97 / 148
携帯電話
しおりを挟む
僕は玄関を開けた
「ただいま」
「悠 お帰りすぐに行くから着替えて来て」
「うん わかった」
(どこへ行くんだろう?)
僕は着替えを済ませお母さんの所へ
「あっ悠支度出来たわね それじゃ~行きましょう」
お母さんは慌てた様子で 玄関に向かった
僕とお母さんは駅の方へと向かった
「悠 学生証持ってる?」
「うん一応ショルダーバッグに入っているけど・・・」
「じゃ~帰りに定期券買いましょう」
お母さんは駅を通り過ぎ 榎本の方の商店街をどんどん進んで行った
「ねぇ~お母さんどこへ行くの?」
僕がそう言ったとたん お母さんは立ち止まって指をさした
「悠ここ」
そこは携帯ショップだった
「悠 入ろう」
「えっちょっと」
僕はびっくりし過ぎて 足が前に進まなかった
「いらっしゃいませ どのようなご用件でしょうか」
店員さんが僕達の方へ
「あっすいませんこの子の携帯電話を 初めてなんですが・・・」
「さようでございますか ではご案内致します」
(優しそうな女の店員さんだ・・・)
店員さんの後を僕とお母さんはついて行った
店員さんに案内され 僕とお母さんは椅子に座り待っていた
「お待たせ致しました 初めてお使いになると言う事なので いろいろ持って参りました」
そう言って店員さんは いろいろな種類の携帯電話を持って来てくれた
「悠 どれがいい?」
(えっそんな事言われても・・・)
「学生の方に人気があるのは 手に収まるタイプの物が人気です 大きなタイプも画面が大きく見やすさで人気ですよ」
(どうしよう・・・ 僕はこういう時が一番困る 決まられない)
「悠 持ってみれば」
お母さんにそう言われて 僕は1個ずつ手に取ってみた
(以外に重いんだ ポケットには大きいのも入りそうだけど 歩く時邪魔になるかも・・・)
僕は手に収まる物に絞り 手に何度か持ってみた
「悠 決まりそう?」
僕はお母さんにうなずいた
(これなら邪魔にならないし いいかもしれない・・・)
「お母さん これにしてもいい?」
お母さんは嬉しそうにうなずき笑っていた
「お決まりになりましたか ただいま在庫の確認をして参りますのでお待ちください」
店員さんが席を立つと 僕は息を吐きながら背もたれに寄りかかった
(何か凄く緊張して疲れた・・・)
「あら悠どうしたの?」
お母さんは僕を見て笑った
「だってお母さんいきなり携帯ショップに連れて来るから 僕・・・」
「お待たせしました在庫ございました お間違えないですか?」
店員さんが箱から出し 僕の前に携帯電話を見せてくれた
「はい 間違いないです」
「付属品がありますので 一緒に来ていただいてもよろしいですか」
店員さんは僕に言った
「悠 いってらっしゃい」
お母さんにそう言われ 僕は店員さんの後をついて行った
「こちらがスマホケースになります」
壁にズラリと並んでいた
(どうしよう 僕選べない・・・)
「お客様の機種ですと この辺の物になります」
店員さんが指をさし教えてくれた
(良かった この中から選べばいいんだ)
「あっすいません ストラップって付けられますか」
「はいこちらのタイプなら付けられます」
店員さんが手に取ってくれた
「じゃ~これでお願いします」
店員さんがいろいろと丁寧に説明してくれていたけれど
僕はただ店員さんにすすめられるまま うなずく事しか出来なかった
「これで全部が揃いましたので お席の方へお戻りください」
僕は店員さんにうながされ お母さんの隣に座った
「ではお手続きの方に移ります・・・」
お母さんと店員さんの話は僕にはよくわからなかった
「ではこれで全ての手続きが終了しました 何かご質問はありますか」
「いいえ 大丈夫です」
お母さんは店員さんにそう言った
「悠 はいスマホ もうこれは悠のだからね」
お母さんはそう言って 僕に携帯電話の手提げ袋を渡してくれた
「本日はご来店いただきまして 誠にありがとうございました」
店員さんは立ち上がり 僕とお母さんに深々と頭を下げた
僕とお母さんは席を立ち出口へ
そこでも店員さんは深々と頭を下げていた
「気持ちのいい 店員さんだったわね」
お母さんはそう言って笑った
「お母さん 僕・・・」
「悠 お腹すいたわね何か食べよう」
僕とお母さんは近くのファミリーレストランへ
注文を終え 僕はお母さんに話をした
「お母さん 携帯電話ありがとう」
「いいのよ 悠の高校合格祝い 何もしてあげられなかったから」
(そんな事ない 僕の行きたい高校にも行かせてくれたし いろいろ制服だって教科書も携帯電話も・・・)
「悠が高校生になったら用意してあげようって思っていたのよ 本当は悠の目の前にスマホを置いて 悠を驚かせたかったんだけどね 悠が自分で選んだ方がいいと思って それにいつまでも家の電話じゃ~ね 悠も年頃なんだし榎本君と相談したり 内緒の話だってあるでしょう」
お母さんは嬉しそうにそう言った
「お母さん 僕バイトして自分で携帯電話を買おうと思っていたんだ」
「そう 悠も高校生なんだしバイトするのも自由よ もうどこか決めてるの?」
お母さんはご飯を食べながらそう言った
僕は頭に浮かんだお店があった
僕はうなずきお母さんに話をした
「こことは反対側の商店街なんだけど そこに僕が小さい頃からやってる喫茶店があるでしょう」
「あぁ~サボテンね」
お母さんは喫茶店の名前を言った
僕はうなずき話を続けた
「さっきもパートアルバイトの貼り紙があって・・・」
「そう いいんじゃない お母さんも何度か入った事があるけど 凄くいい雰囲気のお店よ老夫婦がやっていてね 家にも近くて学校帰りにも寄れて凄くいいと思う あそこならお母さんも安心・・・」
(お母さんも入った事があるんだ・・・)
「悠ももうバイトが出来る高校生か~ あっという間にお母さんの背も抜かれちゃったわね」
お母さんは嬉しそうにそう言った
僕は最後の一口を口に入れた
「お母さん」
「ううん 何?」
「帰ったら携帯電話のやり方教えて」
「そうね 多分お母さんより悠の方が詳しくなるわね」
お母さんはまた嬉しそうに笑っていた
(榎本に見せたらどんな顔するのかなぁ~ 驚くかなぁ~楽しみだなぁ~)
僕は榎本の顔を思い浮かべていた
家に帰り早速僕は お母さんの前でスマホを開いた
「お母さん どうやるの?」
「悠 ちょっと貸してみて・・・」
僕はお母さんにスマホを渡した
「悠 いろいろなアプリがあるけど お母さんと連絡が取れる様にまずは電話番号とそれからラインね 悠自分のマーク何にする 何でもいいんだけど・・・」
(ライン? マーク?)
お母さんは僕にスマホの画面を見せてくれた
「悠 こんな感じで自分のアイコン作るのよ」
(お母さんはお花なんだ 僕は・・・)
「あっお母さんちょっと待って」
僕は立ち上がり自分の部屋から オットセイのストラップを持って来た
(スマホに付けるつもりで買ったんだけど これならいいかもしれない)
「お母さんこれでもいいの?」
僕はお母さんにオットセイのストラップを見せた
「あらかわいい どうしたのこれ・・・」
「榎本と水族館へ行った時に買ったんだ 榎本はサメなんだけど榎本のサメもかわいいよ・・・」
「そう そしたらそのストラップを写真に撮って」
「えっ写真?」
お母さんは僕のスマホを覗き込んで教えてくれた
僕は何枚かオットセイの写真を撮った
(うまく撮れない・・・)
「悠 もっと近づいて撮ったら」
お母さんの言葉に僕はうなずき写真を撮った
「お母さん撮った写真はどうやって見るの?」
僕はお母さんにスマホを見せた
お母さんはアプリを押すと 僕の撮った写真が画面に出て来た
「スライドさせると悠の撮った写真が次々と出て来るから」
僕は指で操作してみた
(どうしよう どれがいいのかなぁ~)
僕は撮った写真を選べずにいた
「悠 見せて」
僕はお母さんにスマホを渡した
「悠 これがいいんじゃない」
お母さんはすぐにスマホの画面を僕に見せてくれた
僕がうなずくとお母さんは僕のスマホを操作し 僕に渡してくれた
「悠 これでお母さんとラインが出来るから でも緊急の時は電話してね お母さんの電話番号が入っているから」
お母さんはスマホを操作しながらそう言った
僕のスマホから音が鳴り画面を見た
「悠 今お母さん悠にラインしてみたんだけど見てみて・・・」
「えっお母さんどうやって見るの?」
お母さんは僕のスマホを覗き込んだ
「これタッチして」
僕のスマホにラインのアプリが 僕がタッチするとお母さんのマークが
もう一度タッチするとお母さんのメッセージが見られた
(高校生活楽しんでねって 嬉しい・・・)
「お母さん ありがとう」
「悠も練習した方がいいから 何かお母さんに送ってみて・・・」
お母さんにそう言われ 僕はお母さんに教わりながら 何とかラインは出来る様になった
(まだ文字を打つのも遅いけど これで榎本といつでも連絡出来るんだ 嬉しい・・・)
「ありがとう お母さん」
「悠は本好きでしょう」
「うん」
「無料のアプリがあってね 本が無料で読めるアプリがあると思うのよ探してみれば・・・」
(無料のアプリ・・・ 僕の好きな本がスマホで読めるの 凄いよスマホ スマホって凄い)
僕はスマホを持って自分の部屋へ
スマホにカバーを付けてオットセイのストラップを付けた
(榎本覚えてるかなぁ~ストラップ スマホを見せたら榎本はどんな顔をするんだろう 凄く楽しみだ・・・)
次の日 僕は制服のポケットにスマホを忍ばせ 駅で榎本を待っていた
(凄いドキドキしてる 榎本はスマホを見て何て言うかなぁ~)
榎本は中学で使っていた サッカー部のカバンを下げ僕の前に現れた
「榎本 おはよう」
「悠行こう」
僕と榎本は改札口を通った 榎本と階段を上りながら僕は聞いた
「榎本 そのカバン」
「あぁ~これ 昨日先輩から電話来て部活に参加しろって まだ仮入部なんだけどなぁ~」
「そうなんだ 榎本頑張ってね」
(入学式前から部活に参加してたもんなぁ~ 先輩達とも榎本は上手に溶け込める 榎本は僕と違って誰とでも上手に付き合える 僕とは正反対だ・・・)
(部活が始まると悠と一緒に帰れなくなるんだよなぁ~ 休みの日は悠と過ごしてぇ~なぁ~)
昨日とあまり変わらない程 ホームに人が居た
僕達の乗る電車がホームへと入って来た
昨日よりも乗って居る人の間隔があいていた
「榎本 昨日よりも乗りやすそうだね」
「そうだなぁ~」
(悠のそんな嬉しそうな顔を見たら 俺が昨日味わった気持ちがスゲー キタねぇ~ものに思えるなぁ~)
(どうしよう スマホの事榎本にいつ言えば・・・)
僕はポケットのスマホの重みを実感しながら 榎本と電車に乗り込んだ
榎本は昨日と同じく つり革の上の手すりに腕を伸ばし カバンを足の間に挟んだ
僕は榎本と向き合い 榎本のブレザーのスソを掴んだ
(昨日よりも空いてて 榎本との距離も取れてる)
電車が動き出した 昨日とは違い人との間隔もあいていた為
僕は榎本にまともにぶつかってしまった
「あっ榎本ごめん 痛かったよね」
榎本は下に置いてあったカバンから手を離し 榎本の手が僕の背中に僕を抱きしめていた
「悠大丈夫? 俺はぜんぜんへ~きだ」
僕はすぐに榎本から離れた
(もう嫌だ僕 榎本痛かったはずだよ 絶対)
(もう少し俺に抱きついてても良かったんだけどなぁ~ 昨日みたいにはいかねぇ~よなぁ~ でも毎日こんな少しの喜びがあってもいいよなぁ~)
「悠 俺の腕掴んどけ」
「うんありがとう榎本」
「昨日も思ったけど 結構揺れんのなぁ~この電車」
(悠 顔上げねぇ~かなぁ~ ゼッテー今かわいい顔してるって・・・)
「うん そうだね」
(昨日もあんなに揺れたの知ってたのに 僕はまた恥ずかし・・・)
僕は顔を上げられず 駅に着くまで榎本の袖を掴んでいた
僕達は電車を降りて学校へ
(今ならいいかなぁ~ あぁ~ドキドキする)
僕はポケットからスマホを取り出した
「榎本 昨日お母さんがね・・・」
「あっ悠マジで オットセイ」
(悠マジかよ~スマホ 昨日悠の母ちゃんと出かけるってこれだったのかぁ~ しかもオットセイ付けてるし 悠はどんだけかわいいんだよ~)
「うん 榎本覚えてる?」
「当たり前だろう覚えてるよ~」
(忘れる訳がねぇ~ はじめて悠との水族館 マジかぁ~スマホ でも俺も部活の連絡とかもあるし・・・)
榎本の顔が僕に近づいて スマホごと榎本の大きな手が 僕の手を包み込んだ
「悠待って クラスのヤツにスマホ見せない様にして 俺も今日母ちゃんと行って来るから そしたら俺と1番に登録して・・・」
(榎本そんなに近づかないで 手を離してほしい 僕の心臓がもたない・・・)
(ヤベ~悠がかわいい)
「あっでも榎本 もうお母さんの連絡先入ってるよ」
「悠の母ちゃんはいいんだよ」
榎本が近いのと榎本の笑顔とで 僕の心臓のドキドキが止まらずにいた
「正臣~」
榎本を呼ぶ声が聞こえた
「正俊」
サッカー部の杉山君 杉山君も榎本と同じく中学校のサッカー部のカバンをさげていた
杉山君は僕にも軽く手を上げてくれた
僕は急いでスマホをポケットにしまった
「正臣もさっきの電車」
「あぁ~」
(なんだよ何で・・・ 正俊に邪魔された~ 悠がかわいい顔してたのに・・・)
「何?朝から深刻な話」
「何でねぇ~よ」
榎本の言葉に僕も首を振った
(良かった 杉山君のおかげでドキドキしなくなった)
杉山君と榎本は楽しそうに話をしていた
「あっそうだ正臣 先輩の話だと朝練もあるらしい レギュラーだけかもしんねぇ~けどなぁ~」
「マジかよそれ・・・」
(朝練なんかあったら確実に悠と一緒の電車に乗れねぇ~じゃん 俺の小さな喜びが・・・マジか・・・)
僕達は3人で学校へと向かった
(つづく)
「ただいま」
「悠 お帰りすぐに行くから着替えて来て」
「うん わかった」
(どこへ行くんだろう?)
僕は着替えを済ませお母さんの所へ
「あっ悠支度出来たわね それじゃ~行きましょう」
お母さんは慌てた様子で 玄関に向かった
僕とお母さんは駅の方へと向かった
「悠 学生証持ってる?」
「うん一応ショルダーバッグに入っているけど・・・」
「じゃ~帰りに定期券買いましょう」
お母さんは駅を通り過ぎ 榎本の方の商店街をどんどん進んで行った
「ねぇ~お母さんどこへ行くの?」
僕がそう言ったとたん お母さんは立ち止まって指をさした
「悠ここ」
そこは携帯ショップだった
「悠 入ろう」
「えっちょっと」
僕はびっくりし過ぎて 足が前に進まなかった
「いらっしゃいませ どのようなご用件でしょうか」
店員さんが僕達の方へ
「あっすいませんこの子の携帯電話を 初めてなんですが・・・」
「さようでございますか ではご案内致します」
(優しそうな女の店員さんだ・・・)
店員さんの後を僕とお母さんはついて行った
店員さんに案内され 僕とお母さんは椅子に座り待っていた
「お待たせ致しました 初めてお使いになると言う事なので いろいろ持って参りました」
そう言って店員さんは いろいろな種類の携帯電話を持って来てくれた
「悠 どれがいい?」
(えっそんな事言われても・・・)
「学生の方に人気があるのは 手に収まるタイプの物が人気です 大きなタイプも画面が大きく見やすさで人気ですよ」
(どうしよう・・・ 僕はこういう時が一番困る 決まられない)
「悠 持ってみれば」
お母さんにそう言われて 僕は1個ずつ手に取ってみた
(以外に重いんだ ポケットには大きいのも入りそうだけど 歩く時邪魔になるかも・・・)
僕は手に収まる物に絞り 手に何度か持ってみた
「悠 決まりそう?」
僕はお母さんにうなずいた
(これなら邪魔にならないし いいかもしれない・・・)
「お母さん これにしてもいい?」
お母さんは嬉しそうにうなずき笑っていた
「お決まりになりましたか ただいま在庫の確認をして参りますのでお待ちください」
店員さんが席を立つと 僕は息を吐きながら背もたれに寄りかかった
(何か凄く緊張して疲れた・・・)
「あら悠どうしたの?」
お母さんは僕を見て笑った
「だってお母さんいきなり携帯ショップに連れて来るから 僕・・・」
「お待たせしました在庫ございました お間違えないですか?」
店員さんが箱から出し 僕の前に携帯電話を見せてくれた
「はい 間違いないです」
「付属品がありますので 一緒に来ていただいてもよろしいですか」
店員さんは僕に言った
「悠 いってらっしゃい」
お母さんにそう言われ 僕は店員さんの後をついて行った
「こちらがスマホケースになります」
壁にズラリと並んでいた
(どうしよう 僕選べない・・・)
「お客様の機種ですと この辺の物になります」
店員さんが指をさし教えてくれた
(良かった この中から選べばいいんだ)
「あっすいません ストラップって付けられますか」
「はいこちらのタイプなら付けられます」
店員さんが手に取ってくれた
「じゃ~これでお願いします」
店員さんがいろいろと丁寧に説明してくれていたけれど
僕はただ店員さんにすすめられるまま うなずく事しか出来なかった
「これで全部が揃いましたので お席の方へお戻りください」
僕は店員さんにうながされ お母さんの隣に座った
「ではお手続きの方に移ります・・・」
お母さんと店員さんの話は僕にはよくわからなかった
「ではこれで全ての手続きが終了しました 何かご質問はありますか」
「いいえ 大丈夫です」
お母さんは店員さんにそう言った
「悠 はいスマホ もうこれは悠のだからね」
お母さんはそう言って 僕に携帯電話の手提げ袋を渡してくれた
「本日はご来店いただきまして 誠にありがとうございました」
店員さんは立ち上がり 僕とお母さんに深々と頭を下げた
僕とお母さんは席を立ち出口へ
そこでも店員さんは深々と頭を下げていた
「気持ちのいい 店員さんだったわね」
お母さんはそう言って笑った
「お母さん 僕・・・」
「悠 お腹すいたわね何か食べよう」
僕とお母さんは近くのファミリーレストランへ
注文を終え 僕はお母さんに話をした
「お母さん 携帯電話ありがとう」
「いいのよ 悠の高校合格祝い 何もしてあげられなかったから」
(そんな事ない 僕の行きたい高校にも行かせてくれたし いろいろ制服だって教科書も携帯電話も・・・)
「悠が高校生になったら用意してあげようって思っていたのよ 本当は悠の目の前にスマホを置いて 悠を驚かせたかったんだけどね 悠が自分で選んだ方がいいと思って それにいつまでも家の電話じゃ~ね 悠も年頃なんだし榎本君と相談したり 内緒の話だってあるでしょう」
お母さんは嬉しそうにそう言った
「お母さん 僕バイトして自分で携帯電話を買おうと思っていたんだ」
「そう 悠も高校生なんだしバイトするのも自由よ もうどこか決めてるの?」
お母さんはご飯を食べながらそう言った
僕は頭に浮かんだお店があった
僕はうなずきお母さんに話をした
「こことは反対側の商店街なんだけど そこに僕が小さい頃からやってる喫茶店があるでしょう」
「あぁ~サボテンね」
お母さんは喫茶店の名前を言った
僕はうなずき話を続けた
「さっきもパートアルバイトの貼り紙があって・・・」
「そう いいんじゃない お母さんも何度か入った事があるけど 凄くいい雰囲気のお店よ老夫婦がやっていてね 家にも近くて学校帰りにも寄れて凄くいいと思う あそこならお母さんも安心・・・」
(お母さんも入った事があるんだ・・・)
「悠ももうバイトが出来る高校生か~ あっという間にお母さんの背も抜かれちゃったわね」
お母さんは嬉しそうにそう言った
僕は最後の一口を口に入れた
「お母さん」
「ううん 何?」
「帰ったら携帯電話のやり方教えて」
「そうね 多分お母さんより悠の方が詳しくなるわね」
お母さんはまた嬉しそうに笑っていた
(榎本に見せたらどんな顔するのかなぁ~ 驚くかなぁ~楽しみだなぁ~)
僕は榎本の顔を思い浮かべていた
家に帰り早速僕は お母さんの前でスマホを開いた
「お母さん どうやるの?」
「悠 ちょっと貸してみて・・・」
僕はお母さんにスマホを渡した
「悠 いろいろなアプリがあるけど お母さんと連絡が取れる様にまずは電話番号とそれからラインね 悠自分のマーク何にする 何でもいいんだけど・・・」
(ライン? マーク?)
お母さんは僕にスマホの画面を見せてくれた
「悠 こんな感じで自分のアイコン作るのよ」
(お母さんはお花なんだ 僕は・・・)
「あっお母さんちょっと待って」
僕は立ち上がり自分の部屋から オットセイのストラップを持って来た
(スマホに付けるつもりで買ったんだけど これならいいかもしれない)
「お母さんこれでもいいの?」
僕はお母さんにオットセイのストラップを見せた
「あらかわいい どうしたのこれ・・・」
「榎本と水族館へ行った時に買ったんだ 榎本はサメなんだけど榎本のサメもかわいいよ・・・」
「そう そしたらそのストラップを写真に撮って」
「えっ写真?」
お母さんは僕のスマホを覗き込んで教えてくれた
僕は何枚かオットセイの写真を撮った
(うまく撮れない・・・)
「悠 もっと近づいて撮ったら」
お母さんの言葉に僕はうなずき写真を撮った
「お母さん撮った写真はどうやって見るの?」
僕はお母さんにスマホを見せた
お母さんはアプリを押すと 僕の撮った写真が画面に出て来た
「スライドさせると悠の撮った写真が次々と出て来るから」
僕は指で操作してみた
(どうしよう どれがいいのかなぁ~)
僕は撮った写真を選べずにいた
「悠 見せて」
僕はお母さんにスマホを渡した
「悠 これがいいんじゃない」
お母さんはすぐにスマホの画面を僕に見せてくれた
僕がうなずくとお母さんは僕のスマホを操作し 僕に渡してくれた
「悠 これでお母さんとラインが出来るから でも緊急の時は電話してね お母さんの電話番号が入っているから」
お母さんはスマホを操作しながらそう言った
僕のスマホから音が鳴り画面を見た
「悠 今お母さん悠にラインしてみたんだけど見てみて・・・」
「えっお母さんどうやって見るの?」
お母さんは僕のスマホを覗き込んだ
「これタッチして」
僕のスマホにラインのアプリが 僕がタッチするとお母さんのマークが
もう一度タッチするとお母さんのメッセージが見られた
(高校生活楽しんでねって 嬉しい・・・)
「お母さん ありがとう」
「悠も練習した方がいいから 何かお母さんに送ってみて・・・」
お母さんにそう言われ 僕はお母さんに教わりながら 何とかラインは出来る様になった
(まだ文字を打つのも遅いけど これで榎本といつでも連絡出来るんだ 嬉しい・・・)
「ありがとう お母さん」
「悠は本好きでしょう」
「うん」
「無料のアプリがあってね 本が無料で読めるアプリがあると思うのよ探してみれば・・・」
(無料のアプリ・・・ 僕の好きな本がスマホで読めるの 凄いよスマホ スマホって凄い)
僕はスマホを持って自分の部屋へ
スマホにカバーを付けてオットセイのストラップを付けた
(榎本覚えてるかなぁ~ストラップ スマホを見せたら榎本はどんな顔をするんだろう 凄く楽しみだ・・・)
次の日 僕は制服のポケットにスマホを忍ばせ 駅で榎本を待っていた
(凄いドキドキしてる 榎本はスマホを見て何て言うかなぁ~)
榎本は中学で使っていた サッカー部のカバンを下げ僕の前に現れた
「榎本 おはよう」
「悠行こう」
僕と榎本は改札口を通った 榎本と階段を上りながら僕は聞いた
「榎本 そのカバン」
「あぁ~これ 昨日先輩から電話来て部活に参加しろって まだ仮入部なんだけどなぁ~」
「そうなんだ 榎本頑張ってね」
(入学式前から部活に参加してたもんなぁ~ 先輩達とも榎本は上手に溶け込める 榎本は僕と違って誰とでも上手に付き合える 僕とは正反対だ・・・)
(部活が始まると悠と一緒に帰れなくなるんだよなぁ~ 休みの日は悠と過ごしてぇ~なぁ~)
昨日とあまり変わらない程 ホームに人が居た
僕達の乗る電車がホームへと入って来た
昨日よりも乗って居る人の間隔があいていた
「榎本 昨日よりも乗りやすそうだね」
「そうだなぁ~」
(悠のそんな嬉しそうな顔を見たら 俺が昨日味わった気持ちがスゲー キタねぇ~ものに思えるなぁ~)
(どうしよう スマホの事榎本にいつ言えば・・・)
僕はポケットのスマホの重みを実感しながら 榎本と電車に乗り込んだ
榎本は昨日と同じく つり革の上の手すりに腕を伸ばし カバンを足の間に挟んだ
僕は榎本と向き合い 榎本のブレザーのスソを掴んだ
(昨日よりも空いてて 榎本との距離も取れてる)
電車が動き出した 昨日とは違い人との間隔もあいていた為
僕は榎本にまともにぶつかってしまった
「あっ榎本ごめん 痛かったよね」
榎本は下に置いてあったカバンから手を離し 榎本の手が僕の背中に僕を抱きしめていた
「悠大丈夫? 俺はぜんぜんへ~きだ」
僕はすぐに榎本から離れた
(もう嫌だ僕 榎本痛かったはずだよ 絶対)
(もう少し俺に抱きついてても良かったんだけどなぁ~ 昨日みたいにはいかねぇ~よなぁ~ でも毎日こんな少しの喜びがあってもいいよなぁ~)
「悠 俺の腕掴んどけ」
「うんありがとう榎本」
「昨日も思ったけど 結構揺れんのなぁ~この電車」
(悠 顔上げねぇ~かなぁ~ ゼッテー今かわいい顔してるって・・・)
「うん そうだね」
(昨日もあんなに揺れたの知ってたのに 僕はまた恥ずかし・・・)
僕は顔を上げられず 駅に着くまで榎本の袖を掴んでいた
僕達は電車を降りて学校へ
(今ならいいかなぁ~ あぁ~ドキドキする)
僕はポケットからスマホを取り出した
「榎本 昨日お母さんがね・・・」
「あっ悠マジで オットセイ」
(悠マジかよ~スマホ 昨日悠の母ちゃんと出かけるってこれだったのかぁ~ しかもオットセイ付けてるし 悠はどんだけかわいいんだよ~)
「うん 榎本覚えてる?」
「当たり前だろう覚えてるよ~」
(忘れる訳がねぇ~ はじめて悠との水族館 マジかぁ~スマホ でも俺も部活の連絡とかもあるし・・・)
榎本の顔が僕に近づいて スマホごと榎本の大きな手が 僕の手を包み込んだ
「悠待って クラスのヤツにスマホ見せない様にして 俺も今日母ちゃんと行って来るから そしたら俺と1番に登録して・・・」
(榎本そんなに近づかないで 手を離してほしい 僕の心臓がもたない・・・)
(ヤベ~悠がかわいい)
「あっでも榎本 もうお母さんの連絡先入ってるよ」
「悠の母ちゃんはいいんだよ」
榎本が近いのと榎本の笑顔とで 僕の心臓のドキドキが止まらずにいた
「正臣~」
榎本を呼ぶ声が聞こえた
「正俊」
サッカー部の杉山君 杉山君も榎本と同じく中学校のサッカー部のカバンをさげていた
杉山君は僕にも軽く手を上げてくれた
僕は急いでスマホをポケットにしまった
「正臣もさっきの電車」
「あぁ~」
(なんだよ何で・・・ 正俊に邪魔された~ 悠がかわいい顔してたのに・・・)
「何?朝から深刻な話」
「何でねぇ~よ」
榎本の言葉に僕も首を振った
(良かった 杉山君のおかげでドキドキしなくなった)
杉山君と榎本は楽しそうに話をしていた
「あっそうだ正臣 先輩の話だと朝練もあるらしい レギュラーだけかもしんねぇ~けどなぁ~」
「マジかよそれ・・・」
(朝練なんかあったら確実に悠と一緒の電車に乗れねぇ~じゃん 俺の小さな喜びが・・・マジか・・・)
僕達は3人で学校へと向かった
(つづく)
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
黄色い水仙を君に贈る
えんがわ
BL
──────────
「ねぇ、別れよっか……俺たち……。」
「ああ、そうだな」
「っ……ばいばい……」
俺は……ただっ……
「うわああああああああ!」
君に愛して欲しかっただけなのに……
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
初心者オメガは執着アルファの腕のなか
深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。
オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。
オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。
穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる