俺の知らなかった世界

暁エネル

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俺の悩み

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本当にその日から龍とは放課後は一緒に帰れなくなっていた


俺のクラスも運動会の練習を放課後する事になったからだ


昼休み2・3年生が俺のクラスへ


「この中でリレー走るヤツいる?」


「はい」


俺は手を上げていた


俺と同じくらい背の高い男子と


活発そうな女子がリレーの選手である


俺と前田さんに声をかけ廊下に呼び出された


「良かった昼休みに教室に居てくれて・・・」


そう話をしたのは背の高い3年生


「このメンバーで4組のリレーを走る事になる訳なんだけど 順番どうしよう またバトンの練習が必要だよなぁ~ 放課後はそれぞれ忙しいと思うだろうし・・・ だからさぁ~昼休みどこかで場所を決めて練習したいんだけど どうかなぁ~?」


「大丈夫です」


「私も・・・」


みんながうなづいた


「それじゃ~今日は顔を覚えてもらうのと 場所決めだなぁ~ 校舎裏がいいんだけどなぁ~ 他のクラスと合わなければ・・・ それか校庭の隅っこでひっそりと 運動会が近くなったらさぁ~ もちろん放課後校庭で練習はさせてもらう様に先生にはお願いするんだけど・・・ まずはどこかで・・・」


俺は小学校の時の運動会とは違う物を感じていた



(いきなり本番じゃ~ないんだ 3年生は最後の運動会だもんなぁ~ 練習とかちゃんとするんだなぁ~)



みんなは黙ってしまった


「一応校舎裏でいいんじゃない? ダメそうだったら移動すれば・・・」


活発そうな3年生女子がそう言った


「そうだなぁ~ それじゃ~そうしよう では明日からよろしく このメンバーで4組のリレーを盛り上げ頑張りましょう・・・」


3年生の言葉にみんなが声を出した


「よろしくお願いします」


「頑張ろうね」


「よろしく」


「ドキドキするね」


2・3年生は手を振ってそれぞれ教室へと戻っていった


俺と前田さんは教室へと戻って来た


「何か速そうな人が揃ったって感じだったね」


「あぁ~でも大丈夫 前田さんもその中に入ってるから・・・」


「ありがとう宮野君」


前田さんは嬉しそうに笑ってそう言った


「ねぇ~宮野君」


「ううん?」


「宮野君はどういう順番がいいと思う?」


「そうだなぁ~ やっぱり初め第一走者が大事だと思う それとバトンの受け渡し・・・」


「そうなんだよね バトンでさぁ~どうしてもスピードが落ちるからもったいないよねぇ~」


「あぁ~それなぁ~」


チャイムが鳴りみんなが教室へと入って来た


ホームルームで全員リレーの走る順番を決めた


人数の関係上俺が第一走者とアンカーを任された


走る事は嫌いではない俺は喜んで手を上げた



(龍のクラスも走る順番とか決めてるのかなぁ~ 龍は全員リレーどの辺で走るんだろう 龍と走ってみたいなぁ~そしたらめっちゃ楽しいだろうなぁ~)



龍と話が出来るのは登校の少しの時間だけ


俺は少しでも龍の傍で龍の顔が見られる事を大事にしていた



(龍に全員リレーの事を聞きたいけど また楽しみがなくなるとか言われそうだなぁ~)



体育の授業でも本格的に運動会の練習が始まった


俺はすぐに龍の姿を見つけ目を向けてしまっていた


龍が友達と楽しそうに話をしている様子に俺は落ち込み


龍が友達と話をしている時はなるべく 龍の事を見ない様にもしていた



(龍が笑ってる・・・ 見ない様にしていても どうしても目が龍を追いかける どこに居るのかすぐに龍がわかる これは重症だ・・・)



俺は一瞬落ち込み でもまたすぐに龍に目を向けてしまっていた


応援団の声が校庭に響き 放課後は運動会一色に


クラスのスローガンが作られて 各クラスが盛り上がりを見せていた





龍と放課後一緒に帰れなくなって 


俺は龍の家にも行かれない日々が続き


中間テストの勉強にもあきて


俺は少し歩き小さな公園を見つけ


誰も居ない小さな公園で1人リレーの練習をしていた


「あれ? 宮野君?」


後ろから声が聞こえて来た


俺が振り返ると前田さんが立っていた


「前田さん」


「えっここで何してるの?」


「あっちょっと気分転換にリレーの練習」


「えっ1人で・・・」


「何かさぁ~ 落ち着かなくて・・・」


「あっ 私もそういう時あるよ」


「中間テストも近いんだけどね・・・」


「テストが終わったらすぐに運動会だもんね」


「そうなんだけどね・・・」


前田さんはブランコに座った


俺も前田さんの隣のブランコへと座った


「宮野君ここね 私が小さい時に良く遊んだ公園なんだよ」


「えっ前田さんの家この近所?」


「うんすぐそこ・・・ 宮野君が居たからびっくりしちゃった」


「そうだったんだ・・・」



(前田さんの家ってこっちの方だったんだ・・・)



「私の小さな頃はもっと広くて遊具とかもっと高い公園だと思ったんだけどね こんなに小さな公園だったんだね」


「それは前田さんが大きくなったからだよ」


「そうだね・・・」


前田さんはそう言いながらブランコをこぎはじめた


俺は前田さんがゆっくりとブランコをこぐ様子を黙って見ていた


前田さんのブランコが止まった


「ねぇ~宮野君 宮野君は好きな人居る?」


いきなりそんな事を言われて俺は戸惑った


「あっごめん 変な事聞いて・・・」


「あっいや・・・」


俺はそう言いながらも龍の顔を思い浮かべていた


「好きな人って言うか そう言うのではなく はっきりとした事はわからないんだけど・・・ いつも目がその人の事を追いかけけて 気が付くといつも見てる 無意識なんだろうけどさぁ~ 俺も良くわからないんだ・・・ でもそんな人なら居る」


「そんなのもう好きじゃん」


「えっ やっぱそうなの?」


俺自身が驚いていた



(えっだって・・・ 龍は男で俺も男で龍の傍にはいつも居たいと思うけど・・・ 果たしてこれが好きって言う感情なのかわからない・・・)



「ねぇ~前田さん いくつか質問していいか?」


「えっ何?」


「その人が他の人と話をしているを見ただけで 落ち込んだり嫌だと思うって・・・」


「そりゃ~ 自分以外の人と楽しそうに話をしていたら 嫌な気持ちになるんじゃない そんなの当たり前でしょう・・・」


「当たり前なんだ・・・」


「じゃ~ふとした時に今何してるのかなぁ~とか 今どうしてるのかとか思ってしまうって事は・・・」


「宮野君は自覚がないって事 完全に宮野君それはその人の事好きだよ・・・」



(やっぱり・・・ 俺は今やっぱりって思った でも男同士でそんな事あるのか? でも俺は龍の傍に居たい これは好きって言う事なのか・・・)



「宮野君」


「あっごめん何?」


「それってもしかして私の事だったり?」


「あっごめん違う」


「そうだよね・・・ 私ね入学式で宮野君を見かけて 同じクラスだって知ってしかも隣の席 これは運命かって勝手に思ってて もしかしたら宮野君も私の事ってちょっと思ってたんだ・・・」


「ごめん前田さん」


「ううん」


前田さんは首を振った


「前田さんが俺に声をかけてくれた事嬉しかった 俺はクラスにまだ友達が居なかったから・・・」


「宮野君は私のタイプだっただけ・・・ 宮野君にそんな好きな人が居るとは思わなかった」


「うん 俺も今自覚したよ 前田さんじゃなくて悪い・・・」


「ねぇ~宮野君聞いてもいい? 私の知ってる人?」


「知っては居ると思うけど 話はした事はないと思うよ」


「そうなんだ・・・ 私宮野君に告白しないで良かった この気持ちが大きくなる前で良かった 今さりげなく聞けて良かった・・・ 宮野君ありがとう」


「ごめん前田さん」


「ううん」


前田さんはそう言ってまた首を振った


「宮野君 今まで通り明日も変わらず 私と話をしてくれる?」


そう言って前田さんはブランコを降りた


「前田さん もちろんだよ」


「ありがとう良かった・・・宮野君 私帰るね」


「送るよ」


「大丈夫 ホントにすぐそこだから・・・」


そう言って前田さんは公園の入り口へ 


俺に小さく手を降って走って帰って行った



(前田さん・・・ 前田さんも俺を目で追ってくれていたのだろうか 俺が龍の事を目で追うように・・・ 俺は龍の事が好きなのかぁ~ でも龍は俺の事をそんな風には思ってねぇ~よなぁ~)



俺は少し落ち込みながら家へと向かった



(つづく)


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