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19 仲良くしたい隊
しおりを挟む「まあ、そんな方がいらっしゃるのね」
ここは【貴婦人会】で集まっているサロン。
珍しくミーナ様はギルバート様に呼ばれていない。
なんか手続きの書類にサインをしないといけないようだ。
久々に一緒になって嬉しいのか、ものすごく絡まりついている。
頑張れ、ギルバート殿下。
私は定期的に呼ばれて、普段の生徒会の皆様の様子をお話ししている。
何故かとても喜ばれているようで、皆様おすすめのデザートをいただけるのだ。
最近はあまり生徒会室に行けてないこと伝えると、何故か聞かれたので、ミーナ様の話をした。
「まぁ、学園に通ったことがない?」
「教師に習うことが分からず退屈?」
「高位の男性には語尾が伸びると」
「クラスの皆様とは楽しく過ごされてるのね」
マリアンヌ様を始めとした会の皆様は何か考えている。
「私、思うのですが、それは虐待なのでは?」
マリアンヌ様が急に言い出した。
虐待?ってあの虐待?
「セリーヌ様、体を傷つけるだけが虐待じゃないのですわ」
「そうなんですか?」
「適切な教育を受けさせないことも立派な虐待行為ですわ」
ほうほう
「ただ可愛いと愛でるだけできちんと躾をしないのはペット以下の扱いですわよ」
なんですと?
「ペット以下ですか?」
「だって、自宅で飼っているペットにはきちんと教育を付けさせないと粗相するでしょう?」
なるほど。
教育って大事。
「そのミーナリア様は優しく虐待されていたのですわ、お可哀そうに」
皆様そっとハンカチで目元をぬぐっている。
感情豊かな人たちなんだよな、さすが【貴婦人会】。
「ねぇ、皆様、私達【貴腐人会】でミーナリア様をまっとうにしてさしあげませんこと?」
マリアンヌ様がぱあっと目を輝かせている。
「素晴らしい案ですわ、マリアンヌ様」
「本当に」
「淑女をお育て出来るなんて、ステキ」
盛り上がってます。
ものすご~く盛り上がっています。
明日からの作戦会議をしている。
「さぁ、皆様、明日からがんばりますわよ」
作戦名:皆のミーナ様
意味が分からん。
まあ楽しそうだからいっか。
次の日、朝の馬車溜まりで見たのは、マリアンヌ様を始めとした会の皆様に囲まれるミーナ様。
「「「「おはようございます、ミーナリア様」」」」
「あ、えっと?誰?」
「私達、〈ミーナリア様と仲良くなりたい隊〉ですわ」
うわ、ださっ。
「何それ、あたしと仲良くしたいってことぉ?」
「そうですわ、皆ミーナリア様と仲良くしたいのです、よろしいでしょ?」
ぐいぐいいくなぁ。
あ、ミーナ様の両腕にそれぞれがっしりと腕を絡めている、
前後にもがっちり。
「ちょっとぉ~、あたしはギルに話がぁ~、アレク様にもまだあえてなぃいいい」
「まあまあ」「まあまあ」「まあまあ」
ミーナ様を囲みながら移動していく。
すごい団結力だな・・・。
「おい、セリ、ありゃなんだ?」
「あ、カイト様おはようございます、【貴婦人会】の皆様による 作戦名:皆のミーナ様 です」
「は?何言ってんだか全然わからないんだけど?」
「まあ、お任せしときましょう、害はないですよ、多分」
首をひねっているカイト様は置いておいて、教室へむかう。
教室の中はクラスの真ん中にミーナ様、周囲に〈仲良くしたい隊〉の皆様、それを眺めているクラスの皆様、カオス・・・。
※セリは淑女の集まる【貴婦人会】だと思っています。
本当は【貴腐人会】です。
お互いに勘違いしていることには気が付いていません。
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