スーパーシティ ～放置国家～

第三章

第十話 新兵器

　暴力集団や政府に不満を持つ一般市民の協力を得る事になった

車輪はもう一人では無い。だがここ数日で真友連合の一つの勢力

である亡騒閃死（ボウソウセンシ）が、車輪が匿われている地域の

暴力集団に話を通してウロつくようになった。亡騒閃死は総勢８０

人からなるバイク型暴力集団だ。


　民間警察は高額なので真友連合も度々依頼するわけにはいかず、

それによる捜査は一先ず打ち切られているとは言え、マゴマゴして

いると真友連合がこのように直接乗り出してくるのだ。この動きに

対して、農業用に四駆のピックアップトラックであるハイラックス

を所持している、元レーサーの男が協力を名乗り出た。


　これは自分一人の闘いであり、支援してくれるだけで十分だと

車輪は断ったが、暴力集団に八百長を強要され人生を狂わされた

元レーサーは、奴らに一矢報いるなら命など惜しくは無いと言う。

レース場の運転技術だけならば車輪と互角かそれ以上、ハイラックス

の運転手として頼む事にした。


　車輪が対暴力集団の兵器として前々から考えていたのは、小型

トラックの荷台に重機関銃を搭載したテクニカルと呼ばれる車だ。

正規軍というより中東あたりのテロ組織が日本車を改造して作る

ような代物だが、小回りが利き小規模な戦闘にはうってつけだ。

だが一人ではどうしようも無かったのである。


　車輪は早速元レーサーと一緒に、今迄の戦利品を隠してある秘密

のコンテナに農家を装って向かった。荷台に銃座とブローニングＭ２

重機関銃を取りつけ、防弾チョッキに使われる特殊繊維をボディ内側

にくまなく貼り付けた。これで普段は荷台にシートを被せておけば

普通の小型トラックにしか見えないテクニカルの出来上がりである。