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6. 小さな変化と大きな間違い
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オスマンサス公爵家で過ごすようになって一カ月が経ち、咲玖もここでの暮らしにだいぶ慣れてきた。食べ物や植物、動物の種類などの“一般的なもの”が咲玖のいた世界と大きく変わらないことも幸いだった。
何より、公爵家の人々は本当に咲玖に優しく接してくれる。一緒に仕事をしている庭師のカールも、こっちの世界のことを教えてくれている執事のオットーも、他の使用人たちもみんないつも咲玖を気にかけてくれる。ずっと一人で気を張って生きてきた咲玖はそれが嬉しくて仕方がなかった。
そんなこの家の持つ温かな雰囲気を作っているのは、間違いなく当主のラインハルトだろう。
ラインハルトはいつも穏やかにほほ笑んでいて、咲玖の髪を撫でる大きな手も、咲玖を見つめるエメラルドグリーンの瞳も、本当に優しくて、温かい。
たまに突然、悶えているのは何なんだろうとは思っているが、一緒にいるとこちらまで心が温かくなる。そんな陽だまりのような人だと思う。
でも、多分、いや、十中八九、ラインハルトはフォークだ。
それとなく確認した限りでは、こちらの世界にはフォークやケーキという概念はないようだった。だから、おそらく咲玖がケーキだということは認識されていない。「甘い香りがする」とは言われたが、今のところはそれだけだ。
もちろん全てのフォークが悪人と言うわけではないこともわかっている。でも、警戒しないわけにはいかない。フォークがケーキを食べたいという欲望は本能なのだ。どんなに理性的な人であっても、本能に抗うのは難しい。
近くにいれば、いつか必ず咲玖が『おいしい』ことにラインハルトは気が付く。だから、一定の距離を保たなければならない。それが咲玖のためでもあり、ラインハルトのためでもあるのだ。
そう思っているのに、ラインハルトはやたらと咲玖を構い、甘やかそうとする。
何か不足はないか、欲しいものはないか、なんて、物でも食べ物でも何でも買い与えたがるし、新しい服を作るから採寸を、と言われたときには思わず飛び上がった。ラインハルトのおさがりでも十分すぎるのに、オーダーメイドの服なんて、汚してしまったらと考えただけで失神しそうになる。
そして何より距離が近い。手を取り、髪を撫でるのは当たり前。しかも、それを避けるとすごく寂しそうな顔をするのだ。その顔を見るたび、咲玖はギュッと胸を掴まれたような罪悪感に襲われる。昨日だって突然抱え上げられ、驚きと恥ずかしさで声にならない悲鳴を上げると、ラインハルトは明らかに『しまった』と言う顔をして、その後はずっとシュンとしていた。
いつもは立派な“公爵様”であるラインハルトが、まるで叱られた大型犬のように大きな体を丸め、うなだれている様子に若干のかわいらしさを感じてしまい、なんとなくいたたまれない心地になった。
触れられるのが嫌なわけではない。それどころか、ラインハルトの温かさは本当に心地がいい。もっと触れてほしいと思ってしまう。だから、『ダメ』なのだ。
咲玖がケーキであることを決して知られるわけにはいかないのだから。
でも、何かやりたいことはあるか、と聞かれたことは嬉しかった。
日本にいた頃、高校を中退した咲玖には仕事の選択肢も多くなかったし、趣味や娯楽にかけるお金もなかった。生きていくのに精いっぱいで、“やりたいこと”なんて考える余裕なんてなかった。
でも、それを考えることをラインハルトは許してくれた。それだけで十分に嬉しかった。
だから、今できる仕事をして、この世界のことを学びたいと伝えた。
少しでも、ラインハルトの役に立てるように、与えてくれる温かさを返せるように。それが今、咲玖がこの世界での“やりたいこと”だ。
「こんにちは、お嬢さん」
今日もカールと共に中庭の手入れをしていたところ突然後ろから声がした。パッと振り向くとそこにいたのは昨日街で会った商人。少し長めの茶色の髪に、日に焼けた茶褐色の肌。猫のような金色の瞳が印象的だったから顔は覚えている。名前は、名乗られたような気がするが覚えていない。
それよりも今この男は、『お嬢さん』と言った。今、中庭には中年男性であるカールと咲玖しかいないのに。
女性がいたのかな、とキョロキョロとあたりを見回していると、男はぷっと吹き出した。
「あんたや。昨日会うたけど、俺のこと覚えとるか?」
そう言えば、この男は昨日も咲玖のことを『お嬢さん』と呼んだ。カッと顔が熱くなり、勢いよく立ち上がった。
「お、俺はお嬢さんじゃないって昨日も言った!」
ギッと睨みつけると男は、「すまん、すまん」と笑いながら咲玖の背をバシバシと叩いてくる。その男の陽気なノリに、咲玖はついあっけにとられてしまった。今まで接したことのないタイプだ。こういう人をいわゆるネアカとか、陽キャと呼ぶのだろう。
そう言えば話している言葉も日本語で言うところの関西弁に聞こえる。その人の雰囲気を汲み取って自動変換しているのか、それとも、こちらにも方言のようなものがあるのか、後でオットーに聞いてみよう、なんて考えていると、男は咲玖の顔をじっと覗き込んだ。
「改めて自己紹介するけど、オレはユーリや。商人をやっとる」
「あっ、俺は咲玖」
「よろしゅうな、サク。早速やけど、この後時間あるか?」
「えっ?」
ユーリは昨日のお礼に自分の出身国であるフォレド王国というところのお菓子を持ってきたという。庭仕事もひと段落したところだから、とカールに言われので、中庭のガゼボで一緒に食べることになった。
「たくさんあるから、好きなだけ食べや!」
その言葉通り、お菓子の入った箱が机の上に積み上がっていた。ラインハルトもやたらと咲玖にお菓子を用意するし、この世界の人は量の概念がバグっているんだろうか、と積み上がる箱を見ながら思わず後ずさりしそうになった。
「一つでいいよ。こんなに食べられないから」
「遠慮しぃやなぁ。まぁえぇわ。残りは家のもんにでも配ってや」
「うん、そうする。ありがとう」
ユーリが持ってきたお菓子は、チョコレートがコーティングされたナッツと、フルーツの香りがするクッキーだった。
「おいしいね」
「せやろ! このクッキーはフォレド特産のフルーツの果汁を練り込んだる。このえぇ香りと、さっぱりした甘さが売りや」
ユーリの言うとおり、南国フルーツのようなさわやかさを感じるクッキーは、食感も軽く何枚でも食べられてしまいそうだ。チョコレートがコーティングされたナッツは濃厚な味わいがコーヒーとよく合う。どちらも本当においしい。
こちらに来てから、三食しっかりと食事をとり、おまけに毎日おやつの時間まであって、少し太った。毎日おやつを用意してもらう必要はないラインハルトに伝えたが、『サクは細すぎるからもっと食べないとダメだ』と承知してもらえなかった。そんなこともあり、結局は毎日おいしいものをたくさん食べさせてもらっている。
「お~い、話し聞いとるか?」
「あっごめん、聞いてるよ」
二人でお菓子を食べながら、ユーリは商売のために回った色々な国の話をしてくれた。
海で大きなクジラを見た話、東方の国で食べた大きな鳥を丸ごと焼いた料理の話、寝床を確保できずに野宿をしていたらワニに襲われそうになった話、などなど。
それはどれも本の中の冒険譚のようで、話を聞いていたらあっという間に時間が過ぎていた。
一日の終わり、夕食の時間にラインハルトへその日の活動報告をするのが日課になっている。母親を亡くしてからはずっと一人暮らしで、その日にあったことを話す相手などいなかったせいもあり、咲玖にとってこの時間はなかなかにくすぐったい時間だ。
今日はユーリからお菓子をもらったこと、いろいろな外国の話を聞かせてもらったことを話した。
「そんなに年も変わらないのに、仕事でいろんな国に行っててすごいなぁ」
「そうか。……咲玖も行ってみたいかい?」
「外国? うーん、どうかな、考えたこともなかった」
きっと日本にも咲玖とそう変わらない年齢で世界を行き来している人なんていくらでもいるだろう。でも、咲玖にとっては一人ぼっちで過ごす狭いアパートの一室と、いくつかのバイト先が世界の全てだった。旅行でも仕事でも、外国に行くことなんて考えたことすらない。
――それなのに、初めて来た外国が“異世界”だなんて、笑っちゃうよな。
でも、『外国に行ってみたい』なんて言ったら、この咲玖をやたらと甘やかそうとする公爵様は、張り切って連れて行ってくれるんじゃないか、なんて考えが浮かび、自分の自惚れた思考を振り払うようにプルプルと頭を振った。
その様子を見ながらラインハルトはいつもように穏やかにほほ笑んだ後、少しだけ浮かない顔をしたようにみえた。
その理由が分かったのはもう少し後のことだった。
その日以来、毎日ユーリはお菓子を持って咲玖のもとを訪れるようになった。その度に、ユーリは冒険譚を楽しそうに話してくれる。
「フォレドは観光地やから、いろんな国の人が来るんや。そういう人らにいろんな話を聞かせてもろた。でも、聞いてるだけじゃ足りひんようになって、自分の目で見たいと思うたんや。せやから、俺は商人になった」
まだまだ見たいもの、知りたいことがたくさんあると、そう楽しそうに話すユーリは、キラキラと輝いて見えた。
そんな日が続き、なんだかんだ毎日ラインハルトにユーリと過ごしたことを報告していたのだが、何日か経つとさすがに気が付いてしまった。
ラインハルトはユーリの話をすると少しだけ、本当に少しだけ不機嫌になるということを。
ほんの少し“顔色が曇る”程度だが、これまでは咲玖の話ならどんなことでも楽しそうに聞いてくれていたから、その些細な変化が気になる。
でも、話さない方がいいだろうかと思って「今日もユーリが来た」とだけ伝えると、逆にどんな話をしたのかと聞かれる。
それがなぜかはわからないが、「気にはなるけど、聞くのはちょっとイヤ」という心持のようだった。なんとなく気まずい気持ちを抱えたまま話をするというのはなかなか難しいものだということを知った。
翌日、珍しく “手ぶら”でやってきたユーリは、咲玖の耳元に顔を寄せ、小声で話を始めた。
「なぁサク、今日はオレと街に行かへんか?」
そう誘うユーリに、屋敷では自由に過ごしていいと言われているが、勝手に外に出るのはダメだと言われている、と伝えると、ユーリは少しむぅっとして眉間にしわを寄せた。
「まぁそうやろうなとは思うとったけど、サクはどうしたい?」
「行ってみたいとは思うけど……」
先日ラインハルトに連れてってもらった街はたくさんの人がいて、たくさんの物があって、お祭りみたいで見ているだけでもとても楽しかった。まだ見れていないところもたくさんある。だから、また行きたいとは思っていた。
「ほんなら行くで! すぐに帰ってこれば問題あらへんやろ!」
「なら、公爵様に……」
「あかん、あかん!」
ラインハルトに言うと反対されるか、OKが出ても護衛を付けられて自由が利かなくなる、というユーリに押され、こっそりと屋敷を出ることになってしまった。
ラインハルトは咲玖がユーリといることをあまりよく思ってないようだったし、確かに出掛けることにも難色を示すかもしれない。まぁすぐに帰ってこればきっと大丈夫だろう、そう思ったのが間違いだった。
こそっと持ち出したローブを被り、ちょっとした冒険のように思えてドキドキしながら、ユーリの荷馬車に隠れてオスマンサス公爵家を出た。
ベラーブルの街は今日もたくさんの人と物が行きかい、活気に満ち溢れている。
ユーリと共に露店を見て回り、初めて“買い食い”というものもした。誰かと遊びに出かけるという経験も初めてで、完全に浮かれていたのだ。
「なぁサク、俺と一緒に海に出ぇへんか?」
海岸沿の堤防に二人で座り、さっき買った串焼きをむしゃむしゃと食べながら、突然、本当に普通の雑談のようにユーリはそう言った。
思わずポカンとしてしまった咲玖を見て、ユーリはクスッと笑ってからその眼差しを真剣なものに変えた。
「サクのその言語変換能力は俺みたいな海を回る商人からしたら喉から手が出るほど欲しい能力や。せやから、一緒に来てほしい、初めはそう思うてた」
確かに自分でもこの言語変換能力は特別な能力だと思う。この能力が通訳や翻訳の仕事に使えるということにようやく気が付き、思わず心の中で『おぉ』と手を打つ。
一人で過ごすことが多かったせいで身に沁みついた癖で、つい心の中で自分自身と話しをしていると、ふいにユーリがサクの手を取り、ぎゅっと握った。
「でも今はそれだけやない。サクと一緒におって、素直な反応とか、笑った顔とか、本当にかわいいと思うたんや。そういうのを近くでもっと見てたい。こんな気持ちになったんは初めてなんや」
これまでのおどけた雰囲気をピタッと消し、ユーリは海に反射する陽光のように輝く金色の瞳で真っ直ぐと咲玖を見た。
「俺にはサクが必要だ。だから、俺の『客人』になってくれ」
そう言ってユーリは、握った咲玖の手を口元へと寄せ、そっと指先にキスをした。
呆然としながらも、ユーリの言葉を理解するために頭の中でかみ砕いていると、ふと少し前にオットーから聞いた『世界樹の客人』の話を思い出した。
『世界樹の客人』は、お互いに必要とする人と巡り会うためにこの世界に招かれる。
そう、オットーは言っていた。
その話を聞いたとき、『お互いに必要とする人』とはラインハルトのことだろうかと漠然と思った。
でもよく考えると、“その人”は、今、目の前にいるユーリだという可能性も、まだ出会っていない誰かだという可能性もある。それは咲玖が選ぶことができるのだ
それなのに、その可能性に今まで全く思い至らなかったことに、自分でも驚いて顔に熱が集まっていく。
顔を赤くして黙ったままでいる咲玖を見て、ユーリはまたいつもの陽気な雰囲気でニカッと笑顔を作った。
「今すぐに返事しろとは言わん。オレはあと四日でこの国を出るから、それまでに答えを聞かせてくれ」
そう言うと食べ終えた串焼きの串を捨ててくる、と咲玖を置いてその場を離れて行ってしまった。
あまりに突然の話で脳内の処理が全然追い付かないが、ユーリの言葉はまるで“告白”のようだった。モヤモヤとしながら先ほどキスをされた指先をじっと見る。
――そういえば、前に公爵様からもされたな……。
咲玖に向かって頭を下げる大勢の大人たちと目の前に跪いたラインハルト。そして、ラインハルトが指先にしたキス。
咲玖はその温かな感触を思い出し、またボンっと顔の熱が爆ぜた。それを冷ますためにぱたぱたと手で顔を扇ぎながら、海に向けていた体をぐるっと反対側に回した時、たまたまそこを通りかかった男とぶつかった。
そのはずみで咲玖がぶつかった男は持っていた酒瓶を落とし、パリンと割れる音が空に響く。
「あっ、ご、ごめんなさい!」
見るからに“海の荒くれ者”と言わんばかりの、体格の良いスキンヘッドの男は酒のせいか赤い顔とうつろな目で咲玖に凄んだ。
「おい、俺の酒をどうしてくれる!」
「す、すみません、えっと、弁償を……あっでも俺、お金持ってなくて……」
どうしようかとオロオロとしていると、男はグッと咲玖の胸ぐらをつかんだ。
「ふざけんなよ」
グッと寄せられた顔から漂う酒の匂いに、つい顔を背ける。側にいる子分のような男が「やめましょうよ」などと言っているが、男は聞かず、ローブに隠れる咲玖の顔を覗き込んだ。
「お前、かわいい顔してんな」
にやっと、いやらしく口の片端を上げた男の声にゾッと背筋が粟立つ。咲玖をつかむ腕を何とか押し返そうとするが、びくともしない。
「金がないなら、体で払ってもらうしかねぇよなぁ」
男は胸ぐらを掴んだまま咲玖を引きずるようにして歩き出した。
そのまま薄暗い路地の奥にあった小屋のような場所連れていかれ、ドアを開けるなり男は咲玖を部屋の中へ投げ飛ばした。咄嗟に突いた手を擦りむいたようで、その痛みにグッと顔をしかめるが、男はそんな咲玖の様子を気にもせず、また咲玖の胸ぐらを勢いよく掴んだ。グイッと引かれたその拍子にかぶっていたローブが頭から取れた。
「えっ黒髪?! 」
驚いた声を上げたのは、オロオロとしながらも後をついてきた子分のような男だった。
そう言えば以前、ラインハルトがこの国では黒髪は珍しいと言っていた。それで驚いたのかと思ったが、そうではなかった。
「あ、兄貴! こいつ、公爵家に来たって言う『世界樹の客人』ですぜ!」
明らかに狼狽える子分の男につられ、スキンヘッドの男も先ほどまで酒にまどろんでいた目に焦りが浮かんで見える。
咲玖がこちらの世界に来てからすぐ、『オスマンサス公爵家に世界樹の客人が訪れた』と王宮に報告した、とラインハルトから聞いた。
それ以外にはわざわざ咲玖の存在を吹聴するようなことはしていないと言っていたが、公爵家に出入りする商人などからじわじわと噂が広がっていき、バーデルンの街でも話題になっているとちょうどユーリから聞いたところだった。
男たちは咲玖が『世界樹の客人』だと気づいたようだし、解放してくれないかな、と甘い希望を抱いたが、当然そうとはいかない。
「ま、まずいですぜ。公爵家の人間を拉致ったなんてバレたら、この国出禁になっちまいますよ!」
子分は顔を青くしながらオロオロとしているが、スキンヘッドの男は、少しの間考えるそぶりを見せてから、フッと息を吐いた。
「バレなきゃいいんだろ」
そう言うと男はまた憎らしげに口の片端を上げ、咲玖の腕を掴んだ。
「俺たちは明日船を出す。それに乗せて連れてっちまえば、さすがの公爵家も見つけらんねーだろ」
恐怖で声も出ず、震える体には力が入らない。男に掴まれたところが気持ち悪くて仕方がない。必死に抵抗するが、そのかいもなく、男は咲玖の口を布でふさぎ、手足を縛り、易々と自由を奪った。
――誰か、助けて……! ライっ……!
咲玖は頭の中で必死に助けを叫んだ。
何より、公爵家の人々は本当に咲玖に優しく接してくれる。一緒に仕事をしている庭師のカールも、こっちの世界のことを教えてくれている執事のオットーも、他の使用人たちもみんないつも咲玖を気にかけてくれる。ずっと一人で気を張って生きてきた咲玖はそれが嬉しくて仕方がなかった。
そんなこの家の持つ温かな雰囲気を作っているのは、間違いなく当主のラインハルトだろう。
ラインハルトはいつも穏やかにほほ笑んでいて、咲玖の髪を撫でる大きな手も、咲玖を見つめるエメラルドグリーンの瞳も、本当に優しくて、温かい。
たまに突然、悶えているのは何なんだろうとは思っているが、一緒にいるとこちらまで心が温かくなる。そんな陽だまりのような人だと思う。
でも、多分、いや、十中八九、ラインハルトはフォークだ。
それとなく確認した限りでは、こちらの世界にはフォークやケーキという概念はないようだった。だから、おそらく咲玖がケーキだということは認識されていない。「甘い香りがする」とは言われたが、今のところはそれだけだ。
もちろん全てのフォークが悪人と言うわけではないこともわかっている。でも、警戒しないわけにはいかない。フォークがケーキを食べたいという欲望は本能なのだ。どんなに理性的な人であっても、本能に抗うのは難しい。
近くにいれば、いつか必ず咲玖が『おいしい』ことにラインハルトは気が付く。だから、一定の距離を保たなければならない。それが咲玖のためでもあり、ラインハルトのためでもあるのだ。
そう思っているのに、ラインハルトはやたらと咲玖を構い、甘やかそうとする。
何か不足はないか、欲しいものはないか、なんて、物でも食べ物でも何でも買い与えたがるし、新しい服を作るから採寸を、と言われたときには思わず飛び上がった。ラインハルトのおさがりでも十分すぎるのに、オーダーメイドの服なんて、汚してしまったらと考えただけで失神しそうになる。
そして何より距離が近い。手を取り、髪を撫でるのは当たり前。しかも、それを避けるとすごく寂しそうな顔をするのだ。その顔を見るたび、咲玖はギュッと胸を掴まれたような罪悪感に襲われる。昨日だって突然抱え上げられ、驚きと恥ずかしさで声にならない悲鳴を上げると、ラインハルトは明らかに『しまった』と言う顔をして、その後はずっとシュンとしていた。
いつもは立派な“公爵様”であるラインハルトが、まるで叱られた大型犬のように大きな体を丸め、うなだれている様子に若干のかわいらしさを感じてしまい、なんとなくいたたまれない心地になった。
触れられるのが嫌なわけではない。それどころか、ラインハルトの温かさは本当に心地がいい。もっと触れてほしいと思ってしまう。だから、『ダメ』なのだ。
咲玖がケーキであることを決して知られるわけにはいかないのだから。
でも、何かやりたいことはあるか、と聞かれたことは嬉しかった。
日本にいた頃、高校を中退した咲玖には仕事の選択肢も多くなかったし、趣味や娯楽にかけるお金もなかった。生きていくのに精いっぱいで、“やりたいこと”なんて考える余裕なんてなかった。
でも、それを考えることをラインハルトは許してくれた。それだけで十分に嬉しかった。
だから、今できる仕事をして、この世界のことを学びたいと伝えた。
少しでも、ラインハルトの役に立てるように、与えてくれる温かさを返せるように。それが今、咲玖がこの世界での“やりたいこと”だ。
「こんにちは、お嬢さん」
今日もカールと共に中庭の手入れをしていたところ突然後ろから声がした。パッと振り向くとそこにいたのは昨日街で会った商人。少し長めの茶色の髪に、日に焼けた茶褐色の肌。猫のような金色の瞳が印象的だったから顔は覚えている。名前は、名乗られたような気がするが覚えていない。
それよりも今この男は、『お嬢さん』と言った。今、中庭には中年男性であるカールと咲玖しかいないのに。
女性がいたのかな、とキョロキョロとあたりを見回していると、男はぷっと吹き出した。
「あんたや。昨日会うたけど、俺のこと覚えとるか?」
そう言えば、この男は昨日も咲玖のことを『お嬢さん』と呼んだ。カッと顔が熱くなり、勢いよく立ち上がった。
「お、俺はお嬢さんじゃないって昨日も言った!」
ギッと睨みつけると男は、「すまん、すまん」と笑いながら咲玖の背をバシバシと叩いてくる。その男の陽気なノリに、咲玖はついあっけにとられてしまった。今まで接したことのないタイプだ。こういう人をいわゆるネアカとか、陽キャと呼ぶのだろう。
そう言えば話している言葉も日本語で言うところの関西弁に聞こえる。その人の雰囲気を汲み取って自動変換しているのか、それとも、こちらにも方言のようなものがあるのか、後でオットーに聞いてみよう、なんて考えていると、男は咲玖の顔をじっと覗き込んだ。
「改めて自己紹介するけど、オレはユーリや。商人をやっとる」
「あっ、俺は咲玖」
「よろしゅうな、サク。早速やけど、この後時間あるか?」
「えっ?」
ユーリは昨日のお礼に自分の出身国であるフォレド王国というところのお菓子を持ってきたという。庭仕事もひと段落したところだから、とカールに言われので、中庭のガゼボで一緒に食べることになった。
「たくさんあるから、好きなだけ食べや!」
その言葉通り、お菓子の入った箱が机の上に積み上がっていた。ラインハルトもやたらと咲玖にお菓子を用意するし、この世界の人は量の概念がバグっているんだろうか、と積み上がる箱を見ながら思わず後ずさりしそうになった。
「一つでいいよ。こんなに食べられないから」
「遠慮しぃやなぁ。まぁえぇわ。残りは家のもんにでも配ってや」
「うん、そうする。ありがとう」
ユーリが持ってきたお菓子は、チョコレートがコーティングされたナッツと、フルーツの香りがするクッキーだった。
「おいしいね」
「せやろ! このクッキーはフォレド特産のフルーツの果汁を練り込んだる。このえぇ香りと、さっぱりした甘さが売りや」
ユーリの言うとおり、南国フルーツのようなさわやかさを感じるクッキーは、食感も軽く何枚でも食べられてしまいそうだ。チョコレートがコーティングされたナッツは濃厚な味わいがコーヒーとよく合う。どちらも本当においしい。
こちらに来てから、三食しっかりと食事をとり、おまけに毎日おやつの時間まであって、少し太った。毎日おやつを用意してもらう必要はないラインハルトに伝えたが、『サクは細すぎるからもっと食べないとダメだ』と承知してもらえなかった。そんなこともあり、結局は毎日おいしいものをたくさん食べさせてもらっている。
「お~い、話し聞いとるか?」
「あっごめん、聞いてるよ」
二人でお菓子を食べながら、ユーリは商売のために回った色々な国の話をしてくれた。
海で大きなクジラを見た話、東方の国で食べた大きな鳥を丸ごと焼いた料理の話、寝床を確保できずに野宿をしていたらワニに襲われそうになった話、などなど。
それはどれも本の中の冒険譚のようで、話を聞いていたらあっという間に時間が過ぎていた。
一日の終わり、夕食の時間にラインハルトへその日の活動報告をするのが日課になっている。母親を亡くしてからはずっと一人暮らしで、その日にあったことを話す相手などいなかったせいもあり、咲玖にとってこの時間はなかなかにくすぐったい時間だ。
今日はユーリからお菓子をもらったこと、いろいろな外国の話を聞かせてもらったことを話した。
「そんなに年も変わらないのに、仕事でいろんな国に行っててすごいなぁ」
「そうか。……咲玖も行ってみたいかい?」
「外国? うーん、どうかな、考えたこともなかった」
きっと日本にも咲玖とそう変わらない年齢で世界を行き来している人なんていくらでもいるだろう。でも、咲玖にとっては一人ぼっちで過ごす狭いアパートの一室と、いくつかのバイト先が世界の全てだった。旅行でも仕事でも、外国に行くことなんて考えたことすらない。
――それなのに、初めて来た外国が“異世界”だなんて、笑っちゃうよな。
でも、『外国に行ってみたい』なんて言ったら、この咲玖をやたらと甘やかそうとする公爵様は、張り切って連れて行ってくれるんじゃないか、なんて考えが浮かび、自分の自惚れた思考を振り払うようにプルプルと頭を振った。
その様子を見ながらラインハルトはいつもように穏やかにほほ笑んだ後、少しだけ浮かない顔をしたようにみえた。
その理由が分かったのはもう少し後のことだった。
その日以来、毎日ユーリはお菓子を持って咲玖のもとを訪れるようになった。その度に、ユーリは冒険譚を楽しそうに話してくれる。
「フォレドは観光地やから、いろんな国の人が来るんや。そういう人らにいろんな話を聞かせてもろた。でも、聞いてるだけじゃ足りひんようになって、自分の目で見たいと思うたんや。せやから、俺は商人になった」
まだまだ見たいもの、知りたいことがたくさんあると、そう楽しそうに話すユーリは、キラキラと輝いて見えた。
そんな日が続き、なんだかんだ毎日ラインハルトにユーリと過ごしたことを報告していたのだが、何日か経つとさすがに気が付いてしまった。
ラインハルトはユーリの話をすると少しだけ、本当に少しだけ不機嫌になるということを。
ほんの少し“顔色が曇る”程度だが、これまでは咲玖の話ならどんなことでも楽しそうに聞いてくれていたから、その些細な変化が気になる。
でも、話さない方がいいだろうかと思って「今日もユーリが来た」とだけ伝えると、逆にどんな話をしたのかと聞かれる。
それがなぜかはわからないが、「気にはなるけど、聞くのはちょっとイヤ」という心持のようだった。なんとなく気まずい気持ちを抱えたまま話をするというのはなかなか難しいものだということを知った。
翌日、珍しく “手ぶら”でやってきたユーリは、咲玖の耳元に顔を寄せ、小声で話を始めた。
「なぁサク、今日はオレと街に行かへんか?」
そう誘うユーリに、屋敷では自由に過ごしていいと言われているが、勝手に外に出るのはダメだと言われている、と伝えると、ユーリは少しむぅっとして眉間にしわを寄せた。
「まぁそうやろうなとは思うとったけど、サクはどうしたい?」
「行ってみたいとは思うけど……」
先日ラインハルトに連れてってもらった街はたくさんの人がいて、たくさんの物があって、お祭りみたいで見ているだけでもとても楽しかった。まだ見れていないところもたくさんある。だから、また行きたいとは思っていた。
「ほんなら行くで! すぐに帰ってこれば問題あらへんやろ!」
「なら、公爵様に……」
「あかん、あかん!」
ラインハルトに言うと反対されるか、OKが出ても護衛を付けられて自由が利かなくなる、というユーリに押され、こっそりと屋敷を出ることになってしまった。
ラインハルトは咲玖がユーリといることをあまりよく思ってないようだったし、確かに出掛けることにも難色を示すかもしれない。まぁすぐに帰ってこればきっと大丈夫だろう、そう思ったのが間違いだった。
こそっと持ち出したローブを被り、ちょっとした冒険のように思えてドキドキしながら、ユーリの荷馬車に隠れてオスマンサス公爵家を出た。
ベラーブルの街は今日もたくさんの人と物が行きかい、活気に満ち溢れている。
ユーリと共に露店を見て回り、初めて“買い食い”というものもした。誰かと遊びに出かけるという経験も初めてで、完全に浮かれていたのだ。
「なぁサク、俺と一緒に海に出ぇへんか?」
海岸沿の堤防に二人で座り、さっき買った串焼きをむしゃむしゃと食べながら、突然、本当に普通の雑談のようにユーリはそう言った。
思わずポカンとしてしまった咲玖を見て、ユーリはクスッと笑ってからその眼差しを真剣なものに変えた。
「サクのその言語変換能力は俺みたいな海を回る商人からしたら喉から手が出るほど欲しい能力や。せやから、一緒に来てほしい、初めはそう思うてた」
確かに自分でもこの言語変換能力は特別な能力だと思う。この能力が通訳や翻訳の仕事に使えるということにようやく気が付き、思わず心の中で『おぉ』と手を打つ。
一人で過ごすことが多かったせいで身に沁みついた癖で、つい心の中で自分自身と話しをしていると、ふいにユーリがサクの手を取り、ぎゅっと握った。
「でも今はそれだけやない。サクと一緒におって、素直な反応とか、笑った顔とか、本当にかわいいと思うたんや。そういうのを近くでもっと見てたい。こんな気持ちになったんは初めてなんや」
これまでのおどけた雰囲気をピタッと消し、ユーリは海に反射する陽光のように輝く金色の瞳で真っ直ぐと咲玖を見た。
「俺にはサクが必要だ。だから、俺の『客人』になってくれ」
そう言ってユーリは、握った咲玖の手を口元へと寄せ、そっと指先にキスをした。
呆然としながらも、ユーリの言葉を理解するために頭の中でかみ砕いていると、ふと少し前にオットーから聞いた『世界樹の客人』の話を思い出した。
『世界樹の客人』は、お互いに必要とする人と巡り会うためにこの世界に招かれる。
そう、オットーは言っていた。
その話を聞いたとき、『お互いに必要とする人』とはラインハルトのことだろうかと漠然と思った。
でもよく考えると、“その人”は、今、目の前にいるユーリだという可能性も、まだ出会っていない誰かだという可能性もある。それは咲玖が選ぶことができるのだ
それなのに、その可能性に今まで全く思い至らなかったことに、自分でも驚いて顔に熱が集まっていく。
顔を赤くして黙ったままでいる咲玖を見て、ユーリはまたいつもの陽気な雰囲気でニカッと笑顔を作った。
「今すぐに返事しろとは言わん。オレはあと四日でこの国を出るから、それまでに答えを聞かせてくれ」
そう言うと食べ終えた串焼きの串を捨ててくる、と咲玖を置いてその場を離れて行ってしまった。
あまりに突然の話で脳内の処理が全然追い付かないが、ユーリの言葉はまるで“告白”のようだった。モヤモヤとしながら先ほどキスをされた指先をじっと見る。
――そういえば、前に公爵様からもされたな……。
咲玖に向かって頭を下げる大勢の大人たちと目の前に跪いたラインハルト。そして、ラインハルトが指先にしたキス。
咲玖はその温かな感触を思い出し、またボンっと顔の熱が爆ぜた。それを冷ますためにぱたぱたと手で顔を扇ぎながら、海に向けていた体をぐるっと反対側に回した時、たまたまそこを通りかかった男とぶつかった。
そのはずみで咲玖がぶつかった男は持っていた酒瓶を落とし、パリンと割れる音が空に響く。
「あっ、ご、ごめんなさい!」
見るからに“海の荒くれ者”と言わんばかりの、体格の良いスキンヘッドの男は酒のせいか赤い顔とうつろな目で咲玖に凄んだ。
「おい、俺の酒をどうしてくれる!」
「す、すみません、えっと、弁償を……あっでも俺、お金持ってなくて……」
どうしようかとオロオロとしていると、男はグッと咲玖の胸ぐらをつかんだ。
「ふざけんなよ」
グッと寄せられた顔から漂う酒の匂いに、つい顔を背ける。側にいる子分のような男が「やめましょうよ」などと言っているが、男は聞かず、ローブに隠れる咲玖の顔を覗き込んだ。
「お前、かわいい顔してんな」
にやっと、いやらしく口の片端を上げた男の声にゾッと背筋が粟立つ。咲玖をつかむ腕を何とか押し返そうとするが、びくともしない。
「金がないなら、体で払ってもらうしかねぇよなぁ」
男は胸ぐらを掴んだまま咲玖を引きずるようにして歩き出した。
そのまま薄暗い路地の奥にあった小屋のような場所連れていかれ、ドアを開けるなり男は咲玖を部屋の中へ投げ飛ばした。咄嗟に突いた手を擦りむいたようで、その痛みにグッと顔をしかめるが、男はそんな咲玖の様子を気にもせず、また咲玖の胸ぐらを勢いよく掴んだ。グイッと引かれたその拍子にかぶっていたローブが頭から取れた。
「えっ黒髪?! 」
驚いた声を上げたのは、オロオロとしながらも後をついてきた子分のような男だった。
そう言えば以前、ラインハルトがこの国では黒髪は珍しいと言っていた。それで驚いたのかと思ったが、そうではなかった。
「あ、兄貴! こいつ、公爵家に来たって言う『世界樹の客人』ですぜ!」
明らかに狼狽える子分の男につられ、スキンヘッドの男も先ほどまで酒にまどろんでいた目に焦りが浮かんで見える。
咲玖がこちらの世界に来てからすぐ、『オスマンサス公爵家に世界樹の客人が訪れた』と王宮に報告した、とラインハルトから聞いた。
それ以外にはわざわざ咲玖の存在を吹聴するようなことはしていないと言っていたが、公爵家に出入りする商人などからじわじわと噂が広がっていき、バーデルンの街でも話題になっているとちょうどユーリから聞いたところだった。
男たちは咲玖が『世界樹の客人』だと気づいたようだし、解放してくれないかな、と甘い希望を抱いたが、当然そうとはいかない。
「ま、まずいですぜ。公爵家の人間を拉致ったなんてバレたら、この国出禁になっちまいますよ!」
子分は顔を青くしながらオロオロとしているが、スキンヘッドの男は、少しの間考えるそぶりを見せてから、フッと息を吐いた。
「バレなきゃいいんだろ」
そう言うと男はまた憎らしげに口の片端を上げ、咲玖の腕を掴んだ。
「俺たちは明日船を出す。それに乗せて連れてっちまえば、さすがの公爵家も見つけらんねーだろ」
恐怖で声も出ず、震える体には力が入らない。男に掴まれたところが気持ち悪くて仕方がない。必死に抵抗するが、そのかいもなく、男は咲玖の口を布でふさぎ、手足を縛り、易々と自由を奪った。
――誰か、助けて……! ライっ……!
咲玖は頭の中で必死に助けを叫んだ。
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