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15話 クラウス様
しおりを挟む「君達凄いな、手合わせをしてるのが目に入ったので、しばらく見させてもらったよ。」
にっこり笑う姿は綺麗で、ドキッとしてしまう。まるで王子様のように素敵だ。
「見てたんですか?」
「うん、たまたま通りがかったんだけど、君達の凄さに思わず足を止めてしまったよ。君達、第二に来ないか?」
僕とギルを見ながら話すこの人は何者なんだろう?
そう思って改めて見ると、白い騎士服の胸元から左肩にかけて流れる金色の飾緒、肩の金色の肩章、これって・・・
「失礼ですが、貴方は第二騎士団団長のクラウス様ですか?」
ギルが僕より先に声を出す。
「ああ、申し遅れたね、そうだ、私は第二騎士団団長をしているクラウス・フォン・ベルフォードだ。君達は?」
キラキラと眩しい笑顔のイケメンさんは本当に王子様でした。
「俺はギルバート・ブレイスウェイです。」
ギルが挨拶をする。
「僕はクリストファー・ルイズウェルです。」
続けて僕も挨拶をした。
「ルイズウェル?・・・・・・」
僕の苗字に少し引っかかったようだったけど、すぐに笑顔に戻る。
「侯爵家と伯爵家か、なら私の所に来るのになんの問題もないね。」
苗字だけで爵位も分かるとか、さすが王子様。
「もし良かったら考えてみてくれないか?それとも、希望とかあるのかな?」
「一応・・・・・・第一か第二が希望です。」
僕の答えにクラウス様は少し顔をしかめる。
「第一か・・・二人とも兄上の好みだな・・・特にクリストファー・・・」
「え?」
今クラウス様なんか言ったか?
小さな声だったのでよく聞き取れなかった。
「第一は君達にはオススメしたくないけど・・・そんなこと言ったら兄上に怒鳴られるか・・・とにかく、私としては第二に入ってくれたら嬉しいな。考えておいてくれないか?」
そう言うと、クラウス様は立ち去って行った。
考えてみてくれって、基本僕達は首位5位に入らないと希望は言えない。
配属されたら従うしかないんだけどな・・・
「どうする?第二はすぐに入れそうだぞ?」
ギルは僕の希望が第一か第二だと知ってるので、嬉しそうに僕を見る。
第二のクラウス様は実際お会いするのは初めてだけど、確か今年22歳とお若いのに、決して王子だからという理由で団長になった訳では無い。
その細身の身体に似合わず才能に溢れた人だと聞いた事がある。
人柄も、実際会うのは二度目で、ほんの少ししか知らないけどいい方だと思う。
対して第一のカルロス様は今年25歳、男らしいがっしりとした体格で、性格も男らしく、こちらも腕は良く、守られるようなタイプではないと聞いたことがある。
来いと言ってくれたんだから、第二に行きたいけど、僕があの時の女だってバレるのが怖い。
ある意味、今日出会えてよかったかもしれない。
「・・・誘ってくれたのに悪いけど、第一かな・・・」
「クラウス様、悪いやつには見えなかったけど、なんかあるのか?」
ギルが不審な顔で僕を見る。
確かに、クラウス様はいい人だと思う。
森の前の花畑で出会った時も、あんな場所で一人で泣いていたいかにも怪しい僕をジロジロと見るわけでもなく、そっと視線を逸らして気遣った言葉をかけてくれた。
あんな素敵な人の元で働けるなら嬉しいけど・・・僕がいつあの時の女だってバレるか怖い。
バレたらルイズウェル家も娘を息子と偽って騎士団に入れたんだ。罪に問われるだろう。
それなら第一を選ぶべきだ。
でも、クラウス様のさっきの言葉・・・
「クラウス様のさっきの引っかかる言い方、気になるんだけどな。」
僕の言葉にギルも頷く。
「第一はオススメしたくないって言ってたな、なんでだろう?」
クラウス様はすごく気になる発言を残して行ってしまった。
何故あんな事を言ったんだろう?
自分の所に来てもらいたいからあえてあまり良くない印象を与えたかったのか、そんな事をするような人には見えなかったけど・・・
「俺、ちょっと第一の事調べてみるわ。」
ギルが調査を名乗り出てくれる。
それに僕は甘えることにした。
「うん、ありがとう。」
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