こんなスパダリが義弟のワケない

31.夜のお供は

（あいつが少女漫画の王子様みたいだから見落としてたけど、そりゃ男なんだし……する、よな……？）

　同じ部屋で暮らしていて、全く気がつかなかった。思い起こせば秀一が夜中にオナニーの素振りを見せたことは無い。
　俺は元々そっちの欲は薄いほうなので、同級生のように毎日抜かなきゃ気が済まないとか、そんなことはなかった。四人で暮らし始めてからは、たまに委員会で遅くなった学園のトイレで、ひっそりと自慰するくらいで済ませられていた。

（けど秀一は、我慢してたのかも）

　いくら王子様じみたスパダリだって、結局は高校二年生。ちょっと色めいたシーンに出くわしてしまったらひとたまりもないのだろう。

――問題は、俺がそのオカズってことなんだけどな……。

　図書館の自習室についても、秀一が俺のどんな姿で抜いているのかばかりが気になって勉強に集中できない。

（掘られるほう……？　いや、あんだけグイグイ来るからには掘るほうなんだろうな……。俺がネコか……）

　役割が脳内で決まったところで、ぼんやりと想像する。

（お互いに手やら口やらで高め合って、ガチガチに固くなった秀一自身が、ゆっくりと俺の中に挿れられて……。見たことないけど、なんかアイツのは立派な気がする）

　その立派なイチモツが、他人には触らせない俺の敏感な場所を出入りして、お互いに快感が徐々に高まっていって……。

「……ッ」

　そこまで想像して、俺は自習室のデスクから立ち上がれなくなった。

（お、落ち着け愚息よ……。もうちょっと萎んでくれねーとトイレにも行けないだろ……！）

　ジーンズの中の昂りに慌てて背を丸めた俺は、結局参考書の例題をひとつも解けないまま図書館を後にすることになった。――しかも、手洗いでオナニーするという情けないオプション付きで。