38 / 152
38 ※近親相姦について言及している場面があります
しおりを挟む
※近親相姦について言及している場面があります。苦手な方はご注意下さい。
あの時間帯に一人コンビニを訪れる少年少女は、たぶん、そう多くない。特に佳奈多もこの少女も年齢よりも幼く見える。親の監視が緩いか親から放置されている、そういう子供に目をつけているのだろう。姑息で賢い下衆だ。泣きじゃくる少女をそのままに、男は大翔を見た。
「部屋に押し入って、お前、そいつをどうした?」
「殴って気絶させた。たぶん、生きてる」
「たぶん、か」
「警察が入れば表沙汰になる。これ以上傷つけたくない」
オジサンは死んではいないはずだ。あれだけ怯えていた佳奈多に、これ以上負担をかけたくない。男は少し考えて、口を開いた。
「…お前は、そいつの家、知ってんだよな?案内しろ。アニキに連絡する」
「やだ、やめて、だめだよ!」
男は少女を無視してスマホを操作してしている。アニキは実の兄なのか、別の意味なのか。少女の反応を見ると後者な気がした。少女は泣きじゃくって、兄に縋り付く。
「やだよ、お兄ちゃん!お兄ちゃん、いなくなったら、また、お父さんに、おっ、犯され、…」
「おい!」
男が怒鳴りつけた。男は鋭く大翔を睨む。大翔は目を見開いた。
「てめぇは今何も聞いてねぇ。いいな?」
「…あの男…それを、知ってたんじゃないか?知った上で、君を脅したんじゃ」
大翔は男の言葉を無視して少女に問いかける。少女は頭を抱えて悲鳴のような唸り声をあげた。
「うぐっ、うっ…おと、お父さんの、こと、警察、バレてもっ…俺の、おっ、オジサンの、ことは言うなって…言ったら、動画、が、学校に、ばらまくって…お、おとうさ、の、こともっ…うぐっ、うぐぅううぅっ」
画像の『非処女・取扱注意』の意味。オジサンは恐らく少女の父親からの虐待を知った。動画だけでなく、虐待のことも脅しの材料にしていた。万が一父親の悪行が警察に知れたら、もしかしたらオジサンにたどり着くかもしれない。彼女は取扱注意ということになる。
想像していた以上に、あのオジサンは悪質だった。味をしめて何人かの少年少女に手をかけて、佳奈多に目をつけた。悲鳴のようなうめき声が、絶叫を上げていた佳奈多と重なる。
「…お前、そのオッサンを追い詰める材料がほしいっつってたよな。材料集めて、どうするつもりだ?」
「オジサンに、自滅してもらおうと思ってる。自らの手で、自分自身に終止符を打ってもらう。それを見届けたい」
二度と佳奈多に近づけないように。追い詰めて、オジサン自身にデータを全て消去させて、その上でこの世を去ってもらう。少女の話を聞いて、少しの罪悪感もなくなった。あのオジサンは徹底的に潰さなければ。万が一もう一度佳奈多と出会ってしまったら、何をされるかわからない。
男が立ち上がった。
「兄ちゃんが帰るまで、友達んとこにいろ。お前はコンビニ野郎のところに案内しろ」
「ひぃっ…やだぁっお兄ちゃ…行かないで、行かないでよぉっ」
「安心しろ。ちゃんと帰ってくる。でもな、そのオジサンな、…生かしておいていい人間じゃねぇだろ」
男は少女の懇願を無視して部屋を出た。大翔も後に続く。オジサンのアパートに向かいながら、男は誰かと電話で話した。その後は男も大翔も無言で、アパートまで歩き続けた。
辺りは暗くなり、夜になった。アパートに行く前に公園に寄った。公園の近くには数台車が停められていて、公園の中には数名、男がいた。少女の兄が男達に声を掛ける。
「すんません、お呼び立てして」
「おっつ~構わんよぉ~」
少女の兄は男達に頭を下げる。公園の明かりに照らされた男達はこれまたいかつい、物騒な容姿をしていた。少女の兄に負けず劣らず。いや、少女の兄よりも物々しい雰囲気を醸し出している。
あの時間帯に一人コンビニを訪れる少年少女は、たぶん、そう多くない。特に佳奈多もこの少女も年齢よりも幼く見える。親の監視が緩いか親から放置されている、そういう子供に目をつけているのだろう。姑息で賢い下衆だ。泣きじゃくる少女をそのままに、男は大翔を見た。
「部屋に押し入って、お前、そいつをどうした?」
「殴って気絶させた。たぶん、生きてる」
「たぶん、か」
「警察が入れば表沙汰になる。これ以上傷つけたくない」
オジサンは死んではいないはずだ。あれだけ怯えていた佳奈多に、これ以上負担をかけたくない。男は少し考えて、口を開いた。
「…お前は、そいつの家、知ってんだよな?案内しろ。アニキに連絡する」
「やだ、やめて、だめだよ!」
男は少女を無視してスマホを操作してしている。アニキは実の兄なのか、別の意味なのか。少女の反応を見ると後者な気がした。少女は泣きじゃくって、兄に縋り付く。
「やだよ、お兄ちゃん!お兄ちゃん、いなくなったら、また、お父さんに、おっ、犯され、…」
「おい!」
男が怒鳴りつけた。男は鋭く大翔を睨む。大翔は目を見開いた。
「てめぇは今何も聞いてねぇ。いいな?」
「…あの男…それを、知ってたんじゃないか?知った上で、君を脅したんじゃ」
大翔は男の言葉を無視して少女に問いかける。少女は頭を抱えて悲鳴のような唸り声をあげた。
「うぐっ、うっ…おと、お父さんの、こと、警察、バレてもっ…俺の、おっ、オジサンの、ことは言うなって…言ったら、動画、が、学校に、ばらまくって…お、おとうさ、の、こともっ…うぐっ、うぐぅううぅっ」
画像の『非処女・取扱注意』の意味。オジサンは恐らく少女の父親からの虐待を知った。動画だけでなく、虐待のことも脅しの材料にしていた。万が一父親の悪行が警察に知れたら、もしかしたらオジサンにたどり着くかもしれない。彼女は取扱注意ということになる。
想像していた以上に、あのオジサンは悪質だった。味をしめて何人かの少年少女に手をかけて、佳奈多に目をつけた。悲鳴のようなうめき声が、絶叫を上げていた佳奈多と重なる。
「…お前、そのオッサンを追い詰める材料がほしいっつってたよな。材料集めて、どうするつもりだ?」
「オジサンに、自滅してもらおうと思ってる。自らの手で、自分自身に終止符を打ってもらう。それを見届けたい」
二度と佳奈多に近づけないように。追い詰めて、オジサン自身にデータを全て消去させて、その上でこの世を去ってもらう。少女の話を聞いて、少しの罪悪感もなくなった。あのオジサンは徹底的に潰さなければ。万が一もう一度佳奈多と出会ってしまったら、何をされるかわからない。
男が立ち上がった。
「兄ちゃんが帰るまで、友達んとこにいろ。お前はコンビニ野郎のところに案内しろ」
「ひぃっ…やだぁっお兄ちゃ…行かないで、行かないでよぉっ」
「安心しろ。ちゃんと帰ってくる。でもな、そのオジサンな、…生かしておいていい人間じゃねぇだろ」
男は少女の懇願を無視して部屋を出た。大翔も後に続く。オジサンのアパートに向かいながら、男は誰かと電話で話した。その後は男も大翔も無言で、アパートまで歩き続けた。
辺りは暗くなり、夜になった。アパートに行く前に公園に寄った。公園の近くには数台車が停められていて、公園の中には数名、男がいた。少女の兄が男達に声を掛ける。
「すんません、お呼び立てして」
「おっつ~構わんよぉ~」
少女の兄は男達に頭を下げる。公園の明かりに照らされた男達はこれまたいかつい、物騒な容姿をしていた。少女の兄に負けず劣らず。いや、少女の兄よりも物々しい雰囲気を醸し出している。
52
お気に入りに追加
89
あなたにおすすめの小説
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
漢方薬局「泡影堂」調剤録
珈琲屋
BL
母子家庭苦労人真面目長男(17)× 生活力0放浪癖漢方医(32)の体格差&年の差恋愛(予定)。じりじり片恋。
キヨフミには最近悩みがあった。3歳児と5歳児を抱えての家事と諸々、加えて勉強。父はとうになく、母はいっさい頼りにならず、妹は受験真っ最中だ。この先俺が生き残るには…そうだ、「泡影堂」にいこう。
高校生×漢方医の先生の話をメインに、二人に関わる人々の話を閑話で書いていく予定です。
メイン2章、閑話1章の順で進めていきます。恋愛は非常にゆっくりです。
ヤクザと捨て子
幕間ささめ
BL
執着溺愛ヤクザ幹部×箱入り義理息子
ヤクザの事務所前に捨てられた子どもを自分好みに育てるヤクザ幹部とそんな保護者に育てられてる箱入り男子のお話。
ヤクザは頭の切れる爽やかな風貌の腹黒紳士。息子は細身の美男子の空回り全力少年。
完結・虐げられオメガ側妃なので敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン溺愛王が甘やかしてくれました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる