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第5章星祭りの夜
お祭り
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結局男性陣は警備のために走り回り、私たちは救護所を設けて怪我人や迷子の世話で夕方まで走り回っていた。
一番星が見える頃、お祭りもひと段落しみんなで河原へ色々な願い事を描いた板を持って移動して行った。
まさかの七夕?後でジークに聞いてみよう。
河原にはたくさんの人たちが集まっており、思い思いに燃え盛る火の中に板を投げ入れていた。
「マコトもやらないのか?」とルイス様が聞いてこられたので、
「よくわからないのですが、このまま眺めていてもいいですか?」と確認すると
「まあ、あれは子供達の願い事を燃やして女神様に伝える行事だからどちらでもいいんだが、そうか。来年は参加するといいよ」そう言って焚火の火の管理へと戻っていった。
全ての板が燃えて灰になるころ、
「かなり長い間ここにいたようだけど寒くないかい?」とジークより少しキーが低い声が後ろから聞こえて来た。
「大丈夫です。あったかい格好をしておりますから」そう言って振り向くと、なぜかエド様と少しジークより背が高い方がおられた。
「あの、ジークフリート様でしたら、ガイアス様達とあそこで話されておられますよ。呼んできましょうか」というと、
「いや大丈夫だ。どうせこの後顔を合わせるから。それより君のことが知りたいんだがお嬢さん」と言われておろおろしていると、
「兄さん何をしているんですか彼女が困っているではないですか」とジークがやって来て怒鳴り散らすのを隣にいたエド様が必死に笑うのを堪えていた。
「何がおかしいんだエド?」そう言うと
「だって今朝の騒動俺たちでも知っているんだよ。それにその慌てようと言ったら隠したいことみえみえだし」と二人で戯れあっているのをジークのお兄様と言う方と残された状態で私は唖然としてしまった。
「改めて自己紹介をさせていただきたい。エルンスト・フォン・アストロ。そこで戯れているジークフリートの兄だ」
「ご丁寧にありがとうございます。正式な名乗りの方がよろしいのでしょうか?」
「うむ。平民でいるのであれば名だけでいいが」
「ありがとうございます。マコトと申します。私が育った土地では家名がないのが特別なので、つい家名まで名乗ってしまいがちになるのですが、以前 領主様に確認をしましたところ、家名がないのが普通と教わったものですから」
「そうか。そなたが落人であったか」
「あ、もしかして私に会いにこられたのでしょうか?」
「一応徴税官として赴いたのもあるがな。ジークは成人してすぐこの領地の前領主に養子へ入ったので家名が違うのだ。しかしいつ見ても楽しそうだな」と二人で川の中に入って戯れ始めたのを見ながらエルンスト様は遠い目をされていた。
一番星が見える頃、お祭りもひと段落しみんなで河原へ色々な願い事を描いた板を持って移動して行った。
まさかの七夕?後でジークに聞いてみよう。
河原にはたくさんの人たちが集まっており、思い思いに燃え盛る火の中に板を投げ入れていた。
「マコトもやらないのか?」とルイス様が聞いてこられたので、
「よくわからないのですが、このまま眺めていてもいいですか?」と確認すると
「まあ、あれは子供達の願い事を燃やして女神様に伝える行事だからどちらでもいいんだが、そうか。来年は参加するといいよ」そう言って焚火の火の管理へと戻っていった。
全ての板が燃えて灰になるころ、
「かなり長い間ここにいたようだけど寒くないかい?」とジークより少しキーが低い声が後ろから聞こえて来た。
「大丈夫です。あったかい格好をしておりますから」そう言って振り向くと、なぜかエド様と少しジークより背が高い方がおられた。
「あの、ジークフリート様でしたら、ガイアス様達とあそこで話されておられますよ。呼んできましょうか」というと、
「いや大丈夫だ。どうせこの後顔を合わせるから。それより君のことが知りたいんだがお嬢さん」と言われておろおろしていると、
「兄さん何をしているんですか彼女が困っているではないですか」とジークがやって来て怒鳴り散らすのを隣にいたエド様が必死に笑うのを堪えていた。
「何がおかしいんだエド?」そう言うと
「だって今朝の騒動俺たちでも知っているんだよ。それにその慌てようと言ったら隠したいことみえみえだし」と二人で戯れあっているのをジークのお兄様と言う方と残された状態で私は唖然としてしまった。
「改めて自己紹介をさせていただきたい。エルンスト・フォン・アストロ。そこで戯れているジークフリートの兄だ」
「ご丁寧にありがとうございます。正式な名乗りの方がよろしいのでしょうか?」
「うむ。平民でいるのであれば名だけでいいが」
「ありがとうございます。マコトと申します。私が育った土地では家名がないのが特別なので、つい家名まで名乗ってしまいがちになるのですが、以前 領主様に確認をしましたところ、家名がないのが普通と教わったものですから」
「そうか。そなたが落人であったか」
「あ、もしかして私に会いにこられたのでしょうか?」
「一応徴税官として赴いたのもあるがな。ジークは成人してすぐこの領地の前領主に養子へ入ったので家名が違うのだ。しかしいつ見ても楽しそうだな」と二人で川の中に入って戯れ始めたのを見ながらエルンスト様は遠い目をされていた。
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