悪役令嬢は溺愛されたい

たったひとつの願望

なんと悪役令嬢になってしまったのだ。
ショックのあまり、しばらく寝込むほどだった。
「なんで？ なんで悪役令嬢なの？おかしいですわね」
異世界転生したら悪役令嬢になっていた件。
いや、それはよくある設定だからいいとして。
問題は……。
「どうしてヒロインが出てこないの！？」
そう、ヒロインがいないのだ！ 異世界転生モノにおける最重要項目だ！ なんでこんなところだけきっちり原作再現するんだよ！ でもって、どういうわけかラヴィー姫も出てこない！ 一番の重要キャラじゃないか！？「ヒロイン、どこ行ったのよ！？ これじゃ異世界転生した意味がないじゃない！ なんで！？」
いや、ホントに。
っていうか……。
「悪役令嬢なんてイヤだよぉぉお！！」
と叫びながら私は転生直後のベッドの中で布団にくるまった。

* * *
しばらく泣いて落ち込んでいたが、落ち着いて考えてみるとそれほど悪い状況ではない……ような気もする。
「いや、やっぱりヒロインがいないのはダメだろ……」
でもまあ、いないならしょうがない。
とりあえずヒロインポジションになってチヤホヤされる～なんて夢も良いけれどなにかとイベント事に巻き込まれるのよね。面倒ごとはごめんだわ。

だから、溺愛されたいというただの願望に忠実になって生きてやるわ！
1人に愛されればじゅうぶんなのよ！そうと決めたら、行動あるのみ！