スーパーシティ ～放置国家～

第十章

第一話 内部

　スーパーシティ内部に侵入した車輪と元レーサーは、生れて初めて

シティの内部を見た。鉄道の線路と立体交差しながら幹線道路が数本

重なり、たまに無人のトラックやロボットと思しき軽車両が通って

いる。一帯は人口芝生で、天井は高く体育館の様な感じで照明が取り

付けられ、ドローンが数機飛び交っているのが見える。


　「見た所人間は居ねェな」、、二人は更に奥に進む事にしたが、いつ

発見されるか分からないので用心せねばなるまい。過去にこのスーパー

シティに簡単に入り込めるのを良い事に、物珍しさで忍び込んだ男が

居たが、戻って来たらまるで別人の様になっていたそうだ。シティ内

でも大騒ぎになり、今の様に入口がＩＤカード必須になったらしい。


　「その男に一体何があったんだろうな」、、「噂じゃ捕まって拷問

されたらしいが、侵入位で拷問てのもおかしい。せいぜい厳重注意って

とこじゃねーかな。兎に角謎が多すぎる」、、二人は身を潜めながら

線路際の側溝から奥に進んだが、何やら明るくなったと思ったらまた

外に出た。「地図が無いからワケが分からんな」、、


　上を見ると巨大なピラミッド、どうやら車輪達はピラミッドの一階

部分を進んだらしいが、そうなると居住スペースは二階以上、それも

ピラミッドは何棟も繋がっており、それが巨大な円となって内側にも

また町がある様だ。車輪達が出て来た「外」はその円の内側で、内側

の町にもピラミッドがいくつも立ち並んでいた。


　「侵入者発見！」、、初めて内部を見て唖然としていた二人に、突然

ＡＩの声がしたと思ったら、辺り一面電子的な警報音と、何か所かから

赤のランプが点滅し出した。「しまったっ」、、「もう見つかったって

のかっ！？」、、逃げようとする二人に、次々とＡＩ一体型の軽車両や

人型ＡＩが迫って来た。