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運命の出会い
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学園までの道のりをワクワクした気持ちで外を眺めていた。
今日はとても良い天気で、暑くもなく寒くもない本当に過ごしやすい国だわぁ~!
「お兄様、今日はとても良い天気ですね~。風が気持ち良さそうです。」
「そうだね。天もアリス達の入園を祝ってくれてるのかも知れないね。そうそう、学園に着いたら新入生は講堂に集まるんだ。今日は全学年の生徒が集まるから、そこまで一緒に行こう。」
「…はい!お兄様。」
ん?何か今モヤっとしたな。
前世の入学式みたいなものだけど、何か忘れている様な…。
んー。。。
思い出せないで、神妙な顔になってしまった私を心配したお兄様が声をかけてくれる。
「どうしたアリス?流石に緊張しているのかな?大丈夫だよ。きっとアリスならやり遂げられるさ。何なら今練習しておくか?」
「練習…ですか?」
練習?
何か練習するような事があったかしら…。
「ん?今日はみんなの前で新入生代表の挨拶があるだろ?」
「へっ?」
「えっ?…まさか…忘れていた訳じゃないよね?」
忘れてたーーーーーーーー!!!
昨日は前世を思い出したりして、すっかり忘れてたよーーーーーーーーー!
もう挨拶の文は考えてて、書いた紙は机の引き出しに仕舞ったのよ!
「お兄様どうしましょう!すっかり、忘れておりましたわ…。挨拶文は机の中に置いてきてしまって…今から戻る時間は…」
「無いね…。」
挨拶挨拶挨拶挨拶挨拶挨拶挨拶挨拶って何言えば良いのー!!
「アリス、残念だけどもう戻る時間はない。まだ少し時間はあるから、今から考えるしかないね。僕も一緒に考えるから!大丈夫だ。」
「おっ、お兄様~!」
そもそも、新入生代表とは新入生の中から男女一人ずつ選ばれる。その基準はその年の1番上の爵位を持つ家である事、そして、王家から覚えが良い家である事で選定される。
もちろん、今年私以外にも公爵令嬢はいるのだが、実は私のお父様はこの国の宰相なのだ。
そりゃ選ばれるわ…。
この挨拶で失敗なんて事になったら、リネンブルグ家に泥を塗ることになってしまう!
そこから学園に着くまで私は、お兄様が即興で考えてくださった挨拶を、ただただ念仏のようにブツブツと唱えるのみであった。
「アリス、着いたよ。」
「ブツブツ……。」
「アリス!!!」
ビクッ!
「着いたよ?」
コクッ。
今挨拶以外の言葉を発したら、私の口から覚えた言葉が抜け出ていくような気がして返事もできない。
ただ頷いただけの私を察してくれたお兄様は、返事をしなかった事を咎めたりはせず、馬車から降りる私に手を差し出してエスコートしてくれた。
「私たちにこの様な…ありがたく…。」
「アリス、行こうか。」
コクッ
お兄様の半歩後ろを歩く私はただただ、挨拶文を頭の中でリピートしている。いや、口にも出ている。
「これから…学園では…」
だから前から歩いて来たその人にも、その人を見て立ち止まったお兄様を追い越してしまった事にも、全く気がつかなかった。
ドンッ
向かいから来た方の左肩に思い切りぶつかった私は後ろによろけて倒れそうになる。
倒れる!
そう思って思わず目をつぶった瞬間に、私は腕をつかまれ、前に引き寄せられ誰かに抱き締められる格好になってしまった。
「大丈夫?」
「…はげ…むぐっ!」
いけない!その時唱えていた挨拶文の一節、『勉学に励んで』のよりにもよって はげ の部分だけ口走ってしまった!
急いで口を押さえたけど、間に合ったかしら?
まさか、聞こえてないわよね!?
「ハゲ…?」
聞こえてるーーーー!!!
恐る恐る顔を上げると、
そこには
天使様がいた
リーーーーンゴーーーーーーン!!!
リーーーーンゴーーーーーーーーン!!!!
頭の中でとてつもなく大きな教会の鐘の音が鳴り響いた。
これが、私と王子さまの運命の出会いだった
今日はとても良い天気で、暑くもなく寒くもない本当に過ごしやすい国だわぁ~!
「お兄様、今日はとても良い天気ですね~。風が気持ち良さそうです。」
「そうだね。天もアリス達の入園を祝ってくれてるのかも知れないね。そうそう、学園に着いたら新入生は講堂に集まるんだ。今日は全学年の生徒が集まるから、そこまで一緒に行こう。」
「…はい!お兄様。」
ん?何か今モヤっとしたな。
前世の入学式みたいなものだけど、何か忘れている様な…。
んー。。。
思い出せないで、神妙な顔になってしまった私を心配したお兄様が声をかけてくれる。
「どうしたアリス?流石に緊張しているのかな?大丈夫だよ。きっとアリスならやり遂げられるさ。何なら今練習しておくか?」
「練習…ですか?」
練習?
何か練習するような事があったかしら…。
「ん?今日はみんなの前で新入生代表の挨拶があるだろ?」
「へっ?」
「えっ?…まさか…忘れていた訳じゃないよね?」
忘れてたーーーーーーーー!!!
昨日は前世を思い出したりして、すっかり忘れてたよーーーーーーーーー!
もう挨拶の文は考えてて、書いた紙は机の引き出しに仕舞ったのよ!
「お兄様どうしましょう!すっかり、忘れておりましたわ…。挨拶文は机の中に置いてきてしまって…今から戻る時間は…」
「無いね…。」
挨拶挨拶挨拶挨拶挨拶挨拶挨拶挨拶って何言えば良いのー!!
「アリス、残念だけどもう戻る時間はない。まだ少し時間はあるから、今から考えるしかないね。僕も一緒に考えるから!大丈夫だ。」
「おっ、お兄様~!」
そもそも、新入生代表とは新入生の中から男女一人ずつ選ばれる。その基準はその年の1番上の爵位を持つ家である事、そして、王家から覚えが良い家である事で選定される。
もちろん、今年私以外にも公爵令嬢はいるのだが、実は私のお父様はこの国の宰相なのだ。
そりゃ選ばれるわ…。
この挨拶で失敗なんて事になったら、リネンブルグ家に泥を塗ることになってしまう!
そこから学園に着くまで私は、お兄様が即興で考えてくださった挨拶を、ただただ念仏のようにブツブツと唱えるのみであった。
「アリス、着いたよ。」
「ブツブツ……。」
「アリス!!!」
ビクッ!
「着いたよ?」
コクッ。
今挨拶以外の言葉を発したら、私の口から覚えた言葉が抜け出ていくような気がして返事もできない。
ただ頷いただけの私を察してくれたお兄様は、返事をしなかった事を咎めたりはせず、馬車から降りる私に手を差し出してエスコートしてくれた。
「私たちにこの様な…ありがたく…。」
「アリス、行こうか。」
コクッ
お兄様の半歩後ろを歩く私はただただ、挨拶文を頭の中でリピートしている。いや、口にも出ている。
「これから…学園では…」
だから前から歩いて来たその人にも、その人を見て立ち止まったお兄様を追い越してしまった事にも、全く気がつかなかった。
ドンッ
向かいから来た方の左肩に思い切りぶつかった私は後ろによろけて倒れそうになる。
倒れる!
そう思って思わず目をつぶった瞬間に、私は腕をつかまれ、前に引き寄せられ誰かに抱き締められる格好になってしまった。
「大丈夫?」
「…はげ…むぐっ!」
いけない!その時唱えていた挨拶文の一節、『勉学に励んで』のよりにもよって はげ の部分だけ口走ってしまった!
急いで口を押さえたけど、間に合ったかしら?
まさか、聞こえてないわよね!?
「ハゲ…?」
聞こえてるーーーー!!!
恐る恐る顔を上げると、
そこには
天使様がいた
リーーーーンゴーーーーーーン!!!
リーーーーンゴーーーーーーーーン!!!!
頭の中でとてつもなく大きな教会の鐘の音が鳴り響いた。
これが、私と王子さまの運命の出会いだった
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