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初めてのことばかり 第3話
しおりを挟む花ちゃんと神楽さんと少しお話した後、私は綺麗にしてもらった自室へ行き、着付けの練習や、皆さんに頂いた着物などを箪笥へと片付けた。
ふぅ、でもどうしていきなり鬼ヶ島に来てしまったんだろう……。ただ自分の部屋で寝ていただけなのになぁ。きっと今頃、会社は無断欠勤になってるだろうし……いや、私の存在がまるごと無くなっていてもおかしくはない?
うーん……でも正直、今の世界の方がずっと楽しそうだし、実際私自身も生き生きとしていられる。元の世界にあんまり未練もないかな、両親に会えないのは少し寂しい気がするけど……
そんなことを考えながら一息ついていると、部屋の障子越しに誰かの気配がする。
「おう!桃子ちゃんおるか~?」
大きな声で私を呼んでいるようだ。
「は、はい!います!ここにいます!」
あまりにも大きな声なので、私は急いで障子を開けて返事をした。
障子を開けた先の中庭には、稽古が終わった様子の、桜谷さんと藤堂さんが立っていた。
「お~、ここの部屋になったんか。日当たり良好、流石京ちゃんや。仕事のできる男やで~。」
「はい。ありがたいことに、使いやすそうなお部屋で助かってます。……お二人は今まで稽古をなさってたんですか?」
「そうだ、劉さんが中々終わらせてくれなくてよ……おかげでそろそろ陽が暮れちまいそうだぜ。」
「たしかに、もうそんな時刻になるんですね。あっという間です。」
「せやなぁ、今日は早めに晩飯食ってまうか、桃子ちゃんもゆっくり風呂入りたいやろ」
「そうですね、私もそれがいいです。」
夕飯には、まだ少し早かったが、私と桜谷さんと藤堂さんで食堂へ向かった。
食堂につくと既に隊士の人が沢山、夕食を摂っており、室内は賑わっている。すごい……こんなに沢山の隊士の人がいるんだなぁ。
しかし、私達の存在に隊士の人たちが気づくとさっきまでの賑いが嘘のように静まり返り、皆さん揃いも揃って「桜谷隊長!藤堂隊長!お疲れ様です!」と食事中にも関わらず頭を下げるのであった。
こ、この貫禄のある二人がいたんじゃ、隊士の人達がゆっくり食事をするのは無理なのでは……?と私は悩んでしまった。
「……折角やし、俺の部屋で食うか。」
「?あぁ、俺は別に構わないが……。」
桜谷さん!貴方意外と空気が読める人なんですね……流石隊長さんです。
藤堂さんは頭に?を浮かべている。まさかこの異様な空気を感じ取っていないのか……少し天然なのかもしれないな……。でも、そのギャップ!女子はグッときますね。
私達は、食事のお盆を受け取り、桜谷さんのお部屋で移動した。
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