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第2章 バリガンガルド編
81 チェインハルト商会の野望
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エルフの国、フリエルノーラ国にやってきたリビングアーマーの俺。
人犬族のロロコ。
ドワーフ嬢のアルメル。
王城で、国の問題について考えていたところに現れたクーネアさん。
どうしてここに!?
〈たしか、バリガンガルドに残りましたよね?〉
「ガレンシア公からバリガンガルドに、フリエルノーラ国の管理官が欠員となったので、代理を送れと文が届けられたのです。しかしバリガンガルドは現在復興中で人手が足りません。そこで、チェインハルト商会が臨時で代行を申し出たのです」
なるほど。
でも、それにしても着くの早くない?
「速馬を乗り継いで飛ばしましたので」
そうなのか。
うーん……。
でもまあ、現にクーネアさんはここにいるわけだし。
すごい速い馬だったってことだろうか。
「それよりも、自治権についてご相談いたしましょう」
そうだったそうだった。
フリエルノーラ国は今、ガレンシア公国の属国状態。
名目は『保護国』らしいけどね。
俺たちがクラクラを助け出せれば、フリエルノーラ国は所属する冒険者が十人になる。
そうすれば自治権を獲得できることになっている。
しかしこの取り決めはいわば慣習的なもの。
ガレンシア公国が納得しなければ、結局フリエルノーラ国は独立できないのだ。
「あなた方がどうにかしていただけるのですか?」
そう問いかけるエルフの国王に、クーネアさんは頷く。
「ガレンシア公国が欲しいのは、この土地から産出される魔鉱石の利益です。その魔鉱石採掘を我が商会が公国からの委託という形で請負い、その利益をフリエルノーラとガレンシア公国に分配いたします」
ふむ?
「チェインハルト商会は魔鉱石の採掘から精製、販売に至るまでもっとも効率的なノウハウを持っております。ですので、ガレンシア公国がフリエルノーラ国を保護国としている現状より、確実に高い利益を両国に提供できます」
ふむふむ。
なるほど、わかったぞ。
要するに、ロロコがいた人犬族の村と同じことをするって言ってるんだな。
「その状況であればフリエルノーラ国は国力を増強できるでしょう。そうすれば、最終的にはガレンシア公国と対等の関係で魔鉱石の取引を行うことも可能になるはずです」
「おお!」
エルフの国王は大きく頷いた。
「そのようにしていただけるのであれば、本当にありがたいことです。しかし我々には、そのお礼を差し上げることができぬのですが……」
「構いません。チェインハルト商会は魔鉱石を必要としておりますので、採掘されたそれを報酬とさせていただきます」
〈それって、冒険書とかの材料になるってことですか?〉
ふと疑問に思って俺が問うと、クーネアさんはメガネを持ち上げながら言う。
「それもですが、今我が商会は大陸南部の商業都市群である大規模な実験を行い、壮大な事業を計画中です。それには大量の魔鉱石を消費するのです」
〈実験?〉
「一言でご説明するのは難しいのですが……いずれ機会があればリビタン様にもお見せいたします。ぜひ商業都市フィオンティアーナへお越しください」
〈はあ……〉
またややこしい名前の街が登場したな……。
この世界は、名前を長くしなきゃいけない決まりでもあるの?
もう忘れたよ……。
「ところでそちらの皆様は?」
と、クーネアさんは盗賊の皆さんに目を向ける。
「ああ、オレたちはガレンシアの出身で――」
と盗賊のラザンさんが自分たちの過去とここに来た経緯を簡単に語った。
うわー……。
本気で引くレベルの辛い過去だ……。
しかしそれを聞いたクーネアさんは相変わらず表情を変えずに告げる。
「なるほど。ではラザン様がたは、ここでエルフの皆様への指導を行うというのはいかがでしょう?」
「は?」
「フリエルノーラ国はヴェルターネックの森の東端にあり、エルフの皆様は外界について詳しくありません。冒険者として活動するにも、知識がなくては不便でしょう。ですのでこの辺りの地理や、人々の習慣に関して教えて差し上げてください。その際の賃金はチェインハルト商会から出しますので」
「マジかよ。いいのか、オレらみたいな流れもんにそんな仕事させて」
「問題ないでしょう、あなた方が悪人だとは私は思いません」
おお、なんだか知らない間にいろいろ解決してく……。
となると、残る問題はただ一つ。
クラクラをドラゴンから救い出せるかどうか、ってことだな。
人犬族のロロコ。
ドワーフ嬢のアルメル。
王城で、国の問題について考えていたところに現れたクーネアさん。
どうしてここに!?
〈たしか、バリガンガルドに残りましたよね?〉
「ガレンシア公からバリガンガルドに、フリエルノーラ国の管理官が欠員となったので、代理を送れと文が届けられたのです。しかしバリガンガルドは現在復興中で人手が足りません。そこで、チェインハルト商会が臨時で代行を申し出たのです」
なるほど。
でも、それにしても着くの早くない?
「速馬を乗り継いで飛ばしましたので」
そうなのか。
うーん……。
でもまあ、現にクーネアさんはここにいるわけだし。
すごい速い馬だったってことだろうか。
「それよりも、自治権についてご相談いたしましょう」
そうだったそうだった。
フリエルノーラ国は今、ガレンシア公国の属国状態。
名目は『保護国』らしいけどね。
俺たちがクラクラを助け出せれば、フリエルノーラ国は所属する冒険者が十人になる。
そうすれば自治権を獲得できることになっている。
しかしこの取り決めはいわば慣習的なもの。
ガレンシア公国が納得しなければ、結局フリエルノーラ国は独立できないのだ。
「あなた方がどうにかしていただけるのですか?」
そう問いかけるエルフの国王に、クーネアさんは頷く。
「ガレンシア公国が欲しいのは、この土地から産出される魔鉱石の利益です。その魔鉱石採掘を我が商会が公国からの委託という形で請負い、その利益をフリエルノーラとガレンシア公国に分配いたします」
ふむ?
「チェインハルト商会は魔鉱石の採掘から精製、販売に至るまでもっとも効率的なノウハウを持っております。ですので、ガレンシア公国がフリエルノーラ国を保護国としている現状より、確実に高い利益を両国に提供できます」
ふむふむ。
なるほど、わかったぞ。
要するに、ロロコがいた人犬族の村と同じことをするって言ってるんだな。
「その状況であればフリエルノーラ国は国力を増強できるでしょう。そうすれば、最終的にはガレンシア公国と対等の関係で魔鉱石の取引を行うことも可能になるはずです」
「おお!」
エルフの国王は大きく頷いた。
「そのようにしていただけるのであれば、本当にありがたいことです。しかし我々には、そのお礼を差し上げることができぬのですが……」
「構いません。チェインハルト商会は魔鉱石を必要としておりますので、採掘されたそれを報酬とさせていただきます」
〈それって、冒険書とかの材料になるってことですか?〉
ふと疑問に思って俺が問うと、クーネアさんはメガネを持ち上げながら言う。
「それもですが、今我が商会は大陸南部の商業都市群である大規模な実験を行い、壮大な事業を計画中です。それには大量の魔鉱石を消費するのです」
〈実験?〉
「一言でご説明するのは難しいのですが……いずれ機会があればリビタン様にもお見せいたします。ぜひ商業都市フィオンティアーナへお越しください」
〈はあ……〉
またややこしい名前の街が登場したな……。
この世界は、名前を長くしなきゃいけない決まりでもあるの?
もう忘れたよ……。
「ところでそちらの皆様は?」
と、クーネアさんは盗賊の皆さんに目を向ける。
「ああ、オレたちはガレンシアの出身で――」
と盗賊のラザンさんが自分たちの過去とここに来た経緯を簡単に語った。
うわー……。
本気で引くレベルの辛い過去だ……。
しかしそれを聞いたクーネアさんは相変わらず表情を変えずに告げる。
「なるほど。ではラザン様がたは、ここでエルフの皆様への指導を行うというのはいかがでしょう?」
「は?」
「フリエルノーラ国はヴェルターネックの森の東端にあり、エルフの皆様は外界について詳しくありません。冒険者として活動するにも、知識がなくては不便でしょう。ですのでこの辺りの地理や、人々の習慣に関して教えて差し上げてください。その際の賃金はチェインハルト商会から出しますので」
「マジかよ。いいのか、オレらみたいな流れもんにそんな仕事させて」
「問題ないでしょう、あなた方が悪人だとは私は思いません」
おお、なんだか知らない間にいろいろ解決してく……。
となると、残る問題はただ一つ。
クラクラをドラゴンから救い出せるかどうか、ってことだな。
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