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番外編 レティシア
5話 謎の攻撃
しおりを挟む僕達4人が盛り上がっていると、他の人がコホンと咳払いをする。
見ると、主催者のサーヤ様が少し不機嫌そうにしている。
「あ、申し訳ございません、勝手に盛り上がっちゃって・・・」
「あら、よろしいのよ? それより、席にお着きになって? 私達ともお話してくださいさな」
そう言われて僕達は席に着いた。
それを見て、今まで黙っていた人達が話し掛けてくる。
「さっきもお話されていましたけど、レティシア様を助ける為に、クリストファー様がお命を落とされたのですね、おいたわしい・・・」
「そうです。弟は私の事をずっと諦めず、探し続けてくれました。やっと会えたのに、会えた時間はほんのわずかでした・・・」
本当に、クリスとはほんのわずかな時間しか一緒にいることが出来なかった。
でも、クリスは幸せに生きてる。
それだけで僕も幸せだ。
「そうでしたか、でも、レティシア様はカルロス様とクラウス様に守られて戻ってくることが出来たのでしょう? 」
「ええ、そうです。お2人には本当に感謝しております」
僕がそう言うと、なんか周りの空気が凍りついたような気がした。
「レティシア様は、カルロス様ととクラウス様にとても親身になって頂いてらっしゃるようですね」
サーヤ様が扇子で口元を隠しながら聞いてくる。
「ええ、本当に、とても良くしていただいています」
そう言うと、何人かが、小さく「まぁ!」と少し怒り?を表したような声を出した。
ん?
「それに・・・殿方からのお誘いを全てお断りしていらっしゃるとか・・・」
「ええ、何故私等をお気にかけてくださるのか・・・」
あれ? 何でそんなことを知ってるんだろう?
「お断りしてばかりではなく、何方かと会ってみたらよろしいのに」
普通はそうするのかな?
でも、僕はギルがいるから他の人と会うつもりは無い。
でも、好きな人が居るってのは、言わない方がいいかな、僕はずっといなかった人間なのに、好きになる相手がどこにいたのか突っ込まれても嫌だし。
「私は・・・まだそういうのは遠慮させて頂いています」
「あら、どうして? おモテになっているのに勿体ない」
サーヤ様はそこまで言うと、少し間を置いて、扇子で表情を隠しながら僕を見つめる。
「クラウス様か、カルロス様を狙っていらっしゃるのかしら・・・」
その言葉に、周りが「まぁ!」とザワつく。
「いえ、私はそのような事思っていません」
「本当かしら・・・」
何でそんな疑いを掛けられているのか分からないけど、誤解を解くにはどうしたらいいんだろう・・・
「王子様方が本命で無いのなら、他の方ともお会いになればいいのに・・・」
他の人と会ったらギルがヤキモチ妬くからそれはしたくない。
「・・・もう少し考えさせてください、私もまだこの生活に戻ったばかりで慣れていないのです・・・」
「そうですわね、問いただすようなことを言ってごめんなさい」
サーヤ様はじめ、何人かは僕を敵視しているのか、睨まれてる気がする・・・
「皆様、今日お集まりいただいたのは、うちの薔薇園が今見事なんです、是非お見せしたくて」
「まぁ、そうなんですの?」
みんなが嬉しそうにする。
「ええ、ご案内致しますわ」
そう言って、サーヤ様が案内して歩いてくれる。
僕はフローラ嬢たちと歩きたかったけど、サーヤ様が僕の腕を持って歩くので、離れて歩くことになった。
「・・・レティシア様は、護衛はお付けになっていらっしゃらないのね」
サーヤ様に言われて、ふと気が付く、あれ? そう言えば、みんな後ろに1人ずつついてるかも・・・
お嬢様には護衛がつくのか・・・まぁ、僕には要らないけど・・・
自分の身は守れるし・・・
そう思っていると、薔薇園にたどり着いた。
自慢するだけあって、本当に見事な庭園だった。
「綺麗・・・」
みんな思う事は同じなのか、キャッキャッと騒ぎながら、みんな思い思いに見て歩く。
僕も薔薇の香りを嗅ごうと薔薇の木に近付いた。
とてもいい香り。癒されるなー。
女子はこんな感じで穏やかに過ごすんだな・・・
そう思いながら見て回っていると、不意に木の影から誰かに腕を掴まれて、そのまま木の間に引き込まれた。
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