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第3章 絶海の孤島ダンジョン編

97 蛇地獄はまだ終わらない

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 どうも、リビングアーマーの俺です。
 こっちはゴブリン娘のラファ。

 ロロコとアルメルと合流するべく、絶海の孤島ダンジョン地上部を目指す俺たち。
 第一の難関である大蛇地獄をようやく抜けたところだ。

 そこを抜ける代償に、俺は右腕と鎧を失った。
 代わりにゴーレムのパーツを装着した。

 うん、不思議と違和感はないな。
 まあこれまでも、ぽんぽんパーツ交換はしてきたからな。

 そもそも最初に宿っていた鎧と同じパーツはすでにどこにも使われてないからな。

 人間は身体細胞が何十年か経てば全部違うものになるって言うけど。
 俺はそれを超早いペースでやってしまった感じ。

 そう考えればそこまで変な気もしない。

 さて。
 パーツが入れ替わったし。
 冒険書のステータスを確認したいところだけど。

「すぐここから離れよう」

 ラファがそう言ってくるので、俺たちはすぐに移動を開始する。

〈どうしてだ?〉
「ケイヴ・スネークが追いかけてくるかもしれないからね」

 マジかよ。
 絶海の孤島ダンジョンのモンスターは大洞窟ダンジョンのに比べてしつこい気がする。
 前に遭遇した三種類の芋虫たちもそうだし。

 ってわけで俺とラファは穴を先に進む。

 しかし歩きにくいな……。
 穴はかなり急な坂道で上に上っている。
 しかもなんか湿っぽくて岩肌が滑りやすい。
 転んだらさっきの蛇地獄へ逆戻りだ。
 慎重に進まないと。

「だいぶ下層まで落ちたからね。地上部まではけっこうあるよ」

 言われてみればそうだな。

 基本、頑張らないと下に落ちていくばかりだ。
 大洞窟ダンジョンでも、ワームの習性を利用してやっと地上に出られたもんな。

 あれ?
 そういやワームってこのダンジョンにもいたよな。

 そう思ったのでラファに訊いてみる。

「あー、いるね。前はいなかったけど、最近現れたよ。ダイヤモンド・ワーム」
〈あいつらの習性を利用して一気に上に向かったりできないかな〉
「それはやめたほうがいいねー」

 えー、なんで?

「ワームは鼻を塞がれると真上に向かうんだよ。ここの真上って海底だよ?」

 あ、そっか。

 忘れてた。
 このダンジョンは大陸と孤島の間にまたがっている。
 真上に突き進めば当然海の底に出るだけだ。

〈じゃあこの穴に沿って進むしかないのか……〉
「まあ、そういうことだねー。でも、ケイヴ・スネークの群生地を抜けられたんだし、残り二つの難関も、なんとかなるかも」

 えーと、あと二つはなんだっけか。
 たしか、ビッグ・ポイズンスラッグの巣。
 それにマギ・リザード・フィッシュの狩場だっけか。

 どうだろうな……。

〈ちなみに残り二ヶ所のモンスターはどんな奴らなんだ?〉
「えーと、ビッグ・ポイズンスラッグは巨大な毒持ちなめくじで――」

 というラファの不安極まりない解説は途中で止まってしまった。

「――なんか聞こえない?」
〈え?〉

 うん。
 聞こえるね。

 下の方から。
 えーと、これは。

 ――ずもももももも。

 重量のあるものが大量に、這いずるような音。

「うわ、きやがったよ」
〈うわーーーーー!〉

 大蛇が穴を埋め尽くしながらこっちへ迫ってきていた。
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