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破竹の勢いその6

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前回引用した杜預(とよ)の上奏文、その最初は攻め上ってくる気配がない、とあります。

前回説明した通り呉の国は晋の将が死んだことで弱体化したと考え大規模な攻勢に出ましたが、見事杜預にカウンターを食らい大敗しました。



攻めた時はさぞかし賑やかに威勢を張って攻めたのでしょうが、負けたことで静かになりました。

そうなれば当然、状況は静かになり、しかも前のいきさつからもう攻めるのはこりごりになるのは当然のことです。



さて、ひだまりの国の情報戦について思い返すと、真面目に正面から攻めた人間は負けて粛清されていきました。

勝っていると報告している生き残った連中も、内心では危ない所で無理に戦いたくないと皆考えているに違いありません。



攻める気配がないのも当然のことと言えます。

もちろん、ガチスの上役には威勢のいいことを報告しているでしょうが、それは事実とはことなり、実際には攻める気はほとんど失せてしまっていたのです。



さて昔話、杜預の言葉を続けます。

呉には計略も力も不足していると指摘します。

この点も今のガチスと同じで数が多いと言ってもやる気がなく、もはや計略を立てるやる気もごり押しする意思もなくなっています。



杜預は続けます。

もしこのままにしておくと、時間が無駄に過ぎ自軍のやる気とチャンスを失いまずい、今なら味方は強く一つにまとまり安定している、敵も弱っているので勝てる、そう力説します。



これもひだまりと同じ状況で、ひだまりは勝癖を身につけつつあり、安心して情報戦を展開しています。

そして、この会議を見ても分かる通り、6人組たちと定期的に会合を開き、戦況と情報を常に共有しています。



まさに一つにまとまっていて理想の状態で情報戦を戦うことが出来るとコウメイは力説します。

今までの価値に溺れたガチスとバグダやテレスたちの計略で大混乱をしているデンゲルが弱っている今こそがチャンスなのです。



杜預の話を交えてコウメイの演説は次も続きます。

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