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番外編 レティシア
3話 僕の宝物
しおりを挟む「リオ、クリスは残念だったが、ギルとははぐれただけだ、まだ死んだと決まったわけじゃない。私はきっと戻ってくると思っている」
クラウス様の言葉に、僕も頷く。
「ああ、そうだったな、クラウス様がレティシア嬢の為に強くあろうとしてるのは分かるわ、俺も何時までも泣いてられないな」
リオさんがそう言うと、クラウス様が頷く。
「レティシア嬢は私の至宝だよ」
「俺たちの、な」
クラウス様の言葉に被せるように、カルロス様も話す。
え? 至宝? 何それ?
僕そんなにいい物じゃないんだけど・・・
「私は・・・皆様に支えられているのですね」
とりあえず何かわからないけど、どうしていいか困ったので、微笑んでみた。
すると、遠くの方でバタバタと走り去る人が何人か見えた。
何を急いでいるんだろうか?
「・・・レティシア、あちこちにその笑顔を撒かない方がいいみたいだね」
クラウス様の言葉の意味がわからない。
「どうして? ・・・ですか? 」
撒いたつもりないんだけど・・・
「そうか、前回は俺達の為のパーティーだったから男は少なかったんだな」
カルロス様の納得したような言葉に、リオさんは首を傾げる。
「前回? 」
「いや、こっちの話しだ」
カルロス様は慌てて言い訳をしたけど、気をつけて欲しい・・・僕は今日が社交界デビューなんだから。
「レティシア、こっちでの生活にはもう慣れた? 」
「はい、少し・・・」
本当は家から出られないのが窮屈でしょうがない。
でも、淑女としての振る舞いの特訓をしないと、こうして外に出ることも出来ないから頑張ってる。
「でも、私のような田舎者には、このような場所はまだ気後れしていまいます・・・」
みんなが注目してるのは、きっと、僕が変だからだ。王子様達が構ってる相手がこんな僕だから、興味津々なんじゃないかな。
なのに、リオさんが首を傾げる。
「田舎者? 全然そんなふうには見えないよ? 」
「でも・・・皆さん私が変なので見ているのでは? 」
そう言うと、3人とも目を見合わせたあと、くすくすと笑う。
「レティシア嬢は性格もクリスによく似てるな」
リオさん、それは僕本人だからね・・・
「何がおかしいんですか? 」
「みんなが見てるのは、レティシア、君が美しい令嬢だからだよ」
クラウス様の言葉にびっくりしてしまう。
僕はどう見ても、お淑やかな令嬢とは言えない。今までが男らしくと思っていたんだから、当然といえば当然なんだけど・・・
それがどうしてそんなふうに見えるのか・・・不思議だ・・・
「そうなの? 」
そう見えているのなら嬉しいけど、なんか違う気がする・・・
「とりあえず、レティシアとはここへ帰って来て以来会えてなかったから、元気そうな姿が見られて良かったよ」
クラウス様がにっこり笑ってくれる。
僕の事を心配していてくれたのかな・・・
「クラウス様、ありがとう。こうして私がここに居られるのも、クリスやギルバート様、クラウス様、カルロス様のおかげです」
改めて、僕はみんなを巻き込んでレティシアに戻れた事を実感して、涙が込上げる。
こんなに優しい人達に出会えてなかったら、今の僕は居ない。
涙が零れそうになって、下を向く僕に、クラウス様がハンカチを差し出してくれる。
カルロス様は、僕の頭をぽんぽんと優しく叩いて、励ましてくれる。
リオさんも、僕がみんなから見えないよう、そっと壁になってくれた。
みんなとっても紳士だ。
この人達とは、住む世界が別れてしまうので、もう以前みたいに親しくする事は出来ないけど、僕にとっては一生大切な宝物だ。
。*⑅୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧⑅*。
もう1つの番外編、
「僕が魔族のレイと恋に落ちるまで」
の連載を開始致しました。
こちらは完全BL、R18指定のエロ要素多めの作品です。
興味をお持ち頂いた方は是非見てやってください。
よろしくお願い致します。
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