俺の知らなかった世界

暁エネル

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2学期

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今日からまた学校生活の日々が始まった


俺は龍とのいつもの待ち合わせ場所へと行ってみると


龍がすでに俺を待っていた


「龍おはよう めずらしいなぁ~龍が先に来てるとか・・・」


「初めだからなぁ~」


「えっ何が? 学校のみんなに早く会いたいとか?」


「そんなんじゃねぇ~よ 置いて行くぞ・・・」


「あっ待ってよ・・・」


俺は少し走って龍を追いかけた



(龍は何を照れてるんだ?)



俺にはわからず龍と並んで歩いた


「そう言えば昨日 忍は甚平じゃ~なかったな」


「寝起きだったからなぁ~」


「龍も浴衣着るのかと思ってた・・・」


「何で家でやる花火にわざわざ浴衣を着る必要があるんだよ」


「いや~ 龍の浴衣姿がカッコ良かったからさぁ~ また見られると思ってたからさぁ~」



(真彦は良くそんな恥ずかし事をへ~きで言えるよなぁ~)



俺は真彦とは反対側を向いていた


「あぁ~そうそう相沢さんが来ていたのは ちょっと意外だったなぁ~」


「もう進路も決まって落ち着いた感じなんだろう・・・」


「そうなんだ・・・」



(俺と龍も受験生になるんだよなぁ~)



「あっ 花火スゲーたくさんあったなぁ~」


「あぁ~ あぁ~いうのうちの連中が好きなんだよ」


「俺も忍と線香花火が出来て良かったよ」


「一緒にやって真彦が最初に落ちてたけどなぁ~」


「いいだろう・・・ 楽しかったんだから・・・」


龍は声を出して笑っていた





教室に入るとほとんどの人が日焼けをしていた


俺は久しぶりに友達に会えて嬉しかった


「宮野君おはよう」


「おはよう前田さん」


「宮野君はあまり日焼けしてないね」


「あぁ~あまり外には出なかったから・・・」


「へ~意外・・・ 宮野君ってインドア?」


「いや別にそう言う訳じゃねぇ~よ」


「家族で旅行とか行かなかったの?」


「もう中学だしなぁ~ 親と行くより友達と居た方が楽しいだろう・・・」


「男の子ってそんなもんなの?」


「男の子ってそんなもんだ・・・」


「へ~」


俺の隣の席の前田さんは机にひじをついてそう言った


始業式が始まり2学期がスタートした


早速席替えが行われ 俺は窓側の一番後ろの席になった



(めちゃくちゃラッキー ここから校庭が見えるし 結構先生からも死角だよなぁ~)



俺は自分の席に満足していた


明日から授業が始まりホームルームでは


運動会の種目を決めると先生から言われていた



(運動会・・・ ヤベ~めちゃくちゃ楽しみ・・・ どんな競技があるんだ? なるべくいっぱい出たいなぁ~ リレーとか盛り上がるんだよなぁ~)



クラスのみんながバラバラと席を立ち


俺は先生が教室から出て行った事を知った


俺がカバンを持ち立ち上がると


クラスの友達が俺の所へ


「宮野 宮野は確か足が速かったなぁ~」


「スポーツ得意な感じだよなぁ~」


「部活に入ってないのもったいねぇ~よなぁ~」


「えっ 宮野って帰宅部?」


俺は友達に囲まれていた


「俺も運動会は楽しみなんだ・・・」


「宮野は絶対にリレーでるべきだよ」


「あと速いヤツ誰だ?」


「まぁ~明日決めればいい事だから 俺はもう行くね」


「あぁ~じゃ~明日」


俺は友達と別れ龍の教室へ





いつも座っている机には龍が居なかった


俺は龍の教室へと入って龍を探した


龍は廊下側の前から2番目に座っていた


「龍」


「真彦」


「龍のクラスも席替えしたのか・・・」


龍は立ち上がりカバンを持って俺の方へ


「龍が見えなくて焦ったよ」


「何で真彦が焦るだよ」


俺は笑ってごまかした


俺と龍は教室を出た


「俺のクラス 明日運動会の種目決めるらしい・・・ 運動会ってワクワクするよなぁ~」


「真彦は体力バカだからなぁ~」


「何だよそれ・・・」


「せいぜい活躍してくれ・・・」


「何言ってんだよ龍・・・ 龍のクラスの足の速いヤツって龍と何人かしか居なくねぇ~ 体育で一緒なんだからそれくらいわかる 俺は龍と戦いたい」


「俺が真彦に勝てる訳がねぇ~だろう・・・ 俺ははなから負けるとわかった勝負はしない主義なんだよ」


「え~俺は龍とリレー走りたいけどなぁ~」


「嫌なこった・・・」


龍はそう言いながら俺と並んで歩いていた





龍の家に着いた俺は久しぶりの制服に 


ワイシャツのボタンを外していた


「若 お帰りですか?」


フスマから声が聞こえて来た


「あぁ~いいぞ」


「失礼しやす」


そう言いながら世話係さんが入って来た


「真彦さんいらっしゃい」


「お邪魔しています」


「忍さんがお昼寝をしているので 今のうちにお昼ご飯をご用意させていただきやす ここへ運びますか?」


「いやいい行く」


「では真彦さんの分もご用意させていただきやす」


「いつもすいません」


俺は小さく頭を下げた


「いえ」


「昨日の花火 楽しかったです あんなにたくさんありがとうございました」


「いえ 少し買いすぎましたね 真彦さんが帰る時間が遅くなってしまって かえって申し訳がなかったです」


「そうだなぁ~ やけにたくさん買い込んでたなぁ~」


「若初め 皆さんで楽しんでいただきたくて ついつい買いすぎてしまいました」


そう言って世話係さんは頭をかいていた


「ではあっしは失礼しやす」


そう言って世話係さんは龍の部屋を出て行った


「ホントに昨日は楽しかった・・・」


「渚が相沢にめちゃくちゃ怒られてたなぁ~」


「渚も嬉しかったんじゃない? つい調子に乗ってただけだよ・・・」


「まぁ~被害がなくて良かったよ」


「忍はやっぱりおとなしいよなぁ~」


「花火を怖がるかと思ってたけどなぁ~」


「えっ忍 手持ち花火初めてだったの?」


「あぁ~ 案外大丈夫だった」


「そんな風には見えなかったけど・・・」


「忍はみんなが居た手前言えなかったのかもなぁ~」


「でも忍は笑顔だったよ」


「あぁ~楽しそうだった」


俺は龍の少し笑った顔を見ていた





次の日のホームルーム


先生が黒板に運動会の種目を書いていた


俺はみんながざわつく中黙って黒板を見ていた



(1年生全員リレーとかあるんだ クラス対抗ムカデ競争 学年混合リレーとか・・・ クラス全員でリレーするとか楽しそうだなぁ~)



先生が書き終わり生徒の方を向いた


「中学生になっての初めての運動会 正直運動は苦手だと思う者手を上げて・・・」


先生は自ら手を上げていた


バラバラと手は上がった


「はいおろして・・・ 手を上げなかった者は 今手を上げた者のサポートをして欲しい・・・ 運動会はこのクラスが一致団結するいい機会だと先生は思います 1人1人が助け合って良い思い出の残る運動会にしましょう」


先生はそう言って用紙を手に取った


「宮野君」


突然俺の名前が呼ばれた


「はい」


クラスのみんなが振り返っていた


「このクラスの男子では宮野君が1番速いのですが・・・ 学年混合リレーに出てくれますか?」


俺は立ち上がった


「俺で良ければ頑張ります」


「ありがとう宮野君」


みんなが拍手をしてくれた


「では女子前田さん お願い出来ますか?」


「はい 頑張ります」


同じくみんなから拍手をされていた


「では宮野君前田さん 4組の2・3年生と一緒に走る事になります バトンの練習走る順番は話し合って決めて下さい よろしくお願いします」




(龍は・・・ 龍もリレーに出るのか? 龍と勝負してみたい気もする・・・)



全員リレーの走る順番を決め 


運動の苦手な人の負担にならない様な順番になった


俺達4組はとても穏やかに運動会の順番が決まった


これから運動会に向けての練習が始まる





「あっ宮野君」


俺の居る1番後ろの席に前田さんがやって来た


「学年混合リレーよろしくね」


「前田さんって足速かったんだね」


「うん 小学校の時もリレー出たよ 違う学年と一緒に走るのは初めてだけどね」


「俺も・・・ 練習とかあったら一緒に行こう・・・」


「うん」


前田さんは嬉しそうにうなづいた


「じゃ~俺帰るから・・・」


「うん 宮野君また明日・・・」


俺はカバンを持って龍のクラスへ


俺は教室の前のドアから龍のクラスへ



(龍のクラスも席替えしたから 前のドアから入ろう・・・)



俺はまたいつもの様に龍はポツンと座っているのだとそう思っていた


けれどもその日はみんなに囲まれ嬉しそうにしている龍の姿があった
 


(何だよこれ・・・)



俺は衝撃を受けていた



(何かスゲー嫌だ 俺の龍から離れろよ・・・)



俺は思わず大きな声を出していた


「龍・・・」



(つづく)


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