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11. 最適解には程遠く
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フラクシナス大陸の西の大国と呼ばれるベラーブル王国。その南端に位置するバーデルン領主であり、王国で唯一の公爵位を持つオスマンサス家は、王国の三大貴族の一画と評され、その財力も、公爵家所属の騎士団の戦力も王国随一のものを持つ。
その現当主、ラインハルト・フォン・オスマンサスは若干十八歳で爵位を継いでから十年で投資事業や、外国籍船の寄港率の拡大により公爵家の収入を先代から三割以上増やした。
その手腕は国内外で覚えめでたく、それでもって偉ぶらない態度と柔らかい物腰から、王族から領民、港を利用する商人まで幅広く信望が厚い。
事業家たちの間ではオスマンサス公爵に投資をしてもらえれば必ず成功する、なんて言われるほどで、ユーリたちの商団もその成功例の一つだ。
それに加え、金を含んだオレンジ色の髪に、宝石のようなエメラルドグリーンの瞳を湛えた整った顔立ち。公爵の地位についていなければ王国の騎士団長を務めていただろうと言われる剣の腕前と、それを支える長身にバランスの取れた体格。その美しい見目は、王都で一世を風靡した恋物語の主人公のモデルになったほどだ。
そんな巷では完璧な男と名高いラインハルトは今、これまで生きた二十八年間の人生の中で最も動揺していた。
十二歳で生死をさまよった挙句味覚を失ったときも、十八歳になる誕生日の前日に父親から「明日からお前が当主だ」と唐突に告げられた時も、二十三歳の時に参加した貴族会議でいらぬ嫉妬から反逆の疑いを掛けられそうになったときも、驚きはしたがどこか心は冷えていて、その時々に最も適した方法で冷静に対処し、結果を得てきたという自負がある。
それなのに、まるで脳がフリーズしているかのように今この状況における最適解が全く導き出せない。
目の前に立つ女性はおそらく断ったはずの縁談相手。それなのに彼女はラインハルトに「会いたくて来ちゃった」というニュアンスのようなことを言った。
もちろん訪問の連絡は受けていないし、そもそも縁談は断った。なぜここにいるのか全く意味が分からない。
そしてその横で呆然と立ち尽くしているのは、昨夜、不用意な発言のせいで傷つけてしまい、謝罪も仲直りもできていない最愛の恋人。
咲玖は恋人になってから毎晩ラインハルトと寝室を共に――今のところいたって健全に添い寝だけ――していた。
それなのに、昨夜は部屋に来てくれなかったし、ラインハルトも怖気づいて部屋を訪ねられなかった。意気込んで向かった朝食には調子が悪いと姿を見せなかった。
昨晩、夕食の席を立ったときに見せた必死に涙をこらえるような咲玖の笑顔を思い出すだけで胸がかき乱される。
きっと相当に傷つけてしまった。いや、もしかしたらすごく怒っているかもしれない。
そう思って朝食後すぐに咲玖の部屋に向かおうとしたのに、緊急の呼び出しを受けてすぐに街に出なければいけなくなってしまった。それならば戻ったらすぐに、と思っていたのに今この状況だ。
タイミングが悪いどころの話ではない。
何とか顔色だけは取り繕っているが、体中から変な汗が吹き出している。
こんなことなら昨夜のうちに話をしておけばよかったと、今になって後悔しても先には立たない。
そもそも、ことの発端となった通訳のサポートはもちろん咲玖の能力を見込んでのことだった。
言語の自動変換能力だけではなく、咲玖は洞察力も理解力も高い。だから、シン国からの客人が訪れるまでに教育を受ければ、サポートをするための十分に知識を身に着けることはできるだろうし、咲玖の朗らかな性格は交流の場を和ますこともできるだろう。
それに、ラインハルト自身が咲玖を側において美しくてかわいらしい恋人を自慢したいという下心もあった。
そんなやましいことを考えていたせいか、もともとオットーから咲玖は自身の学歴にとてもコンプレックスがあり、自己を低く評価しているところがあると聞いていたのに、明らかに使う言葉を間違えた。自分の浅慮さと意気地のなさが情けなくて仕方がない。
とにかくまずは咲玖と仲直りをすることが最優先だ。そのためにはいったん“異分子”であるご令嬢にはこの場からご退場頂かないといけない。
「ウィロー嬢、」
「リナとお呼びくださいまし」
一般的に見てとても美しいであろう女性に微笑みを向けられても今は困惑しかない。全くと言っていいほど興味も惹かれない。正直なところ迷惑だとすら思ってしまう。
「ウィロー嬢、私はあなたの訪問について何の連絡も受けていない。それについて説明してもらう必要はあるが、あいにく先に大切な用がある。ひとまず部屋で待っていてもらえるだろうか。オットー、ご令嬢を応接室にお連れしてくれ。私はサクと話してから行く」
リナとその侍女はラインハルトの冷淡な態度に目を丸めている。こんな態度を取られるとは想像もしていなかったのだろう。
相手は外交上、今後良い関係を築かねばならない家のご令嬢だ。あからさまに邪険にするわけにはいかないが、先触れもなく突然押しかけてくるなど礼儀に反することをしたのはあちらだ。優先する理由も、歓迎する必要もない。
ラインハルトはリナに背を向け、呆然と立ち尽くしている咲玖に近づき頬についている泥を指で優しく払った。
いつもキレイな二重を描く瞼が少し腫れている。泣かせてしまったという罪悪感があるのに、そんな顔もかわいらしいと思うなんてもっと反省したほうがいい。
「サク、朝は調子が悪かったと聞いたが、もう大丈夫かい?」
「えっあ、うん。もう大丈夫。ごめんね、心配かけて……」
リナからの視線を受け、キョロキョロと明らかに動揺を隠せていない咲玖の手をそっと取り、こちらにもついていた泥を払った。
自身が汚れることも厭わず一生懸命庭仕事をしていたのだろう。そんな健気さも愛おしい。
「いや、いいんだ。謝らなければいけないのは私の方だ。昨晩のこと本当にすまなかった」
「こ、公爵様は悪くないよ。俺が勝手にネガティブになっちゃって……。それより、お客様が……」
きっとまだ後ろからリナたちが咲玖とラインハルトのやり取りを見ているのだろう。それを気にしてラインハルトから距離を取ろうとする咲玖の腕をグイッと自分の方に引き寄せる。
「私は今、きみと話すことが何よりも大切だ」
オットーがリナたちを「どうぞこちらへ」と連れて行ったのを後ろ目に確認してから、咲玖の指先にキスをした。
「サク、私はきみの能力をとても買っている。それは世界樹の加護だけではなく、きみ自身がもつものだ。きみならできると思って話をしたんだ」
「うん。でも……」
「きみの不安もわかっているつもりだ。だが、その……正直な話をしてもいいかい?」
「えっ、なに?」
「通訳を頼めば仕事の時も一緒にいられるだろう? そのくらい本当は片時も離れたくないんだ」
ラインハルトの言葉にボンっと顔を爆ぜさせた咲玖の額にキスをし、ぎゅっと抱きしめるとふと甘い香りが漂う。腕の中で「汚れてるから」とあたふたとしているから、驚いて汗を滲ませたのかもしれない。
咲玖からはいつもほのかに甘い香りがするが、汗をかいたり、ケガをしたりするとその香りが強くなる。体液自体が甘いのだから、単純に体外に出る量が増えれば香りも増すのだろう。
味覚をなくす前はそう大して甘いものが好きなわけではなかったのに、咲玖の香りや味は恐ろしいほどに惹かれてしまう。しかもこの香りも味もラインハルトにしかわからないらしい。
傲慢にも咲玖がこの世界にやってきたのは自分のためなのだと思うと、たまらなく嬉しい。
腕の中で窮屈そうに体を固めているかわいくておいしい恋人は、少しだけ拘束を解いてやると黒曜石の瞳をチラリと上に向けた。
「こんな情けない私に幻滅しただろうか」
「そ、そんなはずないよ! 幻滅されるなら俺の方で…」
「それこそそんなはずがない。きみは私には過ぎた恋人だ」
茹ってしまったのかと思うほど赤く熱を持った頬に触れると、咲玖はそれよりもさらに色鮮やかな唇を震わせた。
――あぁキスがしたい。
ラインハルトの瞳にこもる欲を察した咲玖は視線を泳がせながらも自ら少しだけ顎を持ち上げ、寄せられた唇を重ねた。
途端に広がる金木犀の香りを閉じ込めた蜜の甘味が脳をとろけさせていく。
もっと、もっと――と際限なく沸き上がる欲望を乗せた舌先でゆるく閉じられた唇の隙間を開こうとすると、咲玖はラインハルトの顔を手のひらでグイッと押し返した。
「ここ、外! 中庭!!」
そうだった、とはたと思い出だすが、もうすでに顔を出した欲望はそう簡単にはなくなってはくれない。
「もう少しだけ」
「うっ、ずるい……」
眉を八の字に下げた困り顔もかわいらしい。すかさず顔を咲玖の首元にうずめ、強さを増した甘い香りを鼻から存分に吸い込みながら背に回した腕に力を込める。
もっと堪能したいところではあるが、咲玖の言うとおりここは中庭で、本邸の廊下から丸見えだ。もちろん見られて困ることはないが、歯止めのない欲望をさらす場面でもない。
「続きは夜、寝室で」
そう耳元で囁くと、咲玖は驚いたネコのように肩を飛び上がらせながら小さく頷いた。
「あの、さ。さっきのお客様って……」
まぁ当然気になるよな、と汚れた服を着替えに戻るという咲玖を部屋まで送りがてら、ごまかすものでもないと事情を説明する。
「おそらく話が行違っているのだろう。サクが心配することはなにもないよ」
足を進めながら漆黒の髪に指を通すと、咲玖はまだ少し不安げに眉を寄せた。
「そっか……。でも、すごくきれいな人だったね」
「あぁ一般的にはそうだろうな」
“一般的には”といった通り、ラインハルトは外見の美醜に対して関心がない。清潔感さえあればいい。だからかこれまでは誰に対してもとりわけ“美しい”と感じたことはなかった。
でも、咲玖は別だ。
闇を吸い込んだような漆黒に輝く髪も、夜空を閉じ込めた黒曜石の瞳も、ため息が出るほど美しい。
とは言え、もし咲玖がそれらをなくしてもきっと美しいと感じるという確信もある。ということはやはり外見は心を動かす理由にはならない。咲玖だけが特別な存在だ。
まだ不安がぬぐい切れずにいるのか、視線を下げる咲玖にどうかそのことをわかって欲しい。
「サク、きみはもっと自分に自信を持っていい」
ラインハルトが足を止めると咲玖は戸惑った顔をこちらに向けた。
「私の愛する人のことをもっと信じてほしい。ほかならぬきみ自身にね」
手に取った指先にキスをし、見つめた先にあった黒曜石の瞳は夜の海のように少しだけ波打って見えた。
咲玖を部屋に送り届けた後、応接室に向かう前に一度執務室に戻ろうかと階段を下りていくと、ちょうどやってきたオットーが一枚の手紙を差し出した。
柳の木を模した封蝋で止められたその手紙に軽くため息を吐いてから中を開く。まぁまぁ想定内だった内容を確認して、はかどらない足取りで応接室へと向かった。
おそらく今かと待ち構えていたのであろうリナはラインハルトが部屋に入るなり立ち上がり顔をほころばせた。期待に満ちたその瞳につい顔が引きつる。
「お待たせした。早速だが、ここにはどうして?」
リナの正面に腰を掛け、リナが籠める想いとは真逆なほどビジネスライクな口調で話しかける。
こちらの返事を待つこともなく遠路はるばる屋敷まで訪ねてきてたあたり、“縁談を断られる”という想定は全くしておらず、当然のように歓迎してもらえると思っていたのだろう。
それほどの自信を持って訪れた、ということはわかる。これほど美しい女性なのだ。国内外から引く手あまただろう。だからこそ寸分の期待も、勘違いもさせたくない。
どうやらそれが伝わらないほど鈍感ではないリナはあからさまに顔を曇らせ、視線を下げた。
「カイお兄様がこちらに滞在されると伺って、それならばわたくしもと…‥‥」
「ご両親は何も言わなかったのかい?」
「黙って出てまいりました。でも、お兄様にはちゃんとお手紙を出しましたわ」
リナは現ウィロー家当主の孫娘で、カイの従妹にあたる。父親はシン国の高官を務める正真正銘のお嬢様だ。
それなのに行動力がありすぎるだろ……とけろっと言いのけるリナの様子に思わず頭を抱えそうになる。
でもそういえばカイの母親も親が決めた婚約者が気に入らないからと家出がてら訪れたフォレド王国でカイの父親と出会ったと聞いたことがある。
ウィロー家の女性はそういうきらいがある人が多いのか。だって、シン国からベラーブル王国はどう考えても令嬢が一人でふらりと訪れる距離ではない。陸路で三カ月、海路でも一カ月はかかる、大の男でもなかなかにつらい道のりだ。
どうして誰も止めなかったのか、どうして誰も連れ戻さなかったのか。苛立ちは募るが今ぐちぐち言っても仕方がない。
「念のため確認するが、あなたは私に話のあった縁談相手ということでいいだろうか?」
「はい、そのとおりですわ」
「では単刀直入に話すが、その縁談は正式に断りを入れている。その答えを変えるつもりはない」
「そう、ですか」
「先ほどカイから手紙が届いた。すぐに迎えに来るとのことだ。おそらくあと三日ほどでつくだろうからそれまで街の南にある迎賓館に滞在できるよう手配しておいた」
「えっ」
驚いた顔でリナは下げた視線を戻したが、その前に声を上げたのはリナの後ろにいた侍女だった。
「あまりにひどい仕打ちでございます! お嬢様がどれほどあなた様にお会いできることを楽しみにしておられたか……」
「おやめなさい、ヨウ」
ぴしゃりと言い含めたあたりはさすが、と素直に感心したが、それもつかの間、リナは強い視線でラインハルトをじっと見つめるとおもむろに立ち上がった。
「公爵様、ご迷惑も顧みず勇み足で尋ねてまいりましたことお詫び申し上げます」
シン国の民族衣装である赤地に金糸の刺繍が施された優美なドレスを広げるその流れるような動作は、感嘆するほどに美しいものではある。が、どこからか感じる“圧”のようなものにラインハルトは何となく身構える。そしてこういう嫌な予感は大抵当たるのだ。
「ですがわたくしも『わかりました』とすぐに申し上げられるほど軽薄な想いで来てはおりません。カイお兄様がいらっしゃるまでせめてこちらの屋敷に滞在させていただけませんか」
「それはできない。その理由はあなたにもわかると思うが」
港町というのは情報が早い。下手したらもうリナがこの屋敷を訪れたことはすでに噂になっているかもしれない。そのうえで滞在を許したりしたら王国全土に一瞬にして「オスマンサス公爵婚約」の一報が吹き抜ける可能性だってある。
それに何よりこの屋敷には咲玖がいる。断った縁談相手と恋人が同じ屋根の下で過ごすなど正気の沙汰ではない。
「どうかわたくしのことを知っていただく機会をいただけませんか? このまま切り捨てられては、諦めがつきません」
食い下がるリナに思わずため息を吐く。
「私にはすでに心に決めた人がいる。はっきり言ってあなたのことをどれほど知ろうと、この想いが変わることはない」
「……お相手は先ほどの使用人ですか?」
「彼は使用人ではない。我が家の特別な客人だ」
“使用人”という言葉に思わず苛立ちが頭に上り、大人げなくもつい声にとげが乗る。
だがそこはさすがの良家のご令嬢。それくらいで怯むことはないらしい。
「まぁ左様でございましたか。では先ほど失礼をしてしまいましたわ」
その『失礼』の内容も気になるが、どこかわざとらしいもの言いが気にかかる。訝し気な視線を送るが、リナはあくまで“申し訳なさそうな顔”で眉を下げて見せた。
「直接、謝罪をさせていただけますか?」
なるほど、それが狙いか。
「何があったか聞いても」
「はい、中庭で声をかけていただいたのですが、失礼な態度をとってしまって……。きっと気を悪くさせてしまいましたわ」
咲玖は初めのころ強く見せていた警戒心を屋敷の中では随分と緩ませるようになり、最近は屋敷を訪れる商人や客人に気安く話しかけるようになった。
屋敷を訪れる商人たちは大抵が咲玖のことを『世界樹の客人』だと知っているし、身分の高い客人であればそもそもラインハルトがいないところで唐突に遭遇するということはない。だから今までは問題などなかった。
そのせいもあって、きっと何ともなしにリナにも気安く接してしまったのだろう。
だが、リナは生粋のお嬢様だ。使用人――と勘違いしたことにも腹が立つ――が急に話しかけてきたとあればきつい態度を返したことは簡単に想像できる。
想定外の状況が重なったせいとはいえ、また知らない間に咲玖を嫌な目に合わせてしまった。自分の不甲斐なさに腹が立つ。
リナに謝罪はさせたいが、明らかにこの申し出には含みがある。これ以上咲玖を不用意に攻撃されてはかなわない。
「事情は分かった。私から伝えておくから謝罪は結構だ」
「いいえ、わたくしの失態で公爵様のお手を煩わせるわけにはまいりません。それに、公爵家の大切なお客様に失礼を働いたままでは家の敷居を跨がせてもらえませんわ」
つまり、会わせないなら帰らない、と。
勝手を言ってくれると思うがこれを“家同士の問題”にされては、今後の関係に確実に支障をきたすということもわかっているのだろう。下手したら国際問題だ。
しかもラインハルトは完全に分が悪い。先ほど咲玖のことを「客人だ」と言ってしまった。「客人」はということはあくまで公爵家の人間ではないから、リナの申し出を断る裁量がラインハルトにはない。
咲玖が絡むとどうしても感情が先に出ていまい、冷静な対処ができなくなる。心の中で舌を打ってももう遅い。
全く、“良家のご令嬢”なんてとんでもない。まぎれもなく大国で必要不可欠な役割を果たす“ウィロー家のご令嬢”だ。
こんな肝の座ったご令嬢を伴侶としたのなら、おそらく我が公爵家は更なる繁栄を見込めただろうな、と心の中で想像したくもない冗談を嘲る。
「ひとまず本人に確認する」
隠すことなくため息を吐いて見せ、咲玖が断ってくれることを祈りながら部屋を出た。
その現当主、ラインハルト・フォン・オスマンサスは若干十八歳で爵位を継いでから十年で投資事業や、外国籍船の寄港率の拡大により公爵家の収入を先代から三割以上増やした。
その手腕は国内外で覚えめでたく、それでもって偉ぶらない態度と柔らかい物腰から、王族から領民、港を利用する商人まで幅広く信望が厚い。
事業家たちの間ではオスマンサス公爵に投資をしてもらえれば必ず成功する、なんて言われるほどで、ユーリたちの商団もその成功例の一つだ。
それに加え、金を含んだオレンジ色の髪に、宝石のようなエメラルドグリーンの瞳を湛えた整った顔立ち。公爵の地位についていなければ王国の騎士団長を務めていただろうと言われる剣の腕前と、それを支える長身にバランスの取れた体格。その美しい見目は、王都で一世を風靡した恋物語の主人公のモデルになったほどだ。
そんな巷では完璧な男と名高いラインハルトは今、これまで生きた二十八年間の人生の中で最も動揺していた。
十二歳で生死をさまよった挙句味覚を失ったときも、十八歳になる誕生日の前日に父親から「明日からお前が当主だ」と唐突に告げられた時も、二十三歳の時に参加した貴族会議でいらぬ嫉妬から反逆の疑いを掛けられそうになったときも、驚きはしたがどこか心は冷えていて、その時々に最も適した方法で冷静に対処し、結果を得てきたという自負がある。
それなのに、まるで脳がフリーズしているかのように今この状況における最適解が全く導き出せない。
目の前に立つ女性はおそらく断ったはずの縁談相手。それなのに彼女はラインハルトに「会いたくて来ちゃった」というニュアンスのようなことを言った。
もちろん訪問の連絡は受けていないし、そもそも縁談は断った。なぜここにいるのか全く意味が分からない。
そしてその横で呆然と立ち尽くしているのは、昨夜、不用意な発言のせいで傷つけてしまい、謝罪も仲直りもできていない最愛の恋人。
咲玖は恋人になってから毎晩ラインハルトと寝室を共に――今のところいたって健全に添い寝だけ――していた。
それなのに、昨夜は部屋に来てくれなかったし、ラインハルトも怖気づいて部屋を訪ねられなかった。意気込んで向かった朝食には調子が悪いと姿を見せなかった。
昨晩、夕食の席を立ったときに見せた必死に涙をこらえるような咲玖の笑顔を思い出すだけで胸がかき乱される。
きっと相当に傷つけてしまった。いや、もしかしたらすごく怒っているかもしれない。
そう思って朝食後すぐに咲玖の部屋に向かおうとしたのに、緊急の呼び出しを受けてすぐに街に出なければいけなくなってしまった。それならば戻ったらすぐに、と思っていたのに今この状況だ。
タイミングが悪いどころの話ではない。
何とか顔色だけは取り繕っているが、体中から変な汗が吹き出している。
こんなことなら昨夜のうちに話をしておけばよかったと、今になって後悔しても先には立たない。
そもそも、ことの発端となった通訳のサポートはもちろん咲玖の能力を見込んでのことだった。
言語の自動変換能力だけではなく、咲玖は洞察力も理解力も高い。だから、シン国からの客人が訪れるまでに教育を受ければ、サポートをするための十分に知識を身に着けることはできるだろうし、咲玖の朗らかな性格は交流の場を和ますこともできるだろう。
それに、ラインハルト自身が咲玖を側において美しくてかわいらしい恋人を自慢したいという下心もあった。
そんなやましいことを考えていたせいか、もともとオットーから咲玖は自身の学歴にとてもコンプレックスがあり、自己を低く評価しているところがあると聞いていたのに、明らかに使う言葉を間違えた。自分の浅慮さと意気地のなさが情けなくて仕方がない。
とにかくまずは咲玖と仲直りをすることが最優先だ。そのためにはいったん“異分子”であるご令嬢にはこの場からご退場頂かないといけない。
「ウィロー嬢、」
「リナとお呼びくださいまし」
一般的に見てとても美しいであろう女性に微笑みを向けられても今は困惑しかない。全くと言っていいほど興味も惹かれない。正直なところ迷惑だとすら思ってしまう。
「ウィロー嬢、私はあなたの訪問について何の連絡も受けていない。それについて説明してもらう必要はあるが、あいにく先に大切な用がある。ひとまず部屋で待っていてもらえるだろうか。オットー、ご令嬢を応接室にお連れしてくれ。私はサクと話してから行く」
リナとその侍女はラインハルトの冷淡な態度に目を丸めている。こんな態度を取られるとは想像もしていなかったのだろう。
相手は外交上、今後良い関係を築かねばならない家のご令嬢だ。あからさまに邪険にするわけにはいかないが、先触れもなく突然押しかけてくるなど礼儀に反することをしたのはあちらだ。優先する理由も、歓迎する必要もない。
ラインハルトはリナに背を向け、呆然と立ち尽くしている咲玖に近づき頬についている泥を指で優しく払った。
いつもキレイな二重を描く瞼が少し腫れている。泣かせてしまったという罪悪感があるのに、そんな顔もかわいらしいと思うなんてもっと反省したほうがいい。
「サク、朝は調子が悪かったと聞いたが、もう大丈夫かい?」
「えっあ、うん。もう大丈夫。ごめんね、心配かけて……」
リナからの視線を受け、キョロキョロと明らかに動揺を隠せていない咲玖の手をそっと取り、こちらにもついていた泥を払った。
自身が汚れることも厭わず一生懸命庭仕事をしていたのだろう。そんな健気さも愛おしい。
「いや、いいんだ。謝らなければいけないのは私の方だ。昨晩のこと本当にすまなかった」
「こ、公爵様は悪くないよ。俺が勝手にネガティブになっちゃって……。それより、お客様が……」
きっとまだ後ろからリナたちが咲玖とラインハルトのやり取りを見ているのだろう。それを気にしてラインハルトから距離を取ろうとする咲玖の腕をグイッと自分の方に引き寄せる。
「私は今、きみと話すことが何よりも大切だ」
オットーがリナたちを「どうぞこちらへ」と連れて行ったのを後ろ目に確認してから、咲玖の指先にキスをした。
「サク、私はきみの能力をとても買っている。それは世界樹の加護だけではなく、きみ自身がもつものだ。きみならできると思って話をしたんだ」
「うん。でも……」
「きみの不安もわかっているつもりだ。だが、その……正直な話をしてもいいかい?」
「えっ、なに?」
「通訳を頼めば仕事の時も一緒にいられるだろう? そのくらい本当は片時も離れたくないんだ」
ラインハルトの言葉にボンっと顔を爆ぜさせた咲玖の額にキスをし、ぎゅっと抱きしめるとふと甘い香りが漂う。腕の中で「汚れてるから」とあたふたとしているから、驚いて汗を滲ませたのかもしれない。
咲玖からはいつもほのかに甘い香りがするが、汗をかいたり、ケガをしたりするとその香りが強くなる。体液自体が甘いのだから、単純に体外に出る量が増えれば香りも増すのだろう。
味覚をなくす前はそう大して甘いものが好きなわけではなかったのに、咲玖の香りや味は恐ろしいほどに惹かれてしまう。しかもこの香りも味もラインハルトにしかわからないらしい。
傲慢にも咲玖がこの世界にやってきたのは自分のためなのだと思うと、たまらなく嬉しい。
腕の中で窮屈そうに体を固めているかわいくておいしい恋人は、少しだけ拘束を解いてやると黒曜石の瞳をチラリと上に向けた。
「こんな情けない私に幻滅しただろうか」
「そ、そんなはずないよ! 幻滅されるなら俺の方で…」
「それこそそんなはずがない。きみは私には過ぎた恋人だ」
茹ってしまったのかと思うほど赤く熱を持った頬に触れると、咲玖はそれよりもさらに色鮮やかな唇を震わせた。
――あぁキスがしたい。
ラインハルトの瞳にこもる欲を察した咲玖は視線を泳がせながらも自ら少しだけ顎を持ち上げ、寄せられた唇を重ねた。
途端に広がる金木犀の香りを閉じ込めた蜜の甘味が脳をとろけさせていく。
もっと、もっと――と際限なく沸き上がる欲望を乗せた舌先でゆるく閉じられた唇の隙間を開こうとすると、咲玖はラインハルトの顔を手のひらでグイッと押し返した。
「ここ、外! 中庭!!」
そうだった、とはたと思い出だすが、もうすでに顔を出した欲望はそう簡単にはなくなってはくれない。
「もう少しだけ」
「うっ、ずるい……」
眉を八の字に下げた困り顔もかわいらしい。すかさず顔を咲玖の首元にうずめ、強さを増した甘い香りを鼻から存分に吸い込みながら背に回した腕に力を込める。
もっと堪能したいところではあるが、咲玖の言うとおりここは中庭で、本邸の廊下から丸見えだ。もちろん見られて困ることはないが、歯止めのない欲望をさらす場面でもない。
「続きは夜、寝室で」
そう耳元で囁くと、咲玖は驚いたネコのように肩を飛び上がらせながら小さく頷いた。
「あの、さ。さっきのお客様って……」
まぁ当然気になるよな、と汚れた服を着替えに戻るという咲玖を部屋まで送りがてら、ごまかすものでもないと事情を説明する。
「おそらく話が行違っているのだろう。サクが心配することはなにもないよ」
足を進めながら漆黒の髪に指を通すと、咲玖はまだ少し不安げに眉を寄せた。
「そっか……。でも、すごくきれいな人だったね」
「あぁ一般的にはそうだろうな」
“一般的には”といった通り、ラインハルトは外見の美醜に対して関心がない。清潔感さえあればいい。だからかこれまでは誰に対してもとりわけ“美しい”と感じたことはなかった。
でも、咲玖は別だ。
闇を吸い込んだような漆黒に輝く髪も、夜空を閉じ込めた黒曜石の瞳も、ため息が出るほど美しい。
とは言え、もし咲玖がそれらをなくしてもきっと美しいと感じるという確信もある。ということはやはり外見は心を動かす理由にはならない。咲玖だけが特別な存在だ。
まだ不安がぬぐい切れずにいるのか、視線を下げる咲玖にどうかそのことをわかって欲しい。
「サク、きみはもっと自分に自信を持っていい」
ラインハルトが足を止めると咲玖は戸惑った顔をこちらに向けた。
「私の愛する人のことをもっと信じてほしい。ほかならぬきみ自身にね」
手に取った指先にキスをし、見つめた先にあった黒曜石の瞳は夜の海のように少しだけ波打って見えた。
咲玖を部屋に送り届けた後、応接室に向かう前に一度執務室に戻ろうかと階段を下りていくと、ちょうどやってきたオットーが一枚の手紙を差し出した。
柳の木を模した封蝋で止められたその手紙に軽くため息を吐いてから中を開く。まぁまぁ想定内だった内容を確認して、はかどらない足取りで応接室へと向かった。
おそらく今かと待ち構えていたのであろうリナはラインハルトが部屋に入るなり立ち上がり顔をほころばせた。期待に満ちたその瞳につい顔が引きつる。
「お待たせした。早速だが、ここにはどうして?」
リナの正面に腰を掛け、リナが籠める想いとは真逆なほどビジネスライクな口調で話しかける。
こちらの返事を待つこともなく遠路はるばる屋敷まで訪ねてきてたあたり、“縁談を断られる”という想定は全くしておらず、当然のように歓迎してもらえると思っていたのだろう。
それほどの自信を持って訪れた、ということはわかる。これほど美しい女性なのだ。国内外から引く手あまただろう。だからこそ寸分の期待も、勘違いもさせたくない。
どうやらそれが伝わらないほど鈍感ではないリナはあからさまに顔を曇らせ、視線を下げた。
「カイお兄様がこちらに滞在されると伺って、それならばわたくしもと…‥‥」
「ご両親は何も言わなかったのかい?」
「黙って出てまいりました。でも、お兄様にはちゃんとお手紙を出しましたわ」
リナは現ウィロー家当主の孫娘で、カイの従妹にあたる。父親はシン国の高官を務める正真正銘のお嬢様だ。
それなのに行動力がありすぎるだろ……とけろっと言いのけるリナの様子に思わず頭を抱えそうになる。
でもそういえばカイの母親も親が決めた婚約者が気に入らないからと家出がてら訪れたフォレド王国でカイの父親と出会ったと聞いたことがある。
ウィロー家の女性はそういうきらいがある人が多いのか。だって、シン国からベラーブル王国はどう考えても令嬢が一人でふらりと訪れる距離ではない。陸路で三カ月、海路でも一カ月はかかる、大の男でもなかなかにつらい道のりだ。
どうして誰も止めなかったのか、どうして誰も連れ戻さなかったのか。苛立ちは募るが今ぐちぐち言っても仕方がない。
「念のため確認するが、あなたは私に話のあった縁談相手ということでいいだろうか?」
「はい、そのとおりですわ」
「では単刀直入に話すが、その縁談は正式に断りを入れている。その答えを変えるつもりはない」
「そう、ですか」
「先ほどカイから手紙が届いた。すぐに迎えに来るとのことだ。おそらくあと三日ほどでつくだろうからそれまで街の南にある迎賓館に滞在できるよう手配しておいた」
「えっ」
驚いた顔でリナは下げた視線を戻したが、その前に声を上げたのはリナの後ろにいた侍女だった。
「あまりにひどい仕打ちでございます! お嬢様がどれほどあなた様にお会いできることを楽しみにしておられたか……」
「おやめなさい、ヨウ」
ぴしゃりと言い含めたあたりはさすが、と素直に感心したが、それもつかの間、リナは強い視線でラインハルトをじっと見つめるとおもむろに立ち上がった。
「公爵様、ご迷惑も顧みず勇み足で尋ねてまいりましたことお詫び申し上げます」
シン国の民族衣装である赤地に金糸の刺繍が施された優美なドレスを広げるその流れるような動作は、感嘆するほどに美しいものではある。が、どこからか感じる“圧”のようなものにラインハルトは何となく身構える。そしてこういう嫌な予感は大抵当たるのだ。
「ですがわたくしも『わかりました』とすぐに申し上げられるほど軽薄な想いで来てはおりません。カイお兄様がいらっしゃるまでせめてこちらの屋敷に滞在させていただけませんか」
「それはできない。その理由はあなたにもわかると思うが」
港町というのは情報が早い。下手したらもうリナがこの屋敷を訪れたことはすでに噂になっているかもしれない。そのうえで滞在を許したりしたら王国全土に一瞬にして「オスマンサス公爵婚約」の一報が吹き抜ける可能性だってある。
それに何よりこの屋敷には咲玖がいる。断った縁談相手と恋人が同じ屋根の下で過ごすなど正気の沙汰ではない。
「どうかわたくしのことを知っていただく機会をいただけませんか? このまま切り捨てられては、諦めがつきません」
食い下がるリナに思わずため息を吐く。
「私にはすでに心に決めた人がいる。はっきり言ってあなたのことをどれほど知ろうと、この想いが変わることはない」
「……お相手は先ほどの使用人ですか?」
「彼は使用人ではない。我が家の特別な客人だ」
“使用人”という言葉に思わず苛立ちが頭に上り、大人げなくもつい声にとげが乗る。
だがそこはさすがの良家のご令嬢。それくらいで怯むことはないらしい。
「まぁ左様でございましたか。では先ほど失礼をしてしまいましたわ」
その『失礼』の内容も気になるが、どこかわざとらしいもの言いが気にかかる。訝し気な視線を送るが、リナはあくまで“申し訳なさそうな顔”で眉を下げて見せた。
「直接、謝罪をさせていただけますか?」
なるほど、それが狙いか。
「何があったか聞いても」
「はい、中庭で声をかけていただいたのですが、失礼な態度をとってしまって……。きっと気を悪くさせてしまいましたわ」
咲玖は初めのころ強く見せていた警戒心を屋敷の中では随分と緩ませるようになり、最近は屋敷を訪れる商人や客人に気安く話しかけるようになった。
屋敷を訪れる商人たちは大抵が咲玖のことを『世界樹の客人』だと知っているし、身分の高い客人であればそもそもラインハルトがいないところで唐突に遭遇するということはない。だから今までは問題などなかった。
そのせいもあって、きっと何ともなしにリナにも気安く接してしまったのだろう。
だが、リナは生粋のお嬢様だ。使用人――と勘違いしたことにも腹が立つ――が急に話しかけてきたとあればきつい態度を返したことは簡単に想像できる。
想定外の状況が重なったせいとはいえ、また知らない間に咲玖を嫌な目に合わせてしまった。自分の不甲斐なさに腹が立つ。
リナに謝罪はさせたいが、明らかにこの申し出には含みがある。これ以上咲玖を不用意に攻撃されてはかなわない。
「事情は分かった。私から伝えておくから謝罪は結構だ」
「いいえ、わたくしの失態で公爵様のお手を煩わせるわけにはまいりません。それに、公爵家の大切なお客様に失礼を働いたままでは家の敷居を跨がせてもらえませんわ」
つまり、会わせないなら帰らない、と。
勝手を言ってくれると思うがこれを“家同士の問題”にされては、今後の関係に確実に支障をきたすということもわかっているのだろう。下手したら国際問題だ。
しかもラインハルトは完全に分が悪い。先ほど咲玖のことを「客人だ」と言ってしまった。「客人」はということはあくまで公爵家の人間ではないから、リナの申し出を断る裁量がラインハルトにはない。
咲玖が絡むとどうしても感情が先に出ていまい、冷静な対処ができなくなる。心の中で舌を打ってももう遅い。
全く、“良家のご令嬢”なんてとんでもない。まぎれもなく大国で必要不可欠な役割を果たす“ウィロー家のご令嬢”だ。
こんな肝の座ったご令嬢を伴侶としたのなら、おそらく我が公爵家は更なる繁栄を見込めただろうな、と心の中で想像したくもない冗談を嘲る。
「ひとまず本人に確認する」
隠すことなくため息を吐いて見せ、咲玖が断ってくれることを祈りながら部屋を出た。
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