上 下
61 / 175

第59話 絶頂のしまづ

しおりを挟む
前回の「うわいちゃん観察日記」でも紹介した通り、しまづは持ちあがっていました。
一部、会社を辞めたいという重役もいましたが、会社自身は上り調子だったので熱気マシマシ。

特にいえひさとその息子のとよひさとその部下たちは連戦連勝だったので大盛り上がりです。

なにしろいえひさはおおともとりゅうぞうじという格上に勝った上に、その勝ち方が殲滅と総大将を倒すというとても気持ちのいい勝ちっぷりだったので笑いが止まりません。

流石に年上の副社長よしひろが浮かれすぎではないかとボソッと言いましたが、それを聞いたある女性の部下から「いえひさ様に嫉妬してるんでしょ」と小声で噂される始末でした。

元々大の慎重派である社長のよしひさは喜びながらも居心地の悪さを感じていて複雑な心境でした。
とにかく、味方が大勝利して盛り上がっているので水を差すのは無粋だという空気が会社内に充満していました。

そして、連日の宴会で社内はさらに盛り上がり、副社長のよしひろもその流れに流されて大らかな気分になっていきました。
こうしている間にもしまづは勢力を拡大していきました。

おおともとの勢力圏で争っていた場所の権益のことごとく、配下の会社がしまづになびき協力会社になりたいとひっきりなしに行列を作る有様。

また、りゅうぞうじ側も冬眠中のりゅうぞうじたかのぶの代理を務める専務のなべしまがりゅうぞうじを一つにまとめつつ、しまづの傘下としてさらに深い関係を結ぶように動いていました。

こうして、九州全体がしまづになびくことが確実な情勢となり、元々は九州制覇など考えていなかった社長のよしひさも周りの空気に流されるがごとく九州の盟主となり、さらに先の業界制覇について考えるようになりました。

それほど、しまづに吹く風は強く、勢いは何者をも敵とはならないという自信に満ち溢れていました。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

最後に言い残した事は

白羽鳥(扇つくも)
ファンタジー
 どうして、こんな事になったんだろう……  断頭台の上で、元王妃リテラシーは呆然と己を罵倒する民衆を見下ろしていた。世界中から尊敬を集めていた宰相である父の暗殺。全てが狂い出したのはそこから……いや、もっと前だったかもしれない。  本日、リテラシーは公開処刑される。家族ぐるみで悪魔崇拝を行っていたという謂れなき罪のために王妃の位を剥奪され、邪悪な魔女として。 「最後に、言い残した事はあるか?」  かつての夫だった若き国王の言葉に、リテラシーは父から教えられていた『呪文』を発する。 ※ファンタジーです。ややグロ表現注意。 ※「小説家になろう」にも掲載。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

その断罪、三ヶ月後じゃダメですか?

荒瀬ヤヒロ
恋愛
ダメですか。 突然覚えのない罪をなすりつけられたアレクサンドルは兄と弟ともに深い溜め息を吐く。 「あと、三ヶ月だったのに…」 *「小説家になろう」にも掲載しています。

婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。

束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。 だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。 そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。 全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。 気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。 そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。 すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。

処理中です...