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10. 小雨の降る日は
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翌日は朝から小雨が降っていた。
今日は朝食の後、二人で本屋に出かけようと思っていたのに、今、なぜかエルバルトとアレクシスは二人で王宮にいる。
普段、どこへ行くのもラフな服に頭からかぶれる黒いマントを羽織るだけのアレクシスも、さすがに王宮に呼ばれたからには、白地に黒色の刺繍が入った魔導士としての正装だ。その清廉さがアレクシスの美しい銀色の髪と金色の瞳を際立たせている。
初めて見た正装のアレクシスがあまりに美しくて、エルバルトはつい見とれてしまうが、気を緩めているわけにはいかない。
「アレクシス様は王太子殿下とお知り合いなんですか?」
今日二人を王宮に呼び出したのは、この国の第一王子で、次期国王でもある王太子、ヴィンフリート・カイ・バルテン。そして今いるこの部屋は、王太子の執務室の隣にある、美しい装飾に彩られた豪奢な応接間だ。
「神殿にいた時に何度か会ったことがあるが…顔見知りといった程度だ」
まだアレクシスが魔塔の主になる前に神殿にいたころ、次代の王国を担っていく者同士で交流を、という名目で何度か大人たちに王太子と引き会わされたことがあった。
そもそもアレクシスは他人に興味がないし、国を担っていくという思いもなかったので、面倒くさくて仕方がなく、適当に相手をしていたら、いつの間にかその交流もなくなった。
そのあとは、魔塔の主になったときに一度挨拶のために王宮に来たが、その時も個別に話をする機会もなかったし、それ以来会ってもいない。
なぜ呼ばれたのかさっぱり見当がつかない。二人して思案しているとノックの音がし、応接間のドアが開かれた。
現れたのは、金色の髪に翠色の眼をした、まさに『王子様』と言わんばかりの風貌の美青年。機嫌よく笑みを浮かべたヴィンフリートは、軽快な足取りでアレクシスの側へと歩み寄った。
「アレクシス、久しぶりだな! よく来てくれた」
「王太子殿下にご挨拶申し上げます」
ソファに座っていたアレクシスは立ち上がり、胸に手を当て、この国の最敬礼をする。
「挨拶はいい。私とお前の仲ではないか」
どんな仲だったか、とアレクシスは思ったが、後ろにいたエルバルトは眉をぴくっと引きつらせていた。その瞬間をヴィンフリートは見逃さない。
「少し込み入った話になる。二人で話したい」
そういうと、ヴィンフリートはまるでお姫様をエスコートするようにアレクシスの手を取り腰にを添えた。向かうは応接室の隣にある執務室らしい。
この完全に不要な動作に、アレクシスはうわっと顔を思いっきりしかめたが、さすがに王太子の手を振り払うわけにはいかない。心の中で盛大に舌を打ちつつ、大人しく従う。
「護衛は外で待っていろ」
アレクシスの手を取っただけであからさまに嫌そうな顔をしたエルバルトも、ヴィンフリートの言葉にさらに眉間にしわを深くしたが、アレクシスはそれを制するように視線を送った。たとえ魔塔の主といえど、アレクシスも、もちろんエルバルトだって王太子に逆らうわけにはいかないのだ。
エルバルトをドアの前に残し、アレクシスは王太子と二人で執務室へと入った。
その部屋は先ほどの応接間よりは簡素な造りではあったが、それでも見るからに質の良い装飾が並ぶ。
使いやすさを重視した、実にヴィンフリートらしい部屋だ。
ヴィンフリートはソファに座るとアレクシスにもその正面に座るように促したが、その間もずっとヴィンフリートからはフフッと噛み殺しきれていない笑いが漏れている。
「殿下、堪え切れていませんよ」
「あははは。黒の騎士のあんな顔は初めて見たよ。親しくしているとは聞いていたが、思っていた以上のようだな」
アレクシスは用意されたお茶を飲みながら、その質問には答えないことにした。それでも、ヴィンフリートはまだ笑っている。
「フフッ、アメリアが聞きつけたら大変だろうな」
ヴィンフリートの言葉にアレクシスの眉がぴくりと動いた。
アメリア・ローゼ・バルテン。この国の第一王女で、王太子であるヴィンフリートの妹だ。
以前からエルバルトに護衛騎士になるよう言い募っており、少し前も王宮にその件でエルバルトは呼び出されている。
そのことを当然兄であるヴィンフリートは知ってるのだろう。そして、それをエルバルトが拒否していることも。
思わずアレクシスはヴィンフリートを睨んだ。
「フフフっ、お前もそんな顔するんだな。昔会ったときは目を合わせることすらしてくれなかったのに」
「殿下、そのようなお話なら私はこれで失礼します」
ヴィンフリートに人をからかう癖があることは知っていたが、それに付き合うほど昔も今もアレクシスの心は広くない。
アレクシスはお茶を置き、立ち上がろうとするが、ヴィンフリートが引き留める。
「待て待て、冗談だ。アメリアにはお前たちが今日来ることは言っていない」
「なら、どのようなご用件ですか」
「相変わらず面白みのない奴だ。まぁいい座れ」
アレクシスはため息をつきながらソファに座り直した。
正直久しぶりに着た正装も窮屈だし、一刻も早く帰りたい。
だが、ヴィンフリートの話は、それを許すような内容ではなかった。
「三日前、王宮のはずれに突然魔獣が現れた。幸い小物だったから、王宮にいた騎士で内々に討伐することができたがな」
「な…そんなこと、ありえない!」
ヴィンフリートの言葉にアレクシスは驚きのあまり立ち上がった。
魔獣とは、エクドラル王国のあるルベルク大陸に存在する獣が瘴気に触れ、変化したものだといわれているが、その実は判明していない。
そして、今アレクシスたちがいる王宮を囲むこの国の王都フィーレンには、この街全てを覆いつくすように結界が張られており、魔獣が侵入したことは建国から百数十年の間一度もない。
「あぁ、ありえない話だ。でも実際に俺も王宮内に出た魔獣をこの目で見た。お前が驚くと言ことは、やはり結界に異常はないのだな」
「ありません。五日前に聖女が結界を通り抜けましたが、それによって結界に穴が開いたり、弱まったりなどはしていません」
その結界を維持管理するのが、魔塔の主であるアレクシスの役目なのだ。もし、結界を破って魔獣が侵入することなどあれば、すぐにわかる。
だが、実際に王都内、しかも王宮に魔獣が現れたというのだ。
「一体どうやって…」
「これ、何かわかるか」
ヴィンフリートはソファの間にある机にコロンと石のようなものを投げた。
「手に取っても?」
ヴィンフリートが頷いたので、アレクシスはその石のような物を手に取る。それは濃い紫色の水晶のような石で、中には文字のようなものが書かれていた。
「これは…魔石?」
魔石とは、特別な術式を用いることで魔法を封じることのできる石だ。
魔力が強くない人でも、魔石を使えば大掛かりな魔法が使えるということで、一時期王国でも大々的に研究が進められていたが、結局、その難解な術式を扱えるものがほとんどおらず、いつしか研究はすたれ、魔石自体を目にすることもほとんどなくなっていた。
実際にアレクシスも目にするのは初めてだ。
「こんなもの、どこで」
「その王宮に現れた魔獣から出てきた。どう思う?」
「まさか…この魔石を核に魔獣を…?」
「やはりそう思うか。王都外にいる魔獣からは魔石なんて出てこないからな。だから、王宮の魔導士にこの魔石の残滓を探らせてみたんだが、残念ながら詳細まではわからなかった。だが、確かに何ものかの魔法が使われた痕跡があった。つまり、王宮に現れた魔獣は、何者かが故意に出現させた可能性が高い」
そんなことができるとなれば大問題どころの騒ぎではない。
アレクシスは神殿に伝わる神託を思い出していた。
『国が危機に見舞われたとき、聖女が降臨し、この国を守るだろう』
まさか危機とはこのことなのか…考え込んでいると、ヴィンフリートが口を開く。
「お前は確か聖女の教育もしているのだろう?そちらはどうだ」
今日アレクシスがこの場に呼ばれたのは、結界の様子を確認するためだと思ったが、どうやらそれだけではなかったらしい。
「確かに聖女の神力は驚くべき力でした。ですが、まだ使える段階ではありせん」
美織はつい五日前にこの国に喚ばれ、神力が目覚めたばかりだ。とても実践で使える状態ではない。
「そうか…だが、あまり猶予はなさそうだ。魔石のことは引き続き王宮で調査する。お前は聖女のほうを急いでくれ」
「わかりました」
話が終わるなりアレクシスは立ち上がろうとしたが、再びヴィンフリート引き留められた。
「そんなに急いで帰らなくてもいいだろう。久々の再会だ」
「いえ、外にいる私の護衛がしびれを切らすといけませんので、失礼します」
「ははっ。随分と大切にしているんだな。それにしても魔塔の主に、この国最強の騎士か…。二人だけで十分国をつぶせそうだな」
笑いながら話すヴィンフリートはあくまで軽口のつもりなのだろうが、あまりに物騒な発言に、反逆の意思がないかを確認されているのかとアレクシスは勘繰りたくなる。
だが、このままヴィンフリートの意のまま揶揄われるのも癪に障るので、少し反撃を試みることにした。
「そうですね……あれに何かあったら、そうならないとも言えませんね」
アレクシスは不敵な笑みを浮かべ、一礼して部屋の外に出ていった。
ヴィンフリートはゾッと背筋を凍らせるその美しい笑みに、少しやりすぎたかなと心の中で呟いてみた。
一方、イライラもやもやとしながらドアが開くのを待っていたエルバルトは部屋から出てきたアレクシスをほっと息とつきながら迎えた。後に続いて出てきたヴィンフリートには何でもないふうに礼をする。
「最近アメリアの様子がおかしい。気をつけろ」
すれ違いざまにヴィンフリートに耳打たれ、エルバルトは振り返るが、ヴィンフリートは二人に背を向け、手を振りながら去っていった。
「何を言われた?」
「……ここを出たら話します」
「そうか、さっさと帰ろう」
アレクシスたちが王宮を出た頃、アメリアは王宮を後にする二人をバルコニーから見下ろしていた。
その後ろには、神官であるオズワルトの姿がある。
「声をおかけしなくてもよかったのですかな」
「結構よ」
アメリアがアレクシスを目にしたのはこれが初めてだった。
見た目は少年だが、実際には青年と呼べる年だという。
遠目からでもわかるその人間離れした容姿は、アメリアには気味の悪いものにしか見えない。
美しさで自分にかなうものなどいないはずなのに。それなのになぜ、エルバルトは自分を選ばないのか…アメリアはどうしても理解ができなかった。
「アメリア、こんなところにいたのか」
憎らし気に二人の後姿を見つめていると、聞きなれた声が聞こえた。
「お兄様。なぜエルバルトを呼んだのに教えてくださらなかったのですか」
「エルバルトは呼んでないよ。呼んだのはアレクシスだ。エルバルトは勝手についてきただけだ」
「いじわるをおっしゃって…」
揶揄いグセのある兄はまた冗談を言いに来ただけだと思っていたのだが、にわかにヴィンフリートの眼に、スッと冷気がこもり、アメリアは少し身を構えた。
「アメリア、エルバルトのことは諦めろ」
「えっ?」
「エルバルトが一方的にアレクシスに傾倒しているのであればまだよかったが、どうやらそうではないらしい。いくら王族とはいえ、魔塔の主を敵に回すようなことはできない。だからもうエルバルトのことは諦めろ。わかったな」
ヴィンフリートはこの国の王太子であり、アメリアの兄だ。
少し食えないところはあるが、唯一の妹であるアメリアは兄にかわいがられている自覚がある。
これまでも大抵のわがままは許してくれた。
それなのに、ヴィンフリートまで自分よりアレクシスを優先するというのか。
アメリアはギリッと奥歯を噛む。
ところが、返事を待たずにヴィンフリートはポンとアメリアの肩を叩いて部屋を出て行った。
これは決定事項で、反論の余地も許さない、そういうことなのだろう。
気を高ぶらせるほどの怒りは、最高点に到達するとどうやら逆に頭を冷やすらしい。
「ねぇオズワルド卿。人は諦めろと言われたものほど欲しくなる。そういうものではなくて?」
「その通りでございます、王女殿下」
憎しみのこもる眼で外を見つめるアメリアの後ろで、オズワルドは以前と同じように、小さく口の端を上げた。
塔に帰ってからというものの、アレクシスは夕食中も、風呂に入っているときも何か考え込んでおり、エルバルトが話しかけてもずっと生返事ばかりしている。
「アレクシス様、聞いてますか?」
「あぁ…」
エルバルトがアレクシスを後ろから抱きしめ、首元を食んでも無反応だ。
王太子がアレクシスと親しげに話していたことですでに少し拗ねていたせいもあり、さすがのエルバルトも少しイラつきを隠せなくなっているが、それにもアレクシスは気が付いていない。
「やっぱりもう一度王太子のところに行くしかないか…」
アレクシスの独り言に、エルバルトは思わず力が入った。
〈ガリッ〉
「痛った!!えっお前なにを…」
急に与えられた痛みに驚き、振り返ると、そこにいるエルバルトの眼は明らかに怒りに満ちていた。
「どうした……」
「俺はもう寝ます。おやすみなさい」
アレクシスの言葉を遮り、エルバルトはそのまま二階の自室に戻ってしまった。
状況が全く理解できないアレクシスはポカンと口を開けたままだ。
――な、なんであんなに怒ってるんだ…??って言うかあいつ俺を噛んだぞ?!。
これまでエルバルトはアレクシスには常に優しく愛でるように接し、生活態度を叱ることはあっても怒ることなど一度もなかった。
アレクシスは初めての状況に戸惑う。
何か気に障ることを言ったか……いや、違う。
王宮から帰ってきてからずっと考え込んでいて、エルバルトとほとんど話しをしていないのだから、それ以前の問題だ。
王宮にいる間もエルバルトはずっとドアの外に立たされていただけで――本来護衛とはそういうものだが――今日王太子とした話なども、一言も説明していなかった。
――もしかして俺は、ずっとエルバルトを無視していたのか……?
ようやくエルバルトが怒っている理由に気が付いたアレクシスは慌ててエルバルトの部屋に向かった。
「エル……悪かった。話をしよう」
部屋の中からの返事はない。
相当怒っているのかもしれない、焦りがアレクシスの中に生まれ、つい本音が漏れる。
「もう寝たか…? 入ってもいいか…せめて一緒に寝かせてくれ。一人で寝るのは嫌だ」
落ち着かない心でドアの前で立ち尽くしていると、静かに部屋のドアが開いた。
「アレクシス様……噛んでしまってすみません……」
部屋から出てきたエルバルトはその逞しい体躯が一回りも二回りも小さくなったかのように、目に見えて落ち込んでいた。
まだ怒っているものと思っていたアレクシスは、拍子抜けするその様子に体の力が抜ける。
「あぁ……俺の方こそ、もしかしなくてもずっと無視してたな、すまない」
エルバルトはアレクシスを部屋に招き入れ、ぎゅっと抱きしめた。
「つい考え込んでしまった。ちゃんと話すから、一緒に寝てもいいか?」
「もちろんです。すみません。拗ねた子供のようなことをして、あなたに傷をつけるなんて……情けない」
エルバルトはため息をつくが、必要以上に落ち込むその姿に、アレクシスはこらえきれず笑いがこぼれる。
「なんで笑うんですか…?」
「フフッお前があまりにもかわいらしくて」
「騎士に言う言葉ではありません」
「そうだな」
口をとがらせ、少しムッとした表情はいつもより幼く見える。
それがまたかわいらしいなと思った。
アレクシスは手を伸ばし、アレクシスの頭一つ分よりも高いところにあるエルバルトの頬にそっと触れる。
エルバルトが塔に来たばかりの頃は、まだアレクシスよりも背が低く、少年らしさを残したまま無邪気にじゃれ付き、懐いてくる姿はとてもかわいらしく思えた。
それが、いつの間にか見上げるほどに背が伸びて、声は落ち着きを持ち、アレクシスを包む鍛え上げられた体はどこからどう見ても『大人の男』だった。
そうは言っても、エルバルトはまだ二十歳になったばかりで、歳だけで言えばアレクシスより六歳も下なのだ。
いつも落ち着きのある年下の恋人のめったに見せない幼さを垣間見て、つい顔が緩む。
「こんな顔が見られるのなら、噛まれた甲斐があったかもな」
いたずらっぽく笑うアレクシスを見て少し悔しそうな顔をしたエルバルトは、その華奢な体をひょいッと持ち上げ、ベッドに沈める。
「まて、ヤると話せなくなる」
エルバルトがキスをしようと顔を近付けたが、それをアレクシスは手でふさいだ。
「この雰囲気で止めるのはひどくないですか」
「まぁそういうな。事態は思っているより深刻だ」
二人でベッドの上に座り、アレクシスから聞かされた話にエルバルトは腕を組む。
「魔獣を人工的に…そんなことができるなんて」
「あぁ。聖女が現れた途端にこれだ。やはり神託通り何かが起こると思ったほうがいい」
『危機』に備えるには、やはり聖女が神力を使いこなせるようになることが、何よりも急務だ。
明日神殿に行ったらリシュカも呼んで神力の訓練をして、報告のためにまた王宮に行ったほうがいいだろうか……。
なかなか考えがまとまらないまま、アレクシスはまた思考の沼に落ちていく。
〈パンッ〉
音に驚き顔を上げると、そこには合わされたエルバルトの手があった。
アレクシスが再び考え込み始めて無言になったため、エルバルトがアレクシスの顔の前で手を叩いたのだ。
――しまった…またやっちまった…。
気まずい顔をして見せたが、エルバルトはにっこりと微笑み、そのままアレクシスをベッドに少しだけ乱暴に押し倒した。
「俺はあなたに蹴られたり、罵られたりするのは全然平気ですが、無視されるのはすごく嫌みたいです」
いつもの優さに少しだけ鋭さが加わったエルバルトの瞳に、アレクシスの背をヒヤリと冷気が撫でる。
これ以降、アレクシスに考え込んでいる時間は少しも訪れなかった。
今日は朝食の後、二人で本屋に出かけようと思っていたのに、今、なぜかエルバルトとアレクシスは二人で王宮にいる。
普段、どこへ行くのもラフな服に頭からかぶれる黒いマントを羽織るだけのアレクシスも、さすがに王宮に呼ばれたからには、白地に黒色の刺繍が入った魔導士としての正装だ。その清廉さがアレクシスの美しい銀色の髪と金色の瞳を際立たせている。
初めて見た正装のアレクシスがあまりに美しくて、エルバルトはつい見とれてしまうが、気を緩めているわけにはいかない。
「アレクシス様は王太子殿下とお知り合いなんですか?」
今日二人を王宮に呼び出したのは、この国の第一王子で、次期国王でもある王太子、ヴィンフリート・カイ・バルテン。そして今いるこの部屋は、王太子の執務室の隣にある、美しい装飾に彩られた豪奢な応接間だ。
「神殿にいた時に何度か会ったことがあるが…顔見知りといった程度だ」
まだアレクシスが魔塔の主になる前に神殿にいたころ、次代の王国を担っていく者同士で交流を、という名目で何度か大人たちに王太子と引き会わされたことがあった。
そもそもアレクシスは他人に興味がないし、国を担っていくという思いもなかったので、面倒くさくて仕方がなく、適当に相手をしていたら、いつの間にかその交流もなくなった。
そのあとは、魔塔の主になったときに一度挨拶のために王宮に来たが、その時も個別に話をする機会もなかったし、それ以来会ってもいない。
なぜ呼ばれたのかさっぱり見当がつかない。二人して思案しているとノックの音がし、応接間のドアが開かれた。
現れたのは、金色の髪に翠色の眼をした、まさに『王子様』と言わんばかりの風貌の美青年。機嫌よく笑みを浮かべたヴィンフリートは、軽快な足取りでアレクシスの側へと歩み寄った。
「アレクシス、久しぶりだな! よく来てくれた」
「王太子殿下にご挨拶申し上げます」
ソファに座っていたアレクシスは立ち上がり、胸に手を当て、この国の最敬礼をする。
「挨拶はいい。私とお前の仲ではないか」
どんな仲だったか、とアレクシスは思ったが、後ろにいたエルバルトは眉をぴくっと引きつらせていた。その瞬間をヴィンフリートは見逃さない。
「少し込み入った話になる。二人で話したい」
そういうと、ヴィンフリートはまるでお姫様をエスコートするようにアレクシスの手を取り腰にを添えた。向かうは応接室の隣にある執務室らしい。
この完全に不要な動作に、アレクシスはうわっと顔を思いっきりしかめたが、さすがに王太子の手を振り払うわけにはいかない。心の中で盛大に舌を打ちつつ、大人しく従う。
「護衛は外で待っていろ」
アレクシスの手を取っただけであからさまに嫌そうな顔をしたエルバルトも、ヴィンフリートの言葉にさらに眉間にしわを深くしたが、アレクシスはそれを制するように視線を送った。たとえ魔塔の主といえど、アレクシスも、もちろんエルバルトだって王太子に逆らうわけにはいかないのだ。
エルバルトをドアの前に残し、アレクシスは王太子と二人で執務室へと入った。
その部屋は先ほどの応接間よりは簡素な造りではあったが、それでも見るからに質の良い装飾が並ぶ。
使いやすさを重視した、実にヴィンフリートらしい部屋だ。
ヴィンフリートはソファに座るとアレクシスにもその正面に座るように促したが、その間もずっとヴィンフリートからはフフッと噛み殺しきれていない笑いが漏れている。
「殿下、堪え切れていませんよ」
「あははは。黒の騎士のあんな顔は初めて見たよ。親しくしているとは聞いていたが、思っていた以上のようだな」
アレクシスは用意されたお茶を飲みながら、その質問には答えないことにした。それでも、ヴィンフリートはまだ笑っている。
「フフッ、アメリアが聞きつけたら大変だろうな」
ヴィンフリートの言葉にアレクシスの眉がぴくりと動いた。
アメリア・ローゼ・バルテン。この国の第一王女で、王太子であるヴィンフリートの妹だ。
以前からエルバルトに護衛騎士になるよう言い募っており、少し前も王宮にその件でエルバルトは呼び出されている。
そのことを当然兄であるヴィンフリートは知ってるのだろう。そして、それをエルバルトが拒否していることも。
思わずアレクシスはヴィンフリートを睨んだ。
「フフフっ、お前もそんな顔するんだな。昔会ったときは目を合わせることすらしてくれなかったのに」
「殿下、そのようなお話なら私はこれで失礼します」
ヴィンフリートに人をからかう癖があることは知っていたが、それに付き合うほど昔も今もアレクシスの心は広くない。
アレクシスはお茶を置き、立ち上がろうとするが、ヴィンフリートが引き留める。
「待て待て、冗談だ。アメリアにはお前たちが今日来ることは言っていない」
「なら、どのようなご用件ですか」
「相変わらず面白みのない奴だ。まぁいい座れ」
アレクシスはため息をつきながらソファに座り直した。
正直久しぶりに着た正装も窮屈だし、一刻も早く帰りたい。
だが、ヴィンフリートの話は、それを許すような内容ではなかった。
「三日前、王宮のはずれに突然魔獣が現れた。幸い小物だったから、王宮にいた騎士で内々に討伐することができたがな」
「な…そんなこと、ありえない!」
ヴィンフリートの言葉にアレクシスは驚きのあまり立ち上がった。
魔獣とは、エクドラル王国のあるルベルク大陸に存在する獣が瘴気に触れ、変化したものだといわれているが、その実は判明していない。
そして、今アレクシスたちがいる王宮を囲むこの国の王都フィーレンには、この街全てを覆いつくすように結界が張られており、魔獣が侵入したことは建国から百数十年の間一度もない。
「あぁ、ありえない話だ。でも実際に俺も王宮内に出た魔獣をこの目で見た。お前が驚くと言ことは、やはり結界に異常はないのだな」
「ありません。五日前に聖女が結界を通り抜けましたが、それによって結界に穴が開いたり、弱まったりなどはしていません」
その結界を維持管理するのが、魔塔の主であるアレクシスの役目なのだ。もし、結界を破って魔獣が侵入することなどあれば、すぐにわかる。
だが、実際に王都内、しかも王宮に魔獣が現れたというのだ。
「一体どうやって…」
「これ、何かわかるか」
ヴィンフリートはソファの間にある机にコロンと石のようなものを投げた。
「手に取っても?」
ヴィンフリートが頷いたので、アレクシスはその石のような物を手に取る。それは濃い紫色の水晶のような石で、中には文字のようなものが書かれていた。
「これは…魔石?」
魔石とは、特別な術式を用いることで魔法を封じることのできる石だ。
魔力が強くない人でも、魔石を使えば大掛かりな魔法が使えるということで、一時期王国でも大々的に研究が進められていたが、結局、その難解な術式を扱えるものがほとんどおらず、いつしか研究はすたれ、魔石自体を目にすることもほとんどなくなっていた。
実際にアレクシスも目にするのは初めてだ。
「こんなもの、どこで」
「その王宮に現れた魔獣から出てきた。どう思う?」
「まさか…この魔石を核に魔獣を…?」
「やはりそう思うか。王都外にいる魔獣からは魔石なんて出てこないからな。だから、王宮の魔導士にこの魔石の残滓を探らせてみたんだが、残念ながら詳細まではわからなかった。だが、確かに何ものかの魔法が使われた痕跡があった。つまり、王宮に現れた魔獣は、何者かが故意に出現させた可能性が高い」
そんなことができるとなれば大問題どころの騒ぎではない。
アレクシスは神殿に伝わる神託を思い出していた。
『国が危機に見舞われたとき、聖女が降臨し、この国を守るだろう』
まさか危機とはこのことなのか…考え込んでいると、ヴィンフリートが口を開く。
「お前は確か聖女の教育もしているのだろう?そちらはどうだ」
今日アレクシスがこの場に呼ばれたのは、結界の様子を確認するためだと思ったが、どうやらそれだけではなかったらしい。
「確かに聖女の神力は驚くべき力でした。ですが、まだ使える段階ではありせん」
美織はつい五日前にこの国に喚ばれ、神力が目覚めたばかりだ。とても実践で使える状態ではない。
「そうか…だが、あまり猶予はなさそうだ。魔石のことは引き続き王宮で調査する。お前は聖女のほうを急いでくれ」
「わかりました」
話が終わるなりアレクシスは立ち上がろうとしたが、再びヴィンフリート引き留められた。
「そんなに急いで帰らなくてもいいだろう。久々の再会だ」
「いえ、外にいる私の護衛がしびれを切らすといけませんので、失礼します」
「ははっ。随分と大切にしているんだな。それにしても魔塔の主に、この国最強の騎士か…。二人だけで十分国をつぶせそうだな」
笑いながら話すヴィンフリートはあくまで軽口のつもりなのだろうが、あまりに物騒な発言に、反逆の意思がないかを確認されているのかとアレクシスは勘繰りたくなる。
だが、このままヴィンフリートの意のまま揶揄われるのも癪に障るので、少し反撃を試みることにした。
「そうですね……あれに何かあったら、そうならないとも言えませんね」
アレクシスは不敵な笑みを浮かべ、一礼して部屋の外に出ていった。
ヴィンフリートはゾッと背筋を凍らせるその美しい笑みに、少しやりすぎたかなと心の中で呟いてみた。
一方、イライラもやもやとしながらドアが開くのを待っていたエルバルトは部屋から出てきたアレクシスをほっと息とつきながら迎えた。後に続いて出てきたヴィンフリートには何でもないふうに礼をする。
「最近アメリアの様子がおかしい。気をつけろ」
すれ違いざまにヴィンフリートに耳打たれ、エルバルトは振り返るが、ヴィンフリートは二人に背を向け、手を振りながら去っていった。
「何を言われた?」
「……ここを出たら話します」
「そうか、さっさと帰ろう」
アレクシスたちが王宮を出た頃、アメリアは王宮を後にする二人をバルコニーから見下ろしていた。
その後ろには、神官であるオズワルトの姿がある。
「声をおかけしなくてもよかったのですかな」
「結構よ」
アメリアがアレクシスを目にしたのはこれが初めてだった。
見た目は少年だが、実際には青年と呼べる年だという。
遠目からでもわかるその人間離れした容姿は、アメリアには気味の悪いものにしか見えない。
美しさで自分にかなうものなどいないはずなのに。それなのになぜ、エルバルトは自分を選ばないのか…アメリアはどうしても理解ができなかった。
「アメリア、こんなところにいたのか」
憎らし気に二人の後姿を見つめていると、聞きなれた声が聞こえた。
「お兄様。なぜエルバルトを呼んだのに教えてくださらなかったのですか」
「エルバルトは呼んでないよ。呼んだのはアレクシスだ。エルバルトは勝手についてきただけだ」
「いじわるをおっしゃって…」
揶揄いグセのある兄はまた冗談を言いに来ただけだと思っていたのだが、にわかにヴィンフリートの眼に、スッと冷気がこもり、アメリアは少し身を構えた。
「アメリア、エルバルトのことは諦めろ」
「えっ?」
「エルバルトが一方的にアレクシスに傾倒しているのであればまだよかったが、どうやらそうではないらしい。いくら王族とはいえ、魔塔の主を敵に回すようなことはできない。だからもうエルバルトのことは諦めろ。わかったな」
ヴィンフリートはこの国の王太子であり、アメリアの兄だ。
少し食えないところはあるが、唯一の妹であるアメリアは兄にかわいがられている自覚がある。
これまでも大抵のわがままは許してくれた。
それなのに、ヴィンフリートまで自分よりアレクシスを優先するというのか。
アメリアはギリッと奥歯を噛む。
ところが、返事を待たずにヴィンフリートはポンとアメリアの肩を叩いて部屋を出て行った。
これは決定事項で、反論の余地も許さない、そういうことなのだろう。
気を高ぶらせるほどの怒りは、最高点に到達するとどうやら逆に頭を冷やすらしい。
「ねぇオズワルド卿。人は諦めろと言われたものほど欲しくなる。そういうものではなくて?」
「その通りでございます、王女殿下」
憎しみのこもる眼で外を見つめるアメリアの後ろで、オズワルドは以前と同じように、小さく口の端を上げた。
塔に帰ってからというものの、アレクシスは夕食中も、風呂に入っているときも何か考え込んでおり、エルバルトが話しかけてもずっと生返事ばかりしている。
「アレクシス様、聞いてますか?」
「あぁ…」
エルバルトがアレクシスを後ろから抱きしめ、首元を食んでも無反応だ。
王太子がアレクシスと親しげに話していたことですでに少し拗ねていたせいもあり、さすがのエルバルトも少しイラつきを隠せなくなっているが、それにもアレクシスは気が付いていない。
「やっぱりもう一度王太子のところに行くしかないか…」
アレクシスの独り言に、エルバルトは思わず力が入った。
〈ガリッ〉
「痛った!!えっお前なにを…」
急に与えられた痛みに驚き、振り返ると、そこにいるエルバルトの眼は明らかに怒りに満ちていた。
「どうした……」
「俺はもう寝ます。おやすみなさい」
アレクシスの言葉を遮り、エルバルトはそのまま二階の自室に戻ってしまった。
状況が全く理解できないアレクシスはポカンと口を開けたままだ。
――な、なんであんなに怒ってるんだ…??って言うかあいつ俺を噛んだぞ?!。
これまでエルバルトはアレクシスには常に優しく愛でるように接し、生活態度を叱ることはあっても怒ることなど一度もなかった。
アレクシスは初めての状況に戸惑う。
何か気に障ることを言ったか……いや、違う。
王宮から帰ってきてからずっと考え込んでいて、エルバルトとほとんど話しをしていないのだから、それ以前の問題だ。
王宮にいる間もエルバルトはずっとドアの外に立たされていただけで――本来護衛とはそういうものだが――今日王太子とした話なども、一言も説明していなかった。
――もしかして俺は、ずっとエルバルトを無視していたのか……?
ようやくエルバルトが怒っている理由に気が付いたアレクシスは慌ててエルバルトの部屋に向かった。
「エル……悪かった。話をしよう」
部屋の中からの返事はない。
相当怒っているのかもしれない、焦りがアレクシスの中に生まれ、つい本音が漏れる。
「もう寝たか…? 入ってもいいか…せめて一緒に寝かせてくれ。一人で寝るのは嫌だ」
落ち着かない心でドアの前で立ち尽くしていると、静かに部屋のドアが開いた。
「アレクシス様……噛んでしまってすみません……」
部屋から出てきたエルバルトはその逞しい体躯が一回りも二回りも小さくなったかのように、目に見えて落ち込んでいた。
まだ怒っているものと思っていたアレクシスは、拍子抜けするその様子に体の力が抜ける。
「あぁ……俺の方こそ、もしかしなくてもずっと無視してたな、すまない」
エルバルトはアレクシスを部屋に招き入れ、ぎゅっと抱きしめた。
「つい考え込んでしまった。ちゃんと話すから、一緒に寝てもいいか?」
「もちろんです。すみません。拗ねた子供のようなことをして、あなたに傷をつけるなんて……情けない」
エルバルトはため息をつくが、必要以上に落ち込むその姿に、アレクシスはこらえきれず笑いがこぼれる。
「なんで笑うんですか…?」
「フフッお前があまりにもかわいらしくて」
「騎士に言う言葉ではありません」
「そうだな」
口をとがらせ、少しムッとした表情はいつもより幼く見える。
それがまたかわいらしいなと思った。
アレクシスは手を伸ばし、アレクシスの頭一つ分よりも高いところにあるエルバルトの頬にそっと触れる。
エルバルトが塔に来たばかりの頃は、まだアレクシスよりも背が低く、少年らしさを残したまま無邪気にじゃれ付き、懐いてくる姿はとてもかわいらしく思えた。
それが、いつの間にか見上げるほどに背が伸びて、声は落ち着きを持ち、アレクシスを包む鍛え上げられた体はどこからどう見ても『大人の男』だった。
そうは言っても、エルバルトはまだ二十歳になったばかりで、歳だけで言えばアレクシスより六歳も下なのだ。
いつも落ち着きのある年下の恋人のめったに見せない幼さを垣間見て、つい顔が緩む。
「こんな顔が見られるのなら、噛まれた甲斐があったかもな」
いたずらっぽく笑うアレクシスを見て少し悔しそうな顔をしたエルバルトは、その華奢な体をひょいッと持ち上げ、ベッドに沈める。
「まて、ヤると話せなくなる」
エルバルトがキスをしようと顔を近付けたが、それをアレクシスは手でふさいだ。
「この雰囲気で止めるのはひどくないですか」
「まぁそういうな。事態は思っているより深刻だ」
二人でベッドの上に座り、アレクシスから聞かされた話にエルバルトは腕を組む。
「魔獣を人工的に…そんなことができるなんて」
「あぁ。聖女が現れた途端にこれだ。やはり神託通り何かが起こると思ったほうがいい」
『危機』に備えるには、やはり聖女が神力を使いこなせるようになることが、何よりも急務だ。
明日神殿に行ったらリシュカも呼んで神力の訓練をして、報告のためにまた王宮に行ったほうがいいだろうか……。
なかなか考えがまとまらないまま、アレクシスはまた思考の沼に落ちていく。
〈パンッ〉
音に驚き顔を上げると、そこには合わされたエルバルトの手があった。
アレクシスが再び考え込み始めて無言になったため、エルバルトがアレクシスの顔の前で手を叩いたのだ。
――しまった…またやっちまった…。
気まずい顔をして見せたが、エルバルトはにっこりと微笑み、そのままアレクシスをベッドに少しだけ乱暴に押し倒した。
「俺はあなたに蹴られたり、罵られたりするのは全然平気ですが、無視されるのはすごく嫌みたいです」
いつもの優さに少しだけ鋭さが加わったエルバルトの瞳に、アレクシスの背をヒヤリと冷気が撫でる。
これ以降、アレクシスに考え込んでいる時間は少しも訪れなかった。
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