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花火
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祭りが終わってから 俺は龍の家で夏休みの宿題をしていた
龍の夏休みの宿題は残りわずか
一方俺はまだ半分以上が残っていた
祭り以降 俺と忍はすっかり仲良くなり
忍は龍の部屋へとよく遊びに来る様になっていた
「あっ忍」
忍がフスマをゆっくりと開けて龍の部屋へと入って来た
忍は邪魔にならない様に静かにしていた
「真彦 忍が来たからって手は止めるなよ」
「え~少しぐらいいいじゃん」
「真彦は今まで少しだった事があるのかよ そこでいつも宿題終わらせるだろうが・・・ 今日はダメだ忍と遊びたかったら宿題一つ終わらせろ・・・」
「え~ 一つ?」
(でも龍の言う通りなんだよなぁ~ 忍が来ると俺はいつも遊んでしまって宿題が終わらない う~わかってるわかってるよ 宿題をやらないとならねぇ~のはさぁ~ でもやっと忍と仲良くなったのに見てるだけって・・・ あぁ~忍と俺も遊びたい・・・)
俺は龍と仲良く遊んでいる忍の様子を見つつ宿題を続けていた
龍の膝の上に忍が座っている姿は 俺は凄く好きでうらやましくも思っていた
「終わった・・・」
俺は両手を上げてそう言った
「真彦 終わったか」
「うん 数学が終わった あと読書感想文と英語の書き取り・・・」
「読書感想文は手伝えねぇ~ぞ」
「龍は終わったの?」
「本は読んだ」
「えっマジ? マンガならスラスラ読めるんだけどなぁ~」
「真彦の読みたい本でいいんじゃねぇ~のか?」
「それがあれば苦労はしないよ・・・」
「しょうがねぇなぁ~ それじゃ~真彦のやる気を出させてやろうか?」
「何をするのさぁ~」
俺は半分ふてくされて龍にそう言った
「夏休み最終日 ここで花火をするんだ・・・」
「えっ花火」
俺は嬉しくなって前のめりになった
「あぁ~ 手持ち花火だけどなぁ~ うちには大人がたくさん居るから危険な事にはならねぇ~しなぁ~」
(えっ 夏休みの終わりに花火 めっちゃいいじゃん また忍の甚平とか龍の浴衣姿とか見られたりして・・・)
「俺は忍と静かに線香花火とかしたいなぁ~」
「だろう・・・ 忍も花火したいよなぁ~」
「うん」
忍は嬉しそうにそう言った
「真彦もう一つ・・・ 温水プール覚えてるか?」
「あぁ~覚えてる 龍と特訓したプールだろう・・・」
「忍もそろそろ泳ぐ練習をさせたいんだ だから真彦もって思ったんだけど・・・」
「行く 絶対に行くよ・・・」
「でもなぁ~忍 真彦の宿題が終わらないんじゃ~なぁ~ 一緒に行きたくてもなぁ~」
「終わらないの?」
忍は龍の膝の上かた龍を見上げてそう言った
「終わらないのか? 真彦」
「終わらせるよ絶対に当たり前だろう・・・ 龍の読んだ本貸してくれ それで感想文を書く 英語もすぐにやる だから俺もプールに連れて行ってくれ・・・」
「良かったなぁ~忍 真彦も一緒にプールに行けるって・・・」
「うん」
忍はまた嬉しそうに笑っていた
(よ~し絶対に終わらせる そしてプールも花火も忍と一緒にするんだ・・・)
俺はすぐに龍から借りた本を読み 英語の書き取りも同時に進めていった
(本当に真彦はチョロイなぁ~ 忍をダシにするとホイホイ言う事を聞く でもこれで忍が水を怖がらずにプールに入れたらいいんだけどなぁ~ それは別の話なんだよなぁ~)
俺は真彦よりも先に宿題を全て終わらせ 忍と遊びながら真彦の宿題が終わるのを待っていた
(クッソ~ 楽しそうに遊ぶなよ・・・ 俺も遊びてぇ~)
俺は忍の笑い声を聞きながら宿題を進めていた
「う~」
俺はテーブルに倒れ込んだ
「真彦どうした? もしかして集中出来ねぇ~のか?」
「えっ違う」
俺はすぐにテーブルから起き上がった
「忍 真彦が邪魔だって・・・ 行こうか」
(俺は気分転換させようと宿題に飽きてきた真彦に ちょっと意地悪をしてみたくなった)
龍は立ち上がり部屋を出て行こうとしていた
「待って・・・」
俺は龍と忍に手を伸ばした
「1人にしないで・・・」
「だって集中出来ねぇ~んだろう・・・」
「出来る出来るから・・・ 俺がこの部屋に1人になったら家に居るのと一緒だろう・・・ 何の為に俺がここに来たのかわかんねぇ~よ」
「何の為だよ・・・」
そう言いながら龍が座って俺は少し安心した
「俺の為・・・ 兄弟の居る龍には理解出来ねぇ~かもしんねぇ~けど 1人はさみしいんだよ」
「そっか わかった」
俺は龍の言葉を聞いて また宿題に取り掛かった
(しめしめ真彦ってホントチョロイなぁ~)
俺は笑いたいのを我慢していた
俺は頑張って学校が始まる1週間前に 夏休みの宿題を無事に終わらせる事が出来た
今日は世話係さんの運転で前にも行った事のある
温水プールへ忍のプールの練習をかね
俺も一緒に行く事になった
「懐かしいなぁ~」
「そうだなぁ~」
「世話係さんに教えてもらって泳げる様になったもんなぁ~」
「いえ あっしは何も・・・」
そう言いながら車を降りた
(そう言えば・・・ 龍って一度も学校のプールに入ってないいつも見学してた・・・ もしかして龍はもう身体に入れ墨を入れたのか?)
俺は少しドキドキしながら更衣室に入った
「若 真彦さん自由に泳いで下さいね あっしは忍さんに泳ぎ方を教えますんで・・・」
「俺達も手伝う なぁ~真彦」
「はい 世話係さんにはいつもお世話になってるんで 今日ぐらいはゆっくりして下さい」
「そうだ 忍の事は心配しなくていい 俺と真彦で見てるから・・・」
「えっいいんですか? あっしがゆっくりしても・・・」
「真彦の言う通り ここには4人しか居ねぇ~ 他に誰もお前の事を悪く言うヤツは居ねぇ~から 安心してゆっくりと自分の時間を過ごしてくれ と言ってもこのプールの中だけどなぁ~」
「若 もったいないお言葉ですよ・・・ ではお言葉に甘えてあっしはゆっくりとさせていただきやす でも何かありましたら遠慮なく言って下さいやし・・・」
「あぁ~わかった」
俺達4人は更衣室を出て温水プールへ
世話係さんが忍のアームリングを膨らませていた
「今ってそんなのがあるんですね」
「はい 忍さんは小学校ご入学前なので ビート板はまだ早いかと・・・」
「真彦 準備運動するぞ」
「あっうん」
忍も俺と龍の真似をして準備運動を一緒にしていた
忍は世話係さんにアームリングを腕に付けてもらっていた
(カワイイ・・・ 忍は何を付けてもカワイイなぁ~)
「では若 真彦さん忍さんの事をよろしくお願いしやす・・・」
「あぁ~大丈夫だ」
世話係さんは知り合いが居たのか 駆け寄り話をしていた
「それじゃ~俺達も行くか」
「龍 ちょっと待って・・・」
「何だよ真彦」
「俺 龍がその・・・」
「何だ?」
「龍が入れ墨を入れたのかとドキドキしてた・・・」
「はぁ~?」
「だって・・・ 龍は学校のプールに入らなかったし 俺はてっきり・・・」
「それで更衣室で俺の事をジロジロ見てたのか・・・」
龍は忍と手を繋ぎ 首を傾けて俺を見ていた
「だって龍は前に言ってたじゃんか・・・」
「真彦 あれは大人になってからの話だ まだ学生だぞ俺達は・・・ それに学校のプールはかぜぎみだったのと面倒くさかったからだ 安心したか?」
「えっあっまぁ~」
「それじゃ~ 忍がプールを怖がらない様にサポート頼む」
「あぁ~任せろ・・・」
俺は元気良くそう言った
小さなプールに俺は忍を抱っこして入った
「忍 大きなお風呂みたいだろう・・・」
「うん」
「怖くないか?」
「うん」
「真彦 忍を浮かせて手を取ってやってくれ・・・」
「うん わかった」
「忍 大丈夫だ 俺と龍が傍に居る」
「うん」
俺はゆっくり忍を浮かせ手を取った
「忍 足バタバタしてみろ・・・」
龍の言葉に忍はすぐに動いた
「えっ忍バタ足出来てるじゃん」
「いい感じだなぁ~」
忍は俺の手を握っているものの しっかりとバタ足が出来ていた
「スゲー忍 もう泳げるじゃん」
「アームリングのおかげだろうなぁ~」
「えっでも それでもだよ 忍が少しも怖がってなかったからじゃん」
「まだ 顔をプールにつけてねぇ~しなぁ~ 課題はこれからだなぁ~」
「それなら プールの中でジャンケンとか・・・」
「真彦それだ・・・」
俺が忍を支えて 龍が忍のアームリングを取った
「忍 息を吸い込んでプールの中で目を開けてジャンケンしよう 出来るか?」
忍はうなづいた
「忍 俺が忍を支えているから大丈夫だ」
忍は大きく息を吸い込んだ
俺は上からの龍と忍の様子を伺っていた
(忍は目を開けられたのか? ジャンケンしてるよ・・・)
俺はおもいっきり忍を持ち上げた
忍は顔をこすっていた
「忍 やったなぁ~」
「龍 ジャンケン出来たの?」
「あぁ~ ちゃんと出来た 目も開けられた」
「スゲー忍 やったなぁ~」
俺は嬉しくなって忍をまた持ち上げていた
それから忍はアームリングを付ける事なく
俺と龍で代わる代わる 忍を支え忍は少し泳げる様になり
帰りの車の中で忍は眠ってしまっていた
「若 真彦さん今日はありがとうございました」
「少しはゆっくり出来たのか?」
「へい 知り合いと久しぶりに会いまして ゆっくり過ごす事が出来ました」
「そうか」
「真彦さんこのまま 真彦さんのご自宅へ向かいますね」
「あっ いつもありがとうございます」
「いいえ真彦さん お礼を申し上げるのはあっしの方なんですよ いつも真彦さんには感謝しています ありがとうございます」
「お前がそういう事を言うとしらけるだろう・・・」
「あっ若すいやせん」
車は静かに進んで行った
待ちに待った夏休み最終日
今日は龍の家で花火をする日だ
俺は朝からソワソワしていた
(忍はまたあのカワイイ甚平かなぁ~ 出来れば龍の浴衣姿をもう一度見たい・・・)
俺はそんな事を思いながら家を出た
「真彦」
「ううん?」
「ちゃんと言って来たんだよなぁ~」
「夕飯の事だろう・・・ ちゃんと言って来た 今日は龍の家で食べるって・・・」
「そうか それならいい・・・」
「俺は今日を楽しみにしてたんだ夏休み最終日・・・ もう何日も前から言ってあるよ」
俺は忍が遊びに来ないか待っていた
けれどもいくら待っても忍は姿を見せなかった
俺は初めて龍がいつもご飯を食べるダイニングテーブルへ来ていた
そこはとても広くキッチンはお店屋さんみたいに大きかった
「あっ真彦」
渚の声に反応した俺は 渚の隣へと目を向けた
(えっ相沢さんだ・・・ 渚に会うのも久しぶりだけど 相沢さんに会うのも久しぶりだ・・・)
俺は龍の隣へと座った
「相沢も来てたのか?」
「龍も久しぶりだけど真彦君はもっと久しぶりだよね」
「はい お久しぶりです」
「受験勉強はいいのか?」
「夏休み最終日くらいは息抜きしないとね・・・」
「渚は宿題終わったのか?」
「相沢が手伝ってくれた・・・」
「相沢 渚をあまり甘やかすなよ」
「僕は別に甘やかした覚えはないよ」
俺は龍が話をしているのを聞きながらソワソワしていた
「真彦 どうした?」
「さっきから忍の姿が見えねぇ~」
「真彦大丈夫だ 忍はたっぷり昼寝をする様に言ってある きっと興奮し過ぎて寝れなかったんだろう そのうち来るから大丈夫だ」
「そっか~ 忍も楽しみにしてたんだ・・・」
俺達が夕飯を食べている頃
眠たい目をこすりながら忍は俺達の前に姿を見せた
いい感じに外が暗くなり
龍の家の広い縁側に世話係さんがロウソクを立てた
「さぁ~ 皆さん準備が出来ました お好きな花火をどうぞ・・・」
いろいろな花火が一斉に花開き とても綺麗な夜だった
(つづく)
龍の夏休みの宿題は残りわずか
一方俺はまだ半分以上が残っていた
祭り以降 俺と忍はすっかり仲良くなり
忍は龍の部屋へとよく遊びに来る様になっていた
「あっ忍」
忍がフスマをゆっくりと開けて龍の部屋へと入って来た
忍は邪魔にならない様に静かにしていた
「真彦 忍が来たからって手は止めるなよ」
「え~少しぐらいいいじゃん」
「真彦は今まで少しだった事があるのかよ そこでいつも宿題終わらせるだろうが・・・ 今日はダメだ忍と遊びたかったら宿題一つ終わらせろ・・・」
「え~ 一つ?」
(でも龍の言う通りなんだよなぁ~ 忍が来ると俺はいつも遊んでしまって宿題が終わらない う~わかってるわかってるよ 宿題をやらないとならねぇ~のはさぁ~ でもやっと忍と仲良くなったのに見てるだけって・・・ あぁ~忍と俺も遊びたい・・・)
俺は龍と仲良く遊んでいる忍の様子を見つつ宿題を続けていた
龍の膝の上に忍が座っている姿は 俺は凄く好きでうらやましくも思っていた
「終わった・・・」
俺は両手を上げてそう言った
「真彦 終わったか」
「うん 数学が終わった あと読書感想文と英語の書き取り・・・」
「読書感想文は手伝えねぇ~ぞ」
「龍は終わったの?」
「本は読んだ」
「えっマジ? マンガならスラスラ読めるんだけどなぁ~」
「真彦の読みたい本でいいんじゃねぇ~のか?」
「それがあれば苦労はしないよ・・・」
「しょうがねぇなぁ~ それじゃ~真彦のやる気を出させてやろうか?」
「何をするのさぁ~」
俺は半分ふてくされて龍にそう言った
「夏休み最終日 ここで花火をするんだ・・・」
「えっ花火」
俺は嬉しくなって前のめりになった
「あぁ~ 手持ち花火だけどなぁ~ うちには大人がたくさん居るから危険な事にはならねぇ~しなぁ~」
(えっ 夏休みの終わりに花火 めっちゃいいじゃん また忍の甚平とか龍の浴衣姿とか見られたりして・・・)
「俺は忍と静かに線香花火とかしたいなぁ~」
「だろう・・・ 忍も花火したいよなぁ~」
「うん」
忍は嬉しそうにそう言った
「真彦もう一つ・・・ 温水プール覚えてるか?」
「あぁ~覚えてる 龍と特訓したプールだろう・・・」
「忍もそろそろ泳ぐ練習をさせたいんだ だから真彦もって思ったんだけど・・・」
「行く 絶対に行くよ・・・」
「でもなぁ~忍 真彦の宿題が終わらないんじゃ~なぁ~ 一緒に行きたくてもなぁ~」
「終わらないの?」
忍は龍の膝の上かた龍を見上げてそう言った
「終わらないのか? 真彦」
「終わらせるよ絶対に当たり前だろう・・・ 龍の読んだ本貸してくれ それで感想文を書く 英語もすぐにやる だから俺もプールに連れて行ってくれ・・・」
「良かったなぁ~忍 真彦も一緒にプールに行けるって・・・」
「うん」
忍はまた嬉しそうに笑っていた
(よ~し絶対に終わらせる そしてプールも花火も忍と一緒にするんだ・・・)
俺はすぐに龍から借りた本を読み 英語の書き取りも同時に進めていった
(本当に真彦はチョロイなぁ~ 忍をダシにするとホイホイ言う事を聞く でもこれで忍が水を怖がらずにプールに入れたらいいんだけどなぁ~ それは別の話なんだよなぁ~)
俺は真彦よりも先に宿題を全て終わらせ 忍と遊びながら真彦の宿題が終わるのを待っていた
(クッソ~ 楽しそうに遊ぶなよ・・・ 俺も遊びてぇ~)
俺は忍の笑い声を聞きながら宿題を進めていた
「う~」
俺はテーブルに倒れ込んだ
「真彦どうした? もしかして集中出来ねぇ~のか?」
「えっ違う」
俺はすぐにテーブルから起き上がった
「忍 真彦が邪魔だって・・・ 行こうか」
(俺は気分転換させようと宿題に飽きてきた真彦に ちょっと意地悪をしてみたくなった)
龍は立ち上がり部屋を出て行こうとしていた
「待って・・・」
俺は龍と忍に手を伸ばした
「1人にしないで・・・」
「だって集中出来ねぇ~んだろう・・・」
「出来る出来るから・・・ 俺がこの部屋に1人になったら家に居るのと一緒だろう・・・ 何の為に俺がここに来たのかわかんねぇ~よ」
「何の為だよ・・・」
そう言いながら龍が座って俺は少し安心した
「俺の為・・・ 兄弟の居る龍には理解出来ねぇ~かもしんねぇ~けど 1人はさみしいんだよ」
「そっか わかった」
俺は龍の言葉を聞いて また宿題に取り掛かった
(しめしめ真彦ってホントチョロイなぁ~)
俺は笑いたいのを我慢していた
俺は頑張って学校が始まる1週間前に 夏休みの宿題を無事に終わらせる事が出来た
今日は世話係さんの運転で前にも行った事のある
温水プールへ忍のプールの練習をかね
俺も一緒に行く事になった
「懐かしいなぁ~」
「そうだなぁ~」
「世話係さんに教えてもらって泳げる様になったもんなぁ~」
「いえ あっしは何も・・・」
そう言いながら車を降りた
(そう言えば・・・ 龍って一度も学校のプールに入ってないいつも見学してた・・・ もしかして龍はもう身体に入れ墨を入れたのか?)
俺は少しドキドキしながら更衣室に入った
「若 真彦さん自由に泳いで下さいね あっしは忍さんに泳ぎ方を教えますんで・・・」
「俺達も手伝う なぁ~真彦」
「はい 世話係さんにはいつもお世話になってるんで 今日ぐらいはゆっくりして下さい」
「そうだ 忍の事は心配しなくていい 俺と真彦で見てるから・・・」
「えっいいんですか? あっしがゆっくりしても・・・」
「真彦の言う通り ここには4人しか居ねぇ~ 他に誰もお前の事を悪く言うヤツは居ねぇ~から 安心してゆっくりと自分の時間を過ごしてくれ と言ってもこのプールの中だけどなぁ~」
「若 もったいないお言葉ですよ・・・ ではお言葉に甘えてあっしはゆっくりとさせていただきやす でも何かありましたら遠慮なく言って下さいやし・・・」
「あぁ~わかった」
俺達4人は更衣室を出て温水プールへ
世話係さんが忍のアームリングを膨らませていた
「今ってそんなのがあるんですね」
「はい 忍さんは小学校ご入学前なので ビート板はまだ早いかと・・・」
「真彦 準備運動するぞ」
「あっうん」
忍も俺と龍の真似をして準備運動を一緒にしていた
忍は世話係さんにアームリングを腕に付けてもらっていた
(カワイイ・・・ 忍は何を付けてもカワイイなぁ~)
「では若 真彦さん忍さんの事をよろしくお願いしやす・・・」
「あぁ~大丈夫だ」
世話係さんは知り合いが居たのか 駆け寄り話をしていた
「それじゃ~俺達も行くか」
「龍 ちょっと待って・・・」
「何だよ真彦」
「俺 龍がその・・・」
「何だ?」
「龍が入れ墨を入れたのかとドキドキしてた・・・」
「はぁ~?」
「だって・・・ 龍は学校のプールに入らなかったし 俺はてっきり・・・」
「それで更衣室で俺の事をジロジロ見てたのか・・・」
龍は忍と手を繋ぎ 首を傾けて俺を見ていた
「だって龍は前に言ってたじゃんか・・・」
「真彦 あれは大人になってからの話だ まだ学生だぞ俺達は・・・ それに学校のプールはかぜぎみだったのと面倒くさかったからだ 安心したか?」
「えっあっまぁ~」
「それじゃ~ 忍がプールを怖がらない様にサポート頼む」
「あぁ~任せろ・・・」
俺は元気良くそう言った
小さなプールに俺は忍を抱っこして入った
「忍 大きなお風呂みたいだろう・・・」
「うん」
「怖くないか?」
「うん」
「真彦 忍を浮かせて手を取ってやってくれ・・・」
「うん わかった」
「忍 大丈夫だ 俺と龍が傍に居る」
「うん」
俺はゆっくり忍を浮かせ手を取った
「忍 足バタバタしてみろ・・・」
龍の言葉に忍はすぐに動いた
「えっ忍バタ足出来てるじゃん」
「いい感じだなぁ~」
忍は俺の手を握っているものの しっかりとバタ足が出来ていた
「スゲー忍 もう泳げるじゃん」
「アームリングのおかげだろうなぁ~」
「えっでも それでもだよ 忍が少しも怖がってなかったからじゃん」
「まだ 顔をプールにつけてねぇ~しなぁ~ 課題はこれからだなぁ~」
「それなら プールの中でジャンケンとか・・・」
「真彦それだ・・・」
俺が忍を支えて 龍が忍のアームリングを取った
「忍 息を吸い込んでプールの中で目を開けてジャンケンしよう 出来るか?」
忍はうなづいた
「忍 俺が忍を支えているから大丈夫だ」
忍は大きく息を吸い込んだ
俺は上からの龍と忍の様子を伺っていた
(忍は目を開けられたのか? ジャンケンしてるよ・・・)
俺はおもいっきり忍を持ち上げた
忍は顔をこすっていた
「忍 やったなぁ~」
「龍 ジャンケン出来たの?」
「あぁ~ ちゃんと出来た 目も開けられた」
「スゲー忍 やったなぁ~」
俺は嬉しくなって忍をまた持ち上げていた
それから忍はアームリングを付ける事なく
俺と龍で代わる代わる 忍を支え忍は少し泳げる様になり
帰りの車の中で忍は眠ってしまっていた
「若 真彦さん今日はありがとうございました」
「少しはゆっくり出来たのか?」
「へい 知り合いと久しぶりに会いまして ゆっくり過ごす事が出来ました」
「そうか」
「真彦さんこのまま 真彦さんのご自宅へ向かいますね」
「あっ いつもありがとうございます」
「いいえ真彦さん お礼を申し上げるのはあっしの方なんですよ いつも真彦さんには感謝しています ありがとうございます」
「お前がそういう事を言うとしらけるだろう・・・」
「あっ若すいやせん」
車は静かに進んで行った
待ちに待った夏休み最終日
今日は龍の家で花火をする日だ
俺は朝からソワソワしていた
(忍はまたあのカワイイ甚平かなぁ~ 出来れば龍の浴衣姿をもう一度見たい・・・)
俺はそんな事を思いながら家を出た
「真彦」
「ううん?」
「ちゃんと言って来たんだよなぁ~」
「夕飯の事だろう・・・ ちゃんと言って来た 今日は龍の家で食べるって・・・」
「そうか それならいい・・・」
「俺は今日を楽しみにしてたんだ夏休み最終日・・・ もう何日も前から言ってあるよ」
俺は忍が遊びに来ないか待っていた
けれどもいくら待っても忍は姿を見せなかった
俺は初めて龍がいつもご飯を食べるダイニングテーブルへ来ていた
そこはとても広くキッチンはお店屋さんみたいに大きかった
「あっ真彦」
渚の声に反応した俺は 渚の隣へと目を向けた
(えっ相沢さんだ・・・ 渚に会うのも久しぶりだけど 相沢さんに会うのも久しぶりだ・・・)
俺は龍の隣へと座った
「相沢も来てたのか?」
「龍も久しぶりだけど真彦君はもっと久しぶりだよね」
「はい お久しぶりです」
「受験勉強はいいのか?」
「夏休み最終日くらいは息抜きしないとね・・・」
「渚は宿題終わったのか?」
「相沢が手伝ってくれた・・・」
「相沢 渚をあまり甘やかすなよ」
「僕は別に甘やかした覚えはないよ」
俺は龍が話をしているのを聞きながらソワソワしていた
「真彦 どうした?」
「さっきから忍の姿が見えねぇ~」
「真彦大丈夫だ 忍はたっぷり昼寝をする様に言ってある きっと興奮し過ぎて寝れなかったんだろう そのうち来るから大丈夫だ」
「そっか~ 忍も楽しみにしてたんだ・・・」
俺達が夕飯を食べている頃
眠たい目をこすりながら忍は俺達の前に姿を見せた
いい感じに外が暗くなり
龍の家の広い縁側に世話係さんがロウソクを立てた
「さぁ~ 皆さん準備が出来ました お好きな花火をどうぞ・・・」
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