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相談事
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俺と忍さんは翔の青色の車に乗り込み 俺と忍さんは後部座席に座った
俺はスマホを手に持ち忍さんに話をするタイミングを伺っていた
忍さんは小さなカバンから財布を出し黒い物を出していた
(そうだ前から見せたかったんだ 弘ちゃん持ってるかな?)
「ねぇ~ねぇ~弘ちゃんこれ持ってる?」
忍さんは腕を伸ばし黒い物を弘樹さんに見せていた
「えっ何?」
弘樹さんは忍さんから受け取っていた
「えっウソ俺知らない」
翔がチラリと弘樹さんの方を見た
「懐かしいなぁ~」
「翔これ~」
「店を始める時にオーナーが作ってくれたんだ 宣伝に使えってなぁ~忍にも渡してたんだなぁ~」
「初めて翔に会った時にくれたよ」
「そうだったかぁ~」
「うん」
弘樹さんは振り返って忍さんを見ていた
「ねぇ~忍ちゃんこれちょうだい」
「ダメだよ弘ちゃん それは翔との思い出の品だから・・・」
「翔俺貰ってないよ」
「弘樹悪いもうその名刺は無いんだ・・・」
「え~」
弘樹さんはがっかりした声を出し忍さんに黒い物を渡していた
「拓巳君も見る?」
そう言って忍さんは俺にも見せてくれた
それは久我翔と書かれた黒い名刺だった
「カッコイイですね」
「そうでしょう これね始めて翔のお店に言った時 あっ翔はねバーでバーテンダーをしているんだよ その姿も凄くカッコイイんだよ あっそうだ拓巳君も今度翔のお店へ一緒に行こうよ」
忍さんの声が大きくなっていた
「忍さん俺バーに行った事がないし バーに行く洋服もあんまり持ってないですよ 大学の入学式に着たスーツしか・・・」
「拓巳君大丈夫だよ 僕も翔と友達になる前は行った事がなかったよ ねぇ~翔大丈夫だよね?」
「俺の店はそんな気取った店ではないから Tシャツでもぜんぜんいいんだ 忍も弘樹もお酒は得意ではないからソフトドリンクだしなぁ~」
「ありがとうございます では今度忍さんと一緒に行かせていただきます」
(翔ってバーテンダーだったんだ 確かに翔のバーテンダー姿は見たいかも 見た感じ特殊な仕事をしているのかなぁ~と思っていたけど・・・)
忍さんは名刺をしまって 俺は忍さんに俺を見てくれる様にアイズを送った
翔と弘樹さんは楽しそうに話をしていた
(今がチャンスかも・・・)
俺は忍さんに持っていたスマホを指さした
(拓巳君?何だろう?)
俺は忍さんにラインをした
【忍さんすいません 翔と弘樹さんって恋仲なんですよね】
【翔から聞いたの?】
【はい】
(拓巳君考えたねぇ~ 翔と弘ちゃんに聞かれたくない事だもんね)
【そう 今翔と弘ちゃんは一緒に住んでるんだ 僕は翔と弘ちゃんが出会えて本当に良かったと思ってる これからも2人を応援するよ】
俺がスマホから目を離すのを忍さんは待っていた
俺は自然と忍さんの方を見ると忍さんは俺にうなづいた
(どうしようこの人達の中に俺は入れるのか・・・)
俺は忍さんのうなづいた顔の強さに動揺していた
忍さんからまたラインが来た
【拓巳君買い物が出来なくてごめんね】
【いいえ 忍さんの友達に会えて良かったです】
【僕も拓巳君を紹介出来て良かった】
俺が読み終わり忍さんを見ると 忍さんは嬉しそうに笑っていた
(あぁ~やっぱ忍さんかわいいなぁ~)
俺はずっと忍さんの笑った顔を見ていたいのを抑え 外の景色に目を向けていた
車が止まり翔がハンドルの上に腕を乗せた
「弘樹 今日が日曜日だという事を忘れてた」
「翔どうしたの?」
弘樹さんの声に俺と忍さんは前を向いた
「もう少しなんだが これ駐車場へ入る渋滞だろう・・・」
「そうかもしれない・・・」
列は駐車場まで続いていた
「どうしたの?」
忍さんがそう言ってシートベルトをはずし 翔と弘樹さんの間から顔を出した
「忍こりゃ~時間がかかるぞ」
「翔もしかしてあそこ?」
忍さんが指を指した
「あぁ~そうだ」
「ウソ凄い この間雑誌に特集されてたよ」
「えっ忍ちゃん雑誌とか見るの?」
「うんたまにね 話のネタになるかなぁ~と思って 弘ちゃんとかなら気を使わないけど やっぱり仕事だけのお付き合いの人と話す時って気まずくなるの嫌だから ちょっと雑誌の力を借りるだけだよ・・・」
(やっぱ忍さんって凄いなぁ~ いろいろな知識を頭に入れおくんだなぁ~ 俺も忍さんを見習わなくちゃなぁ~)
少し車の中が静かになった
「拓巳トイレ大丈夫か?」
「はい」
翔が話を切り出した
「良しじゃ~ 先に弘樹と忍はおりてつり橋にでも行っててくれ 時間が読めないからゆっくりな 駐車場へ入れたら連絡する」
「そうだね車の中に居てもね 忍ちゃん行こう」
(えっ待ってまた・・・ だから翔は俺に聞いたのかぁ~)
忍さんは降りる準備を始めた
「拓巳君先に行ってるね」
「はい気を付けて・・・」
忍さんは俺の言葉に笑顔を見せてくれた
「つり橋があるの?弘ちゃん」
「うんそうなんだよ じゃ~翔先に行ってるね」
「あぁ~」
僕と弘ちゃんは車を降りて歩いた
並ぶのを諦め車の列から出て行く車もあった
「凄い車の列だね」
「うんこの間来た時も待ったよ 人気のお店だからしょうがないよ」
「雑誌で見た時から来てみたいと思ってたんだ まさか翔の知り合いのお店だったとは・・・」
「俺もびっくりしたよ 翔とは中学生の時からの知り合いらしいよ」
「そうなんだ・・・」
僕と弘ちゃんは駐車場の中へ お店の前を横切り進んだ
「忍ちゃん夜はここライトアップされて凄くキレイなんだよ」
「そうなんだぁ~ 波の音が聞こえるね」
「もうすぐだよ忍ちゃん」
(凄い本当に凄い雑誌で見たままのお店に入れるんだ しかも翔の知り合いの人がやってるとか・・・)
僕は胸をはずませ弘ちゃんと歩いていた
僕と弘ちゃんは話ながら進み デコボコとした階段を上った
「弘ちゃんここ怖いね」
「うん柵があるけどこれ絶対意味ないでしょう」
「下は物凄い崖だよ」
僕と弘ちゃんはそう話ながら笑った
「翔と来た時は真っ暗でさぁ~ 白波がかろうじて見えるぐらいで 俺怖くて翔にしがみついちゃったよ」
「ごちそうさま」
「違うよ忍ちゃん その時はまだ翔と俺は知り合ったばかりでさぁ~」
僕は弘ちゃんの言葉にうなづきながら笑っていた
(本当に良かった 翔と弘ちゃんは大丈夫だ)
「やっぱり風は強いね」
「弘ちゃんつり橋ってあれ?」
僕は指を指した
「うんそうだよ」
「立派なつり橋だね 僕が想像していた物とは違っていたよ」
「実は俺も・・・」
弘ちゃんの言った言葉にまた笑っていた
橋は広く風が通り抜け僕と弘ちゃんは橋にたどり着いた
橋の上にはカップルがたくさん海をながめていた
「忍ちゃんあそこから見よう」
弘ちゃんは僕の前を歩いてくれた
「弘ちゃんありがとう」
僕と弘ちゃんは並んで海を見ていた
「ねぇ~忍ちゃん 拓巳君の事なんだけど・・・」
「うんやっぱりその話になるよね」
僕は弘ちゃんが拓巳君の事を気にしている事はわかっていた
「拓巳君って忍ちゃんばっかり見てたよね 翔が居たのに・・・ 有り得ないでしょう普通」
「えっそんなに拓巳君僕を見てたの?」
「見てたよガン見してたって言ってもいいぐらい 俺と翔なんか眼中に無いくらい ねぇ~拓巳君ってもしかして・・・」
「弘ちゃん僕拓巳君に好きって言われたんだ」
「えっやっぱり・・・」
「うんでもその時はごまかして聞こえていないフリをしたんだ」
「忍ちゃんは拓巳君の事をどう思っているの?」
(弘ちゃんには正直に言ってもいいよね)
「拓巳君は凄く素直でいい子だよ でも僕じゃないんだよ 拓巳君はまだ学生でこれからいろいろな人との出会が待っている 僕なんかと一緒に居たらダメなんだよ だってさぁ~僕今年で28になるんだよ」
「忍ちゃんあんまり歳は関係ないんじゃ~ないかなぁ~? 大事なのは忍ちゃんと拓巳君の気持ちだと思うよ」
「うんわかってる でも拓巳君はまだ僕と知り合ったばかりだから 僕に興味があるだけなんだと思う」
僕は海を見ながらそう言った
(うん多分そう 今だけ今は僕に興味があるだけ 拓巳君にはもっとかわいい女の子がお似合いだよ 僕は拓巳君の社会人としての先輩でいいんだ でも拓巳君が少しほんの少しでも僕の事・・・)
忍さんと弘樹さんが車から降り俺と翔の2人だけになった
「拓巳さっきの話の続きをしよう・・・」
「はい」
「拓巳は忍の事に真剣だと言う事はわかった 忍も戸惑っているのかも知れないなぁ~」
「俺がまだ学生だからですか? それとも俺が男だからですか?」
「そうだなぁ~ どちらかと言えば拓巳の未来にだろうなぁ~」
「俺の未来・・・」
「忍はあれでも社会人だからなぁ~」
俺は翔の言葉に何も言えなくなっていた
(俺の未来 俺だってまだ自分の事はわからない もしも俺が忍さんの会社へ就職したら 忍さんと一緒に通勤とか出来てお昼ご飯とかも一緒に食べて・・・ 俺は営業はムリだけど同じ会社へ入る事だってこれから出来る そしたら忍さんともっと一緒居られる)
「翔俺始めてなんです 俺友達が他の友達と話をしても モヤモヤした事がなくて 今日忍さんと弘樹さんが話をしているのを見て スゲ~嫌でした何で俺が隣じゃ~ないんだって 忍さんのあんな嬉しそうに笑った顔始めて見たし」
「弘樹と忍は仕事も今一緒にしているからなぁ~ 気が合うんだろう・・・」
「慣れるものなんですか?」
「今は目をつぶっている 俺も大人だからなぁ~ 弘樹もそれはわかってる 2人で話たい事もあるだろうからなぁ~」
(やっぱり翔は大人だ 俺は俺の事でいっぱいいっぱいだ)
俺はまた翔に返す言葉も見つからなかった
やっと駐車場へと車を入れる事が出来 翔は弘樹さんへ電話をかけた
「翔 駐車場に入れた?」
「あぁ~やっとなぁ~」
「それじゃ~忍ちゃんとお店へ向かうね」
「あぁ~並んで待っているよ」
「うんすぐ行く」
電話は切れた 俺と翔はお店へ
「忍ちゃん翔がお店の前で待ってるって・・・」
「弘ちゃんは僕がどうしたらいいと思う?」
(こんな事弘ちゃんに聞いてもしょうがないんだけど・・・)
僕は弘ちゃんに思い切って聞いてみた
「忍ちゃん・・・」
「僕はもう拓巳君と会わない方がいいのかなぁ~ このままだったら僕・・・」
「忍ちゃんの心の声は何て言ってるの?」
「わからない でもこのままだったらきっと・・・」
「拓巳君の事を好きになる?」
僕はうなづいた
「そうなったら俺も翔も応援するよ」
「弘ちゃん」
「でも忍ちゃんが少しでも 今みたいに暗い顔をするのなら俺は絶対に許さないけどね」
「弘ちゃんありがとう元気出たよ 拓巳君との事はまだわからないけど・・・」
「忍ちゃん美味しいパスタが待ってるよ」
「うんそうだね弘ちゃん」
僕は笑ってそう言った
「何食べようかなぁ~」
「弘ちゃんのおすすめは?」
「そうだなぁ~」
僕と弘ちゃんは楽しく話ながらお店へと向かった
「拓巳行こう」
「はい」
俺と翔は店の前で並んでいる列へ
楽しそうに笑いながらこっちへ向かって来る 忍さんと弘樹さんを見て俺はこう言った
「翔俺さっきも言いましたけど 何で隣に居るのが俺じゃないんだろうって思います 忍さんがあんなに笑顔でとても楽しそうで・・・」
忍さんと弘樹さんが俺達に気づき手を振った
「そうだなぁ~いい笑顔だ」
翔の言葉に俺はうなづいた
忍さんと弘樹さんは俺と翔の前へ
「翔つり橋行って来たよ 風は強かったけど海が凄くキレイだったんよ」
「そうかそれは良かった」
続いて忍さんが少し興奮気味に話をした
「拓巳君拓巳君凄い立派なつり橋でね 白波が青い海に跳ねて凄くキレイだったんだよ」
「そうなんですか忍さんが嬉しそうで良かったです」
「あぁ~また拓巳君はそんな言い方して・・・」
「あっすいません忍さんが凄く嬉しそうだったので・・・」
「拓巳君も見たら絶対興奮するよ」
忍さんは笑顔でそう言った
(俺は忍さんの嬉しそうな顔で十分ですよ でも今度は俺が忍さんを喜ばせたい)
「ここでもかなり待ちそうだなぁ~」
「そうだね 今日は凄く忙しそうだね」
翔と弘樹さんがお店の中を見ながらそう言った
「また前嶋さんに怒られちゃうね」
「前嶋の事は無視して構わない」
「そりゃ~翔は毎日会わないからいいよ 俺は毎日会うんだからそんな訳にはいかないよ」
俺は忍さんの顔を見ると忍さんが話をしてくれた
「拓巳君 弘ちゃんが言った前嶋さんっていう人は 弘ちゃんの前に僕と一緒に仕事していた人で 翔の幼なじみなんだよ」
「えっそんな事あるんですか? 凄い繋がりですね」
「うんそうでしょう僕もびっくり」
忍さんの少し小さな声に俺は忍さんに顔を寄せていた
俺達が話をしているとスタッフの人が 並んでいる人に案内をする為に出て来た
その人が翔に気づき軽くお辞儀をしながら俺達の方へ
「こんにちは今店長を呼んで来ます」
「忙しそうなのであとでいいですよ」
「いいえ店長に言われているので 少しお待ち下さい」
そう言って先頭に並んでいるお客さんを案内していた
「いいと言ったんだが・・・」
「あとであの人が怒られちゃうんじゃない?」
それを見ていた忍さんが声をあげた
「凄いね翔 何かビップ待遇」
忍さんは嬉しそうにそう言った
(つづく)
俺はスマホを手に持ち忍さんに話をするタイミングを伺っていた
忍さんは小さなカバンから財布を出し黒い物を出していた
(そうだ前から見せたかったんだ 弘ちゃん持ってるかな?)
「ねぇ~ねぇ~弘ちゃんこれ持ってる?」
忍さんは腕を伸ばし黒い物を弘樹さんに見せていた
「えっ何?」
弘樹さんは忍さんから受け取っていた
「えっウソ俺知らない」
翔がチラリと弘樹さんの方を見た
「懐かしいなぁ~」
「翔これ~」
「店を始める時にオーナーが作ってくれたんだ 宣伝に使えってなぁ~忍にも渡してたんだなぁ~」
「初めて翔に会った時にくれたよ」
「そうだったかぁ~」
「うん」
弘樹さんは振り返って忍さんを見ていた
「ねぇ~忍ちゃんこれちょうだい」
「ダメだよ弘ちゃん それは翔との思い出の品だから・・・」
「翔俺貰ってないよ」
「弘樹悪いもうその名刺は無いんだ・・・」
「え~」
弘樹さんはがっかりした声を出し忍さんに黒い物を渡していた
「拓巳君も見る?」
そう言って忍さんは俺にも見せてくれた
それは久我翔と書かれた黒い名刺だった
「カッコイイですね」
「そうでしょう これね始めて翔のお店に言った時 あっ翔はねバーでバーテンダーをしているんだよ その姿も凄くカッコイイんだよ あっそうだ拓巳君も今度翔のお店へ一緒に行こうよ」
忍さんの声が大きくなっていた
「忍さん俺バーに行った事がないし バーに行く洋服もあんまり持ってないですよ 大学の入学式に着たスーツしか・・・」
「拓巳君大丈夫だよ 僕も翔と友達になる前は行った事がなかったよ ねぇ~翔大丈夫だよね?」
「俺の店はそんな気取った店ではないから Tシャツでもぜんぜんいいんだ 忍も弘樹もお酒は得意ではないからソフトドリンクだしなぁ~」
「ありがとうございます では今度忍さんと一緒に行かせていただきます」
(翔ってバーテンダーだったんだ 確かに翔のバーテンダー姿は見たいかも 見た感じ特殊な仕事をしているのかなぁ~と思っていたけど・・・)
忍さんは名刺をしまって 俺は忍さんに俺を見てくれる様にアイズを送った
翔と弘樹さんは楽しそうに話をしていた
(今がチャンスかも・・・)
俺は忍さんに持っていたスマホを指さした
(拓巳君?何だろう?)
俺は忍さんにラインをした
【忍さんすいません 翔と弘樹さんって恋仲なんですよね】
【翔から聞いたの?】
【はい】
(拓巳君考えたねぇ~ 翔と弘ちゃんに聞かれたくない事だもんね)
【そう 今翔と弘ちゃんは一緒に住んでるんだ 僕は翔と弘ちゃんが出会えて本当に良かったと思ってる これからも2人を応援するよ】
俺がスマホから目を離すのを忍さんは待っていた
俺は自然と忍さんの方を見ると忍さんは俺にうなづいた
(どうしようこの人達の中に俺は入れるのか・・・)
俺は忍さんのうなづいた顔の強さに動揺していた
忍さんからまたラインが来た
【拓巳君買い物が出来なくてごめんね】
【いいえ 忍さんの友達に会えて良かったです】
【僕も拓巳君を紹介出来て良かった】
俺が読み終わり忍さんを見ると 忍さんは嬉しそうに笑っていた
(あぁ~やっぱ忍さんかわいいなぁ~)
俺はずっと忍さんの笑った顔を見ていたいのを抑え 外の景色に目を向けていた
車が止まり翔がハンドルの上に腕を乗せた
「弘樹 今日が日曜日だという事を忘れてた」
「翔どうしたの?」
弘樹さんの声に俺と忍さんは前を向いた
「もう少しなんだが これ駐車場へ入る渋滞だろう・・・」
「そうかもしれない・・・」
列は駐車場まで続いていた
「どうしたの?」
忍さんがそう言ってシートベルトをはずし 翔と弘樹さんの間から顔を出した
「忍こりゃ~時間がかかるぞ」
「翔もしかしてあそこ?」
忍さんが指を指した
「あぁ~そうだ」
「ウソ凄い この間雑誌に特集されてたよ」
「えっ忍ちゃん雑誌とか見るの?」
「うんたまにね 話のネタになるかなぁ~と思って 弘ちゃんとかなら気を使わないけど やっぱり仕事だけのお付き合いの人と話す時って気まずくなるの嫌だから ちょっと雑誌の力を借りるだけだよ・・・」
(やっぱ忍さんって凄いなぁ~ いろいろな知識を頭に入れおくんだなぁ~ 俺も忍さんを見習わなくちゃなぁ~)
少し車の中が静かになった
「拓巳トイレ大丈夫か?」
「はい」
翔が話を切り出した
「良しじゃ~ 先に弘樹と忍はおりてつり橋にでも行っててくれ 時間が読めないからゆっくりな 駐車場へ入れたら連絡する」
「そうだね車の中に居てもね 忍ちゃん行こう」
(えっ待ってまた・・・ だから翔は俺に聞いたのかぁ~)
忍さんは降りる準備を始めた
「拓巳君先に行ってるね」
「はい気を付けて・・・」
忍さんは俺の言葉に笑顔を見せてくれた
「つり橋があるの?弘ちゃん」
「うんそうなんだよ じゃ~翔先に行ってるね」
「あぁ~」
僕と弘ちゃんは車を降りて歩いた
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「凄い車の列だね」
「うんこの間来た時も待ったよ 人気のお店だからしょうがないよ」
「雑誌で見た時から来てみたいと思ってたんだ まさか翔の知り合いのお店だったとは・・・」
「俺もびっくりしたよ 翔とは中学生の時からの知り合いらしいよ」
「そうなんだ・・・」
僕と弘ちゃんは駐車場の中へ お店の前を横切り進んだ
「忍ちゃん夜はここライトアップされて凄くキレイなんだよ」
「そうなんだぁ~ 波の音が聞こえるね」
「もうすぐだよ忍ちゃん」
(凄い本当に凄い雑誌で見たままのお店に入れるんだ しかも翔の知り合いの人がやってるとか・・・)
僕は胸をはずませ弘ちゃんと歩いていた
僕と弘ちゃんは話ながら進み デコボコとした階段を上った
「弘ちゃんここ怖いね」
「うん柵があるけどこれ絶対意味ないでしょう」
「下は物凄い崖だよ」
僕と弘ちゃんはそう話ながら笑った
「翔と来た時は真っ暗でさぁ~ 白波がかろうじて見えるぐらいで 俺怖くて翔にしがみついちゃったよ」
「ごちそうさま」
「違うよ忍ちゃん その時はまだ翔と俺は知り合ったばかりでさぁ~」
僕は弘ちゃんの言葉にうなづきながら笑っていた
(本当に良かった 翔と弘ちゃんは大丈夫だ)
「やっぱり風は強いね」
「弘ちゃんつり橋ってあれ?」
僕は指を指した
「うんそうだよ」
「立派なつり橋だね 僕が想像していた物とは違っていたよ」
「実は俺も・・・」
弘ちゃんの言った言葉にまた笑っていた
橋は広く風が通り抜け僕と弘ちゃんは橋にたどり着いた
橋の上にはカップルがたくさん海をながめていた
「忍ちゃんあそこから見よう」
弘ちゃんは僕の前を歩いてくれた
「弘ちゃんありがとう」
僕と弘ちゃんは並んで海を見ていた
「ねぇ~忍ちゃん 拓巳君の事なんだけど・・・」
「うんやっぱりその話になるよね」
僕は弘ちゃんが拓巳君の事を気にしている事はわかっていた
「拓巳君って忍ちゃんばっかり見てたよね 翔が居たのに・・・ 有り得ないでしょう普通」
「えっそんなに拓巳君僕を見てたの?」
「見てたよガン見してたって言ってもいいぐらい 俺と翔なんか眼中に無いくらい ねぇ~拓巳君ってもしかして・・・」
「弘ちゃん僕拓巳君に好きって言われたんだ」
「えっやっぱり・・・」
「うんでもその時はごまかして聞こえていないフリをしたんだ」
「忍ちゃんは拓巳君の事をどう思っているの?」
(弘ちゃんには正直に言ってもいいよね)
「拓巳君は凄く素直でいい子だよ でも僕じゃないんだよ 拓巳君はまだ学生でこれからいろいろな人との出会が待っている 僕なんかと一緒に居たらダメなんだよ だってさぁ~僕今年で28になるんだよ」
「忍ちゃんあんまり歳は関係ないんじゃ~ないかなぁ~? 大事なのは忍ちゃんと拓巳君の気持ちだと思うよ」
「うんわかってる でも拓巳君はまだ僕と知り合ったばかりだから 僕に興味があるだけなんだと思う」
僕は海を見ながらそう言った
(うん多分そう 今だけ今は僕に興味があるだけ 拓巳君にはもっとかわいい女の子がお似合いだよ 僕は拓巳君の社会人としての先輩でいいんだ でも拓巳君が少しほんの少しでも僕の事・・・)
忍さんと弘樹さんが車から降り俺と翔の2人だけになった
「拓巳さっきの話の続きをしよう・・・」
「はい」
「拓巳は忍の事に真剣だと言う事はわかった 忍も戸惑っているのかも知れないなぁ~」
「俺がまだ学生だからですか? それとも俺が男だからですか?」
「そうだなぁ~ どちらかと言えば拓巳の未来にだろうなぁ~」
「俺の未来・・・」
「忍はあれでも社会人だからなぁ~」
俺は翔の言葉に何も言えなくなっていた
(俺の未来 俺だってまだ自分の事はわからない もしも俺が忍さんの会社へ就職したら 忍さんと一緒に通勤とか出来てお昼ご飯とかも一緒に食べて・・・ 俺は営業はムリだけど同じ会社へ入る事だってこれから出来る そしたら忍さんともっと一緒居られる)
「翔俺始めてなんです 俺友達が他の友達と話をしても モヤモヤした事がなくて 今日忍さんと弘樹さんが話をしているのを見て スゲ~嫌でした何で俺が隣じゃ~ないんだって 忍さんのあんな嬉しそうに笑った顔始めて見たし」
「弘樹と忍は仕事も今一緒にしているからなぁ~ 気が合うんだろう・・・」
「慣れるものなんですか?」
「今は目をつぶっている 俺も大人だからなぁ~ 弘樹もそれはわかってる 2人で話たい事もあるだろうからなぁ~」
(やっぱり翔は大人だ 俺は俺の事でいっぱいいっぱいだ)
俺はまた翔に返す言葉も見つからなかった
やっと駐車場へと車を入れる事が出来 翔は弘樹さんへ電話をかけた
「翔 駐車場に入れた?」
「あぁ~やっとなぁ~」
「それじゃ~忍ちゃんとお店へ向かうね」
「あぁ~並んで待っているよ」
「うんすぐ行く」
電話は切れた 俺と翔はお店へ
「忍ちゃん翔がお店の前で待ってるって・・・」
「弘ちゃんは僕がどうしたらいいと思う?」
(こんな事弘ちゃんに聞いてもしょうがないんだけど・・・)
僕は弘ちゃんに思い切って聞いてみた
「忍ちゃん・・・」
「僕はもう拓巳君と会わない方がいいのかなぁ~ このままだったら僕・・・」
「忍ちゃんの心の声は何て言ってるの?」
「わからない でもこのままだったらきっと・・・」
「拓巳君の事を好きになる?」
僕はうなづいた
「そうなったら俺も翔も応援するよ」
「弘ちゃん」
「でも忍ちゃんが少しでも 今みたいに暗い顔をするのなら俺は絶対に許さないけどね」
「弘ちゃんありがとう元気出たよ 拓巳君との事はまだわからないけど・・・」
「忍ちゃん美味しいパスタが待ってるよ」
「うんそうだね弘ちゃん」
僕は笑ってそう言った
「何食べようかなぁ~」
「弘ちゃんのおすすめは?」
「そうだなぁ~」
僕と弘ちゃんは楽しく話ながらお店へと向かった
「拓巳行こう」
「はい」
俺と翔は店の前で並んでいる列へ
楽しそうに笑いながらこっちへ向かって来る 忍さんと弘樹さんを見て俺はこう言った
「翔俺さっきも言いましたけど 何で隣に居るのが俺じゃないんだろうって思います 忍さんがあんなに笑顔でとても楽しそうで・・・」
忍さんと弘樹さんが俺達に気づき手を振った
「そうだなぁ~いい笑顔だ」
翔の言葉に俺はうなづいた
忍さんと弘樹さんは俺と翔の前へ
「翔つり橋行って来たよ 風は強かったけど海が凄くキレイだったんよ」
「そうかそれは良かった」
続いて忍さんが少し興奮気味に話をした
「拓巳君拓巳君凄い立派なつり橋でね 白波が青い海に跳ねて凄くキレイだったんだよ」
「そうなんですか忍さんが嬉しそうで良かったです」
「あぁ~また拓巳君はそんな言い方して・・・」
「あっすいません忍さんが凄く嬉しそうだったので・・・」
「拓巳君も見たら絶対興奮するよ」
忍さんは笑顔でそう言った
(俺は忍さんの嬉しそうな顔で十分ですよ でも今度は俺が忍さんを喜ばせたい)
「ここでもかなり待ちそうだなぁ~」
「そうだね 今日は凄く忙しそうだね」
翔と弘樹さんがお店の中を見ながらそう言った
「また前嶋さんに怒られちゃうね」
「前嶋の事は無視して構わない」
「そりゃ~翔は毎日会わないからいいよ 俺は毎日会うんだからそんな訳にはいかないよ」
俺は忍さんの顔を見ると忍さんが話をしてくれた
「拓巳君 弘ちゃんが言った前嶋さんっていう人は 弘ちゃんの前に僕と一緒に仕事していた人で 翔の幼なじみなんだよ」
「えっそんな事あるんですか? 凄い繋がりですね」
「うんそうでしょう僕もびっくり」
忍さんの少し小さな声に俺は忍さんに顔を寄せていた
俺達が話をしているとスタッフの人が 並んでいる人に案内をする為に出て来た
その人が翔に気づき軽くお辞儀をしながら俺達の方へ
「こんにちは今店長を呼んで来ます」
「忙しそうなのであとでいいですよ」
「いいえ店長に言われているので 少しお待ち下さい」
そう言って先頭に並んでいるお客さんを案内していた
「いいと言ったんだが・・・」
「あとであの人が怒られちゃうんじゃない?」
それを見ていた忍さんが声をあげた
「凄いね翔 何かビップ待遇」
忍さんは嬉しそうにそう言った
(つづく)
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椿谷あずる
BL
ここはとある北の国。綺麗な金髪碧眼のイケメン王子様の側近に転生した俺は、どうやら彼を失脚させようと陰謀を張り巡らせていたらしい……。いやいや一切興味がないし!寒いところ嫌いだし!よし、やめよう!
こうして俺は逃亡することに決めた。
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