ダイヤモンド・リリー

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結局タオルの下まで洗わせられた。

自分を抑制するのがとてつもなく大変だった。


そして、俺にやらせたって事は召使いにもやらせてたのかって考えると、何だか複雑な気分だ。

「四悠は意外と筋肉があるな。」

湯船に浸かりながら、体を洗う俺を、呑気に観察する紫桜。
何故そんなに鈍感なのか。

「紫桜はもう少し筋肉つけた方がいいんじゃないか?なんか柔らかかったぞ。」

態と馬鹿にするような言い方をしてみる。

「む…。そうか、そうしよう」

「いや、冗談だから」

案外素直に受け止められて焦る。

む…。じゃねぇよ。

紫桜がムキムキになってしまったら…嫌だな。

太っているわけではなく、寧ろ細身なのだが、吸い付くような肌、風呂に入っているせいか弛緩したのも相まって、とても素晴らしい手触りだった。

あの触り心地は守らねば。
って、俺は何を考えているんだ。

お湯を被り泡を流す。

…入るところがない。

「ああ、」

俺の視線に気づいた紫桜が俺が入れるスペースを空ける。

王子様が体育座りで入浴なんて中々見られるものではないな。

可愛さを小出しにしてくるのやめてほしいです。切実に。




長かったような短かった入浴を終え、いつもより若干のぼせ気味になりながらも紫桜の体をタオルで拭いていく。

服を着させ、どうせ頼まれるんだろうから、言われる前に髪を乾かしてやろうと思う。

辺りを見回すも、魔法が発達していれば科学の進歩はやはり緩やかになるようで、この世界にはドライヤーがない様だ。

濡れた髪をどうするかと問えば、魔法石を使い温風で乾かす方法と、木魔法で乾かす方法があるらしかった。

木魔法は木々の成長だけでなく風も起こすことができるそうだ。

「紫桜は木魔法使えるのか?」

「王族が使えるのは陽魔法だけだ。」

つまり使えないと。

「四悠は使えるんだろ?」

【王族の紫瞳】とはどこまで俺のステータスを覗けたんだろうか。

そう言えばネーレは俺の使える魔法は水、火、木、土、金の5種類しか言ってなかったけど、陽の魔法とは何だろうか。

まあ、今は良いとして。



「魔法ってどう使うんだ?」

快くご指導頂けるとは最初から思っていなかったが、そんなに嫌そうな顔をしなくても良いだろう。紫桜よ。

ため息をつきながらも、距離を縮めてくる。

そうしないと髪が乾かせないからだと分かってはいるが、素直な行動に、思わず頬を緩めてしまった。


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