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sideレイ
ツインズの復帰ステージは大盛況で幕を閉じた。古参のファンを始め、スキャンダルから興味を持ってくれたファンも大いに盛り上がってくれたようだ。その最たる人がマリアだった。
「ふっ、二人ともっ…素敵、素敵だったわ、とっても…チェキ、お願いしていい?貢がせて。あなた達にお布施をさせてぇっ!」
マリアの懇願に、控室で何枚もチェキを撮影した。これからも推しに推しまくると力強い宣言を受けて、レイは心底安堵した。今日のステージは成功だったようだ。マイもステージを終えて安心したようで、肩を抱くマリアに寄り添って笑っていた。仲の良い、良すぎるマイとマリアを見ていると、こちらまで恥ずかしくなってくる。レイは二人から視線を外した。マイとマリアから離れて一人になったレイに、タクヤが詰め寄ってきた。
「お前な、あんな、あんな可愛いノリできんじゃねぇか!練習でも見たことねぇぞ、なんだよアレ!!」
レイはステージを思い返す。
『『ふたりでひとつ、ツインズです☆』』
『元気っ子担当の、マイだよ~☆マイがみんなを元気にしちゃうよっ☆』
『クールビューティ担当のレイです。レイは冷えっ冷えだけど、みんなはアチアチ、盛り上がってね☆』
始まりの挨拶で会場から拍手と歓声が湧き起こる中、タクヤは目を丸くしてレイを見ていた。そういえばステージでのレイを見せたのはこれが初めてだ。練習では集中するためにファンサービスのような動きはしていなかった。ファンのみんなにウインクをしたりポーズを取ったりサービスする中、この前タクヤからレッスンを受けた部分はタクヤに向けて踊った。
『お願い、もっと、たくさん愛して?』
レイの名前が叫ばれて、大きな歓声が上がる。タクヤは真っ赤になって頷いているように見えた。
「おま…俺にも『アチアチになってね♡』とかやれよ!なんでやってくんねぇんだよ!なんで、なんでだよぉ…」
「ステージ以外でやるわけないだろ」
タクヤはなぜかとても落ち込んでいた。あれはステージの上での言わば演技だ。平時になぜステージ上のサービスを行わなくてはならないのか。それよりも聞きたいことがあって、レイはソワソワと落ち着かずにうなだれるタクヤを覗き見た。気づいたタクヤは笑みを浮かべる。
「今日のステージだろ?…めちゃくちゃ良かった。ちょっと気になるところもあったけど。今のお前の全力、出し切ったな」
レイは肩から力が抜けていった。自然と笑みが溢れた。
「…良かった。うん。頑張った」
レイは全力を出し切った。きちんと伝わったか、不安でいっぱいだった。そばで見ていてくれたタクヤが言うなら間違いない。今日のステージは大成功だった。社長から、これからファンサービスの時間だと声をかけられて、固まるタクヤを置いて再度ファンの前に姿を表せた。チェキを撮り、お話をして、ファンサービスをする。
「お帰り!」「待ってたよ!」
ファンからの温かい声援に、マイとレイは涙をこらえてファンに答えた。
「「…ただいま!」」
ツインズの復帰ステージは大盛況で幕を閉じた。古参のファンを始め、スキャンダルから興味を持ってくれたファンも大いに盛り上がってくれたようだ。その最たる人がマリアだった。
「ふっ、二人ともっ…素敵、素敵だったわ、とっても…チェキ、お願いしていい?貢がせて。あなた達にお布施をさせてぇっ!」
マリアの懇願に、控室で何枚もチェキを撮影した。これからも推しに推しまくると力強い宣言を受けて、レイは心底安堵した。今日のステージは成功だったようだ。マイもステージを終えて安心したようで、肩を抱くマリアに寄り添って笑っていた。仲の良い、良すぎるマイとマリアを見ていると、こちらまで恥ずかしくなってくる。レイは二人から視線を外した。マイとマリアから離れて一人になったレイに、タクヤが詰め寄ってきた。
「お前な、あんな、あんな可愛いノリできんじゃねぇか!練習でも見たことねぇぞ、なんだよアレ!!」
レイはステージを思い返す。
『『ふたりでひとつ、ツインズです☆』』
『元気っ子担当の、マイだよ~☆マイがみんなを元気にしちゃうよっ☆』
『クールビューティ担当のレイです。レイは冷えっ冷えだけど、みんなはアチアチ、盛り上がってね☆』
始まりの挨拶で会場から拍手と歓声が湧き起こる中、タクヤは目を丸くしてレイを見ていた。そういえばステージでのレイを見せたのはこれが初めてだ。練習では集中するためにファンサービスのような動きはしていなかった。ファンのみんなにウインクをしたりポーズを取ったりサービスする中、この前タクヤからレッスンを受けた部分はタクヤに向けて踊った。
『お願い、もっと、たくさん愛して?』
レイの名前が叫ばれて、大きな歓声が上がる。タクヤは真っ赤になって頷いているように見えた。
「おま…俺にも『アチアチになってね♡』とかやれよ!なんでやってくんねぇんだよ!なんで、なんでだよぉ…」
「ステージ以外でやるわけないだろ」
タクヤはなぜかとても落ち込んでいた。あれはステージの上での言わば演技だ。平時になぜステージ上のサービスを行わなくてはならないのか。それよりも聞きたいことがあって、レイはソワソワと落ち着かずにうなだれるタクヤを覗き見た。気づいたタクヤは笑みを浮かべる。
「今日のステージだろ?…めちゃくちゃ良かった。ちょっと気になるところもあったけど。今のお前の全力、出し切ったな」
レイは肩から力が抜けていった。自然と笑みが溢れた。
「…良かった。うん。頑張った」
レイは全力を出し切った。きちんと伝わったか、不安でいっぱいだった。そばで見ていてくれたタクヤが言うなら間違いない。今日のステージは大成功だった。社長から、これからファンサービスの時間だと声をかけられて、固まるタクヤを置いて再度ファンの前に姿を表せた。チェキを撮り、お話をして、ファンサービスをする。
「お帰り!」「待ってたよ!」
ファンからの温かい声援に、マイとレイは涙をこらえてファンに答えた。
「「…ただいま!」」
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