俺の知らなかった世界

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夏祭り③

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俺はまた忍を抱っこしたまま屋台へと戻っていた


「忍は何が欲しい? 忍 お面があるぞ」


俺がそう言うと忍は首を振った


「忍は何か欲しい物とかねぇ~の?」


俺の問に忍は答えてはくれなかった


「忍 ヨーヨーやるか」


龍はそう言ってヨーヨー釣りの前へ


丁度お客さんが居なくなったところだった


俺は忍をおろすと忍は龍の隣へ


「いらっしゃい 1回200円ね」


俺は世話係さんと一緒にヨーヨー釣りの所へ


「それじゃ~ 若と忍さんとお友達3つ頼むよ」


世話係さんの声にヨーヨー釣りの人は顔を上げ驚いた様にこう言った


「あっ 気が付きませんですいやせん」


「いやいいんだ それよりも3つ頼むよ」


「へい・・・ 若 初めやして 今しがたお嬢もお友達と来ていただきやして 楽しまれて行きやしたよ」


「そうか」


そう言いながらヨーヨー釣りの人は俺達に こよりに付いた針を渡してくれた



(龍も知ってる人なのかなぁ~? それにしても世話係さんってやっぱスゲー人なんだなぁ~)



俺は改めてそう思っていた


「忍 これに引っ掛けてヨーヨーを釣るんだ」


龍はそう言ってヨーヨーを選びこよりをたらした


「坊っちゃんはどれになさいますか?」


ヨーヨー釣りの人にそう聞かれ 忍がヨーヨーに指をさした


するとヨーヨー釣りの人はそのヨーヨーを忍の取りやすい様にしてくれた


龍は見事ヨーヨーを釣り上げいた


「やったな龍」


「若 お見事です」


ヨーヨー釣りの人も龍に拍手をしていた


そんな中忍の様子にみんなの視線が集まる


忍は慎重にこよりをたらしていた


すると忍はこよりを濡らす事なく


ゆっくりと忍はヨーヨーを持ち上げた


「忍スゲー」


「やったな忍」


「忍さんお見事です」


みんなにそう言われ忍は嬉しそうに笑っていた


「それじゃ~俺も頑張ってみるか・・・」


俺はそう言ってこよりをたらした


「真彦 勝負だ」


「いいぜ やろう・・・」



(龍はすでに1個ゲットしている ここは慎重にかつあまりこよりを濡らさない様にしたい・・・)



俺はこよりを濡らしヨーヨーを持ち上げる事が出来た


龍はもう一つのヨーヨーを持ち上げるとすぐにこよりが切れた


「あっしまった」


龍は残念そうにそう言った


「はい 龍はそこで終わりだな・・・ 俺はどれにするかなぁ~?」


俺の隣でまだこよりを濡らす事なく


忍が次々とヨーヨーを持ち上げていた


「坊っちゃん凄いですね これで3つめですよ」


「この際ですから ヨーヨー全部釣り上げちゃいましょう忍さん」


「勘弁して下さいよ 結構膨らませるの大変なんですから・・・」


世話係さんとヨーヨー釣りの人がそう言って笑っていた


俺は少し大きなヨーヨーに目を付けこよりをたらした


「真彦 それは難しいんじゃねぇ~の?」


「こういうのはチャレンジが大事なんだよ」


「おっ お連れ様はいい事言いやすね そうですよね 祭りですから楽しんでチャレンジしなくちゃ・・・」


ヨーヨー釣りの人はそう言って俺を盛り上げてくれた


俺はなんとかヨーヨーを引っ掛けあとは持ち上げるだけとなった


「さぁ~お連れ様はうまくいきやすか・・・」


「真彦さん頑張って下さい」


「真彦 いいぞ負けても・・・」


「言ってろ・・・ いくぞ」


俺は勢い良くヨーヨーを持ち上げると


ヨーヨーは一瞬持ち上がりヨーヨーの重みでこよりは切れてしまった


「いいでしょう お連れ様に差し上げます」


「やった・・・」


俺は大きな声を出し立ち上がりこぶしを上げた


俺の大きな声に傍に居た人達が集まって来た



(ヤベ 大きな声を出し過ぎた)



「はい お連れ様」


そう言ってヨーヨーをふいて俺に手渡してくれた


「あっ ありがとうございます」


「こちらこそ こんなにお客様を呼んで来ていただきやして・・・」


俺は人混みから抜け出した


俺が抜け出ると龍は2つ忍は4つのヨーヨーを持っていた


「真彦さん大丈夫ですか?」


「あっすいません」


「真彦が持ち上げるとはなぁ~」


「あれはおまけしてくれたから・・・ 世話係さんの知り合いじゃ~なかったらムリだったよ」


「いえ真彦さん あんなにお客様を呼んでいただいて 逆に感謝ですよ」


「あっそれ ヨーヨー釣りの人にも言われた それにしても忍は凄いなぁ~」


俺はまたしゃがんで忍のヨーヨーを見ていた


忍はしっかりと4つのヨーヨーを持って嬉しそうに笑っていた





俺はヨーヨー釣りではしゃぎ大きな声を出したセイなのか またお腹がすいてきた


俺はキョロキョロと屋台を見ていると


俺の隣で龍がバランスを崩しよろけた


俺は反射的に龍の腰に手を回し龍を支えていた


「龍 大丈夫?」


「若」



(俺とした事が・・・)



俺は自分でも驚き 真彦と目を合わせていた


「だっ大丈夫だ・・・ 下駄が石につまずいただけだ・・・」


龍は俺と世話係さんにそう言った


「龍がよろけるとか 俺がびっくりしたよ・・・」


「悪い 下駄なんて履きなれない物 履くもんじゃ~ねぇ~なぁ~」


「浴衣に下駄以外の履き物 スニーカーとか?そっちの方が無いよ・・・ それに龍は凄く似合ってる」


真彦の言葉に俺は言葉を失っていた



(似合ってる・・・ 隣に居たとは言え真彦に助けられるとは・・・ スゲー強く真彦に引き寄せられた・・・)






俺は行列が出来ているお好み焼きに足を止めていた


「真彦 次はお好み焼きか?」


「うんでも凄く並んでる」


「あっちに焼きそばも見える あっちはそんなに並んでないぞ」


「出来れば両方食べたい・・・」


「それでしたら あっしが焼きそばを買って来ます 若と真彦さんと忍さんはお好み焼きに並んでいて下さい」


そう言って世話係さんは焼きそばの屋台へと向かって行った


忍は龍と手を繋いでいた


「忍っておとなしいよなぁ~」


「そうだなぁ~ まだ欲があんまりねぇ~んだろう・・・」


「でもこのくらいの子って 駆け出してはぐれて迷子になったり 転んで泣いてたりとかするんじゃねぇ~の?」


「忍はこの祭り凄く楽しみにしてたんだ 忍の想像の祭りがどうかはわからねぇ~けど 自分で勝ち取ったヨーヨーを離さず持ってる姿を見ると 満足してるんじゃねぇ~のかなぁ~」


「うん 俺もっと忍の笑顔が見たい 忍ともっと話たい忍の事をもっと知りたい」


「まだ屋台は続いてる 忍は自分からやりたい物を言えないだろう だから俺らが忍にも出来そうな屋台を探してやらねぇ~となぁ~」


「そっかぁ~ さっきお面があって忍に聞いたら首を振られたからなぁ~ 俺には難しいかもなぁ~ でも食べ物なら忍と好みが一緒かもしれねぇ~から 俺は食べ物で行くよ・・・」


「真彦は自分が食べたいだけだろう・・・」


「結果 忍も好きな味なら文句はねぇ~だろう・・・」


忍が俺の方を向いてくれて 俺は嬉しくなって笑っていた





世話係さんが焼きそばを持って戻って来た


「お待たせしやした 丁度 お客さんが引いたところだったので 少しおまけしてもらいやした」


「良かったなぁ~真彦」


「すいません ありがとうございます」


「いえ まだまだ屋台はありますんで 楽しんでいただけたらあっしも嬉しいです」


お好み焼きの列もやっと屋台のお好み焼きが見えるくらいまでに進んでいた


鉄板にお好み焼きが何個も作られていた


「忍 見えるか?」


忍は首を振った


「真彦 出番だぞ」


そう言って龍は忍を俺の前へ


「あっ ヨーヨーは俺が持っててやるよ」


忍の手に握られていたヨーヨーを離し


忍は俺の方を向いてバンザイをしていた



(ヤベ~カワイイ・・・ 忍が俺に持ち上げられるのを待ってる・・・)



俺もヨーヨーを龍に渡して忍を持ち上げた


忍はすぐにお好み焼きの屋台の方を向いた


次々とお好み焼きが出来ていった


「お待たせいたしやした おいくつ用意しましょう」


次々とお好み焼きがなくなっていった


「はい次の方・・・」


「忙しいみたいだな」


「あっいらっしゃいまし おかげさんで忙しいです」


「3つ貰おうか」


「へい かしこまりやした」


手早くソースをぬり青のりをふりかけた


「まいど・・・」


世話係さんがお好み焼きを受け取ってくれた


「さぁ~参りましょう」


俺達は世話係さんの後ろへ


広場になっている所のベンチがあいていた



(何か広場みたいになってるんだ・・・)



俺は忍を抱っこしたまま 広場をぐるりと見渡した


「ここへどうぞ座って下さい あっしは飲み物を買って参りやす 若 真彦さん忍さんを頼みます」


「あぁ~大丈夫だ」


世話係さんはそう言って焼きそばとお好み焼きを龍に渡していた


俺は忍をおろしベンチに座った


「真彦はどっちから食べるんだ?」


「作ってる所を見たらますます腹が減ってきた 俺お好み焼きから食べる」


龍はお好み焼きと割り箸を渡してくれた


「あいよ」


「おう サンキュー うわスゲーアツアツだな」


「お好み焼きはまだ熱いから 忍は焼きそばからな」


忍は龍にうなづいて 焼きそばを少しずつもらっていた



(めちゃくちゃうめ・・・ キャベツシャキシャキ ソースがまた玉子と合っていい・・・)



俺は夢中で食べていた


「お待たせいたしやした」


そう言って世話係さんが飲み物を渡してくれた


「ありがとうございます」


「真彦さんどうですか?」


「めちゃくちゃ美味しいです」


「それは良かった・・・」


世話係さんは嬉しそうにそう言った


「若 変わります 若も食べて下さい」


「あぁ~」


龍は俺の隣でお好み焼きを食べ始めた


「真彦 もう食べ終わったのかよ・・・」


「だって腹減ってたしスゲーうまかった 次は焼きそば・・・」


「あっ 真彦さんゴミはこちらへ 焼きそばはこっちの袋に入っています」


「ありがとうございます いただきます」


俺は焼きそばを持ち龍の隣へと座った


「龍はここ来た事あんの?」


「あぁ~小さい時になぁ~」


「向こうは屋台で賑やかなのに ここは虫の声しかしない 何か不思議な感じがする」


「あぁ~ しかし真彦は良く食べるなぁ~」


「だってうまい・・・」


「そうだけど・・・」


忍に焼きそばを食べさせていた 世話係さんが吹き出した


「あっ失礼いたしやした 若と真彦さんは相変わらず仲がよろしいご様子で あっしは安心いたしやした 真彦さんこれからも若をよろしくお願いいたしやす」


そう言って世話係さんは俺に頭を下げた


「お前がそういう事を言うとしらけんだろう・・・」


「あっ若すいやせん」


「忍にも 気の合うヤツとお友達になるといいなぁ~」


「真彦は俺と気が合うのか?」


「そりゃぁ~もうドンピシャだろう・・・」


「そうなのか?」


「そうだろう・・・ なんだよ龍 龍はそう思ってねぇ~の?」


「どうだろうな」


龍はそう思って夜空を見上げていた


俺もつられて夜空を見ていた


(つづく)


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