11 / 29
第2章隣町にて
次の町へ~その1
しおりを挟む
結局、ガントたちを含む私たち7人は、解体の費用を差し引いた報酬を受け取った後、改めて自己紹介をしてこの後どこへ行くかを話し合った。
「私的にはカントの町に行きたいのよね」とエミーさんが言うと、
「それもいいかも。でも、港町だから、かなり偏見の多い輩が集まりやすくなっていない?」とモリーさんが聞いてきた。
「僕らはもう少しこの国にいたいのですが…」ガントが言うと
「じゃあもう一つの町は、国境近くの町にして隣国の情報も頂いてから考えましょう」とケリーが提案すると、
「まさか徒歩で行くつもりじゃないよね?」と私が聞いた。
「もちろん徒歩ですよ。その間にみっちり野外料理のコツや、野営の方法など教えますからね」とモリーに凄まれた。確かにレベル上げもしないで簡単に移動していたら、ただの旅人でしかない。ただ、徒歩での移動となると、件の子爵領だけは通りたくないので、かなりの遠回りになると考えられる。しばらくモリーさんの言う通りレベル上げしながら野外料理の仕方や、野宿の方法を教えてもらったほうが堅実かもしれない。
「じゃあ子爵領に入るまでに、レベル上げと野営などの基礎知識を教えてください」とトムがお願いすると
「了解。子爵領に行く途中にもう一つ男爵領があったわねそこを通過して、子爵領近くの町で私は離れるわ」とのこと。
「私たちに付き合ってくれているんですよね。ありがとうございます」とサマンサが言った。
「違う違う。私たちもまだ駆け出しの冒険者なの。どうしてもモエラ領から出ることができなくて、近くの依頼しか熟したことがなかったのよ。だからすぐに町に帰れたし、野宿をすることもなかったの」と説明した。
「ところで子爵領を避けたいというのは?」どうやら考えがバレバレならしい
「ちょっと私の身に危険が及ぶというか、冒険者自体ができなくなる予感がするのよね」さすがに姉が嫁ぐとはいえ、まだ私を狙っている可能性があるのだ。
「そういうことですか。大丈夫ですよ。どうやら財政難のためにこの婚姻を成立させようとしたらしいですが、イリス様が王都行かれて宰相様に陳情されたらしく、この婚約は破棄されました。近々子爵領を他の貴族が治めることになるそうです」とガントが教えてくれた。しかし、お姉さま仕事が早い。
「それであの子爵様は?」と私が聞くと
「カリエ、はしたないです」とエミーにたしなめられた。
「彼は男爵に降格されて、かなり離れた土地に転封されるそうです」と笑顔で答えてくれた。よかった。
「ちなみにその土地を賜るのは?」と聞くと
「宰相様の三男であるジン様が新たにグリード家を起こされて、これまで王領だった土地を含めて辺境伯となられ、治めます」とモリーが教えてくれた。
「確かジン様は、イリス様のご学友だったと思ったのだけど…」
「お詳しいですね。この度、イリス様とジン様のご婚約が整いました」
なるほど。隣の男爵様は一番上の姉であるターニアお姉様が嫁いだ先。一族で固めればこれこそ強固な防壁はない。
そういえば、あの子爵からの求婚騒ぎの前に、お父様が慌ただしく王都へ行き来していたのは、この婚約を早く結ばせるためだったのね。
「ということは、ゆっくり移動しながら《子爵領》から《辺境伯領》に変わった頃に入れば、十分だということになるわね」とケリーが言った。
「だいたい1月ほどで全てが終了して、来年には結婚されるという話だ」と突然ギルマスが入ってきて話してくれた。
「ではどのみち必要とさせるのは後2~3ヶ月後。領地の確認や、財政の立て直しに人が必要となるので、その頃入りましょう」というと
「どうして?冒険者になった以上、もう必要のない知識をさらけ出すことはないと思いますよ」とトムがいうが、
「でもトム、あなたケリーと所帯を持ちたいんでしょ。いつまでも根無し草をさせるわけにもいかないし、イリス様なら安心してあなたたちを預けられるわ」というと二人は顔を赤らめた。
「ちょっと!一体あなたたちは何者なんですか?」とガントが聞いてきた。
「えっと、いいところの末娘?」私。
「その侍女?」エミー。
「その2?」ケリー。
「その用心棒?」トム。と簡単な紹介をすると、
「要するに。今回の子爵とのいざこざで逃げ出したモエラ様の所のお嬢様とその一行かい」とモリーさんが納得したように頷いていた。
「アーサー。あんた知っていたんだろ。なんで話してくれなかったんだい?」
「おまえな、宿屋をやっている以上どこで情報が漏れるとも限らないだろ。だからモエラ様と話し合って、必要以上話さないことにしたんだ」お父様感謝。
「というわけで、冒険者は3年前に登録したけど、まだまだペーペーなのでよろしく」というと
「本当に家に帰らないのかい?」とモリーが聞くので、
「帰ってもお姉様たちみたく、恋愛結婚できるとは限らないから」と答えた
「え?恋愛結婚なんですか?」とケリーが聞いてきた。
「そうよ。あの2人いえ3人になるわね。自分で婿さんを見つけてきたの。憧れるでしょ」というと
「それならカントの町に絶対行くことをお勧めしますよ。」と突然サマンサが口を出してきた。
「へ?」
「ああ。あのことだね。決まった事象はお教えできるのですが、これからのことは選択肢が多岐に渡っているので難しいのです。しかし、恋愛をしたいというのなら絶対カントに行くべきです」とガントに言われて
「もしかして未来視ができるの?」と聞くと
「ほんの少しだけです。決まった未来なんていらないでしょ。わからないから楽しいのだから」とサマンサが言って、
「ただ、俺たちの行き先は《グリード辺境伯領》と漠然としていたので、どこを指していたのかわからなく、迷子になってしまったのです」とガントが言った。
「まだ出現していないからな。領堺まで2ヶ月ほどで移動となると、やはり隣の男爵領を通ることが一番いいかもしれないな」とトムが言うので、
「それじゃあ、商隊の護衛を探しますか」と私はエミーと一緒に依頼書が張っていあるボードを見に行った。
「私的にはカントの町に行きたいのよね」とエミーさんが言うと、
「それもいいかも。でも、港町だから、かなり偏見の多い輩が集まりやすくなっていない?」とモリーさんが聞いてきた。
「僕らはもう少しこの国にいたいのですが…」ガントが言うと
「じゃあもう一つの町は、国境近くの町にして隣国の情報も頂いてから考えましょう」とケリーが提案すると、
「まさか徒歩で行くつもりじゃないよね?」と私が聞いた。
「もちろん徒歩ですよ。その間にみっちり野外料理のコツや、野営の方法など教えますからね」とモリーに凄まれた。確かにレベル上げもしないで簡単に移動していたら、ただの旅人でしかない。ただ、徒歩での移動となると、件の子爵領だけは通りたくないので、かなりの遠回りになると考えられる。しばらくモリーさんの言う通りレベル上げしながら野外料理の仕方や、野宿の方法を教えてもらったほうが堅実かもしれない。
「じゃあ子爵領に入るまでに、レベル上げと野営などの基礎知識を教えてください」とトムがお願いすると
「了解。子爵領に行く途中にもう一つ男爵領があったわねそこを通過して、子爵領近くの町で私は離れるわ」とのこと。
「私たちに付き合ってくれているんですよね。ありがとうございます」とサマンサが言った。
「違う違う。私たちもまだ駆け出しの冒険者なの。どうしてもモエラ領から出ることができなくて、近くの依頼しか熟したことがなかったのよ。だからすぐに町に帰れたし、野宿をすることもなかったの」と説明した。
「ところで子爵領を避けたいというのは?」どうやら考えがバレバレならしい
「ちょっと私の身に危険が及ぶというか、冒険者自体ができなくなる予感がするのよね」さすがに姉が嫁ぐとはいえ、まだ私を狙っている可能性があるのだ。
「そういうことですか。大丈夫ですよ。どうやら財政難のためにこの婚姻を成立させようとしたらしいですが、イリス様が王都行かれて宰相様に陳情されたらしく、この婚約は破棄されました。近々子爵領を他の貴族が治めることになるそうです」とガントが教えてくれた。しかし、お姉さま仕事が早い。
「それであの子爵様は?」と私が聞くと
「カリエ、はしたないです」とエミーにたしなめられた。
「彼は男爵に降格されて、かなり離れた土地に転封されるそうです」と笑顔で答えてくれた。よかった。
「ちなみにその土地を賜るのは?」と聞くと
「宰相様の三男であるジン様が新たにグリード家を起こされて、これまで王領だった土地を含めて辺境伯となられ、治めます」とモリーが教えてくれた。
「確かジン様は、イリス様のご学友だったと思ったのだけど…」
「お詳しいですね。この度、イリス様とジン様のご婚約が整いました」
なるほど。隣の男爵様は一番上の姉であるターニアお姉様が嫁いだ先。一族で固めればこれこそ強固な防壁はない。
そういえば、あの子爵からの求婚騒ぎの前に、お父様が慌ただしく王都へ行き来していたのは、この婚約を早く結ばせるためだったのね。
「ということは、ゆっくり移動しながら《子爵領》から《辺境伯領》に変わった頃に入れば、十分だということになるわね」とケリーが言った。
「だいたい1月ほどで全てが終了して、来年には結婚されるという話だ」と突然ギルマスが入ってきて話してくれた。
「ではどのみち必要とさせるのは後2~3ヶ月後。領地の確認や、財政の立て直しに人が必要となるので、その頃入りましょう」というと
「どうして?冒険者になった以上、もう必要のない知識をさらけ出すことはないと思いますよ」とトムがいうが、
「でもトム、あなたケリーと所帯を持ちたいんでしょ。いつまでも根無し草をさせるわけにもいかないし、イリス様なら安心してあなたたちを預けられるわ」というと二人は顔を赤らめた。
「ちょっと!一体あなたたちは何者なんですか?」とガントが聞いてきた。
「えっと、いいところの末娘?」私。
「その侍女?」エミー。
「その2?」ケリー。
「その用心棒?」トム。と簡単な紹介をすると、
「要するに。今回の子爵とのいざこざで逃げ出したモエラ様の所のお嬢様とその一行かい」とモリーさんが納得したように頷いていた。
「アーサー。あんた知っていたんだろ。なんで話してくれなかったんだい?」
「おまえな、宿屋をやっている以上どこで情報が漏れるとも限らないだろ。だからモエラ様と話し合って、必要以上話さないことにしたんだ」お父様感謝。
「というわけで、冒険者は3年前に登録したけど、まだまだペーペーなのでよろしく」というと
「本当に家に帰らないのかい?」とモリーが聞くので、
「帰ってもお姉様たちみたく、恋愛結婚できるとは限らないから」と答えた
「え?恋愛結婚なんですか?」とケリーが聞いてきた。
「そうよ。あの2人いえ3人になるわね。自分で婿さんを見つけてきたの。憧れるでしょ」というと
「それならカントの町に絶対行くことをお勧めしますよ。」と突然サマンサが口を出してきた。
「へ?」
「ああ。あのことだね。決まった事象はお教えできるのですが、これからのことは選択肢が多岐に渡っているので難しいのです。しかし、恋愛をしたいというのなら絶対カントに行くべきです」とガントに言われて
「もしかして未来視ができるの?」と聞くと
「ほんの少しだけです。決まった未来なんていらないでしょ。わからないから楽しいのだから」とサマンサが言って、
「ただ、俺たちの行き先は《グリード辺境伯領》と漠然としていたので、どこを指していたのかわからなく、迷子になってしまったのです」とガントが言った。
「まだ出現していないからな。領堺まで2ヶ月ほどで移動となると、やはり隣の男爵領を通ることが一番いいかもしれないな」とトムが言うので、
「それじゃあ、商隊の護衛を探しますか」と私はエミーと一緒に依頼書が張っていあるボードを見に行った。
0
お気に入りに追加
43
あなたにおすすめの小説
帰らなければ良かった
jun
恋愛
ファルコン騎士団のシシリー・フォードが帰宅すると、婚約者で同じファルコン騎士団の副隊長のブライアン・ハワードが、ベッドで寝ていた…女と裸で。
傷付いたシシリーと傷付けたブライアン…
何故ブライアンは溺愛していたシシリーを裏切ったのか。
*性被害、レイプなどの言葉が出てきます。
気になる方はお避け下さい。
・8/1 長編に変更しました。
・8/16 本編完結しました。
「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。
因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。
そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。
彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。
晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。
それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。
幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。
二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。
カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。
こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
あなたが望んだ、ただそれだけ
cyaru
恋愛
いつものように王城に妃教育に行ったカーメリアは王太子が侯爵令嬢と茶会をしているのを目にする。日に日に大きくなる次の教育が始まらない事に対する焦り。
国王夫妻に呼ばれ両親と共に登城すると婚約の解消を言い渡される。
カーメリアの両親はそれまでの所業が腹に据えかねていた事もあり、領地も売り払い夫人の実家のある隣国へ移住を決めた。
王太子イデオットの悪意なき本音はカーメリアの心を粉々に打ち砕いてしまった。
失意から寝込みがちになったカーメリアに追い打ちをかけるように見舞いに来た王太子イデオットとエンヴィー侯爵令嬢は更に悪意のない本音をカーメリアに浴びせた。
公爵はイデオットの態度に激昂し、処刑を覚悟で2人を叩きだしてしまった。
逃げるように移り住んだリアーノ国で静かに静養をしていたが、そこに1人の男性が現れた。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※胸糞展開ありますが、クールダウンお願いします。
心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。イラっとしたら現実に戻ってください。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!
ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、
1年以内に妊娠そして出産。
跡継ぎを産んで女主人以上の
役割を果たしていたし、
円満だと思っていた。
夫の本音を聞くまでは。
そして息子が他人に思えた。
いてもいなくてもいい存在?萎んだ花?
分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。
* 作り話です
* 完結保証付き
* 暇つぶしにどうぞ
何もできない王妃と言うのなら、出て行くことにします
天宮有
恋愛
国王ドスラは、王妃の私エルノアの魔法により国が守られていると信じていなかった。
側妃の発言を聞き「何もできない王妃」と言い出すようになり、私は城の人達から蔑まれてしまう。
それなら国から出て行くことにして――その後ドスラは、後悔するようになっていた。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
政略結婚の約束すら守ってもらえませんでした。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
「すまない、やっぱり君の事は抱けない」初夜のベットの中で、恋焦がれた初恋の人にそう言われてしまいました。私の心は砕け散ってしまいました。初恋の人が妹を愛していると知った時、妹が死んでしまって、政略結婚でいいから結婚して欲しいと言われた時、そして今。三度もの痛手に私の心は耐えられませんでした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる