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7話 魔王様
しおりを挟むあれから、レイはほとんどの日を僕の部屋で寝るようになった。
レイと一緒に寝るのはとても安心できていいんだけど、ほぼ毎回のように、僕がレイにイかされてる・・・
僕が一方的に気持ち良くさせられてるだけで、レイは毎回僕の吐き出したものを後処理してくれる。
レイはなんでこんなことをするのか、恥ずかしくてまだ聞けてない・・・
1度だけ、毎回こんな事をするのはおかしくないか?と聞いた事があるけど、「正常な男子なら毎日のようにするだろ」と言われ、「それは、自分で、でしょ? レイに手伝ってもらうのはおかしいよ! 」と訴えたら、「俺は別に構わない」とあっさり返されてしまった。
レイが僕の部屋に寝に来るようになってから2ヶ月ほどたった。
今日は魔王様のところに行く予定なので、用意をすると、魔王様の部屋に向かう。
魔王様は僕がドレスを来てる方が喜んでくれるので、今日も可愛いドレスを選んだ。
治癒魔法が使えると分かってから、病で苦しむ魔王様に、ほんの少しでも苦しみを和らげてあげたくて、2日に1回、魔王様に少しだけ治癒魔法を使ってる。
もっと良くしてあげられたらいいんだけど、自分に治癒魔法を掛ける時よりも、他人に使う方が更に魔力を使う事が分かって、魔力切れにならないように気を付けてる。
幸い・・・と言うかなんと言うか・・・少し使い過ぎたかなと思っても、レイがキスをしてくれると復活出来る。
なので、部屋に帰るまでの体力は残すようにしてる。
魔王様の部屋の近くまで来ると、様子が変なことに気がつく。
あれ? いつも扉の前に立ってる衛兵さん達が居ない?
よく見ると、扉が少しだけ開いていて、中から悲鳴が聞こえて来た。
僕は何か異変があったのだと察知して、部屋まで走った。
急いで扉を開けると、扉の中に衛兵さん2人が血を流して倒れているのが目に入った。
そして、魔王様のいつも寝ているベッドに目をやると、10人ほどの魔族が囲んでいた。
その隙間から、魔王様が血を流して倒れている様子が目に映る。
僕は咄嗟に倒れている兵士の剣を拾うと、魔王様の元へ走った。
「お前達! 魔王様に何をした! 」
僕が叫ぶと、向こうも僕に気がついて叫ぶ。
「人間だ! 殺せ! 」
こいつらは!、魔族上位主義者?
僕は、僕に向かって来る5人に隠匿の炎の玉を投げつけると、突然現れ、弾けた炎の玉に当たって、3人が倒れる。
驚く後の2人を剣で叩き切ると、そのまま魔王様の近くにいる5人に向かって行った。
風魔法で5人の体制を崩すと、足元からさらうように剣を滑り込ませて薙ぎ払う。
倒れて魔法で反撃しようとする相手を、有無を言わさずに切り捨てると、僕は魔王様の元に向かった。
「魔王様! 魔王様! 」
魔王様は肩から袈裟斬りに切り裂かれていた。
血がどくどくと流れ出て、魔王様は意識を失っている。
僕は慌てて魔王様に治癒魔法を掛けた。
「お願い! 治って! 」
僕の魔力では全然足りないかもしれない。
だけど、意識だけでも・・・失血を止めるだけでもできれば・・・
そう思って必死で治癒を続けて、あともう少しで血が止まりそう。そう思った瞬間、僕は意識を失ってしまった・・・
真っ暗な意識の中に一筋の光が伸びて、次第に明るくなる・・・
意識を取り戻すと、レイが僕に魔力を分け与える為に、キスをしてくれていた。
僕はしばらく状況が理解出来ず、ぼーっとした頭でレイのキスを受け入れる。
そして、次第に思考がハッキリとしてきて、レイの顔を掴むと、顔を引き離して叫んだ。
「魔王様は?! 」
辺りを見渡すと、沢山の人が集まっていた。
僕が切った奴らを運んでいる人、魔王様のベッドに沢山の人が群がって悲しそうな顔をしている。
そして、レイの後ろから僕を心配そうに覗き込んでいる侍女さんが2人、ボロボロと涙を流している。
この人達は・・・魔王様の侍女さんだ。
「・・・・・・僕は・・・魔王様を助けることが出来なかったんだね・・・」
周りの状況で理解した。
僕は魔王様を助けることが出来なかったんだ。
「レイ・・・ごめんなさい・・・僕がもっと早く来ていれば・・・」
「お前のせいじゃない」
レイはそう言うと、僕を抱いて立ち上がる。
「俺はクリスの手当と着替えをさせる。後の事は頼んだ」
レイはそう言うと、僕を抱いて部屋を出ようとする。
「レイ! 僕は大丈夫だよ、レイは魔王様の傍に居なくちゃ! 」
王子であるレイがこの場を離れるのはダメだ、魔王様の最後に付き添ってあげなきゃ。
「大丈夫だ、お前は心配しなくていい」
そう言うレイの瞳は、哀愁を宿した瞳をしている。
「レイ! 僕なんかより自分のことを優先して! 」
訴える僕を、レイは抱いたまま歩く。
抵抗して降りたいけど、魔力切れ直後で、体に力が入らない。
「自分の事を優先してるから戻るんだよ」
レイの言葉の意味が理解できない。
何言ってるの?
「俺には、親父よりクリスの方が大事だ」
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