12 / 36
序章
明けの明星 第2話
しおりを挟む
御籐はあまり乗り気ではなかったが、ゆめからの強い要望があり、御籐とゆめは、早速今日、岩倉がいるであろう組経営のモーテルへ来ていた。モーテルは、築二十年ほどは経っていそうで、所々年季が見て取れる。
「おう!兄弟。忙しいとこ悪いな。」
探さずとも、岩倉は、モーテルのフロントですぐに見つかった。
「この子が俺の女のゆめや。ほれ。挨拶せえ。」
「はじめまして。ゆめです。突然、押しかけてしまってすみません。」
ゆめは、岩倉の顔を見て何故かほっとした様子であった。
「おう!ゆめちゃんか。話には聞いとったけど、ホンマえらい別嬪さんやなぁ。遠くから見えたとき、なんや後光さしとったで。ま、立ち話もなんやし、奥にソファがあるから、かけてまっててや。」
岩倉は、そういって給湯室の方へ消えていく。
岩倉は、そういってしばらく戻ってこず、御籐が様子を見に行こうとしたとき、ようやく戻ってきた。
「……すまん。突然、本部長から電話があってな。」
岩倉が神妙な面持ちで話す。
「本部長が?いったい何の用や?」
御籐が岩倉に問いただそうとした時であった。
パンッ!パンッ!パン!
と、かなり近場から高い金属音が聞こえてきた。
「カチコミかっ!このモーテル内みたいやな!」
多数の足音から察するにモーテルの敷地内から銃声が聞こえているらしい。すぐさま御籐と岩倉は臨戦態勢となっている。
「ゆめっ!絶対俺の後ろから離れんなよ!」
「クソッ。この部屋数じゃ埒があかん!兄弟、俺は二階の左端から、お前は一階の右端からや!」
「だめっ!みんなで、一階の右端から行こう!」
ゆめが岩倉の指示を遮った。
「ど、どうした?ゆめ」
「いいから早くっ!二人ともついてきてっ!」
必死に走り出したゆめを、仕方なく二人は追った。
フロントから飛び出し走り、一階の右端に行くと逃げ遅れたのか、チンピラのような男が二人駆けていくのが見えた。御籐と岩倉は、二人に余裕で追いつき、地面へ叩きつける。
バンッ!!
と、ものすごい爆発音があたりに響き渡る。
おそらくモーテルの反対側の部屋の方だ。御籐と岩倉は、同時に同じことを考えた。ゆめの言動は、怪しいと。だが、チンピラを問いただす方が先だ。
「おい。お前ら。組のモンではないな。誰の差し金や。」
御籐は、チンピラの胸を脚で踏みつける。
「クッ……」
「おい。喋れん喉なら潰すで。」
御籐は、脚にグッと力を込める。
「……菊矢っ……」
「そやろと思ったわ。」
御籐は、チンピラの顎を蹴り、ノした。
「やっぱり、カシラの差し金か。兄弟ばかりじゃなく、俺も狙ってんねな。」
御籐と岩倉はそういってゆめを見る。
「ゆめ、お前こうなること知ってたんか?無理矢理、俺たち集めて、爆発からあえて遠ざける。偶然でしたってことないよな?」
御籐は、今までゆめに見せたことのない表情でゆめを睨む。
ゆめは、怯えてしまい、何も答えない。
「でも状況的には、お前は俺たちを助けたことになんのか。」
岩倉は、陥れるにしても結果として二人とも無傷で助かっていることに気づく。
「ゆめ、もしかして誰かに脅されてんのか?」
御籐は、ゆめの肩を掴み問いただす。ゆめは、小さく首を振った。
「ただ、二人のことを助けたかっただけなの。」
ゆめは、涙を流しながらそう答えた。
「おう!兄弟。忙しいとこ悪いな。」
探さずとも、岩倉は、モーテルのフロントですぐに見つかった。
「この子が俺の女のゆめや。ほれ。挨拶せえ。」
「はじめまして。ゆめです。突然、押しかけてしまってすみません。」
ゆめは、岩倉の顔を見て何故かほっとした様子であった。
「おう!ゆめちゃんか。話には聞いとったけど、ホンマえらい別嬪さんやなぁ。遠くから見えたとき、なんや後光さしとったで。ま、立ち話もなんやし、奥にソファがあるから、かけてまっててや。」
岩倉は、そういって給湯室の方へ消えていく。
岩倉は、そういってしばらく戻ってこず、御籐が様子を見に行こうとしたとき、ようやく戻ってきた。
「……すまん。突然、本部長から電話があってな。」
岩倉が神妙な面持ちで話す。
「本部長が?いったい何の用や?」
御籐が岩倉に問いただそうとした時であった。
パンッ!パンッ!パン!
と、かなり近場から高い金属音が聞こえてきた。
「カチコミかっ!このモーテル内みたいやな!」
多数の足音から察するにモーテルの敷地内から銃声が聞こえているらしい。すぐさま御籐と岩倉は臨戦態勢となっている。
「ゆめっ!絶対俺の後ろから離れんなよ!」
「クソッ。この部屋数じゃ埒があかん!兄弟、俺は二階の左端から、お前は一階の右端からや!」
「だめっ!みんなで、一階の右端から行こう!」
ゆめが岩倉の指示を遮った。
「ど、どうした?ゆめ」
「いいから早くっ!二人ともついてきてっ!」
必死に走り出したゆめを、仕方なく二人は追った。
フロントから飛び出し走り、一階の右端に行くと逃げ遅れたのか、チンピラのような男が二人駆けていくのが見えた。御籐と岩倉は、二人に余裕で追いつき、地面へ叩きつける。
バンッ!!
と、ものすごい爆発音があたりに響き渡る。
おそらくモーテルの反対側の部屋の方だ。御籐と岩倉は、同時に同じことを考えた。ゆめの言動は、怪しいと。だが、チンピラを問いただす方が先だ。
「おい。お前ら。組のモンではないな。誰の差し金や。」
御籐は、チンピラの胸を脚で踏みつける。
「クッ……」
「おい。喋れん喉なら潰すで。」
御籐は、脚にグッと力を込める。
「……菊矢っ……」
「そやろと思ったわ。」
御籐は、チンピラの顎を蹴り、ノした。
「やっぱり、カシラの差し金か。兄弟ばかりじゃなく、俺も狙ってんねな。」
御籐と岩倉はそういってゆめを見る。
「ゆめ、お前こうなること知ってたんか?無理矢理、俺たち集めて、爆発からあえて遠ざける。偶然でしたってことないよな?」
御籐は、今までゆめに見せたことのない表情でゆめを睨む。
ゆめは、怯えてしまい、何も答えない。
「でも状況的には、お前は俺たちを助けたことになんのか。」
岩倉は、陥れるにしても結果として二人とも無傷で助かっていることに気づく。
「ゆめ、もしかして誰かに脅されてんのか?」
御籐は、ゆめの肩を掴み問いただす。ゆめは、小さく首を振った。
「ただ、二人のことを助けたかっただけなの。」
ゆめは、涙を流しながらそう答えた。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
【R18】黒髪メガネのサラリーマンに監禁された話。
猫足02
恋愛
ある日、大学の帰り道に誘拐された美琴は、そのまま犯人のマンションに監禁されてしまう。
『ずっと君を見てたんだ。君だけを愛してる』
一度コンビニで見かけただけの、端正な顔立ちの男。一見犯罪とは無縁そうな彼は、狂っていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる