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㉝コーデリア侯爵の驚き(ラルフレッド)

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父上に朝食の後で来るように言われて、俺は父上の執務室に向かった。

「失礼します。」

中に入ると、父上はソファーに座って待っていた。

「ラルフレッド、呼び出してすまない。」

「いえ、大丈夫です。それよりも、昨日は俺から話題を変えてくれてありがとうございました。」

そう言って頭を下げる。

「いや、それなんだが・・・先ずはフレデリックを救ってくれてありがとう。」

俺に向かって頭を下げてからさらに続ける。

「お前にとってはあの場で治癒を施すのは本意ではなかっただろう。良く決断してくれた。」

「俺も、兄上は好きだし、死なれちゃ困るんで助けただけだよ。」

そうだ、あの場で知らないフリをして兄上を見殺しにすることも出来たけど、俺がそれをやらなかった。
俺の力を見られたのは俺自身の責任だ。

「それで、犯人はとらえたんですか?」

「ああ、あの後毒物検知でグラスに毒が塗られていた事は分かった。そして、そのグラスの酒を頑なに拒んだライアンに心当たりがあるのでは無いかと問いただしたが、知らないの一点張りでな・・・」

確かに、なにか証拠がある訳では無い。
証拠を掴まない限り、ライアンはシラを切り続けるだろうな。

「グラスに毒を付けたのはライアンではないよね?他に協力者が居るんじゃないの?」

「それも洗い出しをして犯人は見つけたのだが、首謀者が誰なのか、一切履かないので今は牢獄に入れてある。」

てことは、この城の中は誰が裏切り者か分からない危険地帯じゃね?

「兄上は大丈夫なの?」

「近衛に守らせてはいる。その事で、お前に相談なのだが・・・」

父上の言葉に嫌な予感しかしない。

「城に戻って来てはくれないか?」

「嫌です!」

俺は即答で答える。
父上もその答えを想定していたのか、戸惑った様子はない。

「昨日俺の力を見た者が言ってるの?」

俺の質問に、父上は衝立ついたての方を見る。

「ラルフレッド、すまない。お前が来た時からもう一人この部屋にいる。」

そう言われて、だいたい想像はつく。
父上が俺の秘密を話してもいいと思った人間だ。

「コーデリア侯爵、昨日は話の途中で退出して悪かったね。」

衝立ついたてから姿を表した人物を見て話しかける。

「いいえ、ラルフレッド様のお力を目の当たりにして、私も気が動転しておりました。冷静に考えるお時間を頂いてよかったですよ。」

穏やかに俺を見るコーデリア侯爵。

「ラルフレッド様は強力な魔力をお持ちだという事を隠していらっしゃったのですね?」

その言葉に、どう答えようか考える。
とぼけた所で、父上がここに侯爵を呼んでいるということは、話すつもりなのだろう。

「・・・ずっと隠してたかったんだけどね。」

「何故です?ラルフレッド様は国防に対する飛び抜けた才覚もお持ちです。埋もれさせておくには勿体ない力です。」

「うん、だから嫌なんだよ。」

俺の言葉に、父上が大きなため息を吐いているのが聞こえた。

「どういう事ですか?」

訳が分からず問いかけてくる侯爵。

「だって、俺の本当の力を知ったら侯爵みたいに勿体ない、使えるって思う奴いっぱいいるよ?俺は王位は兄上に継いで欲しいから俺は出しゃばりたくない。」

「私は・・・申し訳ございません・・・」

俺が例えに侯爵を出したので侯爵が口篭る。

「まぁ、この国の事を思って言ってくれてるんだって事は分かるけどさ、そうじゃない奴もいるでしょ?俺を利用しようとする奴の駒になりたくないし、兄上を裏切りたくない。」

「・・・ラルフレッド様は、だからわざと自分が変わり者だと思われる行動をされているのですか?」

「あー・・・、うん、そうだね。」

俺が単に自由にしてるだけとも言うけど・・・
侯爵はどうやら察したようだな。

「陛下、やはりラルフレッド様はとてもご聡明なお方です。陛下も一緒に隠していらっしゃったのですね?」

「すまない。ラルフレッドとの契約でね、知恵を貸してもらい、ラルフレッドの力で国を良くしてもらう代わりに社交界には一切関わらなくていい約束をしているんだ。実はラルフレッドには侯爵も知らない所で沢山国の安寧のために人力してもらってるんだよ。」

父上の言葉に、何かを思い至ったような顔をする侯爵。

「ひょっとして、この十数年、自然災害による死者も、飢餓による死者もなく、作物も安定して作れている事と関係があるのですか?」

「まぁ、ほぼラルフレッドの功績だな。」

父上はにやりと笑った後俺を見る。

「なんと・・・それほどまでのお力をお持ちだったとは・・・しかし、ラルフレッド様はほぼ屋敷にも籠られていて、外へ出られることはほとんど無かったのでは?どのようにして国中の情報を?」

「一人だけ協力者がいてね、彼はラルフレッドの全てを知っている。彼も呼んでいるからそろそろ来る頃だろう。」








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