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297 魔法の基礎となるのが想像力ですのに・・
しおりを挟む職に関しては生産職が少なすぎる。
レベルというのではなく、素養の問題のようだ。
レアがフローラに話しかけている。
「フローラ、この星の住人というのは、生産職に向いていないのかもしれませんわね」
フローラがうなずきながら答える。
「はい、レア様。 そういう種族かもしれません。 でなければ、こんな無駄な技術を発達させないでしょう」
レアもうなずきながら聞いていた。
レアたちは、大統領に情報を与えると、別室の狭い部屋に案内されていた。
地下施設ということで、お客人を接待するスペースがないので我慢して欲しいということだったが、レアたち6人が過ごすには十分だっただろう。
「よくもまぁ、こんな空間に我々を閉じ込めたものだ」
メリッサが周りを見ながら言う。
「下等種族だからこんな生活空間しか持てないのでしょう」
セレネーが答える。
「それにしても、息苦しいな・・・」
メリッサがつぶやいている。
そんな声を聞きながら、レアが下を向いていた。
地下施設の明かりはロウソクなどで確保している。
非常用電源を作動させていたようだが、すぐに動かなくなっていた。
レアの部屋は魔法で光源を保っている。
「レア様、どうかされましたか?」
エリスが心配そうな顔でみていた。
「・・いえ、考えていたのです。 この種族は、知識は足りないようですが、知能はまずまずと言ったところでしょう。
私たちの言葉も理解していますし、指示も否定することなく行っている様子。 そして、おそらく魔法の利用価値がわかれば、私たちを排除するようになるでしょうね」
レアは誰に語るでもなく話している。
レア以外のみんなが沈黙して驚いていた。
コンコン・・・。
ドアをノックする音が聞こえ、すぐに返事を返す。
「どうぞ」
レアがいう。
ドアが開かれて、一人の男が入ってきた。
「失礼しま・・・・」
男は、部屋が明るいのに驚いた。
「・・こ、これは・・・」
男は部屋を見渡して、一つの光源を見た。
結構な光で、あまり長く直視はできないようだ。
「あら、光が強すぎましたか・・・」
フローラがそういうと、光源を調節。
夕焼けのような明るさとなった。
男はただ驚いていた。
「・・・し、失礼しました。 大統領がお呼びです」
男はそういうと、どうぞと手で合図をする。
レアたちは、男に従ってついて行く。
レアたちが部屋を出るときには、光源はなくなっていた。
時間は16時前だ。
男は大統領のところへ案内した。
レアたちが部屋に入っていくと、大統領が席を立って迎える。
それぞれが席に着こうをすると、部屋を照らしている電池式の照明が一つ消えた。
急いで係が新しい電池を取りに行こうとすると、フローラがレアを見る。
レアがうなずくと、フローラが魔法で光源を出した。
部屋には20個ほどの照明器具があったが、たった1個の光源で部屋全体が昼間のような明るさになった。
部屋中のレアたち以外の人から声が漏れていた。
「・・明るい・・・」
「・・なんだこれは・・・」
「・・良かった・・」
・・・
・・
ジェームズが言葉を出す。
「・・あの、この光はいったい・・・」
レアたちにすれば、当たり前すぎることだったので気にもしていなかった。
レアがフローラたちと目を合わせて答える。
「あぁ、申し訳ありませんわね。 魔法で勝手に光源を出してしまいました。 失礼しました。 眩しすぎたのですね」
レアがフローラに向いてうなずく。
すぐに光の強さが落とされた。
「・・魔法か・・」
大統領がつぶやいていた。
その横で国務長官ジェームズが言葉を発する。
「レア姫様、先ほどおっしゃられたように、我々のステータスを確認しました。 職業のところを見ると、4名の生産職と思えるものがいました」
「レアでよろしくってよ。 で、その者たちの中に、錬金術師という職はありましたか?」
レアがサクッと聞いていた。
「・・・錬金術師? ですか。 そのような職はありませんでした。 4名の職で生産職と思われるのが修繕士×2、鍛冶士、調合士です」
ジェームズが答えていた。
「・・なるほど・・そうですか。 フローラ!」
レアがそういうと、フローラが答える。
「文明のエネルギーの基となる魔素、これをあなたたちは利用していない。 何を利用してエネルギーを確保していたかわかりませんが、魔素を利用する必要があるでしょう。 その中心となる魔核を生産するのに、錬金術師は不可欠です。 ですが、生活で使うようなレベルでしたら、誰でもその程度の魔核は生成できますからご安心を」
フローラの声に、誰も声を出せない。
「・・・おや? 私の説明では不足でしたか?」
フローラが聞く。
「い、いえ、そのようなことはありません。 おっしゃってる内容は理解できます。 しかし、頭で理解できるだけでどのようなものなのか、想像できないのです」
トーマスが少し震える声で答えていた。
「・・困りましたわね。 魔法の基礎となるのが想像力ですのに・・・」
レアが目線を落とし考えている。
そのレアの姿を見たフローラが、自身のアイテムボックスから魔石を取り出した。
!!!!
その場にいた大統領以下全員からガタッと椅子が揺れる音がした。
何もないところから光る石を取り出した。
いったいなんだ?
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