悪役転生したはずが主人公に溺愛されています

5.カッコ良い勇者様

｢こうして、まおうをた、たおした、ゆうしゃ、は、おひめさまと、けっこんして、しあわせになり、なりました！｣

｢凄い！凄いわクレア！｣

｢天才です！クレア様！｣

絵本1冊読み終えただけで大袈裟な～、と思いつつ、確かに全く字が読めなかったのに、5日で絵本読めたら天才かな。

｢母様！ぼく、ゆうしゃさまみたいに強くて、やさしくて、かっこよくなります！｣

本が読めるようになったから舌っ足らずな言葉遣いもちょっと改善中だよ。

｢聞きました？メアリー！クレアは目標が出来たみたいよ！｣

｢ええ！さすが次期公爵様です！応援しますわ！｣

そしていつの間にか仲良くなってた母様とメアリー。ちゃんと名前呼んでる。ハイタッチしてる。良きかな良きかな。

今まで1人ぼっちで俺を育ててた母様も、歳の近い仲間ができて嬉しいんだろう。母様が同担拒否じゃなくて良かった。

｢ぼくも、ゆうしゃさまみたいに、まほうつかいたい！どうすれば魔法、使えるかな？｣

｢クレア様は魔力量が多いですから、お勉強すれば使えるようになりますよ！早速明日から教師を付けましょう！｣

｢わーい！あ！どらごん倒した剣？も！ほしい！｣

｢はい、剣のお稽古もしましょう！｣

先生がくる！と意気込んだところで、母様がため息をつく。

｢あら、怪我とかしないかしら？魔法も剣も、学園で習うでしょう？クレアはまだ5歳なんだし、まだ早いのではなくて？｣

この期に及んで……。いや、母様は本当にクレアが心配なんだ。心配している人を迷惑がるのはよそう。

しかし。

｢でも…まほう…やりたい…ううっ｣

｢！？く、クレア！？そうよね、勇者様になりたいのだものね？ごめんなさい、泣かないで！明日からまた魔法のお勉強しましょ？ね？｣

｢うん…｣

魔法は使いたいとの事でした。現場からは以上です。