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15. 宣戦布告
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木剣がぶつかり合う音に男臭い声と匂い。ラインハルトが王宮にあるこの騎士団修練場で汗を流していたのはもう十年以上前だが、その雰囲気は今も変わらない。
ラインハルトは幼いころから父親について王宮に参内するたびにこの修練場を訪れた。公爵家の騎士団も国一番の武力を誇ると言われるが、それでもやはり王族に忠誠を誓った王宮騎士団は別格。貴族の子息たちにとって憧れの職業だった。
当然のようにラインハルトもそこに籍を置き、公爵位を継ぐまで身命を賭そう幼心に決めていた。その想いは熱病を患い、味覚を失ってからも変わらず、騎士団に入団が可能となる十三になるや否や合格率数パーセントなどと言われる入団試験をトップの成績で突破し、十五には小隊の副官、十七には部隊長と破竹の勢いで出世を重ねた。
ところが、少年から青年になるにつれ、熱病による影響は顕著になっていく。
どうしても食事量が増やせなかったラインハルトは、徐々に体格も体力も満足いかないものになっていった。それでも、同年代の他の騎士たちよりも充分に優れていたし、頭脳で騎士団を支えるという手もある。
だがある日、今も手合わせをしている王太子、マティアスの剣を受けきれなかったとき、これ以上は望めないと騎士を辞すると決めた。
「さすがだな、ラインハルト! 全く鈍っていないじゃないか」
そう言うマティアスだって騎士を辞して久しいにもかかわらず、現役のころと変わらぬ剛腕で得意の大剣を振り回している。
もちろん訓練用の歯をつぶしたものだが、受け損ねたら骨の一本や二本、簡単に折れるだろう。
身長はラインハルトよりも少し小さいが、マティアスの方が圧倒的に筋肉質で、横幅があるため、パッと見ただけではマティアスの方が大柄に見える。そしてその体格に見合うだけの体力もある。正直、羨ましい。
とは言え、大柄であればそれなりにデメリットもある。マティアスが大剣を振りかざした際に一瞬だけ見えた隙をついてその懐へと踏み込み、喉元へ剣を突き付けた。
これでこの勝負、ラインハルトの勝利だ。
「参った」
両手を上げたマティアスを見ながらラインハルトもふうと肩の力を抜いた。見学をしていた騎士たちからは拍手が上がる。
「もう一戦やるぞ!」
「ご勘弁を。これ以上は体がもちません」
「そう言うな、あと一度くらいならいけるであろう」
「栄光ある殿下のお相手はそちらの若い騎士たちに」
譲りましょう、そう言うつもりだった言葉が口から出る前に、ラインハルトは顔をガバっと横へと向けた。
「ラインハルト? どうした?」
――これは……、この香りは……!
ラインハルトはマティアスの問いかけに答えぬまま、修練場を飛び出した。
「サク!!!」
修練場に漂ってきたのはそこにあるはずのない金木犀の香り。そう、咲玖の香りだ。
修練場は咲玖がいるはずの王宮からは少し離れている。それなのにそこまで香りが届いたということは、恐らく咲玖はどこかにケガをしたのだ。
血はほかのどの体液よりも香りが強い。口にしたことはないが、その香りの強さだけで禁断の果実であることがわかる。
その胸を焦がすほどに甘い香りはフォークの本能を揺さぶるが、おかげで咲玖がケガをすればすぐにわかるというメリット(?)もある。
香りを頼りにして早鐘を打つ心臓のままに走り、見つけた咲玖は小川の横に並ぶ桜の木の下で蹲っていた。
「ライ?! どうしたの??」
「サク、どこにケガを?!」
ラインハルトの声に気づき、こちらへと体を向けた咲玖を慌てて抱き上げると、白い七分丈のパンツの膝部分が赤く染っている。
「早く手当てを……!」
「大丈夫だよ、ちょっと擦りむいただけだから」
「膝以外にケガは?」
「ないよ、大丈夫。心配してくれてありがとう」
少し頬を赤く染め、咲玖は綻ぶように微笑んだ。その表情を見て多少安堵できたが、それとは裏腹に“咲玖を心配する気持ち”に抑えられていたフォークの本能がむくりと顔を出す。
漂う甘い香りに自然と溜まり始めた唾液を飲み下し、咲玖の首元に顔をうずめた。
「では、早く部屋に戻ろう。この香りは少々刺激が強い」
「えっ! あ、うん」
ビクリと肩を震わせた咲玖を横抱きにしようと体を離すと、咲玖はラインハルトの肩の向こうへチラチラと視線を向けている。何かと思って振り向いたとき、ラインハルトはアーデベルトがいることにようやく気が付いた。
「第二王子殿下がなぜこちらに」
地べたに座っていたアーデベルトは、ラインハルトが視線を向けるとパンパンと服を払いながら立ち上がった。
桜の花びらと共にアーデベルトの後で束ねたピンクブロンドの長い髪が風になびいている。この姿にため息をこぼす人もきっと多いのだろう。
王族の面々は美しい面立ちであることに定評があるが、その中でもアーデベルトは特に民衆に人気が高く、“桜の王子様”などという二つ名で呼ばれている。決して愛想のあるタイプではないが、世間の女性はそこがまた“イイ”らしい。
ただ、ラインハルトには“愛想がない”レベルと超え、なぜか昔から嫌悪の感情を向ける。嫌われるほど関わっていないと思うのだが、こうもあからさまなのだから、きっとこちらが何か気に障ることをしでかしたのだろう。
何度か兄であるマティアスに「どのような場合でも感情を表に出すのは王族としてあるまじきことだ」とラインハルトとしてはそこなの? と突っ込みたくなるような注意を受けていたが、それでも改まらないのだからもうあまり気にしないことにしている。
今だって当然のようにラインハルトとは目を合わせない。
「ここを通りかかったら偶然、世界樹の客人を見つけただけだ」
「あっそうなんだ。それで、俺が川に落ちそうになっちゃったところを助けてもらったの」
「川に落ちそうになった?! あぁやはり一人にするべきではなかった……。殿下、助けていただきありがとうございました」
咲玖を抱き上げたまま礼の姿勢を向けるが、こんなふうに殊勝な態度をとっても大抵嫌悪感たっぷりの表情で睨みつけられる。ラインハルトとしてはまぁいつものことであるから特に何も思わないが、如何せん腕の中の心優しい婚約者は気に病むだろう。
そうならぬよう、足早にその場を退散しようとしたが、アーデベルトはいつもとは少し違う様子を見せた。
「公爵こそなぜここへ?」
アーデベルトから話しかけられたことなどここ数年なかった。しかもいつもの嫌悪と言うよりは、探るような視線をラインハルトに向けている。
それに、質問の意図がわからない。言い知れない不穏な予感に咲玖を抱く手にジワリと汗が広がる。
「修練場から戻る途中にサクが蹲っているのが見えたので、慌ててこちらに」
「ふぅん? 随分と遠回りだな」
「こちらに行くと聞いていましたらから、まだいるかと思って覗きに来たのです」
アーデベルトの真意を計りながら当たり障りなく口にした答えに違和感はなかったはずだ。
ところが、アーデベルトはふっと嘲るように鼻で笑った。
「そうか、私はてっきりこの“甘い香り”に誘われてきたのかと思ったのだが、違ったようだな」
その言葉に、心臓が大きく波打った。
――まさか……、いや、そんなはずがない。
そう頭では否定するが、手が、声が震える。
「確かに、甘い香りがしますね。この桜並木のものでしょうか」
今は花が咲き誇る季節だ。どこからともなく花の香りがする。
だから、きっと違う。
笑え、隙を見せるな。そう心の中で叫んだ通り、きっとちゃんとできているはずだ。
早鐘を打つ心臓の音は、咲玖のものなのか、自分のものなのか。
ラインハルトは抱き上げていた咲玖を無意識のうちにさらに自分の内へと囲い込むかのように強く抱きしめていた。
「ラインハルト! おや? アーデベルトまで。どうかしたのか?」
そんなピンと張りつめた空気をあっさりと打ち破ったのは王太子であり、アーデベルトの兄でもあるマティアスだった。修練場を飛び出したラインハルトの後を追ってきたのだろう。
アーデベルトはマティアスを見るなりふうっと息を吐き、まるで引いていた弓を下ろすかのように視線から鋭さを消した。
「私は通りすがっただけです。公爵、早く世界樹の客人の手当てをしたほうがいいのでは」
「……はい。マティアス殿下、サクがけがをしたので部屋に戻らせていただきます」
「それは大変だ! 必要なものがあればメイドに言いなさい」
はい、と返事をし、アーデベルトとは目を合わさぬまま踵を返した。
「サク、第二王子殿下と何かあったのか」
手当てを終えた後、部屋で二人っきりになったところでようやく話を切り出すことができた。
とは言え、もう舞踏会の時間も迫っており、そう時間はない。
「特に何かあったわけじゃないけど……、でも……『甘い匂いがする』って言われた」
それは“何かあった”うちに入るのではないだろうか。
ケーキの香りがわかるのはフォークだけだと咲玖は言っていた。
ということは……。
「……とにかく、第二王子殿下にはあまり近寄らないようにしよう」
なんとなく憚られ、互いに明確なことは言葉にしないままその話を終えた。
それは、これまでのことを考えれば、アーデベルトの方からこちらにわざわざ接触してくることはないだろうという考えがあったからでもあった。
だが、結局は考えが甘かったと言わざるを得ない。
だから今、こんなことになっているのだろう。
舞踏会が始まってしばらくは何事もなかった。
シン国からの客人への歓迎のあいさつから始まった舞踏会は、まずは国王夫妻、その後に主賓であるウィロー家当主夫妻と王太子夫妻、と地位が高いものの順にダンスを踊る。公爵であるラインハルトはその後だ。
今日の舞踏会は咲玖を婚約者としてお披露目する場でもあり、もちろん衣装にも十分な気合を入れてきた。
咲玖の黒髪が映えるようにコートは白地にオレンジを含んだ金糸でオスマンサス公爵家の家樹である金木犀を模した刺しゅうを施し、カフスボタンにはエメラルドをあしらった。
胸元にはそれよりも大ぶりなエメラルドを金の台座にはめ込んだクラバットピンが光っている。
そして咲玖の愛らしさを引き立たせるよう繊細なレースをふんだんに使用した華やかなシャツに、オスマンサス公爵家の家紋の入ったボタンを飾ったインディゴブルーのウエストコート。
ラインハルトの衣装は咲玖のウエストコートと同じインディゴブルーのコート、カフスボタンとクラバットピンは咲玖の瞳の色と同じ黒曜石。デザインもあからさまに“揃え”とわかる造りになっている。
その独占欲の塊のような盛装に身を包んだ咲玖はため息が出るほどに美しく、会場入りした際にはその場の視線を独占した。
最後の大物独身貴族なんて言われていたラインハルトの婚約者はどんなものかと値踏みをしていた貴族たちを黙らせるには十分だっただろう。
まぁ正直なところ『世界樹の客人』である咲玖は存在そのものが特別なのだから、オスマンサス公爵夫人の座を狙っていた他の貴族から文句など出ることはない。
それでも、質素でいいという咲玖を「公爵家の体裁のために」なんてもっともらしい理由を付けて着飾らせたのは、ひとえに自分の色を纏った美しい咲玖を見せびらかしたいなんていう器の小さな欲のためだ。
だが、少しやりすぎた。
無事にファーストダンスを終えて拍手喝采を浴びた際、少し照れたようにはにかんだ咲玖に心を打ちぬかれた男たちの数はきっと片手では足りない。
だからその後のフリーダンスの時間は咲玖の盾となることに徹底し、舞踏会が始まるまで胸の内を曇らせていたアーデベルトのことなどすっかりと吹っ飛んでいた。
そうして舞踏会も終盤を迎えた頃。
それは、少しほっとした気持ちでラストダンスに咲玖を誘うために手を伸ばそうとしたその時だった。
「世界樹の客人」
突然の声に驚いて振り向くと、その先には第二王子のアーデベルトがいた。
ロイヤルブルーの騎士服を纏ったアーデベルトはラインハルトを一瞥することもなく、ゆっくりと咲玖の前へと歩みを進める。そして、白い手袋をはめた手を静かに咲玖へと差し出した。
「どうか私と踊ってくれないだろうか」
舞踏会の最初と最後のダンスではパートナーと踊るのが慣例だが、決まったパートナーがいない場合、ファーストダンスは親族などの近しい相手と踊り、ラストダンスは意中の相手を誘う。
つまり、ラストダンスのこのタイミングでアーデベルトが咲玖を誘ったということは、咲玖への好意を表明したに他ならない。
当然、会場には一気にざわめきが起こった。
「殿下、どういうおつもりですか」
戸惑いを隠せずにいる咲玖を背に隠し、ラインハルトは間に入った。
婚約者の目の前でラストダンスに誘うなど、宣戦布告もいいところだ。だが、アーデベルトが考えなしにこんなことをするとは思えない。
忘れかけていた胸の中の靄が再び濃くなり始める。険しい顔をしたラインハルトを見上げ、アーデベルトはフッと鼻で笑った。
「一目惚れをした」
「殿下もそのようなご冗談をおっしゃるんですね」
アーデベルトはその立場はもちろん、美しい見目も相まって幼いころから縁談の申し込みが絶えずあったらしいが、それを一考の余地もなく断っていると聞いていた。
そのため、“桜の王子様”は騎士として国に命をささげており、結婚には興味がないのだというのがこの国での定説。
それが突然、親族でもあるラインハルトの婚約者に“横恋慕”などにわかに信じられるはずがない。
だが、だからこそこんな冗談を言うはずもないのだ。
予想だにしなかった事態に何とか平静を保って見せてはいるが、心臓はみっともなくドクドクと早鐘を打っている。後ろから縋るように腕を掴んでいる咲玖の存在だけがラインハルトを奮い立たせていた。
「マナーに反することも、性急すぎることも認める。だが、こうでもしなければ、世界樹の客人は手に入らないだろう」
嘲るような笑みを消し、ラインハルトを睨みつけるアーデベルトの鋭い視線に額から汗が流れる。
「私はたとえ誰であろうとも彼を渡すつもりなどありません」
ここで引くなどという選択肢はもちろんない。ぐっと唇を噛みしめ、鋭い視線を射返した。
文字通り固唾をのんで見守る会場内には緊張と言う名の静寂が広がっている。
「ではこうしよう」
その静寂を打ち破ったアーデベルトは、騎士団服の一部である白い手袋を滑らかな手つきで外し、そしてラインハルトに向かって投げた。
「ラインハルト・フォン・オスマンサス公爵、貴殿に決闘を申し込む」
再び会場にざわめきが広がる。
足元にパサリと落ちた手袋はいやに白く、まるで暗闇に落ちた一点の染みのようにラインハルトの目には映った。
「私が望むのは世界樹の客人ただ一人。我が名誉と誇り、その全てを掛けよう」
まさかここまでしてくるとは思わなかった。
それはおそらく、咲玖に「甘い香りがする」と言ったことと無関係ではないだろう。
咲玖の“味”には気づいていないものの、本能的に咲玖を欲している。
それはラインハルトにも覚えのある感情だった。
決闘はおそらく剣を使った一対一の戦いになる。
現役の騎士団長と、騎士を辞して久しいラインハルトでは実力の差は火を見るよりも明らかだ。
アーデベルトはそのことも十分承知していて言っている。勝算があるのだ。
こんな決闘など受けたところでラインハルトには何のメリットもない。
だが、貴族は名誉を重んじ、騎士は自身の誇りを剣に捧げる。その全てを掛けるとアーデベルトは言った。
断れば、アーデベルトの覚悟を冒涜したとしてラインハルトは名誉と誇りを失う。
それはラインハルト個人の問題ではなく“オスマンサス公爵家”として背負う汚名となる。
もう咲玖さえいればそれでいいのではないか、そんな弱い心がちらつく。
まだ腕を掴んだままでいる咲玖の手が震えている。きっとこの状況に怯えているのだろうと手を重ね、様子を伺う。ところが、目に映った咲玖の表情には不安も恐怖もなかった。
そこにあったのはただ“怒り”だけ。
それをぶちまけるように咲玖はアーデベルトを睨みつけ、静かに声をあげた。
「勝手に俺を賭けの景品みたいに扱わないでください」
落ち着いているが、明らかに怒気を含んだ強い声にさすがのアーデベルトも少し驚いたようで、余裕を浮かべていた瞳を見開いている。咲玖は見た目が穏やかであるから余計にだろう。
「俺はこっちの風習は知らないし、決闘っていうのが実際は何やるかわからないけど、公爵様が断れない状況だっていうのはなんとなくわかるよ。それに、王子様が勝てる自信があって言ってるってことも。でもそれって、つまりは普通に告白してもフラれるだろうから、実力行使ってことでしょ? 随分と卑怯ですね」
そのストレートな物言いに、アーデベルトはグッと息を呑み、周りの者たちも目を丸めている。
もちろんこちらの世界だって、『決闘』などそうあることではないが、貴族が重んじる名誉と誇りを掛けることから、一方的な決闘を挑んだとしても非難されることはない。むしろ、立派な覚悟だなんだと囃し立てられる。
だが、そうか。そんな風習もない、身分制度もない世界からやってきた咲玖から見れば“卑怯”なことなのか。
すとんと腑に落ちて、先ほどまで弱り、折れかけていた心がしゃんと上を向いた気がした。
「俺は、いつも俺の考えとか気持ちを大切にしてくれる公爵様を尊敬してるし、大好きなんだ。俺をモノみたいに扱うような卑怯な人のことなんて絶対に好きにならない」
そのぷんぷんと怒る姿の愛らしさが堪らないが、まだほっこりする場面ではない。
ラインハルトはそっと咲玖を抱き寄せる。
「ありがとう、サク。私もきみを手放す気などさらさらない。だからこそ、ここできみの陰に隠れていては男が廃る」
そして、足元に落ちていた白い手袋を拾いあげた。
「殿下のお覚悟、受けて立ちましょう」
ラインハルトの言葉にわっと会場が湧き上がる。
その熱狂的な空気とは逆に、横で「はぁ?!」っと聞いたことのないような声をあげた最愛の婚約者には、後でしっかりと怒られることにしよう。
ラインハルトは幼いころから父親について王宮に参内するたびにこの修練場を訪れた。公爵家の騎士団も国一番の武力を誇ると言われるが、それでもやはり王族に忠誠を誓った王宮騎士団は別格。貴族の子息たちにとって憧れの職業だった。
当然のようにラインハルトもそこに籍を置き、公爵位を継ぐまで身命を賭そう幼心に決めていた。その想いは熱病を患い、味覚を失ってからも変わらず、騎士団に入団が可能となる十三になるや否や合格率数パーセントなどと言われる入団試験をトップの成績で突破し、十五には小隊の副官、十七には部隊長と破竹の勢いで出世を重ねた。
ところが、少年から青年になるにつれ、熱病による影響は顕著になっていく。
どうしても食事量が増やせなかったラインハルトは、徐々に体格も体力も満足いかないものになっていった。それでも、同年代の他の騎士たちよりも充分に優れていたし、頭脳で騎士団を支えるという手もある。
だがある日、今も手合わせをしている王太子、マティアスの剣を受けきれなかったとき、これ以上は望めないと騎士を辞すると決めた。
「さすがだな、ラインハルト! 全く鈍っていないじゃないか」
そう言うマティアスだって騎士を辞して久しいにもかかわらず、現役のころと変わらぬ剛腕で得意の大剣を振り回している。
もちろん訓練用の歯をつぶしたものだが、受け損ねたら骨の一本や二本、簡単に折れるだろう。
身長はラインハルトよりも少し小さいが、マティアスの方が圧倒的に筋肉質で、横幅があるため、パッと見ただけではマティアスの方が大柄に見える。そしてその体格に見合うだけの体力もある。正直、羨ましい。
とは言え、大柄であればそれなりにデメリットもある。マティアスが大剣を振りかざした際に一瞬だけ見えた隙をついてその懐へと踏み込み、喉元へ剣を突き付けた。
これでこの勝負、ラインハルトの勝利だ。
「参った」
両手を上げたマティアスを見ながらラインハルトもふうと肩の力を抜いた。見学をしていた騎士たちからは拍手が上がる。
「もう一戦やるぞ!」
「ご勘弁を。これ以上は体がもちません」
「そう言うな、あと一度くらいならいけるであろう」
「栄光ある殿下のお相手はそちらの若い騎士たちに」
譲りましょう、そう言うつもりだった言葉が口から出る前に、ラインハルトは顔をガバっと横へと向けた。
「ラインハルト? どうした?」
――これは……、この香りは……!
ラインハルトはマティアスの問いかけに答えぬまま、修練場を飛び出した。
「サク!!!」
修練場に漂ってきたのはそこにあるはずのない金木犀の香り。そう、咲玖の香りだ。
修練場は咲玖がいるはずの王宮からは少し離れている。それなのにそこまで香りが届いたということは、恐らく咲玖はどこかにケガをしたのだ。
血はほかのどの体液よりも香りが強い。口にしたことはないが、その香りの強さだけで禁断の果実であることがわかる。
その胸を焦がすほどに甘い香りはフォークの本能を揺さぶるが、おかげで咲玖がケガをすればすぐにわかるというメリット(?)もある。
香りを頼りにして早鐘を打つ心臓のままに走り、見つけた咲玖は小川の横に並ぶ桜の木の下で蹲っていた。
「ライ?! どうしたの??」
「サク、どこにケガを?!」
ラインハルトの声に気づき、こちらへと体を向けた咲玖を慌てて抱き上げると、白い七分丈のパンツの膝部分が赤く染っている。
「早く手当てを……!」
「大丈夫だよ、ちょっと擦りむいただけだから」
「膝以外にケガは?」
「ないよ、大丈夫。心配してくれてありがとう」
少し頬を赤く染め、咲玖は綻ぶように微笑んだ。その表情を見て多少安堵できたが、それとは裏腹に“咲玖を心配する気持ち”に抑えられていたフォークの本能がむくりと顔を出す。
漂う甘い香りに自然と溜まり始めた唾液を飲み下し、咲玖の首元に顔をうずめた。
「では、早く部屋に戻ろう。この香りは少々刺激が強い」
「えっ! あ、うん」
ビクリと肩を震わせた咲玖を横抱きにしようと体を離すと、咲玖はラインハルトの肩の向こうへチラチラと視線を向けている。何かと思って振り向いたとき、ラインハルトはアーデベルトがいることにようやく気が付いた。
「第二王子殿下がなぜこちらに」
地べたに座っていたアーデベルトは、ラインハルトが視線を向けるとパンパンと服を払いながら立ち上がった。
桜の花びらと共にアーデベルトの後で束ねたピンクブロンドの長い髪が風になびいている。この姿にため息をこぼす人もきっと多いのだろう。
王族の面々は美しい面立ちであることに定評があるが、その中でもアーデベルトは特に民衆に人気が高く、“桜の王子様”などという二つ名で呼ばれている。決して愛想のあるタイプではないが、世間の女性はそこがまた“イイ”らしい。
ただ、ラインハルトには“愛想がない”レベルと超え、なぜか昔から嫌悪の感情を向ける。嫌われるほど関わっていないと思うのだが、こうもあからさまなのだから、きっとこちらが何か気に障ることをしでかしたのだろう。
何度か兄であるマティアスに「どのような場合でも感情を表に出すのは王族としてあるまじきことだ」とラインハルトとしてはそこなの? と突っ込みたくなるような注意を受けていたが、それでも改まらないのだからもうあまり気にしないことにしている。
今だって当然のようにラインハルトとは目を合わせない。
「ここを通りかかったら偶然、世界樹の客人を見つけただけだ」
「あっそうなんだ。それで、俺が川に落ちそうになっちゃったところを助けてもらったの」
「川に落ちそうになった?! あぁやはり一人にするべきではなかった……。殿下、助けていただきありがとうございました」
咲玖を抱き上げたまま礼の姿勢を向けるが、こんなふうに殊勝な態度をとっても大抵嫌悪感たっぷりの表情で睨みつけられる。ラインハルトとしてはまぁいつものことであるから特に何も思わないが、如何せん腕の中の心優しい婚約者は気に病むだろう。
そうならぬよう、足早にその場を退散しようとしたが、アーデベルトはいつもとは少し違う様子を見せた。
「公爵こそなぜここへ?」
アーデベルトから話しかけられたことなどここ数年なかった。しかもいつもの嫌悪と言うよりは、探るような視線をラインハルトに向けている。
それに、質問の意図がわからない。言い知れない不穏な予感に咲玖を抱く手にジワリと汗が広がる。
「修練場から戻る途中にサクが蹲っているのが見えたので、慌ててこちらに」
「ふぅん? 随分と遠回りだな」
「こちらに行くと聞いていましたらから、まだいるかと思って覗きに来たのです」
アーデベルトの真意を計りながら当たり障りなく口にした答えに違和感はなかったはずだ。
ところが、アーデベルトはふっと嘲るように鼻で笑った。
「そうか、私はてっきりこの“甘い香り”に誘われてきたのかと思ったのだが、違ったようだな」
その言葉に、心臓が大きく波打った。
――まさか……、いや、そんなはずがない。
そう頭では否定するが、手が、声が震える。
「確かに、甘い香りがしますね。この桜並木のものでしょうか」
今は花が咲き誇る季節だ。どこからともなく花の香りがする。
だから、きっと違う。
笑え、隙を見せるな。そう心の中で叫んだ通り、きっとちゃんとできているはずだ。
早鐘を打つ心臓の音は、咲玖のものなのか、自分のものなのか。
ラインハルトは抱き上げていた咲玖を無意識のうちにさらに自分の内へと囲い込むかのように強く抱きしめていた。
「ラインハルト! おや? アーデベルトまで。どうかしたのか?」
そんなピンと張りつめた空気をあっさりと打ち破ったのは王太子であり、アーデベルトの兄でもあるマティアスだった。修練場を飛び出したラインハルトの後を追ってきたのだろう。
アーデベルトはマティアスを見るなりふうっと息を吐き、まるで引いていた弓を下ろすかのように視線から鋭さを消した。
「私は通りすがっただけです。公爵、早く世界樹の客人の手当てをしたほうがいいのでは」
「……はい。マティアス殿下、サクがけがをしたので部屋に戻らせていただきます」
「それは大変だ! 必要なものがあればメイドに言いなさい」
はい、と返事をし、アーデベルトとは目を合わさぬまま踵を返した。
「サク、第二王子殿下と何かあったのか」
手当てを終えた後、部屋で二人っきりになったところでようやく話を切り出すことができた。
とは言え、もう舞踏会の時間も迫っており、そう時間はない。
「特に何かあったわけじゃないけど……、でも……『甘い匂いがする』って言われた」
それは“何かあった”うちに入るのではないだろうか。
ケーキの香りがわかるのはフォークだけだと咲玖は言っていた。
ということは……。
「……とにかく、第二王子殿下にはあまり近寄らないようにしよう」
なんとなく憚られ、互いに明確なことは言葉にしないままその話を終えた。
それは、これまでのことを考えれば、アーデベルトの方からこちらにわざわざ接触してくることはないだろうという考えがあったからでもあった。
だが、結局は考えが甘かったと言わざるを得ない。
だから今、こんなことになっているのだろう。
舞踏会が始まってしばらくは何事もなかった。
シン国からの客人への歓迎のあいさつから始まった舞踏会は、まずは国王夫妻、その後に主賓であるウィロー家当主夫妻と王太子夫妻、と地位が高いものの順にダンスを踊る。公爵であるラインハルトはその後だ。
今日の舞踏会は咲玖を婚約者としてお披露目する場でもあり、もちろん衣装にも十分な気合を入れてきた。
咲玖の黒髪が映えるようにコートは白地にオレンジを含んだ金糸でオスマンサス公爵家の家樹である金木犀を模した刺しゅうを施し、カフスボタンにはエメラルドをあしらった。
胸元にはそれよりも大ぶりなエメラルドを金の台座にはめ込んだクラバットピンが光っている。
そして咲玖の愛らしさを引き立たせるよう繊細なレースをふんだんに使用した華やかなシャツに、オスマンサス公爵家の家紋の入ったボタンを飾ったインディゴブルーのウエストコート。
ラインハルトの衣装は咲玖のウエストコートと同じインディゴブルーのコート、カフスボタンとクラバットピンは咲玖の瞳の色と同じ黒曜石。デザインもあからさまに“揃え”とわかる造りになっている。
その独占欲の塊のような盛装に身を包んだ咲玖はため息が出るほどに美しく、会場入りした際にはその場の視線を独占した。
最後の大物独身貴族なんて言われていたラインハルトの婚約者はどんなものかと値踏みをしていた貴族たちを黙らせるには十分だっただろう。
まぁ正直なところ『世界樹の客人』である咲玖は存在そのものが特別なのだから、オスマンサス公爵夫人の座を狙っていた他の貴族から文句など出ることはない。
それでも、質素でいいという咲玖を「公爵家の体裁のために」なんてもっともらしい理由を付けて着飾らせたのは、ひとえに自分の色を纏った美しい咲玖を見せびらかしたいなんていう器の小さな欲のためだ。
だが、少しやりすぎた。
無事にファーストダンスを終えて拍手喝采を浴びた際、少し照れたようにはにかんだ咲玖に心を打ちぬかれた男たちの数はきっと片手では足りない。
だからその後のフリーダンスの時間は咲玖の盾となることに徹底し、舞踏会が始まるまで胸の内を曇らせていたアーデベルトのことなどすっかりと吹っ飛んでいた。
そうして舞踏会も終盤を迎えた頃。
それは、少しほっとした気持ちでラストダンスに咲玖を誘うために手を伸ばそうとしたその時だった。
「世界樹の客人」
突然の声に驚いて振り向くと、その先には第二王子のアーデベルトがいた。
ロイヤルブルーの騎士服を纏ったアーデベルトはラインハルトを一瞥することもなく、ゆっくりと咲玖の前へと歩みを進める。そして、白い手袋をはめた手を静かに咲玖へと差し出した。
「どうか私と踊ってくれないだろうか」
舞踏会の最初と最後のダンスではパートナーと踊るのが慣例だが、決まったパートナーがいない場合、ファーストダンスは親族などの近しい相手と踊り、ラストダンスは意中の相手を誘う。
つまり、ラストダンスのこのタイミングでアーデベルトが咲玖を誘ったということは、咲玖への好意を表明したに他ならない。
当然、会場には一気にざわめきが起こった。
「殿下、どういうおつもりですか」
戸惑いを隠せずにいる咲玖を背に隠し、ラインハルトは間に入った。
婚約者の目の前でラストダンスに誘うなど、宣戦布告もいいところだ。だが、アーデベルトが考えなしにこんなことをするとは思えない。
忘れかけていた胸の中の靄が再び濃くなり始める。険しい顔をしたラインハルトを見上げ、アーデベルトはフッと鼻で笑った。
「一目惚れをした」
「殿下もそのようなご冗談をおっしゃるんですね」
アーデベルトはその立場はもちろん、美しい見目も相まって幼いころから縁談の申し込みが絶えずあったらしいが、それを一考の余地もなく断っていると聞いていた。
そのため、“桜の王子様”は騎士として国に命をささげており、結婚には興味がないのだというのがこの国での定説。
それが突然、親族でもあるラインハルトの婚約者に“横恋慕”などにわかに信じられるはずがない。
だが、だからこそこんな冗談を言うはずもないのだ。
予想だにしなかった事態に何とか平静を保って見せてはいるが、心臓はみっともなくドクドクと早鐘を打っている。後ろから縋るように腕を掴んでいる咲玖の存在だけがラインハルトを奮い立たせていた。
「マナーに反することも、性急すぎることも認める。だが、こうでもしなければ、世界樹の客人は手に入らないだろう」
嘲るような笑みを消し、ラインハルトを睨みつけるアーデベルトの鋭い視線に額から汗が流れる。
「私はたとえ誰であろうとも彼を渡すつもりなどありません」
ここで引くなどという選択肢はもちろんない。ぐっと唇を噛みしめ、鋭い視線を射返した。
文字通り固唾をのんで見守る会場内には緊張と言う名の静寂が広がっている。
「ではこうしよう」
その静寂を打ち破ったアーデベルトは、騎士団服の一部である白い手袋を滑らかな手つきで外し、そしてラインハルトに向かって投げた。
「ラインハルト・フォン・オスマンサス公爵、貴殿に決闘を申し込む」
再び会場にざわめきが広がる。
足元にパサリと落ちた手袋はいやに白く、まるで暗闇に落ちた一点の染みのようにラインハルトの目には映った。
「私が望むのは世界樹の客人ただ一人。我が名誉と誇り、その全てを掛けよう」
まさかここまでしてくるとは思わなかった。
それはおそらく、咲玖に「甘い香りがする」と言ったことと無関係ではないだろう。
咲玖の“味”には気づいていないものの、本能的に咲玖を欲している。
それはラインハルトにも覚えのある感情だった。
決闘はおそらく剣を使った一対一の戦いになる。
現役の騎士団長と、騎士を辞して久しいラインハルトでは実力の差は火を見るよりも明らかだ。
アーデベルトはそのことも十分承知していて言っている。勝算があるのだ。
こんな決闘など受けたところでラインハルトには何のメリットもない。
だが、貴族は名誉を重んじ、騎士は自身の誇りを剣に捧げる。その全てを掛けるとアーデベルトは言った。
断れば、アーデベルトの覚悟を冒涜したとしてラインハルトは名誉と誇りを失う。
それはラインハルト個人の問題ではなく“オスマンサス公爵家”として背負う汚名となる。
もう咲玖さえいればそれでいいのではないか、そんな弱い心がちらつく。
まだ腕を掴んだままでいる咲玖の手が震えている。きっとこの状況に怯えているのだろうと手を重ね、様子を伺う。ところが、目に映った咲玖の表情には不安も恐怖もなかった。
そこにあったのはただ“怒り”だけ。
それをぶちまけるように咲玖はアーデベルトを睨みつけ、静かに声をあげた。
「勝手に俺を賭けの景品みたいに扱わないでください」
落ち着いているが、明らかに怒気を含んだ強い声にさすがのアーデベルトも少し驚いたようで、余裕を浮かべていた瞳を見開いている。咲玖は見た目が穏やかであるから余計にだろう。
「俺はこっちの風習は知らないし、決闘っていうのが実際は何やるかわからないけど、公爵様が断れない状況だっていうのはなんとなくわかるよ。それに、王子様が勝てる自信があって言ってるってことも。でもそれって、つまりは普通に告白してもフラれるだろうから、実力行使ってことでしょ? 随分と卑怯ですね」
そのストレートな物言いに、アーデベルトはグッと息を呑み、周りの者たちも目を丸めている。
もちろんこちらの世界だって、『決闘』などそうあることではないが、貴族が重んじる名誉と誇りを掛けることから、一方的な決闘を挑んだとしても非難されることはない。むしろ、立派な覚悟だなんだと囃し立てられる。
だが、そうか。そんな風習もない、身分制度もない世界からやってきた咲玖から見れば“卑怯”なことなのか。
すとんと腑に落ちて、先ほどまで弱り、折れかけていた心がしゃんと上を向いた気がした。
「俺は、いつも俺の考えとか気持ちを大切にしてくれる公爵様を尊敬してるし、大好きなんだ。俺をモノみたいに扱うような卑怯な人のことなんて絶対に好きにならない」
そのぷんぷんと怒る姿の愛らしさが堪らないが、まだほっこりする場面ではない。
ラインハルトはそっと咲玖を抱き寄せる。
「ありがとう、サク。私もきみを手放す気などさらさらない。だからこそ、ここできみの陰に隠れていては男が廃る」
そして、足元に落ちていた白い手袋を拾いあげた。
「殿下のお覚悟、受けて立ちましょう」
ラインハルトの言葉にわっと会場が湧き上がる。
その熱狂的な空気とは逆に、横で「はぁ?!」っと聞いたことのないような声をあげた最愛の婚約者には、後でしっかりと怒られることにしよう。
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