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破竹の勢いその8

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普段慎重なコウメイらしからぬ熱弁とその積極的な内容に他の参加者は熱意を持って注目していました。

ヒキコモリーヌが最初に口火を切りました。



「コウメイがここまで断言するのだから相当自信があるのか根拠があるのでしょう!私は彼の意見を汲んで賛成する、具体的にはひだまりの中の裏切り者を過度に気にして今までのペースを崩すよりはひだまり内部の各勢力を伸ばし、地方議会やメディアなどに力を入れていきましょう」



6人組のうち、女性のサン、ムーン、マーズもそれぞれうなずき賛意を表しました。

正直な所、若い3人の女性にとってあまり細かい指示や今まで仲間と共に行ってきた情報戦のノウハウなどをコロコロ変えられるのはしんどかったという事情もあります。



テレビゲームやドラマのようにボタン一つや一言いっただけで多くの人々が動いてくれるわけではないのですから当然のことかもしれません。



それにたいして男性陣のゴカンとオーベル、そしてテレスは不満こそないものの少し懸念があるようでした。

こういう時は男性の方がよく言えば用心深い、悪く言えば小心です。



裏切り者大嫌いのオーベルが質問します。

「おっしゃることは分かりますが裏切り者をそのままというのは心配です、何とかなりませんか?」



コウメイの答えはそっけないものでした。

「裏切り者に働く隙を与えぬくらい速攻で勝負を決めたらよい」

これでやっと男性陣も本質が見えてきたようです。



拙速で敵の動きを封じてしまうというのが基本の考え方なので、相手をすること自体がすでにマイナスな戦術なのだと。

こうして男性陣も概ねコウメイの「破竹の勢い」作戦に納得したようでした。



この話し合いの結びにコウメイはバグダとテレスに向かってこう言いました。

「もし万が一有能な裏切り者が現れ、流れに違和感を感じたらその時はよろしくお願いしますね」



やはりコウメイとしての一から十まで杜預(とよ)の故事の通りに行くと確信が持てなかったので、抑えとしてイレギュラーに強い二人の「変人」に抑えをお願いするのでした。



こうして、6人組たちの内密の会議は終わり、若手官僚たちを交えた会議、話し合いに向かうことになります。


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