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66話 やってしまった・・・(クリストファー)

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・・・・・・しまった・・・・・・どうしよう。

僕、レティシアの相談にのろうと思って行ったのに、喧嘩してきちゃった。
しかも、僕がギルを幸せにするとか、勢いで言っちゃったよ。

僕・・・何考えてんだよー!


「クリス、どうした? 」

自室に戻って自分の発した言葉に落ち込んでいた僕に、レイが話しかけてきた。

「レイ、・・・何でもない・・・ちょっと、自分のバカさ加減に落ち込んで反省してただけ・・・」

僕はレイに口を尖らせながら、なんでもないと言いつつも、理由を話した。

「クリスはちょっとおバカなところはあるけど、可愛いぞ。」

レイが僕の頭を撫でながら言う。

「それ、褒め言葉になってないから! 」

「くくっ、何をバカやったんだ? 」

「それは言えない。」

レイは可笑しそうに笑いながら僕を見る。
僕はそれを無視して顔を逸らした。
いつもレイには手のひらで転がされてる感じなんだよね。
僕が他の人と仲良くすると、すぐにヤキモチを焼くのに、基本は俺様なんだよなー。

「・・・僕、レティシアと喧嘩して、ギルの事は僕が幸せにするって言っちゃった。」

ちょっと悔しくなって、レイに反撃してみる。

「なっ! どういう事だ? お前、やっぱりあいつが好きになったのか? 」

焦るレイを見て、僕は自分が今優位に立ったと確信する。

「ふふっ、僕、レイとギル、2人と付き合ってもいい? 」

「ダメだ! クリスは俺のものだ! 誰にもやらん! 」

力いっぱい否定するレイを見て、僕は嬉しくなる。
本当に僕の事を愛してくれてる。

「あいつ・・・クリスがちょっと優しくしてやったら調子に乗りやがって・・・クリス、ちょっとあいつを消してくる。」

レイは怒りに任せてギルを殺しそうな勢いで出ていこうとする。

「いや、冗談だよ、ちょっと待って! 」

慌ててレイを止めたけど、レイなら本当にギルを消しかねない。
冗談で済まなくなる。

「冗談? クリスは俺を騙したのか? 」

背の高いレイに見下ろされながら目を細めて見つめられる。
この表情は怖いんだよね・・・

「・・・ごめんなさい。」

やっぱり僕がレイより優位に立つのは無理か・・・

「ちょっとレイに手のひらで転がされてる感が悔しくて、嘘ついちゃった。僕が好きなのはレイだけだよ。」

負けたのが悔しくて、頬を膨らませながら目を逸らして言い訳をする僕を、レイはお姫様抱っこで抱き上げる。

「そういう可愛い顔が見られるのは良いけど、他の男と付き合うとか、そんな嘘はつくな、本当に俺が消してしまうぞ? 」

うん、レイならやるな・・・ギルを殺されたらさすがに不味い。
レイのヤキモチは怖いな・・・

「ゴメンね」

僕がレイの首に抱きつくと、レイが僕にキスをする。

「・・・でも、勢いでシアに、ギルを幸せにするって言っちゃったのは本当なんだよね・・・」

「お前・・・! 」

今度はレイにベッドに降ろされて両手を抑えられてしまった。

「いや、ちょっと待って! 僕ギルのことは何とも思ってないから! 勢いで言っちゃったんだけど、どうしようか考えてたんだよ! 」

「・・・お前、あと先考えて発言しろよ・・・」

「うん、ごめんなさい・・・」

シアの部屋を出てからやってしまったと思ったんだよな・・・

そうだ、はっきりしないシアが悪いんだよ!
何でシアはギルに自分が女だって話す事を躊躇するんだろう?

・・・あれ? そう言えば、なんかに違和感を感じたんだ。
なんだっけ?
そうだ、シアはギルと仲良くする僕に嫉妬したんだ。
自分が振った相手に嫉妬・・・? 

「もしかして・・・シアもギルの事が好きなんじゃないのか? 」

「そうなのか? 」

不意にレイに上から見下ろされながら聞かれてドキッとする。

「え? 何でレイが? 」

「お前、心の声漏れてるぞ。」

呆れた顔で言うレイに焦る。

「僕、喋ってた?? 」

「・・・・・・」

マジか・・・考え事してたら考えが声に出てるってヤバすぎ。

「レティシアがギルのことを好きなのか? 」

「分からない。ギルはレティシアに振られたって言ってた。レティシアも、ギルを振ったって言ってた。でも、レティシアの態度は、どうもギルを好きなように思えるんだ。何でシアはギルを振ったんだろう?」

「分からないなら聞けばいいじゃないか」

レイが僕の首筋にキスをしながら話す。
それがくすぐったくて、思わず身を縮める。

「っ、そうなんだけど・・・さっき勢いよくレティシアの部屋を出ちゃった手前、戻るに戻れなくなっちゃって・・・」

「そんな事言ってると、何時までも話せなくなるぞ、早めに行ってこい。」

レイはそう言うと、僕を抱き起こして軽いキスをする。

「・・・うん・・・その前にギルの所に寄って様子を見てくる。レイ、魔力ちょうだい。」

僕はレイにねだるように深いキスをすると、レイは答えてくれる。

「・・・んっ・・・・・・」

レイのとろけそうなキスに頭がおかしくなりそうになる。
だけど、今は行かなきゃ・・・
しばらく求めるようにキスをした後、僕はベッドから降りた。

「じゃ、行ってくるね。」

「ああ、行ってこい、あんまり魔力使うなよ。」

レイは微笑んで僕を見送った。









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