スーパーシティ ～放置国家～

第九章

第六話 残党

　阿呆教の勧誘は勢力が大きいので、調子に乗ってるのか少ししつこい。

倉庫のオヤジや元レーサーの尽力で調べると、近隣の自警団も同じ様に

勧誘されており、規模の小さい所は、前回みたいな街宣車で脅されると

つい加入してしまう所が多いという。そうなると、宗教系暴力集団の様

な自警団に脅されてるようでは本来の自警団の意味が無くなってしまう。


　しかし強盗団みたいに直接襲って来るのと違い、ジワジワと仲間に

なれと近付いて来られると中々防ぐのも難しいのだ。「ま～ったく面倒

臭ェ連中だぜ」、、車輪は今迄の暴力集団よりもタチの悪い阿呆教に

苛立った。「何を拝もうと自由だが、それをネタに直接戦闘も出来ない

クセにジワリジワリと侵食しようとしやがって」、、


　このままでは仕事中に嫌がらせをされたり、人が居ない間に畑を荒ら

されたりする可能性があるので、こちらから先に敵の本拠地に出向いて

ケリを付けた方が早い。すると元レーサーが拾ってきた情報によると、

阿呆教は米穀連合会の残党が裏で糸を引いてるらしいと言うのだ。暴力

集団では食えなくなったので形を変えたと言う訳だ。


　「やはりあれだけの勢力で政府とも微妙に繋がってたもんな、これで

増税に賛成とか政府を恨むなとかいう主張も理解できる。一気に潰すしか

無いか」、、「どうせ奴らは拡声器でギャーギャー喚くだけで戦力なんか

大した事無ェ、俺でも潰せる」、、車輪と元レーサーは意気込んだがオヤジ

は「だが始末が悪いのは一般人に溶け込んで女子供も居る事だぞ」、、


　確かにそうだ。仮に本拠地を襲撃するにも、そこに女子供を含む一般人が

純粋にその阿呆主様とやらを拝んでたらどうしようも無い。結局形が変化

しただけで暴力集団が一般市民を盾にする構図は同じだ。すると仲間の一人

が駆け込んで来て、さっき知らないオバさんが「平等と支配の無い社会を

創る革命和平に入りませんか？」、、と勧誘してきたと言う。「またか」、、