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3話 私の側仕え (アイリーン)
しおりを挟む私はアイリーン・チェスター。父である伯爵家の長女に生まれ、何不自由のない生活を送っている。
お付として私が10歳の頃から付いてくれているのがセルジュ・ルーセント。私は呼びやすくルーと呼んでるのだけど、最初ルーが我が家にやってきた時はまともにお話することが出来なくて、どうしていいのか分からなかった。
だって、初めて見た時、物語の中の王子様が来たのかと思うくらいルーが素敵だったから。
ルーは輝く白銀の髪に深い蒼の瞳を持っていて、背も高く整った顔立ちで、射抜くような瞳とは裏腹に、私を見る柔らかな笑顔は、まるで物語の王子様のようで、貴族ではないのに身のこなしも優雅で落ち着いていて本当に素敵だと思った。
・・・・・・私はルーに一目惚れしてしまったの。
だけどルーが傍に居ることに慣れるまで本当に困ったわ。
今でこそまともに話せるけど、当時は恥ずかしくてまともにルーの顔を見ることが出来なかった。
少しまともにルーと話せるようになったのは、ルーが眼鏡を掛けてくれたから。
「私・・・ルーの瞳が怖いの 」
本当は何事も見抜いてしまいそうな蒼い瞳に見られるのが、私の気持ちも見抜いてしまいそうで、恥ずかしくて耐えられなかったからなんだけど、そんな事を言ったら、次の日からルーが眼鏡を掛けてくるようになった。
その姿もまたイケメンすぎてまた困ったんだけど、ルーが努力してくれているのが分かって、私も何時までも逃げていられないと思ったの。
ルーは私のお付として、とても良く尽くしてくれるし、優しいんだけど、勘違いはしないわ。
それは仕事だからそうしてるだけだし、いくら私がルーを好きでも結婚出来ないこともわかってる。
だからこの気持ちは誰にも言わない。いずれ愛のないどこかの貴族に嫁ぐ私の密かな恋心は私だけの秘密。
そして17歳の秋、私にもとうとう婚約の話が来た。
正直ルー以上に好きになれる人なんていないと思う。それでも心を隠して誰かを好きな振りをしなくちゃいけない。
その覚悟はしていたけど、やっぱり少し胸が苦しい・・・・・・
こんな気持ちじゃ婚約者様に申し訳ないって分かってる。
だから私は婚約者様を好きなふりをする。
そうすれば、きっといつか本物の気持ちに変わるはず・・・・・・
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