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第六部 あの二人ってどうなの?編

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大学にて。松寿はどんより落ち込んでいた。弟の梅寿と恋人同士しっぽりしているはずだった楓からガチギレされて、テンションは落ちっぱなしだった。大切な可愛い幼馴染からの大嫌いに、松寿のメンタルはだいぶやられていた。
「元気ねぇじゃんマツ、紅葉とどーだった?やった?」
「それな…それな~」
松寿はますます落ち込んだ。やったどころか松寿は紅葉から尻穴を狙われていた。とりあえず保留にして逃げたものの、さっきから突き刺すような紅葉の視線を感じている。
「何、どっちだよ。やった?男の紅葉を掘ったの?」
「やってねぇ。やってねぇのよ。もう、それどころじゃなくてね」
「なんだよ、紅葉のこと好きなんじゃねぇの?顔がキレーとかなんとか言ってたじゃん」
彩葉は容赦なく松寿に疑問をぶつけてくる。確かに顔は好みで、あのたわわで手に馴染むなおっぱいは手放し難い。しかし男同士の行為に拒否感がある上に抱かれる恐怖で松寿は踏み出せずにいた。このままなかったことにはできないだろうかとすら思ってしまう。
松寿は悩んだが、竹彪と彩葉に二人に悩みを打ち明けることにした。
「あのさ、紅葉がさ、俺のこと…掘りたいっつってんだけど…」
「「はふんっ」」
「なんだよその笑い方。こっちは真剣なんだぞ!」
「いいじゃん、掘られちゃえよ!俺たち、お揃いだねっ」
「紅葉がそっちだったか~ようこそ、こちら側へ」
「さらっと怖いこといってんじゃねぇよ…行かないの、そっち側に!無理なの、俺。やっぱ男は無理。ごめんな、お前らの前で言うのはどうかと思うけど、俺は男は無理なの。まして掘られるなんて絶対、ありえねぇの!」
予想はしていたが、竹彪と彩葉は松寿の話に爆笑だった。まったく真剣に聞いてくれていない。松寿は頭を抱えて内心を吐露した。こんな話を同性カップルにするのはいかがなものかと思ったが、この二人にはハッキリ言わないとわかってもらえないだろう。このくらいで気を悪くする二人ではないと思ってはいたが、気を悪くするどころか予想を上回る面白がりっぷりだった。
「紅葉と、マツが…んひひ…紅葉が怖いなら、先にタケとやれば?経験者だ、し…もーだめ、腹痛いって!いひひひひ…」
「ふざけんな。マツで立たねぇよ」
「こっちも願い下げだわ。黒木、笑いすぎだっつの!ねぇ、真剣なの俺、笑いごとじゃねーの!」
「うん、んふっ、わかるわかる…ふへっ…いや、でもさ、紅葉とマツなら抵抗できるだろ、紅葉細い、し…ふひひ」
「それな。身長はでかいけど、力はマツのが強ぇんじゃね?」
竹彪に言われて松寿は男の紅葉を思い浮かべる。180cmを超えている松寿や竹彪より少し背が低いくらいで身長差はないものの、確かに体格にはかなり差がある。竹彪は規格外だが、松寿と比べると紅葉はだいぶ細い。松寿は納得した。
「あー…確かに?」
「もうさ、その力の差で抱かれるんならマツが股開いてるんよ。アンアン言うて…もうホント、やめて、もう笑かさないでぇ」
「びびってるふりして実はマツの方がノリノリだった、っていう?…ぶははっ、腹、死ぬ」
「想像でどんだけ爆笑すんだお前ら。思春期の女子か。箸が転がっても面白い年頃か!」
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