力は空気中に漂っているものなので実質無限にあると言っていい。
 夢のエネルギー!

 そういや、ラファの義手のビーム。
 あれは大量の魔力を消費するんだろう。
 それで周りの魔力がなくなるから、一日に一度しか撃てないのかもしれないな。

 そんなことを考えながら、またワイヤーを回収して移動。

 よし、だいぶ大蛇どもを引き離せたぞ。

 穴は垂直になったり、斜めになったりを繰り返しながらどんどん上層へ続いていく。

 お。
 先に広い空間が見えてきたな。

 よし、あそこまで一気に飛ぼう。

 俺はまた腕を飛ばす。

 ばしゅうううう……ずもっ。

 なに?
 ずもって?

 手のひらの視覚はなんか半透明のものに埋もれていた。

 じゅうううううう。

 ん?
 今度はなんの音?

 ……うわ!
 なんか溶けてる!

 俺は慌ててワイヤーを引き上げて腕を回収する。

 戻ってきた腕を見ると、指の先端が少し溶けていた。
 オリハルコン製のメイン部分はなんともなさそうなんだけど。
 指先だけは違う素材だったっぽい。

「どうしたの?」

〈この先に、なんかヤバそうなのがいるぞ〉

 俺は溶けた指先をラファに見せる。

「あー」

 なになになんだよ。

「ビッグ・ポイズンスラッグだね、これ」

 えーと。
 それは確か第二の難関にいるという巨大ナメクジか。

 やったぁ!
 いつの間にか次の難所まで到達してたんだね!

 …………。

 ――にゅにゅにゅにゅにゅ!

 と変な音を上げながら前方から迫ってきたのは、確かに巨大ナメクジだった。

 うわあああああああ!
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