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第51話
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平凡な人生を送ってたらさ、警察とか救急車のご厄介になるコトってあんまりないんだよね。
仮にあっても、自分で電話するなんてマズないじゃん?問題起きても、周りの大人とかが動くだろ。
か け た こ と が な い ん だ よ !!!
いや、それでも一般常識だろって言われたら、一ミリも反論できませんけどね。
くそー恥だ、と顔が赤くなっていることを自覚しながら、視界を彷徨わせた。
顔が火照っているのは、あほな発言をしてしまったことだけが理由ではなくて……その……スマホを握ってる方の手をね、何故だか久賀につかまれたままなんですよね。
うん……ナゼに?
これは、理由を問わない方が良いのだろうか。
それを訊いてしまったら、きっと繋いだ手は簡単に離れていってしまって……寂しさに心が震えるのは多分俺だけで、あー……止めろよ、俺。キモいし暗い。
ふるふると頭を振って気持ちを切り替える。
「ぷっ、犬みたい」と笑った久賀はシカトだシカト。
そう言うと思ったんだよ。
もっと捻れよばーか。
「電話かけるから、手ぇ退けろよ」
繋いだ手が離れるのはすごく寂しい。
だけどさ、やっぱり俺はお前に何かある方が嫌で、今にもぶっ倒れそうな顔色をしているヤツを放っておくなんてできねぇよ。
「イヤだよ。病院は嫌いだって、言ってるでしょ?」
「あーのーなぁ。お前自分の状態わかってんの」
「モチロン。たかだか2日寝てないのと、2日まともに食ってないだけ。あと肉体労働で疲れ切っている。脳みそも軽く死んでいる。呼吸は正常です、息苦しくないのが不思議。脈拍は少し早め?血圧まではわからんよ。あー、あとお腹は空いてるけど、眠い方が若干上回っていることから推測するに、やはり人間の三大欲求で一番重要なのは睡眠欲という答えが導き出される。そもそも、水分さえ確保すれば体力温存につとめた場合ニンゲンは2ヵ月程度の生存は可能らしいが、睡眠を奪われた場合、三週間もあれば人は十分に狂えことから、昔は拷問の手段のひとつに使われもした、が水分も完全にたっちゃえば三、四日であの世に旅立てるからやっぱ食欲の方がじゅうよぅ」
「怖い怖い怖いっ!!落ち着いて久賀さん!!!お前が普通じゃないってコトが良くわかったから。よぉーし、ソッコウ緊急搬送だ」
久賀の手を押しのけて、緊急ダイヤルを押そうとした手を再び握られた。
「……オガミン酷い」
酷いのはお前の頭の中だ!断じて俺ではない!
顔色悪いじゃんなんて質問、今までなら「んー?」とか「そうかな?」とか「勘違いじゃないの?」なんてにっこり笑って、そうそうに会話なんてやめちゃうくせに。
「まだ話の途中なのに、りゅーさんったら泣いちゃう」
うん………ダメだ。ガチでだめだっ、こいつ。今までで一番、本気で危ない。笑い事じゃないレベル。RPGで言うと『久賀は混乱している』の表示が出てる状態です。
残念ながら万能薬はもってねぇんだよ。
治療魔法のエ○ナもキア○ルも使えん。
「久賀。ちょっと真面目に聞いてくれる?」
「努力、根性、誠実、生真面目は俺の不得意分野だけど、真面目に聞いたらお金でるの?」
ドスっと本日何度目かの手刀が久賀の頭にヒットする。もちろん手加減はしております。
真面目な顔しておかしな言動を繰り返す久賀に、本気で心配になった。
「良く聞け、今日のお前はだめだ!カラダも駄目だが頭がダメだ!絶対何が何でも病院行きだっ!!嫌がってもケツけっ飛ばして救急車に押し込むかんな!!!」
「病院に行くくらいなら舌噛んで死んでやる」
「お前は手込めにされかかってる町娘かぁぁぁ!!!」
ちゃぶ台があったら俺は間違いなくひっくり返してると思います。
血圧あげまくってる俺の前で、実にしらっとした様子の久賀が「ナイスツッコミ、お笑いブームが過ぎてしまったことが悔やまれる」と手をぱちぱち叩いた。
ふざけている。
ヒトが真面目にやってんのに、どこまでもふざけている。
「さてと、阿呆を相手にしてたら、ちょっち気力が戻ったし。帰りましょうかね……っと」
「オイこら、その阿呆って俺のこと……あわわっ!く、久賀っ」
立ち上がるのに失敗して、よろめいた身体を慌てて支えた。
ほらぁ!やっぱ、普通じゃねぇから!!
心臓がドキドキする。
多分、色々と悪い方に考えて、不安で一杯になる。
「久賀、頼むから病院行こう。付き添うからさ」
「やだ」
青い顔をして、吐き出す息も辛そうなのに、それでも頑なに拒否する相手。
何でだよって視線に込めて精一杯訴えたら、ちょっと拗ねたみたいに目元を歪めた久賀から。
「史ちゃんに……迷惑がかかるからイヤだ」
そんな本音が飛び出した。
仮にあっても、自分で電話するなんてマズないじゃん?問題起きても、周りの大人とかが動くだろ。
か け た こ と が な い ん だ よ !!!
いや、それでも一般常識だろって言われたら、一ミリも反論できませんけどね。
くそー恥だ、と顔が赤くなっていることを自覚しながら、視界を彷徨わせた。
顔が火照っているのは、あほな発言をしてしまったことだけが理由ではなくて……その……スマホを握ってる方の手をね、何故だか久賀につかまれたままなんですよね。
うん……ナゼに?
これは、理由を問わない方が良いのだろうか。
それを訊いてしまったら、きっと繋いだ手は簡単に離れていってしまって……寂しさに心が震えるのは多分俺だけで、あー……止めろよ、俺。キモいし暗い。
ふるふると頭を振って気持ちを切り替える。
「ぷっ、犬みたい」と笑った久賀はシカトだシカト。
そう言うと思ったんだよ。
もっと捻れよばーか。
「電話かけるから、手ぇ退けろよ」
繋いだ手が離れるのはすごく寂しい。
だけどさ、やっぱり俺はお前に何かある方が嫌で、今にもぶっ倒れそうな顔色をしているヤツを放っておくなんてできねぇよ。
「イヤだよ。病院は嫌いだって、言ってるでしょ?」
「あーのーなぁ。お前自分の状態わかってんの」
「モチロン。たかだか2日寝てないのと、2日まともに食ってないだけ。あと肉体労働で疲れ切っている。脳みそも軽く死んでいる。呼吸は正常です、息苦しくないのが不思議。脈拍は少し早め?血圧まではわからんよ。あー、あとお腹は空いてるけど、眠い方が若干上回っていることから推測するに、やはり人間の三大欲求で一番重要なのは睡眠欲という答えが導き出される。そもそも、水分さえ確保すれば体力温存につとめた場合ニンゲンは2ヵ月程度の生存は可能らしいが、睡眠を奪われた場合、三週間もあれば人は十分に狂えことから、昔は拷問の手段のひとつに使われもした、が水分も完全にたっちゃえば三、四日であの世に旅立てるからやっぱ食欲の方がじゅうよぅ」
「怖い怖い怖いっ!!落ち着いて久賀さん!!!お前が普通じゃないってコトが良くわかったから。よぉーし、ソッコウ緊急搬送だ」
久賀の手を押しのけて、緊急ダイヤルを押そうとした手を再び握られた。
「……オガミン酷い」
酷いのはお前の頭の中だ!断じて俺ではない!
顔色悪いじゃんなんて質問、今までなら「んー?」とか「そうかな?」とか「勘違いじゃないの?」なんてにっこり笑って、そうそうに会話なんてやめちゃうくせに。
「まだ話の途中なのに、りゅーさんったら泣いちゃう」
うん………ダメだ。ガチでだめだっ、こいつ。今までで一番、本気で危ない。笑い事じゃないレベル。RPGで言うと『久賀は混乱している』の表示が出てる状態です。
残念ながら万能薬はもってねぇんだよ。
治療魔法のエ○ナもキア○ルも使えん。
「久賀。ちょっと真面目に聞いてくれる?」
「努力、根性、誠実、生真面目は俺の不得意分野だけど、真面目に聞いたらお金でるの?」
ドスっと本日何度目かの手刀が久賀の頭にヒットする。もちろん手加減はしております。
真面目な顔しておかしな言動を繰り返す久賀に、本気で心配になった。
「良く聞け、今日のお前はだめだ!カラダも駄目だが頭がダメだ!絶対何が何でも病院行きだっ!!嫌がってもケツけっ飛ばして救急車に押し込むかんな!!!」
「病院に行くくらいなら舌噛んで死んでやる」
「お前は手込めにされかかってる町娘かぁぁぁ!!!」
ちゃぶ台があったら俺は間違いなくひっくり返してると思います。
血圧あげまくってる俺の前で、実にしらっとした様子の久賀が「ナイスツッコミ、お笑いブームが過ぎてしまったことが悔やまれる」と手をぱちぱち叩いた。
ふざけている。
ヒトが真面目にやってんのに、どこまでもふざけている。
「さてと、阿呆を相手にしてたら、ちょっち気力が戻ったし。帰りましょうかね……っと」
「オイこら、その阿呆って俺のこと……あわわっ!く、久賀っ」
立ち上がるのに失敗して、よろめいた身体を慌てて支えた。
ほらぁ!やっぱ、普通じゃねぇから!!
心臓がドキドキする。
多分、色々と悪い方に考えて、不安で一杯になる。
「久賀、頼むから病院行こう。付き添うからさ」
「やだ」
青い顔をして、吐き出す息も辛そうなのに、それでも頑なに拒否する相手。
何でだよって視線に込めて精一杯訴えたら、ちょっと拗ねたみたいに目元を歪めた久賀から。
「史ちゃんに……迷惑がかかるからイヤだ」
そんな本音が飛び出した。
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