セリと王子

田中ボサ

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25 手紙を出したい

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  「セリーヌ、元気になったのね」

4日ぶりに登校するとミーナ様が嬉しそうに声をかけてくれた。

「おはようございます、ミーナリア様」

「「「「おはようございます、セリーヌ様」」」

〈仲良くしたい隊〉の皆様からも声をかけられる。



「お元気になられてよかったわ」「

「本当に、皆でしんぱいしておりましたのよ」

心配?なんで?生徒会室の事は箝口令を敷いたと言っていたと思うけど?

「お腹はもう大丈夫?」

お腹?おなかは特に問題ないけど?

「食べ過ぎたなんて、セリーヌ様らしいですわ」

「セリーヌ、いくら何でも3日もお腹を壊すだなんて、気をつけなきゃだめよ」

ミーナ様からダメ出しをもらうとは・・・。

っていうか、何その腹痛情報。



ゴウゼルよ、《食べ過ぎて腹痛になった》とは何だ。

乙女の心がぁああああ。

許せん、他にもっといい理由は考えられんかったのかい!!

くそぅ、ゴウゼルが乙女のように悲鳴を上げて倒れる呪いをかけてやる!!

脳筋めっ!!



ちょっと呪いをかけながら、ミーナ様に手紙の件を伝えた。

とても、とてもうれしそう。

良かった。

「まぁ、お手紙を書くのですか?」

「うん、じゃなくて、ハイ、それで・・その…手伝ってくれる?」

うっ!!!可愛すぎるお願い!!

全員が胸を抑えた。

「「「もちろんですわ」」」



「まずは便せんを選びましょう」

「せっかくですから、ミーナリア様のお好きな色のインクも必要ですわね」

そんなのから始めるんだ・・・淑女はすごいわ。



「セリーナ様、ミーナリア様をお買い物に連れて行ってもよろしいかしら?」

「それは・・・殿下たちに許可をいただかないといけませんね」

「ミーナリア様、ギルバート殿下に許可をいただきに行きましょう」

「え・・・でも・・・」

以前の自分の姿を恥じているためか、ミーナ様はギルバート殿下に近寄るのを極端に遠慮している。

「そうですわ、皆さま一緒に行きましょう」

マリアンヌ様の提案にミーナ様が嬉しそうだ。

「・・いいの?・・・」

「ええ、ご一緒に行くお店の説明もできますし」

えぇ、でもこれだけの人数が行くのはどうかと思うんだよな・・・。

「では、代表者2名とミーナリア様、私でいかがですか?」

「では、私と、イザベラ様でうかがいますわ」

「はい、では午後の授業の後に時間を取っていただけるようにしますね」



ちょうど通りかかったカイト様に伝言を頼んだ。

「私は伝言版じゃないんだけど?」

「お願いします。殿下たちの上級生クラスまで遠いんです」

面倒だし、悪魔に会いたくないから、とは心の声。



「「本日はお時間をいただき、ありがとうございます」」・・ます」

マリアンヌ様、イザベラ様、ミーナリア様がカーテシーをする。

さすが、先の二人は微動だにしない。

ミーナ様はまだまだふらついているが、頑張っている。

「学院の中だ、そんなにかたくならなくてよい」

アレクセイ殿下の言葉に3人が顔を上げる。

「それで?ミーナリア嬢の外出について、だったかな?」

「はい、ミーナリア様がおねえさまにお手紙を書かれると、私たちはそのお手伝いをさせていただきます。私たちのよく利用する商会にお連れしたいと思いまして・・」



「申し訳ないが、それは許可できない」

ギルバート殿下・・・またお前か・・・

またしても・・・怒りがこみあげてくる。

「セリ、最後まで聞くように」

なんだよ、悪魔も節穴王子の味方かよ。

「あぁ、その、誤解がないように・・・。ここは他国でもあり、警備上許可できないそうなんだ

せっかくの楽しい計画に水を差してしまうが、商会のものを学院に呼ぶという形でお願いしたい」

頼む、とちょっとこちらをチラ見しながらお願いしている。



「かしこまりました。では、後日学院のサロンの利用許可をいただけますか?

そちらに商会の者を呼びますわ」

「よろしく頼む、あ、もちろん私も立ち会わせてもらう」

もちろん?なんか邪魔っぽいんだけど。

何か企んでんのか??

とギルバート殿下を探っていたら、額に衝撃が!!!

いつの間にか横にいた悪魔からおでこを指ではじかれていた。

話の邪魔にならないように無言で痛みに耐えていると、

「警備上の問題だけだ。私達も立ち会うから安心しろ。

だから、ギルバート殿をそんなに睨んでやるな。

セリを気にしてビクビクしてる」

悪魔は笑いをこらえていた。



むう、まあ、ミーナ様達が嫌じゃなきゃいっか。
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