スーパーシティ ～放置国家～

第十二章

第二話 遭遇

　車輪とオヤジは、毒山ファミリーが貧困ビジネスで仕切る一帯を

もう少し探る事にした。「あの狂助って奴は人身売買、臓器密売を

請け負ってやがるらしい」、、暫く街中を流し、2人は適当な食堂に

入って注文した。すると長髪のオールバックが取巻き2人を引き連れ

店に入って来た。「らっしゃ、、い、、、ど、どうも、、」、、


　威勢の良い店主は明らかにビビッている。「マスター、酒だ酒だ」、、

「へい、まいど」、、先にラーメンを頼んでいた車輪とオヤジを

抜かして、店主も奴らの注文を先に出す。「あれは狂助の兄貴の

凶太郎だ、奴は闇金融の経営と、政府との繋がりが噂されている」、、

オヤジが小声で車輪に囁く。


　「闇金か、それより俺達のラーメンが後回しにされたのが腹立つ

ぜ」、、車輪はすでに臨戦態勢だ。「待て待て、敵はまだ居るんだ、

十分に探りを入れてからにしようぜ」、、オヤジはなだめるが少し

遅かった。「コラァ、そこの2人さっきから何ヒソヒソ話してんだぁ」、、

その途端、他の客は一斉に金を置いてバタバタと店から立ち去った。


　スキンヘッドの額に「死」の入れ墨を入れた取巻きの１人が威嚇

しながら近づく。「出ようぜ。まだラーメンも出してもらって無ェん

だしヨソで食おう」、、「そうだな」、、車輪とオヤジが立ち上がる

と、「コラコラどこ逃げんだよ」、、坊主を稲妻カットにしたもう１人

の取巻きも進路を塞ぐようにして凄む。


　「ラーメンが出て来ねェから帰るだけだ」、、車輪は毅然とそう

言う。「オメェらヨソモンか？ここらでこのお方を知らねェ人間は

いねェぞ？」、、稲妻が言うと車輪は「知らねェよ、このお方を

どなたと心得るってか。水戸黄門はテレビだけにしてくれや助さん

角さんよ」、、オヤジはあちゃー、、、という表情になった。