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第3章 絶海の孤島ダンジョン編

85 植物もモンスターになる

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 ドラゴンにさらわれたクラクラを助けるため絶海の孤島ダンジョンに挑んだ俺たち。
 ってのはつまり、リブングアーマーの俺。
 人犬族のクラクラ。
 ドワーフ嬢のアルメル。
 以上三人ってことね。

 そんな俺たちはしょっぱなから穴に落ちて、ひたすら落下していった。

 巨大コウモリに襲われ。
 巨大蜘蛛に襲われ。
 ゴブリンにも襲われ。

 やっとそいつらがいなくなって、底が見えてきたと思ったら。

 穴の底には巨大芋虫がびっしり!

 ぎゃー!
 勘弁して!
 せめて事前に『虫注意』って予告してほしい!

〈なんだなんだあれ! モンスターか? 危険なやつか?〉

「あれは多分ヴァイン・キャタピラーです」

 この辺のモンスターに関してはロロコよりアルメルの方が詳しい。

 解説頼みますアルメルさん!
 今冒険書開いてる余裕ないし!

「ヴァイン・キャタピラーは植物の蔓が魔力を得て魔物化した存在です。芋虫に似ているのは、もともとその植物に住んでいた芋虫を真似たからと言われてます」

 植物もモンスターになるのかよ。
 恐ろしいな。

 下で蠢いてる奴らは普通の植物には全然見えない。
 どう見ても芋虫だ。

〈植物モンスターも人を襲うのか?〉

「ものによると思いますが、ヴァイン・キャタピラーは比較的おとなしいと言われています。蔓はもともと栄養を補給する器官じゃないですから」

 なるほど。
 その理屈は納得だ。

 ……でも。
 それじゃ俺たちを発見した芋虫たちがシューシュー騒いでるのはどうしてなんですかねえ……?

「……何事も例外はあります」

 ――シューシュー!
 ――シューシューシュー!
 ――シューシューシューシュー!

 芋虫たちの声がどんどん広がっていく。
 俺たちの真下の奴らは、こっちに頭をもたげてきた。

 ぎゃー!
 なんか口っぽいのをこっちに向けてガチガチ鳴らしてるんだけど!

〈逃げろ逃げろ逃げろ!〉

 俺はロロコとアルメルを抱えたまま、宙をフヨフヨと移動する。

 が、芋虫たちも諦めない。
 どんどん積み重なって山になり、俺たちに届こうとがんばってくる。

 おいおい、それ下のやつ重くない?

 そう思うけど、芋虫たちは関係ないようだ。
 どんどん芋虫の山が高くなっていく。
 しかもモゾモゾモゾモゾモと移動して、俺たちに近づいてくる。

 くそ、俺の移動速度より早いぞ!

〈ロロコ、魔法は!?〉
「だめ。魔力切れ」

 くそっ。
 そうだよな。
 さっきあれだけ連発してたしな。

 ええい、どうすれば――

 ――ごごごごごごごごごご……。

 ん?

 なんか地響きが聞こえるな。
 しかもね、なんか前に聞いたことがあるような感じですよ。

 ――ごごごごごごごごごご!

 だんだん大きくなってくる。
 えーとこれは。

「ダークネス・ワームが地面を掘り進む音」

 おお、それだ。
 ロロコ、よく覚えてたな。

 …………。
 ………………マジかよ!

 え、どこ?
 どこからくるの?

 キョロキョロと辺りを見回す俺にロロコが言ってくる。

「リビたん、避けて。下から来る」
〈!〉

 俺は全力で横に移動する。

 次の瞬間、俺たちがさっきまでいた場所を、巨大ワームの口が飲み込んだ。
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