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第4話実現しないのには理由がある

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コモロウがつぶやく。「祭り之介の地域の宣伝効果についてはまああるとして私たち都会の人間に何か恩恵があるのかしら」この指摘はもっともであった。「それに島津義弘が大河ドラマ化されないのは何か理由があるのではないかしら」祭り之介からすると意外なところから飛んできたパンチのような衝撃だった。なにしろできない理由などというものがあればこの話はおしまいである。直感的に行けると強く望んだ祭り之介から見れば衝撃的であった。さらに追い打ちが迫る。

「コモロウのいうことも一理ある、南九州以外にも恩恵があること、あるいは価値があること、そして今まで実現しなかった理由を知らなければこの話に続きはないね」こうつぶやいたのは今まで祭り之介を擁護する発言の多かったフウイであった。祭り之介がつぶやく。「少し頭を冷やしてくる」

ハンドルネーム 「コモロウ」東京都渋谷区に住む引きこもりである。
この子の家の近所には『はたらく魔王さま!』というライトノベルの舞台となった笹塚という町がある。祭り之介のすむ宮之城と違いコンクリートと人だらけの大都会である。運動は苦手ゲーム好き、ネットをしているため雑学は豊富であった。ネットの会話だけ見ていると薄情にも見えるがコモロウの中では人の少ない田舎はよその家の芝生のようにある種あこがれていた。それだけに観光客を集めようとしたり過疎化になやんでいるという祭り之介の思いは想像の外にあったのだ。

始めの方で大河ドラマを軽んじたり、オリンピックのような祭りにたんぱくなのもある意味都会に住む人の中では自然な考えといえるかもしれない。
なので会話では誤解しがちだが決して祭り之介を田舎者と見下しているわけではないのだ。

一方そのころフウイは島津大河が実現しない理由についてネットで調べ頭の中でまとめようとしていた。大きな問題は3つあると彼は判断していた。一つ目はコモロウの例にあるようにネット民や都会の情報強者の大河ドラマに対する無関心という問題、2つ目は地元南九州の問題、3つ目は彼としては触れたくもないのだが外的問題であった。孫子や韓非子を好む彼からすると3つ目の問題が最も厄介であり正面からこの問題に対処すればほぼ間違いなく祭り之介の希望は打ち砕かれると読んでいた。なので3つ目はとりあえず気づかぬふりをして保留することにした。彼は1つ目の問題については糸口を見出していた。「NHK」この言葉はネット民の間で強烈な関心を集めていた。何も好意的な反応でなくても良い、大河には関心がなくてもNHKに関心がある人々(たとえそれが善意と逆の感情であっても)に魅力的な良い提案を示せば打開策を見出すことができる。彼はこの時代に自分が情報戦を行える未来に胸をワクワクさせながら静かにパソコンを閉じた。

それは、彼が尊敬し名を借りた武将が孫子を実践するため光武帝のもとに仕えたような静かなる高揚感であった。
さて、落ち込んだ祭り之介はやる気を取り戻すことができるのか、それは次の回で。
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