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6 なんか絡まれた
しおりを挟む学園生活3カ月もたつと慣れてきた。
ぼちぼちお友達もできてきた。
とはいえ、学園内では王子の侍女見習いとしてちょこちょこ呼び出される。
特に昼食時、放課後は生徒会室でお茶を淹れたり書類の手伝いをさせられている。
「セリ、今日のお茶は?」
金持ち共は生徒会室に沢山の高級茶葉を持ち込んでいる。
その日の気分や天候に合わせて出すように言われている。
面倒くさいったら。
「いや~、やはりセリが来てからゆっくりお茶を楽しめる」
「本当に」
眼鏡を磨きながら公爵家嫡男クロード=ヴィルハイト様がのんびりと話しかけているのは、
伯爵家の次男カイト=ラセエル様
「お茶に何も入って無いし、本当にうまい」
ごくごくとお茶を飲み干すのは騎士団長嫡男ゴウゼル=ギァレット
その他4,5人の側近候補達が遠い目をしながらお茶をかみしめて飲んでいる。
昨年までの生徒会はお手伝いとして何人かの令嬢に来てもらったそうなのだが、聞けば納得のひどさだった。
まずは香水プンプン。
頭からかけてきたのか?というくらい匂う。
服装、基本は制服の上から2つ目までのボタンは外す。
スカートはくるぶしより上。
ひどいのになるとスリットが入っていて脛が丸見えなんて改造もあったらしい。
そんなひどいのは入室させるまでもなく解雇。
まぁ、当たり前だな。
同じ女でもそんな奴ヤダし。
何とか普通で常識的な見た目の令嬢が来てもこれまたひどかったらしい。
王子のお茶には媚薬、睡眠薬は当たり前。
ひどいと自称惚れ薬を混入、闇の魔術本を読んで作ったとか。
闇の魔術・・・腹いたいくらい笑った。
興奮剤を入れた強者もいたらしい。
さすがに王族に薬を盛るのは駄目だろう。
令嬢たちはこぞって修道院送りになったようだ。
てか、見た目は普通の令嬢たちの方がやり口がえぐい気がする。
薬を飲ませてどうしようとしたんだか。と、疑問を口にしたところ、
「セリはそのままでいい」
と全員から謎の言葉をいただいた。
そんな日常が続いたある日、授業が終わり、早速生徒会室へと向かおうと立ち上がった時、
目の前に誰かが立ちふさがった。
誰?
顔を上げたがそこにいたのは同じクラスの伯爵家の男子。
名まえなんつったっけ、確かフランツ・・・なんちゃら、後で思い出そう。
「えっと、何か御用ですか?」
「何故男爵令嬢ごときが殿下のおそばにいるんだ」
「は?」
「どうしてお前が生徒会室で殿下の手伝いをしているのか?と聞いているんだ」
何言ってんだ?あの悪魔が指名したからだよ。
こちとら側にもよりたくないっつーのに毎日毎日行かなきゃいけないんだっての。
どうやら胡乱な目つきになっていたようで、
「たかが男爵令嬢の分際でそんな風に俺を睨むとは!」
怒らせてしまった。
「はあ、申し訳ありません。それではこれで」
もういいかな?遅れるとあの悪魔ねちねちうるさいんだよ。
「待て、俺も行く」
どこへ?とは聞かない。
勝手にすればよろしい。
面倒ごとは悪魔に丸投げに限るのだ。
何故かふんぞり返ってどかどか歩いていくフランツ・・。
生徒会室まで来るとこちらを顎でしゃくってくる。
なんだよ?自分でノックしろよ。
腕組みしてこちらを睨むフランツの横を扉をノックする。
生徒会室に待機している侍従が扉を開けてくれたが、後ろにいるフランツを見て誰?ってな顔でこちらを見てくる。
「すみません。よくわからないのですがついてこられたので・・・」
「私はフランツ、ゲイル伯爵家の嫡男です。第2王子殿下にお願いがあって参りました」
声、でかっ。
「うん?よくわからんが、用件は何だ」
侍従が問う。当たり前だよな。
「第2王子殿下にお目通りしたいのです」
「そういうのは面会依頼書を書いて提出してください」
勝手に面会できるとなると、日常生活に支障が出るくらいになるため、面会希望者は書類を提出してもらう事になっているのだが、こいつはそれをすっ飛ばしている。
「たかが男爵令嬢が毎日のようにお目にかかっているのに、伯爵家の私がお目にかかれないとはどういうことだっ」
隣で吠えるな、耳が痛い。
つか、たかが男爵令嬢は王子殿下がご指名してるからイヤイヤ来てんだってば。
たく、いつでもかわってやるっつーのに。
「第2王子殿下に申し上げますっ。こんな女よりも私の方が絶対にお役に立てます。
是非私を側近候補におえらびくださいぃいい」
だから、叫ぶなよ。
ま、交代してくれるっつーなら嬉しいな。
「それはとてもいい案で「男爵令嬢、勝負だっ」」
「は?」
「どちらが側近候補にふさわしいか、私と決闘しろ」
げ~そんな事しなくても快く譲ってやるってば・・・
「面白そうな話だな」
あれ?後ろから殿下の声がする。
まだ部屋に来てなかったのか・・・。
フランツ、馬鹿だな。
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