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お披露目
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「スゥ~ハァ~。」
私はみんなが集まる部屋の扉前で深呼吸をした。
「アリスお嬢様。私はアリスお嬢様の味方でございます!お側で見守っておりますから。」
「ありがとう、リサ!」
私が力強く頷くと、リサが扉を開けた。
そこにはお父様、お母様、お兄様がソファーに腰掛け、ソファーの側にはプニルが寝そべって寛いでいた。壁際には執事のアランも佇んでいる。
「あの、着替えてきました。」
みんなが見ていると思うと、すごく恥ずかしい!
昨日までの私なら素直に『みんな~!みてみてぇ~!』って感じてクルクル回ったりもして見せたのかもしれないけれど、今の私は半分16歳の思考も持ち合わせてるの!
これは…とんでもない羞恥プレイだわ!
脳内の悶えが止まらず、中々顔が上げられずにいると、突然両脇から持ち上げられてクルクル回された。
こっ、これは!
幼児がされると喜ぶ高い高い!?
「んまぁ~~~~!!可愛い~~!!!アリスちゃん天使みたいねぇ!!」
「アリスーーー!!!なんて可愛らしいんだ私のお姫様は!!!!」
「女神降臨…。」
もちろん高い高いの犯人はお父様。
自分でしなくても結局クルクル回っているし…。
ってか女神降臨って…何ですか?お兄様!
クルクルクルクル~♪
いやいや、もうやめてくれぃ!
回しすぎよー!
朝御飯食べたばかりだから気持ち悪いよー!
「おっ、お父様下ろしてくださいー!」
「父上!押さえきれない気持ちはわかりますが、下ろしてあげてください!アリスの顔が真っ青です!!!」
「ワフン!」
お兄様が私の顔色を見て、お父様にしがみついて止めてくれた。プニルもお父様の服の裾をグイグイ引っ張って頑張ってくれていたようだ。
あっぶな!
危うく惨事になる所だったわ!
「すまない!あまりに可愛いらしくて興奮してしまったよ!大丈夫かい?」
「はい。少し休めば大丈夫ですわ。」
「あらあら、大変!アリスちゃん、ここに座って!」
お母様が支えてくれて、何とかソファーに座ることが出来た。
「アリスお嬢様、こちらミントティーになります。少しスッキリすると思いますので、どうぞ召し上がってください。」
「ありがとう!アラン。頂くわ!」
流石ミスターパーフェクト!!!
完璧なタイミングだわ!
私が感動している傍らで、リサが一瞬苦虫を噛み潰した様な顔をしていた事にアランだけが気づいて目を細め、僅かに口の端を上げた。
『アイツ!笑いやがった!!私がお嬢様にお茶をいれて差し上げたかったのにー!完全に出遅れたわ!』
「チッ!」
あまりの悔しさにリサが小さく舌打ちしていたが、私はミントティーの爽やかさに気をとられて全く気づいていなかった。
「ふぅ~。少しスッキリしたわ!ありがとう、アラン。」
「お役に立てて、光栄です。リサ、皆様にお菓子を持ってきてくれますか?」
「……はい。只今お持ち致します。」
ん?何かいつものリサより声色が固い気がしてリサの方を向いたけど、一足遅くリサは後ろを向いて行だしていた。
気のせいかな?
そんな私の隣でまたアランが誰にも気づかれずに意地の悪い笑みを浮かべていた。
ブルッ!
何か今悪寒が…。
両腕を擦っていると、リサがワゴンにのせてお菓子とデザートを運んできてくれた。
「わぁ~美味しそう!」
「こちらのムースはレモン風味ですので、さっぱりされると思いますよ。」
「そうなのね!ありがとう、リサ!」
そう私が伝えると、とても嬉しそうにリサが微笑んだ。
「美味し~!!」
「ほんとに美味しいわねぇ~♪」
和やかに食べ始める私達の後ろでリサはアランにとても冷たい目線を送っていた。
『いつか追い越してみせるから!』
『フッ。それは楽しみですね。まぁ、100年早いですが。』
『チッ!』
と目だけで会話をする侍女と執事。
二人ともやや人間離れしていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
長くなったので二つに分けました。
後で後半更新します!
私はみんなが集まる部屋の扉前で深呼吸をした。
「アリスお嬢様。私はアリスお嬢様の味方でございます!お側で見守っておりますから。」
「ありがとう、リサ!」
私が力強く頷くと、リサが扉を開けた。
そこにはお父様、お母様、お兄様がソファーに腰掛け、ソファーの側にはプニルが寝そべって寛いでいた。壁際には執事のアランも佇んでいる。
「あの、着替えてきました。」
みんなが見ていると思うと、すごく恥ずかしい!
昨日までの私なら素直に『みんな~!みてみてぇ~!』って感じてクルクル回ったりもして見せたのかもしれないけれど、今の私は半分16歳の思考も持ち合わせてるの!
これは…とんでもない羞恥プレイだわ!
脳内の悶えが止まらず、中々顔が上げられずにいると、突然両脇から持ち上げられてクルクル回された。
こっ、これは!
幼児がされると喜ぶ高い高い!?
「んまぁ~~~~!!可愛い~~!!!アリスちゃん天使みたいねぇ!!」
「アリスーーー!!!なんて可愛らしいんだ私のお姫様は!!!!」
「女神降臨…。」
もちろん高い高いの犯人はお父様。
自分でしなくても結局クルクル回っているし…。
ってか女神降臨って…何ですか?お兄様!
クルクルクルクル~♪
いやいや、もうやめてくれぃ!
回しすぎよー!
朝御飯食べたばかりだから気持ち悪いよー!
「おっ、お父様下ろしてくださいー!」
「父上!押さえきれない気持ちはわかりますが、下ろしてあげてください!アリスの顔が真っ青です!!!」
「ワフン!」
お兄様が私の顔色を見て、お父様にしがみついて止めてくれた。プニルもお父様の服の裾をグイグイ引っ張って頑張ってくれていたようだ。
あっぶな!
危うく惨事になる所だったわ!
「すまない!あまりに可愛いらしくて興奮してしまったよ!大丈夫かい?」
「はい。少し休めば大丈夫ですわ。」
「あらあら、大変!アリスちゃん、ここに座って!」
お母様が支えてくれて、何とかソファーに座ることが出来た。
「アリスお嬢様、こちらミントティーになります。少しスッキリすると思いますので、どうぞ召し上がってください。」
「ありがとう!アラン。頂くわ!」
流石ミスターパーフェクト!!!
完璧なタイミングだわ!
私が感動している傍らで、リサが一瞬苦虫を噛み潰した様な顔をしていた事にアランだけが気づいて目を細め、僅かに口の端を上げた。
『アイツ!笑いやがった!!私がお嬢様にお茶をいれて差し上げたかったのにー!完全に出遅れたわ!』
「チッ!」
あまりの悔しさにリサが小さく舌打ちしていたが、私はミントティーの爽やかさに気をとられて全く気づいていなかった。
「ふぅ~。少しスッキリしたわ!ありがとう、アラン。」
「お役に立てて、光栄です。リサ、皆様にお菓子を持ってきてくれますか?」
「……はい。只今お持ち致します。」
ん?何かいつものリサより声色が固い気がしてリサの方を向いたけど、一足遅くリサは後ろを向いて行だしていた。
気のせいかな?
そんな私の隣でまたアランが誰にも気づかれずに意地の悪い笑みを浮かべていた。
ブルッ!
何か今悪寒が…。
両腕を擦っていると、リサがワゴンにのせてお菓子とデザートを運んできてくれた。
「わぁ~美味しそう!」
「こちらのムースはレモン風味ですので、さっぱりされると思いますよ。」
「そうなのね!ありがとう、リサ!」
そう私が伝えると、とても嬉しそうにリサが微笑んだ。
「美味し~!!」
「ほんとに美味しいわねぇ~♪」
和やかに食べ始める私達の後ろでリサはアランにとても冷たい目線を送っていた。
『いつか追い越してみせるから!』
『フッ。それは楽しみですね。まぁ、100年早いですが。』
『チッ!』
と目だけで会話をする侍女と執事。
二人ともやや人間離れしていた。
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長くなったので二つに分けました。
後で後半更新します!
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