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第1章 大洞窟ダンジョン編

7 レベルがあーがったー!

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『モンスターの情報が追加されました』
『レベルが上がりました』
『変化したステータスを表記しました』

 ふぁ!?

 ……ああ。
 そうだった。
 さっき自分の腹に『冒険書』を突っ込んだんだった。
 いきなり身体のなかからべつの声が声が聞こえてビビったぜ。

 で、なんだって?
 モンスター情報が増えた?

 おそっ!
 遅いよ!
 もう倒しちゃってるじゃん!
 いま情報見て攻略法わかっても意味ないじゃん!

 ……どうやら、モンスター図鑑的な役割らしいな。
 鑑定スキルの代わりにはならないっぽい。
 まあ、再遭遇したときには役立つかな。
 せっかくだし確認してみるか。

 俺は、巨大ダンゴムシとの戦いで傷ついた身体を洞窟の壁にあずける。
 戦いって言っても、二匹とも自分らでぶつかって自滅したんだけどね。

 腹のなかから本を取り出し、パラパラ。
 モンスター情報は後ろのページにあった。

『レッサー・アーマー・バグ
 平均HP:559
 平均MP:675
 平均物理攻撃力:345
 平均物理防御力:569
 平均魔法攻撃力:34
 平均魔法抵抗力:44
 解説:アーマー・バグの小型種。主に洞窟に生息。体内保有魔力の高い個体が多く、表面の装甲が魔力を帯びている。』

 ふむふむ……。
 小型種ってことは、これよりデカい通常種がいるってことですかね?
 勘弁してほしいわー。

 そして、それぞれの数値の高さ!
 なにこれ、怖い。
 全部、完全に俺を上回ってる。
 上に平均ってついてるのがよくわからないけど……。
 とにかく、本来なら俺が戦うような相手じゃなかったってことだ。
 勝手に自滅してくれて助かったぜ。

 で、ちょっと気になる部分がある。
 解説コーナーの『体内保有魔力』って言葉。
 それに『表面の装甲が魔力を帯びている』って一文。
 これ、魔法攻撃力と抵抗力とは別物だよね。
 だってこいつ、そこだけ二桁しかないし。
 で、その高い魔力が装甲に現れてる、と。

 ……もしかして、大ネズミの攻撃で腹に穴空いたの、そのせいじゃね?
 大ネズミの身体も魔力を帯びていたとしたら。
 それが俺の身体が帯びてる魔力を上回ってたとしたら。
 物理じゃなくて、魔力のぶつかり合いで、あんなことになった――のかもしれない。

 でも、そうすると、あの扉は?
 この洞窟への入り口になっていた扉を殴った腕パーツも壊れたんだった。
 じゃ、じゃあ、あの扉も魔力を帯びてたとか……。
 苦しいな。
 まあ、ひとつの仮説ってことで。

 気を取り直して。
 さあ!
 いよいよお待ちかね!
 俺自身のステータスの確認だ!
 ふっふっふ。
 実は楽しみだったので、あとにとっておいたのさ。
 さあ、どのくらい変化してるか確認してみよう。
 なんか、一気にレベルが5くらいまで上がってたりなんかしちゃったりして!?
 ばばん!

『リビングアーマー LV.2 名前:なし
 HP:104/234
 MP:14/14
 物理攻撃力:34
 物理防御力:42
 魔法攻撃力:3
 魔法抵抗力:1
 スキル:霊体感覚
 称号:駆け出し冒険者
 称号特典:なし』

 …………。
 いや、わかってましたよ。
 どうせそんなオチだと思ってたもん。
 けど!
 それにしても!
 変化なさすぎじゃないですかね!
 ちなみに、変化前のステータスはこんな感じだった。

『リビングアーマー LV.1 名前:なし
 HP:165/223
 MP:12/12
 物理攻撃力:23
 物理防御力:34
 魔法攻撃力:2
 魔法抵抗力:1
 スキル:霊体感覚
 称号:なし』

 すげー微増。
 魔法抵抗力にいたっては1のままだし。
 あ、でも称号がつきましたね。
 特典はべつにないらしいけど。

 駆け出し冒険者ねぇ。
 モンスターを倒したので、もらえたのかな?
 まあ、称号によって特典がもらえるかもしれないことがわかっただけでよしとするか。

 現在のHPが減ってるのは、戦闘で疲れたからかな。
 それとも、鎧パーツがまたさらに減ったからかな。

 そうだった。
 レベルアーップ!って喜んでたけど、俺の現状はあまりよろしくない。

 まず、腹に大穴。
 右手は腕から先がない。
 右足も太ももパーツの途中からない。
 まともに歩くこともできない状況だ。
 これでまた、ダンゴムシが現れたりしたら、かなりピンチだ。

 さて――どうしようか、この状況。
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