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4話 ※魔力切れ (念の為の※です)

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あれからしばらくして、僕はレイのお父さんである魔王様と対面した。
どことなくレイに似た優しそうな魔王様だった。
だけど、最近病を患っているらしく、元気がなかった。

僕は魔王様に認められ、レイの客人として、魔王城内での自由を認められ、部屋を出られるようになった。

だけど、やっぱり僕をよく思わない人も居るし、僕を見て驚く人もいる。
最初は僕も警戒したけど、少しずつ、笑顔を絶やさないように話しかけて行けば、だんだんと受け入れてもらえるようになっていた。



それから三年、僕は10歳になっていた。

「レイ、僕、随分魔法上達したと思わない? 」

城の中にある魔法練習場で、炎の魔法と風の魔法を組み合わせたワザが出来るようになって、嬉しくてレイに見せる。

「ああ、お前はセンスがいいな、だけど、魔力量があるとはいえ、大技にはかなりの魔力を使う。使いすぎるなよ」

「使いすぎるとどうなるの? 」

「動けなくなる。最悪気を失う。そうなると、数日は起き上がれないぞ、気をつけろ」

そうなんだ・・・でも、魔力の限界が僕には分からない。
どうなると限界だって分かるのかな・・・

そう思った僕は、数日動けなくなるのを覚悟で、試してみようと思ってしまった。
今日は結構使ったと思うけど、まだある。

そして、また大技を練り上げる。
まだ大丈夫、まだ行ける。もう少し付与を増やしてみよう。炎と風に、対象物に届く迄見えなくする隠匿を掛けようとしたその時、突然目の前が霞んで力が抜けた。

「クリス! 」

立っていられなくなって崩れ落ちそうになった僕を、レイが抱きとめてくれる。

「・・・お前・・・今わざとやっただろう! 」

レイが怒ってるけど、僕は全く力が入らず、力なく微笑んだ。
それにしても・・・魔力が無くなるって辛い。
ただ動けなくなるだけかと思ったら、息も苦しいし、貧血? そんな感じで目も回る。

これは・・・数日我慢するのは辛いかもしれない。
そう思っていると、レイが僕を抱き上げた。

「ったく・・・待ってろ、俺の魔力を分けてやる。文句は聞かないからな! 」

・・・魔力って分けられるんだ。
なーんだ、レイが居てくれて良かった、魔力を貰って文句なんか言うわけないじゃん・・・。

そう思って安心した瞬間、僕はレイに口を塞がれていた。
正確にはレイの口が、僕の口に被せるようにキスをしていた。
動けなく、あまり頭の回らない頭で、何が起こったのかわからない僕に、レイは舌を滑り込ませてくる。
そして、顎を上げられ、舌と一緒にレイの唾液が流れ込んできて、僕はそれを受け入れるしかなく、コクリと飲み込んだ。
それからも訳が分からないまま、しばらく僕は、レイの濃厚なキスを受けいれ、流れ込む唾液を飲み込み続けた。

そして気が付く、さっきまで辛かっただるさが消えている・・・?

「・・・・・・ぅ・・・うっ・・・」

僕が声を出したのを聞いて、レイがゆっくりと唇を離す。
離れたレイの唇から唾液が糸を引いているのが見えて、顔が赤くなる。
レイ・・・めちゃくちゃエロい・・・

「な、・・・え?・・・魔力って・・・キスで・・・? 」

僕が真っ赤になりながら、気が動転してまともに喋れないで居ると、レイがクスッと笑う。

「クリス、可愛い」

その言葉に、余計顔の熱が上がる。
すでに真っ赤で、全然わかんないだろうけど、心臓は正直で、ドキドキ言ってる。

「魔力を分けるのは、体液を分ける事なんだよ、だから普通、恋人や夫婦、余程の仲でないとやらない。大抵は魔力切れを起こしたら数日苦しむ」

「そうなんだ・・・体液って・・・」

そうか、だからレイは僕に唾液を飲ませたのか・・・

「普通はしないって・・・」

「だから、文句は聞かないって言っただろ? お前が無茶するからだ」

そうか、レイは僕が女だと思ったままだよね、あれから髪は伸ばしてて、背中まであるし、ずっとドレスのままだ。
男だったら絶対キスなんてしないよね。

「あの・・・レイ、ごめんなさい、言ってなかったけど、僕、男なんだ」

「ああ、知ってる」

は? 知ってる? ええ? いつから?

「え? 知ってるって、いつから? 」

「最初から」

「嘘だ! だってレイ、女の子っぽい僕の部屋は何なの? 」

僕の部屋はピンクや花、ぬいぐるみで埋め尽くされてる。
レイが持ってきた物と、ルーラが持ってきた物があるけど、基本ルーラはレイに許可を貰ってから持ってきていると聞いた。

「ああ、お前がドレスを着てたからそういうのが好きなのかと思ってたんだが・・・違うのか? 」

そうか・・・僕がなんの抵抗もなくドレスを着てたからそういう趣味だと思われてたって事?

「・・・ルーラも知ってるの? 」

「あいつは女だと思ってるんじゃないのか? この前、そろそろお年頃なのに、お前の胸がペタンコのままだって嘆いてたぞ」

そう言われて、僕はペタンコの胸を見る。
・・・膨らむわけないじゃん!

「・・・レイはなんて答えたの? 」

「「そうだな、それもいいんじゃないか」と答えておいた」

「なんでそんな答え方するの! ちゃんと男だって言っといてよ! ・・・じゃなくて、僕男なんだよ? 知っててキスしたの? 」

「ああ、嫌だったか? 」

改めて聞かれて、答えに戸惑う。
突然でびっくりしたし、初めてのキスでいきなり超濃厚なキスをされて驚いた。
だけど、レイのキスは優しくて・・・嫌だって思わなかったんだ。
男からキスされて嫌だって思わないっておかしい?

僕は恥ずかしくて俯いて、とりあえず嫌ではなかったと首を横に振った。








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